[脚本] ブログ村キーワード
前回の日記を読んでくださった人の中には
もしかしたら少し違和感を感じた方が
おられるかもしれません
「猫は、ただの猫であって
自分の役割とか意味とかを考えるわけはない…」
確かに、ふさこ自身が
何かを動かそうと考えていたのではないと思います
この世に生まれた場所
それが中之島公園だっただけ…
私や第二秘書と出会ったことも
彼女にとっては、ありふれた日常の一コマだったでしょう
目を惹くような美しい猫ではありません
食べ物をもらう以外には
人間に媚びることなどしません
もちろん、甘えることも
撫でさせることもしなかった猫
甘えてくる可愛い猫
遊んでくれる人懐っこい猫を目当てに
公園へ通っていた人には
あまり魅力ある猫ではなかったでしょう
ただ、私と第二秘書にとっては
最初に出会った時から
気になって仕方のない存在でした
厳しい経験をしてきたはずなのに
ふさこが、単なる「可哀想な野良猫」には
見えなかったからでしょうか…
誰からも慕われている面倒見のよいお姉さん
いつも、まわりに多くの猫たちを従えて
まるで先生のように
時には叱りつけ、時には寄り添って
ふさこは、何かを教えているように見えました
そんな様子を目にするたび
ふさこの持つ強さや逞しさ、優しさ
そして、一生懸命生きる姿に
とても惹かれました
私と第二秘書は、動物愛護の世界とは
無縁の場所で生きてきました
何の知識もなく、経験もありませんでした
今でこそブログを通じて
皆さんに温かい応援をいただきながら
何とか過ごしていますが
それでも、まだ自分たちは素人だと思っていますし
保護活動をしていると
公言することに戸惑いがあります
ただ、あの時は
無我夢中だっただけです
一生懸命に生きていた剣先の猫たちを
どうしても助けたいと思っただけです
「猫たちのため」にではなく「自分たちのため」に…
今、何もせず、猫たちを見捨ててしまえば
私も第二秘書も
一生後悔するだろうという気持ちが
いちばん大きかったと思います
三年近くの時間が経ち
これまで自分たちが経験してきたことや
学んできたことは
どれも大切なことばかりでした
そして、司令塔Aさんはじめ
「猫の部屋」誕生までに出会った人たちは
大切な人たちばかりです
もちろん、それ以降も
幸せな出会いに恵まれてきたから
今もこうしてブログを書いています
悩むだけで行動しなければ
何も知らないまま
誰とも出会わないままだったはず…
私と第二秘書にきっかけをくれたのは
最初に出会ったふさこの存在
そして、点在していたものを
ひとつの線にしてくれたのも
ふさこの存在だったと思っています
昨年秋、ガン告知を受けてから
ふさこに残された時間は
そんなに長くないだろうと覚悟していました
そして、6月末
最初の輸血を受けた時に
Aさんは、考えておいてほしいことがあると言いました
「ふさこが亡くなったあと、どうしたいか…」
どんどん具体的になっていく話が
とてもつらかったのですが…
それを考えるのは
私と第二秘書の責任だと思いました
悲しい現実を受け入れながら
それでもAさんや私たちが願っていたのは
たったひとつだけでした
1日だけでもいいから
ふさこが生きている間に「猫の部屋」に連れて帰りたい
そして、モデルとちびたのそばで
いつもと同じように過ごしながら
逝かせてやりたい…
それだけでした
病院で待つふさこを
Aさんと運び屋Tさん、私の3人で迎えにいきました
前の日の夜、大きな目をして
みんなを迎えてくれたふさこは
とても優しい表情で横たわっていました
目やにで汚れていた顔は
とてもきれいになっていました
「やっと頭撫でさせてくれたなぁ…」
先生はそう言いながら
ふさこの小さな頭を何度も撫でて
よく頑張ったと褒めてくださいました
「猫の部屋」への帰り道
Tさんは、知り合いの葬儀社に電話をして
ドライアイスをわけてもらえるように手配してくれました
Aさんと一緒に立ち寄った花屋さんは
このブログを読んでくださっていて
きれいなお花を安くしてくださいました
そして、ふさこは10日ぶりに
「猫の部屋」に帰ってきました
すのこにペットシーツを敷き詰め
お気に入りのお座布団に寝かせたふさこを
部屋に安置しました
モデルとちびたは
すぐに棚から降りてきて
ふさこの足や背中
頭に鼻をつけていましたが…
しばらくして、棚に戻っていきました
私には、その様子が
眠ってしまったお姉ちゃんを
いつものように起こそうとしているように見えて…
胸が苦しくなりました
「猫は普通、死んだ子に
あんなやって近寄らへんねんで…」
Tさんは、ぽつりとそう言ってから
買って来たお花を活けるために外へ出て行き
Aさんは、下を向いたまま何も言わずに
ただひたすらトイレの掃除をしていました
ふさこに、エンジェルケアを施し
手作りの小さなお数珠を持たせてくれた
金曜日のお当番、kanaさん
彼女がこんな話をしてくれました
「生き物は、自分の履歴書を自分自身で書いて
この世に生まれてくるんだそうです…」
嬉しい出来事も、悲しい出来事も
誰かと出会うことも
別れることも…
偶然に起こった出来事のようでも
実は、ちゃんと筋書きがあって
それは全部、自分自身が書いた脚本
すべてに意味があること…
「ふさこさんが書いた脚本で
みんながここに集まったんですね、きっと…」
ふさこの役割がすべての出会いを招き
点と点を結び、線にして
ひとつの形を作ることだったとしたら…
多分、そこに集められた私たちにも
それぞれの役割があるのだと思いました
四十九日が過ぎたら
ふさこのお骨を分骨して
半分は、先に逝った拓夢とヒュウマ
さくらと同じ場所に埋葬します
ふさこは、テリトリーの違う猫たちからも慕われていたので
きっと拓夢たちは喜んでくれるでしょう
そして、もう半分は…
ふさこが生まれ育った剣先に
帰そうと思っています
いつもふさこは
モデルやちびたたちと河岸に座り
日向ぼっこをしながら川を見つめていました
私と第二秘書は、そんなふさこたちの姿を
毎日、橋の上から眺め
スロープを降りていました
あの河岸から川に向かって…
散骨しようと思います
「中之島公園猫対策協議会HP」 web@nakanoshima-cats.com
「中之島公園の猫たち」 nekomat@nifmail.jp
まとまりのない文章を最後まで読んでくださって
本当にありがとうございました。
皆さんの優しい気持ちにたくさん支えられました
これからも自分たちの役割を精一杯果たしていこうと思いますので
どうか応援よろしくお願いします。
第一秘書&第二秘書
ふさこ、ありがとう…