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くりごと

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2015年08月15日
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カテゴリ:こころ・身体

父の具合が良くなくて入院中。

長野と東京を行ったり来たりの8月になった。

先月は東京の家でゴミ当番で行ったり来たり。

そのまま継続して行ったり来たりと落ち着けない暑い夏。






誤嚥性肺炎で酸素吸入と痰の吸引が必要な状態になり、

訪問医から、このままだと確実に熱中症にもなるので入院を進めると言われた。

父は今91歳、自然と身体は老衰して来ている。

最期は自宅で看取るのだと、母は以前からずっと言い続けてやって来ていた。

何時か来るその時を安らかに迎えさせてあげられるように一時入院させて、状態が少し良くなったら退院して自宅介護の日々に戻る・・・それが母の描いた図だった。

入院して抗生剤の点滴や補液で父は少し元気になったように見えた。

流動食を一口ずつ飲み込むリハビリが始まったけど、結局飲み込む力が回復する事がなく誤嚥になってしまう。

もう口から食べる事は出来ない、医者からはっきりと言い渡されてしまった。






例え衰えていて少量だったとしても、何かを食べるという喜びを失った父。

認知症も少し入って来て、色々認識するのに支障が出る事が増えて来た。

テレビを観る気持ちも無くなり、一人で身動きする事も出来なくなった。

痰の吸引の苦しさを見るのも可哀想だけど、それをしなければ息が苦しくなる。

ずっと鼻に酸素のチューブをつけたまま、これ邪魔でいらないと時々訴えるけど取る訳にいかない。






食べる事、味わう事、口に入れた物の香りを鼻に感じる喜び。

これが人にとって生きるという事の中でどれ程大きな意味を持つのか。

今の父の「Quality of Life・生活の質」、生きている質、それはもうマイナスの状態だと思う。

病室のベッドの上でただ生きているという事実。

話せるし手を強く握る力もあるけれど、ただそれだけの毎日を考えるととても辛い。

実の父親に早く死んで欲しいと願う訳がない。

それでもこんな毎日、苦しくなったり寝たきりで身体のあちこちが痛くなったり、それだけで過ごす時間を何と表現したら良いのだろう。

病床の父に何を頑張ってと言うのだろう。

頑張って何が得られるのだろう。

全てが疑問に変わってしまう・・・・。





毎日ベッドに寄り添う母にとって、父が生きている事実が重く大切なのだろう。

手をつないで顔を寄せて話しかけながら2人の貴重な時間が流れて行く。

幸せな夫婦なのだと思う。






年齢から来る衰弱に勝てるだけの栄養は摂れていない。

チューブに繋がれてただただ生き延びる事を私達家族は望まない。

ただひたすら安らかに、痛くなく苦しくなく枯れて逝く時間が来る事を祈るしかない。

その日が何時になるのか全く見えて来ないので、毎日枕元にいく母は別として、姉と私は自分たちの生活も営まねばならず、どうしたら良いのか途方に暮れてしまう。

3日前、今生の別れを覚悟して「また来るからね」と言って長野に戻って来た。

大往生と言われる年齢の父ともう会えなくなるかもしれない事は納得している。

だけど子供の頃の思い出が湧き出て来るのがどうにも止められない。

今の父に頑張ってとか元気になってとか願うのではなく、昔一緒に過ごした日々の記憶が思いがけず蘇って来て止まらないのだ。

戻らない懐かしい過ぎ去った時間、父と共に永遠に去ってしまう「もっと聞いておけば良かった」記憶の束。

私は今取り返しのつかない時を遠く離れたここで過ごしているのだろうか・・・・。






次の帰京予定は27日。

それまでこのままここにいても良いのだろうか。

父の命の炎は今週で終わるかもしれないけれど、来月も再来月も消えないかもしれない。

意識はあるけれどただ生きているだけの父を見るのは忍びない。

でも、会いたい気持ちでいっぱいになってしまう。




早く涼しい秋になれ!








IMG_2072
随分長い間見ていなかったような気がする裏山に、秋の七草のクズが沢山咲いていた。
昼間はまだ暑いけど、朝晩の涼しさに季節の小さな変化を感じられる気がする



IMG_2070
去年はたしかピンクのツリフネソウが沢山咲いていたと思うのだけど、今年はキツリフネが少しだけ咲いている。
昼間はツクツクボウシがうるさいほど鳴いているけど、夕方になると秋の虫が鳴き出している。



IMG_2069
小さな可愛らしい花なのに臭い匂いがするからとついた名前が「ヘクソカズラ(屁糞葛)」。
可哀想だけど一度聞いたら忘れない名前ではある(笑)












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最終更新日  2015年08月16日 18時09分43秒
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