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テーマ:猫が教えてくれたこと(53)
カテゴリ:里親
【覚悟を決める/前編】はこちら
皆さんにとって 今、そばにいる動物たちはどんな存在ですか? 友だち、恋人、子供… たぶん、いろんな思いを抱かれているのでしょう もちろん、私たち猫も同じです 今、そばにいる人には 特別な思いを寄せています ただ、どんな存在かと聞かれたら もしかすると、わからないかもしれない 私たちには、人間同士のように 大切な存在との関係を継続できることが少ないから たとえば、野良猫にも 親やきょうだいや子供はいます もちろん、その事実が変わることはないけれど… 可愛がってくれたお母さんや 共に育ったきょうだい 命をかけて生んだ我が子が 今、どこにいるかもわからなかったり… もし、どこかで生きていても もう二度と会うことはなかったりします とても大切な存在だったのに ずっと一緒にいられることは、とても少ない その現実を受け入れるしかないから 親やきょうだいだったこと、我が子であったことを 意識しないようになっていくのです だから、私たちが人に抱く思いは 人のものとは、少し違うかもしれません けれど、私たちが抱く思いは… この人のそばなら安心していられる どんな時でも自分から離れずに守ってくれる ただ、この人が好きだと思う気持ち… もちろん、すぐに そう感じるわけではないし 誰にでも同じように感じるわけでもありません 慎重なぶん、時間はかかるけれど 一度、抱いた特別な思いは とても一途なものです 相手から注がれる愛情に 疑問を持つことも、不安を感じることもなく 真っ直ぐに信頼を寄せるのだから… でも、そんな思いが 時に蔑ろにされてしまうこともあります 私たちには、悲しみや寂しさを 言葉にして伝えることができません ましてや、私たちから 気持ちが離れてしまった人には 何も伝わらない どれだけ、悲しい表情をしていても 混乱して、鳴き叫んでいても 私たちの姿を見ようとしない 鳴く声を聞こうとしなくなった人には 何も、何も伝わらない… そんな時、私たちは また、そこにある現実を受け入れるのです 生まれてから、今まで何度も繰り返してきたように… どんなにつらくても、苦しくても 私たちにとっては、為す術もないから… お母さんやきょうだい、我が子と離れた時のように 意識せずに過ごせるようになるまで ただ、耐えるしかないのです Kさんと飼い猫のくぅちゃんが出会った、さっちゃんさん 彼女は、かなり初期の頃から 「猫の部屋」を応援してくださっている人でした 具体的な言葉にしなくても さっちゃんさんからいただいたメールの端々で 彼女の人柄は、すぐにわかりました 優しくて、思い遣りがあって なによりも小さな命の思いを優先して考える人 Kさんと離れることで くぅちゃんに訪れるであろう出来事を すべて理解しておられる人 けれど、そのすべてを受けとめようと この先、どんなことがあっても支えになろうと 覚悟を決めてくださった人… そう… 呼びかけを行った時に もし、名乗りでてくださる人がいるなら…と 想像していた通りの人だったのです Kさんには、そんな人を裏切ってほしくない どうか、彼女の覚悟に誠実であってほしいと願いました Kさんに連れられたくぅちゃんが さっちゃんさんのお家にやって来た日 それは、彼女とご家族が くぅちゃんに出会った日でもあり Kさんとくぅちゃんの別れの日でもありました その日、Kさんはとても悲しんでいました くぅちゃんと出会ってからの生活は 確かに、Kさんにとって幸せな日々だったのでしょう 何度も何度も、さっちゃんさんに くぅちゃんのことを頼んで 涙を流しながら帰っていかれたというKさん ただ、あの日のKさんに 今、会うことができるのなら 私には、聞いてみたいことがあるのです あの日、あなたがいちばん 悲しかったことはなんだったのですか、と… あの日、あなたを見送ったくぅちゃんが どんな表情をしていたかを覚えているのですか、と… Kさんが実家に戻られてから しばらくの間は、頻繁に連絡があったそうです ある時には、両手いっぱいにお土産を持って くぅちゃんに会いに来られたのだと さっちゃんさんは、笑っておられました ただ、それも長くは続きませんでした 次第に、Kさんからの連絡は途絶えていったのです たぶん、Kさんが想像しておられた以上に お父さまの介護を続けながらの仕事や生活は 大変だったのでしょう… けれど、それと同じ頃 くぅちゃんにも大変なことは起こっていたのです Kさんがいなくなったストレスから くぅちゃんは不安定な状態が続いていました ご飯を食べず、トイレにも行かず 怖がって隠れて、鳴いてばかりいた日々 体重が落ちて、脱毛症になり 膀胱炎になり、尿道結石になり… そんなくぅちゃんの姿をそばで見ながら 懸命に支え続けてこられたさっちゃんさんご家族は どんな気持ちだったでしょうか いつも、話を聞くたびに 胸が痛んで仕方ありませんでした だから、その都度こちらから Kさんに連絡してもいいかと聞いてみたのですが… いつも、さっちゃんさんは どうか心配せずに、このまま見守っていてほしいと言われました その後も、折にふれて さっちゃんさんとは話をしていましたが Kさんのほうから連絡が入ることはありませんでした せめて、Kさんがくぅちゃんを忘れないようにと 彼女が頼んだ月に一度の約束があったらしいのですが それも、ずっと守られないままで… 1年、2年…と、時間だけが過ぎていったのです --- やっと決着をつけました --- さっちゃんさんから連絡をいただいたのは 昨年11月の終わりでした 1月のくぅちゃんの誕生日を 今度は、もう家族として迎えたいからと Kさんへ連絡したそうです すでに、くぅちゃんは元気になり 先住猫の銀ちゃん、類ちゃんと仲良く遊び さっちゃんさんご家族に甘える日々が 日常になっていました 今、くぅちゃんが 一途な愛情と信頼を寄せている人は さっちゃんさんと息子さんたち 他には、誰もいない… あの日から、2年以上が経ち すべてのつらい出来事を くぅちゃんは乗り越えてきたのです くぅちゃんにとって こんなに幸せな結末はなかったでしょう もう、なにも心配することはないし もっと、もっと幸せになれるはず… だから、本当に嬉しかったし 安心したのですが… 反面、とても複雑な気持ちになりました すべては、このブログの 呼びかけから始まったこと 結果として、さっちゃんさんご家族を 巻き込んでしまったのだという気持ちが ぬぐえないままだったのです けれど、それを正直に告げた時 さっちゃんさんは、こんな風に言われたのです --- これがくぅにとって、本当に幸せかはわからないけど 私たち家族が、もうくぅがいないとダメなんです 幸せじゃないんです --- その言葉は胸に響きました ずっと晴れなかった心が 一瞬で明るくなったように感じました この優しい思いに、くぅちゃんだけでなく 私と秘書たちも救われたのです 「中之島公園猫対策協議会HP」 web@nakanoshima-cats.com 「中之島公園の猫たち」 nakanoshima_cats@yahoo.co.jp さっちゃんさんが一時預かりを引きうけてくださってから 決着をつけるまでの2年3ヶ月 くぅちゃんがどんなに頑張ったのか? そんなくぅちゃんを支えながら さっちゃんさんが、どう感じておられたのか? 明日、追記でご紹介したいと思います 猫ボランティア・保護活動ランキングへ 人気ブログランキングへ ブログランキング参加中ぽちぽちっと応援よろしくお願いします お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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