日本語で話そう

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  コメント返し

  先日のブログ記事「太陽を盗り損ねた」に頂いたコメント、ちょっと忙しくて私のページでお一人お一人にお返しできません。すみません。これがコメント返しです。昨日の太陽は赤い太陽ではなかったです。手前の手すりが写りこんでしまいましたが、夕日のまぶしさを体感していただけるでしょうか。

  February 1, 2012

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  太陽を盗り損ねた

  いつも変換ミスばかりしているウサギであるが、今日のタイトルは変換ミスではない。でも正確に意味の通り書くとやっぱり「撮り損ねた」となるのではあるが・・。毎日せっせせっせと家の減量作戦をしている。良くもまあこんなに物が、と思うほど要るものが(自分がそう思っているだけ）一杯。一杯ひっくり返して、結局ちょびっと捨てる。昨日、減量作戦に必要なものが有って車で買い物に出た。うん？また集めている？いやいや、捨てるためのごみ袋である。その帰り、夕方の道路混雑を回避しようと海辺のコースを回って帰宅した。トンネルを抜けて、海が見える曲がりカーブに出ると、陽がまさに向こうの山に落ちなんとしているところだった。ここは太平洋側、陽は海には落ちないが、私の走っていたその位置は海を手前にして低い山に赤い夕陽が、真っ赤に燃えて落ちて行くところだった。今まで見たことのないような大きな夕日だ。目の前にいる人に伝えるなら、両の手をこれ以上広げられない程大きく広げて、「こんなおっきな夕日」と伝えただろう。「写真に撮らなきゃ」と思ったが、そこは海辺の車がびゅんびゅん走る道だ。停車するわけにいかない。どこか横に入って駐車できないかと走りながら焦ったが、なかなか止まれないでいるうちに、道が大きくカーブして道路の位置が低くなっていく。秋でもないのにつるべ落としの夕日はどんどん山の端に隠れて行った。そしてついに暮れてしまった。夕日を撮り損ねた。そこで本日、落日の時間に合わせて同じコースに散歩に出たのである。しかし、そうは問屋が卸さない、と・・・。おっきな雲が邪魔をした。悔しいから明日も陽盗り散歩に出かける予定。「この5倍は有ったんだから」

  January 28, 2012

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  すぐ　帰りますからね

  先ず、昨日の日記の「とと合わせ」。どうも私の文章は自分で納得してしまって、読んでくださる方の事を考えていないらしい。コメントをいただいていて、書こうとした事がきちんと伝わっていないんだなあと反省。「とと合わせ」の遊び方はいろいろあるが、先日教室で私たちがやったのは単純な「神経衰弱」なのである。使ったカードに書いてあった漢字が日本人にも難しい魚の漢字だったというだけ。もちろんその漢字を生徒に読ませたり、覚えこませたりはしていない。何しろ自分だって出来ないのだから。ゲームの最初はこれからスタート。神経衰弱の要領でじゃんけんに勝った人から２枚ずつ引いていく。右と左の絵柄が有ったら獲得できる。簡単でしょ？誰でもできるでしょ？感じが読めなくても。さて、話変わって、先週韓国人のキムさんからメールが届いた。「来週に遊びにきてください。すぐ帰りますからね。月曜とか火曜日とか　返事送ってください。昼ごはんは簡単な準備します。」わあ、そうだった、そうだった。滞在ビザが切れてしまうキムさんは、今月末に韓国に帰ってしまうのだった。そんなわけでお昼をご馳走に出掛けたのである。こんな大量なごはんが出て来た。　　「すごい！食べきれないよ」と言うと。「私は手が大きいですね」とキムさんが言った。韓国では食べきれないほどたくさん作ってしまうことを「手が大きい」と言うんだそうだ。次にキムさんに会う時はきっと、今１歳になったばかりのルユンは大きくなっちゃっているんだろうな。韓国か日本でまた会おう。

  January 21, 2012

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  とと合わせ

  日本語大人クラス。今週も私の受け持ちは１番上級。「結果はどうなったか」という時使う文法。例えば、「～あげく」「～ところ」を使った文章とその使い方である。まあ、それは自然に使える日本人にはどうでもいことなどで、授業の後のちょっとした頭の体操の話を。その日は、「とと合わせ」のカードを持って行って、生徒３人と私でやった。この「とと合わせ」シリーズ、いろいろな種類が有る。私が持っているのは「Sushi Bar」。左上にその魚が寿司になったらどうなるか絵で示されている。寿司は欧米人が大好きな日本食なのである。カードの遊び方はいたって簡単。左はほとんどが魚偏、絵の通り右と合わせると魚の名前が完成。そう、お魚の神経衰弱である。結果、３人の生徒の中で１番日本語が出来ないイルファンさんが１番たくさん獲得、１番日本語の出来る私が３番目という始末だ。歳は取りたくないなあ。そのイルファンさんがうれしそうに言った。「先生、メジナは漢字でどう書くのですか？ボラは？」ははあ、週末みんなで海釣り公園に行って彼らはそれらの魚を釣り上げているらしい。その時近くの日本人のおじちゃんにでも魚の名前を聞いているのだろう。そんな、寿司にもならない魚の漢字なんて、知るかい！

