2008年アメリカ
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2008/4/18～ ロードショウ

監督：ロバート・レッドフォード
出演：ロバート・レッドフォード
　　　　メリル・ストリープ
　　　　トム・クルーズ


上記３人のビッグ・スター共演というこれまでにないキャスティングにまず魅力を感じ、現代アメリカをシビアに描き出すような予告編にも惹かれて４月２０日（日）に映画館で観てきました。。

記者であるメリルとホワイトハウス側近の野望を持つ議員トムとのからみ（つまりはインタビュー）は結構シビアなやり取りが面白く、その間に敵陣の険しい雪山に基地を作ろうとする議員の進める新戦法が同時進行し、敵がいないと思われたその周辺に実際には敵がいて、兵士たちが囲まれ追いつめられて行く状況が挟み込まれます。

現実にイラク戦争に対するアメリカ国民の心象は日毎に悪くなり、世界のアメリカに対する嫌悪感も増すばかりの状況の中で、政府は何とかこの戦争を続ける意義を持たせたい、再び国民の支持を得たいと新たなる戦争を引き起こそうとする。この悪のスパイラルをトムとメリルのやり取りの中で描き出し、政府の失策だけではなく昨今のメディア側の凋落ぶりも指摘します。

ロバート扮する大学教授は上の二人とは直接の関係もなく、大学内で生徒を相手に進路指導をしている。指導を受けているのはそこそこ裕福な家庭出身で当初は成績優秀だったにもかかわらず、大学の授業に意義を見いだせずサボリ気味の若者だが、斜に構えた彼の論理は教授をうち負かす現実感があり、果たしてこの若者を説得出来るのかと心配になります。

一体この教授はどういうからみがあるのかと思いながら観ていると、新基地を作る新戦法に参加している兵士の内二人が彼の生徒であることが判明。

スラム出身の黒人と移民の二人は苦労の末に得た大学入学で、それだからこそ授業にも熱心に出席し、アメリカの未来を真剣に考える熱意溢れる生徒だ。すべてを才能ではなく努力で勝ち取るタイプである。
その二人が、戦争から帰ってきたら自分たちがアメリカの未来を変える、築いていくんだという強い意志を持ち、「行くな」という教授の必死の説得を振り切って兵士を志願したのだ。志願した最大の理由は彼らの困窮した生活事情にありました。

これもまた日本人の我々ですら知るアメリカの現実でしょう。
餌をブラ下げて兵士を募り、意義など何もない戦争に駆り出し若い命を道具にする政府。兵器製造がアメリカの経済を支えているからこそアメリカは常に戦争を演出する必要があるのだろうと思えます。自由？人権？を御旗に他国に干渉する余力があるのなら、それ以前に自国をもっと改善するべきでは？とまたしても思ってしまいます。
こうした理不尽な現状を変えたい教授は若い生徒たち自身が「チェンジ！」に挑むよう説得するのでした。

大統領選のある年だからか、この映画は観る者に「もっと真剣に考える」ことをそして「行動に移す」ことを訴えかけています。アメリカでヒットしてくれることを心から願うけれど、どうなのかなぁ（笑）
アメリカの若者たちにこそ観て欲しい映画ですが、戦争にこそ直接荷担していない我が国においても政府や官僚たちの行為は似たり寄ったりですから、世界中の若者に奮起して貰いたいですね。

ただ、観賞後の最初の感想は「えっ、これで終わり？、本当におしまい？」でした。
海外ＴＶドラマを見慣れている昨今だから、まるでドラマのイントロだけ見せられて、これからが本番って感じで終わった気分だったのです（笑）
でもこうして振り返りながら書いている内に、そうか、この続きは大統領選に向けて個々人が押し進めて行くのだな、と納得しました。