納豆、テキーラ、Ｒ＆Ｂ

『INGLOURIOUS BASTERDS』 (’０９)

　観たっすよ！『グロバス』ッ！(イングロリアス・バスターズの略。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』のパンフで、みうらじゅんが『フロダス』って言ってたモンですから・・・。)

　このテの“バカ映画”を一緒に観てくれるヤツら、みんな家庭人になっちまったんで、久々一人っきりで映画館に・・・。
　考えてみたら、一人で映画館に行くの、中学校一年の時以来でした。みんなで映画を観に行こうってなり、他のヤツらは『仁義なき戦い』の亜種みたいな、クソみてえな日本のヤクザ映画観るって言ったけど、空気読まずにそれはゼッタイに観たくないと、となりの映画館でやってた『４８時間part2』と『ゴースト・ニューヨークの幻』の同時上映を一人で見て以来でした。
　『ゴースト』のデミ・ムーアがなんともステキなお姉さんに見えた上、ラストも何とも感動的で(パトリック・スウェイジR.I.P・・・)、ついついボロボロ泣いてしまい、結果的に一人で観たのは大正解だったんですけど。
　帰りにライチャス・ブラザーズのＣＤまで買ってしまいましたよ、あん時は。

　んで、久々の“おひとり映画”、その日の最終上映のレイトショーだったんですけど、客がワシを入れてたったの３人！！
　平日の夜、イナカの映画館とはいえ、さみっしい～モンです・・・。採算とれんだろ？

　ブラピ×タランティーノってコトで注目を集めた今作ですが、ブラピの登場シーンはそんなに多くないです。しかもナチを虐殺して喜ぶイカレ軍人役・・・。日本の“男前”なブラピのファンの女の人らは確実にウンザリするよーな役柄！
　『１２モンキーズ』がヒットしてた時、インタビューで、「アメリカにはルックスがいい役者なんていくらでもいる。だから汚れ役を自ら進んで喜んでやる」みたいなコト言ってた記憶があるけど、ブレてないッス、ブラピさん。

　舞台はナチス占領下のフランス。そこに潜入したアメリカ軍のユダヤ人のみで結成された、ブラピ率いるゲリラ部隊“イングロリアス・バスターズ”、その任務は憎っきナチスを思いつく限り残酷な手段でもってとにかく虐殺しまくり、恐怖のドン底に叩き落すコト！
　そんな“クソロクでもねえヤツら”のバカ丸出しの作戦と、一家を虐殺されたユダヤ人女性の復讐劇が同時進行するといったお話。

　日本では映画公開当初、映画開始から一時間で「つまらん！」と途中退出したらお金が返してもらえるという“オモシロさタラんかったら返金しバスターズ”という企画をやってたみたいですが、当のタランティーノも、「オモシレえ、やったろうじゃん！帰るヤツなんて放っておいて、残ったみんなで楽しもうぜ！」とノリノリだったらしいです。帰った人、いたのかな？

　そのキャンペーンや、映画を実際観たらわかるように、タランティーノ監督は、とにかく「観客を楽しませる」ってコトを第一にしてるってことが伝わってきます。サービス精神過剰です。自分の賢さをアピールする為や、自己満足の為に映画を作る監督とは違います。なんつっても、この映画のクライマックスのシーン、燃え盛る映画館なんですよ！？
　また、タランティーノ作品って、“ヒロイン”の描き方が毎回秀逸なんすよね～。今回のも、“復讐に向かう女の執念と決意、そしてその散り様”がウマイこと描かれてましたよ。

　朝日新聞の記者が、タランティーノ来日時に「戦争映画を撮る意味は？」みたいな質問をしたら、「オモシロい戦争映画を撮りたかったからさ！」とミもフタもない回答をしたそうですが、こんな史実もへったくれもないバカ戦争映画にそんな質問するほうが間違ってるっての！
　ユダヤ人と映画の関係性とか、深追いをすればそんなテーマも見えてくるかもしれませんが、とにかく内容がバカでバカでしょうがないのです！

　今回も、突発的に始まり「うわ～・・・」ってなる、度を越えたバイオレンスシーン、バカなセリフいっぱいの会話シーン、ワケわからんタイミングで織り込まれるスローモーションとドアップ映像、ギリギリアウト、モロにアウトなジョークが満載。２時間３０分超えの上映時間もあっという間でした。

オモシロかったですよ！！