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和希ちゃん8383のブログ

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2015.10.05
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カテゴリ:映画(か)

今回の一言
アニメとあなどるなかれ!!
すっごいんだからっ!!笑

2007 日本
アニメ

監督
原恵一
Voice
冨澤風斗
横川貴大
田中直樹
西田尚美
松元環季

ストーリー
およそ100年前の江戸時代。
久留米川付近の「龍神沼」に住む河童の親子が居た。
河童は人語が理解出来る為、役人達が「龍神沼」を潰し、田んぼにするつもりである事を知り、考えを改める様に哀願する事にした。
大きな鯉を捕まえ、それを渡すつもりであった。
河童の父親は、役人の前に現れ話したが、不正を行っていた役人は、河童にそれを知られたと思い斬り殺してしまう。
それに怒った水神が大地震を起こし、河童の子供も巻き込まれ、地割れにのまれてしまう。
現代。
東京都、東久留米市に住む小学生の男の子、上原康一は、ある日、黒目川で不思議な石を見つける。
その石を投げてみると半分に割れ、中に亀の化石と思われるものが入っていた。
とても珍しく気に入った康一は、それを持って帰り、家で水を貯めて汚れを落とそうと洗っていた。
すると、化石と思われた生き物は、蘇ったのである。
河童の様なこの生き物をクゥと名付けた康一は、事情を聞き、大急ぎで帰宅した父と話し、やはり河童ではないかと考える。
気持ち悪がる母と妹の瞳をからかおうと水から上げて、手に持ち、母と妹を追い掛け回しているとクゥは小さな声で喋った。
「殺さないで...」と。
すぐさま水に戻し、食べ物を与えた。
こうして弱っていたクゥを救う為、家族はクゥを迎え入れる事にしたのだった...。





感想
子供も大人も楽しめる素晴らしい作品です!

何よりも素晴らしいのは、現代社会もっと大きくいえば人間そのものを忠実に再現している事です。
一見ハートフルなほのぼの作品に見えますが、そうではない。
河童のクゥは、人間に対して一定の距離を置いています。
人間は怖いものと知っているからです。
上原家に感謝して、歩み寄ろうという気持ちがありますが、近所の噂がネットへ、そして写真週刊誌の張り込み、マスコミの報道加熱と現代社会の問題を描き、やはり河童と人間は相容れないものとして描かれます。
それは現代だけでなく、クゥは昔の生き物で、父親にそう教えられたという事は昔からそうだったという事です。

またクゥが人語を理解する事。
神通力で念話が出来る事や物を破壊出来る事。
力が強い事。
この辺りも、一見可愛くて、すごーい!って感じですが、クゥが「河童」であり、人間と違う事を象徴しています。

子供である康一がTVに出れる事を浮かれる様子は、悪意がない事を象徴する一方、現代社会においての「河童」という存在を忘れる描写になっています。

また河童の伝説が多く残る遠野の描写もありますが、けっこーショックでした。
24時間監視カメラが設置されていて、河童を見つけたら賞金1000万となっています。
河童からしたら絶対に見つかってはいけないと考えるのは当たり前ですね。

クゥが逃げ回るシーンでは、中にはクゥを可哀想に思っている人々も居ましたが、クゥにとって、数少ないそう思う人間と、大量の興味本位の人間に囲まれてしまえば、それどころでないのは当たり前です。

また恐怖と怒りから神通力を使い、カラスを粉砕した後、上原家の周りに集まる人間達の様子は一気に変わります。
それまで、ひと目見たいなどの野次馬的精神を持つ人々、商売になると考える報道関係者、CMなどの企業、が集まっていたのが、今度は「河童」を追い出す、「河童」を殺す、「河童」は危ない生き物、などと考える人々が集まります。

ほかの作品にもこーゆー描写は見受けられますが、なぜ、そっとしておいてあげられないのか?
ひと目見たところで、何が変わる訳でもないと思いませんか?
写真を撮ったところで、友人とたかが5分程度の会話のタネになるだけだと思いませんか?

