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2016.03.15
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カテゴリ:映画(う)

今回の一言
ゲイリー・オールドマン!!(って言ったの何回目だろう?笑)

2011 イギリス、フランス、ドイツ
サスペンス、ドラマ

監督
トーマス・アルフレッドソン
Cast
ゲイリー・オールドマン
ジョン・ハート
ベネディクト・カンバーバッチ
サイモン・マクバーニー
コリン・ファース

ストーリー
1973年、イギリス。
世界は第二次世界大戦後、アメリカ率いる資本主義・自由主義思想とソ連率いる共産主義・社会主義思想が対立し冷戦状態にあった。
イギリス秘密諜報部(通称サーカス)は、ソ連情報部と水面下で情報戦を繰り広げていた。
ある時、サーカスのトップであるコントロールは秘密裏に優秀なサーカス工作員ジム・プリドーを自宅に呼び、サーカス内に裏切り者が居ると話した。
その正体を突き止める為の重要な情報を握るハンガリー人将軍の亡命を手助けする為、コントロールはプリドーに、ハンガリーのプダペストへ飛ぶ様指示した。
しかし作戦は失敗しプリドーは撃たれてしまった。
その後、コントロールと彼の右腕であるジョージ・スマイリーは責任を取る形でサーカスを去る事に。
それからしばらくして、イギリス外務次官のレイコンに呼び出されたジョージ。
レイコンはジョージにサーカス内のしかも上層部の人間に裏切り者が居ると話す。
そしてコントロールはそれに気付き、プリドーを派遣した事も突き止めていた。
レイコンは、今や外部の人間となったジョージこそこの件を調べるのに相応しいと、ジョージにサーカス内部の誰が裏切り者なのか見つけて欲しいと頼むのだった...。





感想
イッツ・ソー・クールですな、これは!!笑
「ソー」は必要あるのか?ないのか?なんせ学がないので分かりませんが。笑
スタイリッシュ!!(洗練されてる)
かつ、極限まで抑えに抑えた静かさが、逆に爆発するほど素晴らしいわけです!笑

「スパイ映画」というと言わずと知れた007や「ミッション・イン・ポッシブル」、マット・デイモンの「ボーンシリーズ」、「ディパーテッド」などアクションの派手さやサスペンスを思い出しますが、今作はそーゆーものではなくサスペンスドラマで、ヨーロッパ作品らしい「静」の描写がたっぷりです。
しかもアクションはゼロです。
なので一般的な「スパイ映画」を期待すると痛い目に遭いますが、その分今作は綿密なサスペンスストーリーとゲイリー・オールドマンの素晴らしさがピッカピカに光ります。

ゲイリー・オールドマン!!
ってしょっちゅう言ってる気がするんですが、つまり彼はどの作品を観ても本当に素晴らしい役者さんで、なんでしょうね?
良い意味で個性がないのが素晴らしいです。
まぁそれが彼の個性になるわけですが。笑

例えばデンゼル・ワシントンならデンゼル・ワシントンらしさ、ウィル・スミスならウィル・スミスらしさ、マット・デイモンならマット・デイモン、ロバート・デ・ニーロなら...と挙げるとキリがないほど皆さん個性豊かなわけで、どの役を演じていてもその人感が残るんです。
ところがゲイリー・オールドマンはそれがないんですよね。
丸々、役の色しかない。
凄い事ですよね〜。

ゲイリー・オールドマンが悪役ばっかりやってた頃は「こーゆーのがまぁよく似合う事」と思ってて、それはそれで素晴らしい演技力でしたが、それが「彼らしさ」なのかと思っていました。
「レオン」や「告発」なんかはまさに悪役と言えば!と言えるほどに素晴らしかったですね。
しかし「トゥルー・ロマンス」では自分をワルの黒人だと思ってる白人、「ハリポタ」では孤独ながら戦い続けるかっこいい良い役というのを見事に演じてました。笑
(すべてカテゴリ別一覧検索で見れますのでよろしくどうぞ)
そして今作で彼は随分と老けたな~と思いましたが、まだ伸びしろあるの?!?!ってぐらい渋くて知的で、でもスパイらしい冷酷さも併せ持った大人の男性を見事に演じてました。

「男は背中で語る」なんて言葉もありますが、彼の清潔感も細かいところも知的なところも、あんなに年齢を重ねた男性なのに現役感バリバリのアンテナで誰がそこに居るか分かっちゃうところも、見ただけで瞬時に状況判断出来るところも、その全てをゲイリー・オールドマンは立ち振る舞いだけで表現していて、それが違和感が全然なくって、この人って本当に凄いなぁと思います。