  January 20, 2012

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  道しるべ

  東海道五十三次の旅をしている時、その日の行程がどのくらい進んだか、今、日本橋からどのくらいの位置にいるのか、京の三条大橋までは後どのくらいかを測る目印にしたのが、一里塚。昔の旅人と同じである。一里(４キロ)ごとに有るそれは、昔のままの姿で保存されていたり、復元されたり、記念碑だけが残っていたり。私はしっかり残っている一里ごとのそれを、参考にさせてもらった先達者の浮浪雲さんのページからダウンロードした地図の中に確認しながら歩いたものだった。今、また中山道の旅を始めてみて、各宿場町、一里塚の保存が残念なことにあまりされていないのに気が付いた。道は東海道のように、新しい道が分かれて出来た個所も少なく、城下町も少ないから現代都市の中の曲がりで迷うこともない。だけれど、残念なことにどのくらい進んだかという距離感がつかめないのだ。人間どこまで進んだかとか、どこまでやり遂げたかとかいう達成感が無いと意欲の湧かないものだ。そこで見つけた私の一里塚。ダウンロードして来た先達者の地図の中に記されたさまざまな種類のコンビニマーク。ampmであり、ローソンであり、セブンイレブンであり、サンクスである。行く手にそのマークが見えると手に持つ地図を確認し、歩いた距離を測る。そうやって先週土日に歩いた距離は約３３キロ。日本橋から約５０キロ。京都三条大橋まであと４８２キロ。ちなみに今回使用させてもらっている地図はこの方の地図。ほとんどのコンビニがばっちり。

  January 18, 2012

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  笑う門には福来る

  「先生こんばんは」と部屋に入って来たインドネシア人のテテプさんの手には灰色のランチジャーが。隣のイルファンさんを見ると同じものを持っている。「毎日お弁当持って行くんだ。えらいね」「そうです。先生。研修生は工場でお弁当出ますが、実習生は出ないから」彼らは今年、日本滞在３年目の実習生。「このジャー、ジャヌディンさんにもらったんです」とテテプさん。「私もバソリさんが帰国するときにくれました」とイルファンさん。同じ部屋で２年間寝起きを共にし、１０月に帰国した先輩が日本語の辞書と共に後輩に譲って行ったものらしい。正月早々ほろりとしてしまった。昨夜は今年初めての日本語クラス。その日の私の受け持ちは上級クラス３人。まずは「今年の抱負」を題材に日本語での短いスピーチとそれをするため、スピーチ文の組み立てから。テテプさん、イルファンさんとフィリピン人のルーウィさん。スピーチはそれぞれ内容が違っていたが、皆、お金を大事に使って仕送りをしてと言う所は一緒だった。物の溢れる日本で生活しながらも、買いたいものを我慢して家族に仕送りしているんだなあ。またほろり。さあさ、笑う門には福が来る。今年も日本の生活楽しく行きましょう。笑ってくだされ。

  January 12, 2012

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  海を渡った本、その後

  以前に書いただろうか。我が街と姉妹都市になっているオーストラリアの都市に住む日本人たちの、小さな子供のための小さな図書館を作りたいから要らなくなった子供の本を送ってほしいとの要望で、国際交流協会が寄付者を募り、私も何冊か絵本を提供した。その話を妹にすると、自宅で子供のための文庫を開いていた妹も協力すると２００冊近くの絵本を提供してくれた。その本たちは昨年末、南極に向かう「しらせ」が途中寄港地(食料などの補給地？）のオーストラリアのその街に寄って、本を落として行ってくれた。妹の本にはその文庫の名前と連絡先が書いてあったが、剥がすと汚くなるので、消せないでそのまま異国の地に渡ったのである。それを伝手に現地の大使館からお礼の電話がかかって来たと、今日鎌倉で妹と会って食事をした時告げられた。すべて日本語の絵本や童話ではあるが、現地の日本人の子供達だけでなく、オーストラリアの子供たちも一緒にその本を読んでくれればいいなと思う。今日のおやつ鎌倉　レ・ザンジュのザッハトルテこちらは海のないオーストリアのお菓子「しらせ」は今どの辺りかなあ？もう南極に着いたのだろうか？一生懸命氷を砕いている頃だろうか？そのこと自体が１つの物語