多摩川のタマちゃんだとかもそうですが、物珍しさに飛び付くのは愚かだと思います。
それよりも、住むべきところに帰す手立てを考えて金が必要なら募金集めるとか、「こんな汚い川に」と思うなら川を綺麗にしようと心掛けるとか。

「河童」がもしも現代にいたら、とても珍しいし、また上原家がとっても羨ましいです。
現に序盤の上原家とクゥのくだりは、本当に微笑ましく、「いいなぁ」と思っていましたし。
ですが、私ならひと目見たいと上原家に行ったら、上原家の人間を疲弊させ、河童にストレスを与えると考えると思います。
もちろんタマちゃんも、ほかの生き物も。
野次馬好きな人というのは、そーゆー事を考えないのでしょうか?
だとしたら、自分がその立場になってみないと分からないのでしょう。
実に浅はかで馬鹿な人間だと思います。

またこの様な描写はクゥの周りだけではなく、康一の学校での描写にも存在します。
イジメるものとイジメられるもの。
それを傍観するもの。
変わらないものを虐げる人間らしい行動。

また面白いのは上原家のお父さん。
子持ちの親として、また人としても良い人間であるこの人が、マスコミが家の前に集まる頃から変化します。
しかし悪いのはクゥではない事も分かっているので、口には出しません。
ただ、複雑な思いを抱いているという目をしてクゥを見つめる描写があるだけです。

また上司の命令で、クゥをTVに出す話を断り切れないところも面白いですね。
もしも「そんな事は絶対にさせない!」と怒ったら、会社をクビになるかもしれませんし、よくて降格か左遷?
2人の子供にペット、マイホームに車、お金が必要なはずです。
一家の主人として苦渋の決断でしょう。

本当にこの作品は人間界の描写が素晴らしいんですね!
クゥにとって幸せな世界はあるのか?
不安でたまらなくなります。

キャッチコピーにもありますが「俺はクゥ、人間に貰った名前だ!」はとても深い深い意味を持っていると思います。

私は彼等の様な存在は無くならないと信じて
いますし、彼等の住む地を奪ってはいけないと考えています。

環境問題や大量、いや、過剰消費。
イジメ。
ネット。
現代社会の問題を見事に描きながらも、クゥと上原家の友情も見事に描いています。

「ペイ・フォワード」で(下の方にあるカテゴリ別一覧検索「映画(へ)」から見れますのでよろしくどうぞ)日常の中で出来る事について語りましたが、何か大きな事が出来なくても良いんです。
ただ毎日の生活の中で出来る事でいいんです。
先程タマちゃんのくだりでも書きましたが、何か良い事をする、何か少し環境について心掛ける、何か少し周りに感謝の気持ちを持つだけでも、世界は変わるかもしれないと信じる事。
野次馬精神よりもやるべき事があるのではないか?と考えるだけで、世界が良い方向に動くかもしれない。

そんな気持ちになる作品です。
そしてとっても可愛いクゥに癒されますし、エンターテイメントとして素晴らしい一方、子供の教育にも素晴らしいです。
大人も考えてさせられます。
老若男女、観ていただきたい作品です!
実はジブリ作品以外で、初めて10点をつけたアニメーション作品です!
もうちょーーーーオススメ!!

my評価10点(10点満点中)





概要
原作は日本人小説家、木暮正夫の児童文学書「かっぱ大さわぎ」「かっぱびっくり旅」。
今作の監督を務めた原恵一は、原作のアニメ化を20年もの間、願っていたという。
この原作に出会った原は、すぐさま木暮氏にアニメ化の許可をもらいに行った。
完成の10年前、エニックス(当時の社名)が募集するアニメ企画に応募。
佳作まで行くがダメであった。
クレヨンしんちゃん劇場版として人気が高い「クレヨンしんちゃん あっぱれ!戦国大合戦」などを手掛けていた原は、この頃、「クレヨンしんちゃん」に今作のアイディアを小出しにして盛り込んでいたという。
それでも今作を作りたい熱意は変わらなかった。
「クレヨンしんちゃん」で成功を収めた原は、ようやく関係者の説得に成功し、今作の映画化が決まった。
原作者の木暮正夫は、完成間近の2007年1月に死去。
原は木暮への謝罪と感謝の弁をコメントした。
また作品の評価は高く、第11回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、第31回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞、第9回台北映画祭子供映画部門観客賞、第81回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第5位などを受賞している。


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Last updated  2015.10.06 12:49:26
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