くりごと

3月の旅行（青森へ行く予定だった）は震災で中止になりました。

震災で大きく変化してしまった日本の現状へのショックや憂いや、信用出来ない政府官僚などへの憤りなどで毎日気分が委縮してしまいそうな不安を感じたりしていました。

友人からのアドバイス（曲まめ子さんアリガト）などもあって、「そうだ、好きな日本の田園風景の中に出かけよう」と思いつきました。





行きたいとなったらすぐにでも行きたい（笑）

そこで選んだのは、ずっと行きたい候補に入れてあった中でも「近くて安い」だろう埼玉県の秩父方面でした。

今回選んだのは、秩父札所第一番の門前宿として江戸時代創業になる純日本風の宿「旅籠一番」でした。

ここは島府の湯という温泉があり、24時間利用できる上に、空いていれば何時でも無料で貸し切りにする事が出来ます。





短時間で決定したとは言えこの旅行は歩く事が中心となる為、計画は念入りに立てる必要がありました。

色んな情報を検索してあ～でもないこ～でもないと考えて、独自のプランを作り地図を細かくプリントして出来あがり

この時間はとても充実して夢中になって立案していました。

そんな時間こそが気持ちを高揚させ、大きな楽しみを持つという大切な事だったんですね。

私なりの震災ショックでそんな気分を忘れてしまっていたようです




これが歩いた道のりです
この行程だけで約7.4kmです。





22日は朝から気温も高く晴れていました。

でも午後からは本降りになるとの予報が出ていた為、傘を持っての出発になりました。

今回の旅行は、気晴らし目的以外にもうひとつ、フードフィーダーを使って吟に一晩一人だけで留守番をさせてみるという試みがありました。

ちょっと心配で可哀想でしたけど、今回成功したら、これから先随分自由に出かける事が出来るようになると思ったからです。

JR池袋駅で西武池袋線に乗り換えました。

当初の予定では快速列車で飯能駅まで行き、乗り換えて秩父方面へと思っていたのですが、西武池袋駅では特急列車の出発に間に合ってしまったので、急遽特急券を購入して飛び乗る事になりました

西武線特急のレッドアロー号に乗るのは初めてです。

昔、結婚したばかりの頃沿線の石神井公園に住んでいたのですが、その頃見た車両とは違って新しく見栄えのするものになっていました



特急レッドアロー号「ちちぶ」
　


終点の西武秩父駅までは1時間18分で着いてしまいますが、私達は終点の一つ手前の横瀬駅で下車しました。

ここは秩父盆地の南側にそびえる武甲山の登り口にもなっている駅です。

武甲山は石灰岩で出来ていて、江戸時代より採掘されている為、側面が大きく削り取られて独特の山容になっています。



横瀬駅と武甲山



いよいよ出発、横瀬駅よりてくてくと歩き出しました。


のどかな風景は数々の花で彩られていました。


ポピーとマーガレットの揺れる後ろに三菱セメントの工場と武甲山。


矢車草とポピー　
何でもない普通の道沿いに、こんな花畑の風景が広がっていました。


栽培出荷する為の花畑ではありません、住んでいる人達が育てているようです。




秩父には34か所の札所があり観音霊場を巡る人々が古くから歩いた土地です。整備された道しるべがあちこちに立っていました。



歩き出して間もなく札所第9番の明智寺に着きました。


静かな光の中に佇む明智寺は六角形のお堂があります。

お参りの人がちらほらいるだけで静かです。

この頃がこの日は一番暑かった

歩き出してからまだ1Kmも来ていません、巡礼の旅ではありませんでしたので、拝んでからすぐに歩き出しました


再び花に出会う道を進みます。

ムギセンノウという花、品の良いピンクの可憐な花です。


道は緩やかな起伏はあるものの、登り下りの大変さは無く、ほぼ平らな状態と言っても構わないでしょう。

空には高くひばりの声が聞こえ、日曜日という事で車の数も少なく静かな田園風景の中を進みました。



こんなのどかな風景をぐるっと道が巡っています。



いきなり開けた視界に広がっていたのはこんな風景でした

寺坂の棚田です。



日曜日だったので沢山の人達が田に入り、田起こしや田植えに勤しんでいました。



武甲山に見守られたような棚田には、ひばりの声と人々の楽しそうな声が響いていましたよ。



緩やかに登った先で横瀬の町を一望に出来る高台の道に出ました。
遠くに芝桜で有名な羊山公園が見えています。


こんなのどかな自然豊かな風景の中を歩きたかったんです

思い描いて憧れていた通りの景色を堪能して、一歩一歩が訳もなく嬉しく楽しいものでした。



ポピーの群生した地域を過ぎたら、様々な種類の色とりどりの菖蒲に出会う道になりました。（これは黄色ね）



横瀬町民グラウンドを回ると、水田の風景に変わりました。


田に張られた水の上にはアメンボがたくさん、そしてオタマジャクシも泳いでいます。

代掻きをする耕運機の音をさえぎるように、カエルの声も高らかに響く光景でした。




長くなったので続く