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カテゴリ:映画
MISHIMA-a life in four chapters (1985)
「ミシマ 11月25日、快晴(仮題)」 監督:ポール・シュレイダー(タクシードライバー脚本) 久々のおススメ映画。 でも日本では発表当時(1985年)、故三島夫人の反対ともろもろの事情とやら(多分妨害とか)により、劇場未公開となった幻の作品。25年経った今でも、日本ではDVDさえ発売されていない。日本人として、とっても残念。 Criterion Collection → ☆ Criterionから最近発売されたDVD Amazon.co.jp → ☆ 昔のDVD。ジャケット怖い。絶対ジャケ買いしなさそう。。 Wikipedia → ☆ 三島由紀夫の伝記的作品。 三島の生涯を彼の回想がモノクロームで、 「金閣寺」、「鏡子の家」、「奔馬」の3作を象徴的なセットと共に、 そして彼が自衛隊市谷駐屯地で自決した、1970年11月25日の1日が描かれている。 映画そのものが、よくできたアート作品。 テンポよく、25年という歳月を感じさせない新しさがある。3作品の解釈(描き方)も挑戦的で面白い。(特に「金閣寺」) 私はあまり三島作品に傾倒したことはなかったので、反ってそれで楽しめたのかもしれない。ファンには作品以上の作品なんてありえないだろうし。 それにしても、三島って凄い、日本人離れというか、すべての人類から離れて、Specialな人だったんだなあ。。思考を言葉にしてきただけでも凄いのに、言葉(ペン)と行動(剣)を一体化させようと、方向性ややり方はともあれ、立ち上がってしまった、立ち上がらざるを得なかった。その具現化が「死」であるというのが、またデカダンなんだけれども、彼は戦後というより、戦争をまだ生きていたような気もする。 未公開の理由は、「(三島)家族が赤裸々に描かれているため云々」とネットで見たけれど、「どこに家族が…??」というくらい、全然そんな場面はなかった。確かにちょっと彼のホモセクシュアリティに触れる箇所があったけれど、三島を知っている人だったら、そんなの今更だし、なぜに??多分嫌だと思ったら何を言われても描かれても嫌なんだろうけど、だったら最初からOKしなければいいのに… DVD特典についていた製作者たちの恨み節もなかなかに切実(笑) 天皇を描いた映画「The Sun」を観たときも思ったけれども、時にその存在が日本人(や周囲の人々)にとって大きすぎて、その影響をよくも悪しくも受けてしまう日本人よりも、まったくの部外者である外国人のほうが、その存在の意味やありようを抽出して、うまく描けることがあるのかもしれない。三島を同時代人が描いていたら、理解(のしすぎ)や、羨望や、嫉妬や、同情やらで、こうは描けなかったろうと思う。 製作者、ならびに出演者にも、そうそうたるメンバーが。 これだけ海外にも強い影響を与えた作家だったんだなあ。。と改めて感じました。 だからこそ、日本人としては、観ておきたい(っていうか、せめて観られる環境になってもらいたい)作品。 製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ(!)、ジョージ・ルーカス(!!) 製作:山本又一朗、トム・ラディ 監督:ポール・シュレイダー 脚本:ポール・シュレイダー 原作:三島由紀夫 音楽:フィリップ・グラス (おお!) 美術:石岡瑛子 ナレーション:ロイ・シャイダー キャスト 緒形拳 - 三島 …軍服姿はキまっていた(?)けれども、大蔵省時代とか、あまりにも似合わなくて、笑える。。 利重剛 - 三島の青年時代 … 利重さん、こんなところにもー! 大谷直子 - 三島の母 加藤治子 - 三島の祖母 塩野谷正幸 - 森田必勝 … 三島と一緒に自決した人ですね。必勝って凄い名前。。 三上博史 - 「盾の会」隊員 立原繁人 - 「盾の会」隊員 織本順吉 - 自衛隊真下総監 小林久三 - 文学者の友人 新井康弘 - 新聞記者 細川俊夫 - 『鹿鳴館』のプロデューサー 坂東八十助 - 溝口 (『金閣寺』)…うまい!びっくりした。 佐藤浩市 - 柏木 (『金閣寺』)…若い!昔からヒール顔。 萬田久子 - 真理子 (『金閣寺』) 沖直美 - 女 (『金閣寺』) 高倉美貴 - 女 (『金閣寺』) 辻伊万里 - マダム (『金閣寺』) 沢田研二 - 収 (『鏡子の家』)…ジュリーが…。 左幸子 - 収の母 (『鏡子の家』) 烏丸せつ子 - 光子 (『鏡子の家』) 倉田保昭 - 高井 (『鏡子の家』) 横尾忠則 - 夏雄 (『鏡子の家』) …すごい素人っぽいと思ったら。 李麗仙 - 清美 (『鏡子の家』) 平田満 - 悪漢 (『鏡子の家』) 永島敏行 - 飯沼勲 (『奔馬』) 池部良 - 尋問官 (『奔馬』) 誠直也 - 剣道教師 (『奔馬』) 勝野洋 - 堀中尉 (『奔馬』) 根上淳 - 蔵原 (『奔馬』) 笠智衆 - 和尚 (『金閣寺』)…このときには既に判別不能なほどおじいちゃんでした。でも台詞読みはおんなじ。 当時は妨害や誹謗を恐れて、出演依頼を断った俳優さんも多かったそうです。(DVD特典より) 本当は主人公三島は高倉健さんにオファーされていたらしいのですが、こちらの健さんは、一度は受けたものの心配で心配で眠れずご飯も口を通らず、やっぱり降りてしまったとか。健さん~~(涙) そう考えると、偉い!緒形の拳さん。 きっとすごいプレッシャーだったんだろうなあ。。でもそのプレッシャーって一体なに??今でもあるのかなあ。。 と、2010年の海外から思うのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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