内容はやや難解で、風評も「よく分からない」という意見は多いです。
時系列の入れ替えもありましたが、言われるほどに酷くはなく、特に疑問に感じるシーンはない気がします。
そして人物の多さはあるものの、主な登場人物はサーカス幹部5人と外務次官と大臣、工作員のターとプリドー、そしてジョージと共に動く部下のピーター・ギラムと警視庁公安部のメンデル警部くらいです。
皆それなりに登場シーンはあるので、誰が誰だか分からなくなるほどでもないかな?と思いますね。

歯痒いのは「カーラ」です。
カーラは結局、作中に一切登場しません。
カーラって誰やねん?!
何者やねん??
と思わず関西弁になるくらい歯痒いですが、そこもまた面白いポイントです。

それと気に入ってるのはジョージが真相に気付くシーンです。
突然無音のまま、ゲイリー・オールドマンの顔のアップから列車の信号の切り替えに映像が変わります。
さらに列車の分岐器の映像にも変わります。
無音ですが、観ている私の頭の中ではしっかりと音が鳴ります。笑
でも信号の切り替えの音も分岐器の音も、私は知らないのですっごい作品に不釣り合いな「ピンポーン」みたいな音でしたけど。笑
もしくは一休さんの「ポク、ポク、ポク、チーン」ですね。笑
文字にするとバカみたいですが。笑
この無音だけど明らかに頭の中で鳴る音が、作中ではすごく面白くてしかもシリアスなまま、さらに作品にのめり込む感じがしてとても良いシーンでした。

また全体的にずーーーっとシリアスで来たのに、ラスト明るい音楽になるのも良いです。
「サーカス」がまさか諜報部の事なんて観るまで知らなかったんですが、一連のストーリーは(諜報部)のサーカスと(見世物の)サーカスと引っ掛けてるんだよって事かな?と。
「皮肉な喜劇」としてラストに明るい音楽で、まるでサーカスみたいだねって事かな?と。

さらに撃たれた部分から流れる血がまるで涙の様で、撃たれた男も泣いた様に見えて撃った男も泣いてというシーンも最高です。
友人だからこそのシーンですね。

大人の為のスパイ映画です。
ちょー面白いです!!
ヨーロッパ作品の「静」の描写が嫌いでなければ楽しめます。
ド派手なスパイ映画が好きな人には全く向きませんが、悪しからず。
オススメです!

my評価9点(10点満点中)





概要
原作はイギリス人作家ジョン・ル・カレの小説「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」。
ル・カレはイギリス人スパイ小説作家として世界でも有名であるが、彼自身秘密情報部(MI6)に所属していた経歴を持つ。
また原作はジョージ・スマイリーを主人公とする作品の中のひとつであり、処女作である「死者から掛かってきた電話」、「高貴なる殺人」、「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」、「スクールボーイ閣下」、「スマイリーと仲間たち」が「スマイリー5部作」と呼ばれている。
さらにその中でも長編である「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」、「スクールボーイ閣下」、「スマイリーと仲間たち」は「スマイリー3部作」と呼ばれている。
主演のゲイリー・オールドマンは同業者の中でも人気の高い俳優で有名であり、彼に影響を受けたと公言する俳優にはブラット・ピット、ジョニー・デップ、シャイア・ラブーフ、ダニエル・ラドクリフ、クリスチャン・ベール、ジェイソン・アイザックスなど数多く居る。
特にブラット・ピットは彼を「神」と称えるほどに尊敬している。
作品は第68回ヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映され、批評家達の好評を受けた。
一般公開されるとイギリスでは3週間連続1位となった。
批評家達のレビューサイト「ロッテン・トマト」では支持率84%と高評価。
第68回ヴェネツィア国際映画祭では金獅子賞にノミネート。
2011年ハリウッド映画祭では作曲賞を受賞。
第14回英国インディペンデント映画祭では作品賞、監督賞、ゲイリー・オールドマンが主演男優賞、トム・ハーディーとベネディクト・カンバーバッチが助演男優賞にノミネート。
技術貢献賞を受賞。
2011年サンフランシスコ映画批評家協会賞では主演男優賞、脚色賞を受賞。
2011年女性批評家協会賞ではトム・ハーディーが男優賞を受賞。
その他様々な賞にノミネート、受賞された。


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Last updated  2016.03.26 13:27:32
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