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カテゴリ:現代詩ーネオテニーな
壁の中に
張り付いていた ぼくは 思わず 身を乗り出したんだ 惨劇 というのだろう 部屋のなかに もうひとりのぼくが いて 電気もつけず 訪ねてくる友人も いない 真っ暗な部屋の中で ただひとりで ぶつぶつと 会話している ような臨場感を持って 惨劇 というのだろう もうひとりのぼくは 追い詰められて 外界をシャットダウンし ぶつぶつと 会話している ような だんだん 会話の相手が 見えてきて ぼくは 思わず 壁から身を乗り出したんだ ああ もうひとりのぼくを 助けたい 話を聴いてあげたい 会話の相手の 顔が ぼくの方に向く 真っ黒な 顔で 空洞のような 虚しさがある もうひとりのぼくは よっぽど悔しかったんだろう ぶつぶつと 怒りをぶつけている 真っ黒な顔が ぼくを恐怖させる 誰からも相手にされないって こういうことなんだ ぼくを恐怖させる つまりは 惨劇なのである ああ 助けたい ぼくは 思わず 壁から身を乗り出したんだ もうひとりのぼくに 手を差し伸べて 身を乗り出したんだ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/07/07 07:33:51 AM
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