  January 10, 2012

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  五十三の次は六十九？

  算数の問題ではない。旅の問題である。土曜日の朝、私と夫は三度この橋の上に立っていたのである。羽を持った麒麟像。１度目は、東海道を１人で始めた時、そして箱根から途中参加した夫の旅を、その箱根まで再び歩いて、完成させるために侍女と夫と出発点に立った２度目。３回目もまた橋の向こう側のスターバックスの外テーブルに、次女もコーヒーを飲みながら待っていた。今日からまた、旅が始まる。旅の起点は東海道と同じ日本橋、終点も同じ京都三条大橋。中山道六十九次、５３０ｋｍ。東海道と３０Ｋｍぐらいしか違わないのに、宿場が１６も多い。それだけ中山道の方が過酷だという事だろう。ざっと先達の記録を見ても、ルート上に立つための毎回の電車移動が、かなり困難なようだ。時には最寄の駅から中山道上に出るのに電車とバスを乗り継いでもまだ、かなり歩かないといけないところもあると書かれている。最大の難所は1,531mの和田峠だ。新幹線に乗れば朝、東海道線上に立てる五十三次の旅とはわけが違う。綿密な計画と慎重な行動が要求されるだろう。何しろ日本の屋根と言われる県を通過するのであるから。じゃあ、家に帰らないで途中全泊しながら、一気に京の都を目指したら？と言われる御仁がいらっしゃるだろうと思われるが、何しろ京から逆コースでお江戸を目指してお輿入れした和宮と同様、盗賊に襲われないように屈強なる護衛が必要なのだ。屈強？重いものを持たせると必ずぎっくり腰になる。自分では地図も万歩計も何の事前情報も持たないのに追分では必ず心のままに躊躇せずわたしより先に進む。神社仏閣、名所旧跡はすっ飛ばし旧街道の旅はハイキングと心得る。途中、地図を見ながら、旧街道は回り道が正しいと声を大にして叫べども、どうせ先で合流すると、私の声が聞こえないふりをして我が道を行く。蛇を目撃すると間違いなく私を置いて先に逃げる。悲しいかな、その屈強殿はいまだ現役の宮仕えなので、宿下がり（男にも使うのかえ？この言葉？）の時しか旅に出られないのである。東海道は途中父の看護と看取りが有ったが、約３年かかった。さてさて中山道は何年かかるのだろう。東海道の時、草津宿でお会いしたringoさん、草津宿は中山道も同じ場所。気長に待っていてね。前置きが非常に長くなったが、そんなこんなで、日本橋を出発して、日帰り中山道は荒川を超えて蕨宿の一歩手前で１回目は終了。本当は２日連続で歩きたかったのだが、お付きの侍女(次女）が足に豆が出来て歩けないとか、ぶーたれたので、次回に持越し。上は、中山道街道上、東京大学正門前にあるレストラン「山猫軒」。看板に書いてある文字の意味が分かった人は子供の頃の心をいまだに持ち続けているかと・・・。

  January 8, 2012

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  旅は出会い

  クリスマス前に日本に帰って来て、どこをほっつき歩いていたのか、大阪や京都からのツイートを見てどこにいるか推測していた長女の行動。大晦日にやっと我が家にたどり着いたと思ったら風邪を引いた。仕方ないので夫の運転で３日の日、帰国(？）するという成田に送って行った。彼女の夫が運転するというのだけど、いまいち彼のその運転技術を信用してないからね。空港で私はふと思い立って、娘にマルコ宛て手土産を空港で買って持って行ってもらったのである。マルコというのは娘のマンションの管理人の１人だ。私がロンドンに着いた最初の日、マンションの敷地に入る１つ目のオートロックの門を抜けたところにあるガラス張りの管理人室(良く工場の入り口にあるような）で娘がマルコを紹介してくれた。彼は「初めまして、いらっしゃい。ロンドン楽しんでね」と言った。次の日、ひとりで観光から帰って来た私は、２つ目のオートロックの門と、３つ目のマンション入り口のオートロックのドアを通り抜けた後、建物内のエレベーターで娘のフラットを読み違えた。イギリスは１階が０階。２階が１階。間違った階で、覚えていた２つの重い木の防火ドアを開けて廊下の様子が違うのに気が付いてうろうろしていた私を、ちょうど仕事で見回り中のマルコに発見され、娘のフラットのある階に案内してもらった。毎朝観光に出かける時、管理人室の方を振り向くとその朝の当番がマルコの時はそこからは声が届かないので、大きく手を振って「行ってらっしゃい」と言うジェスチャーをしてくれた。そして、帰国の日。敷地内でごみを履いているマルコを見かけ、「今日帰るからね。いろいろありがとう」と声をかけた。「楽しかった？また来てね」と言ってくれた彼。本当に小さな出会いでは有るけれど、滞在の最初と最後に素敵な笑顔の彼に会ったことで私のロンドン滞在は一層素敵な温かい旅になった。さて今年の旅はどう計画しよう。そして、またどこかでマルコとのようなちょっとした暖かい出会いが有る事を期待している自分がいる。

  January 6, 2012

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  自分流の旅

  またまたブログ更新さぼってしまった。良いじゃないか、好きな時に更新して、書きたいことが出来た時に更新して、ということで自分流のブログ更新。まだ、ロンドンの旅の記録も終わっていない。今年中に終わらせないとということで、あわてて更新。記事は予告しておいた「コツウォルズ」。ロンドンからの日帰りのこの旅、電車の無い地域なので車で行かれない私は、日本から日本の旅行社が組んでいるツアーを申し込んだ。朝、集合場所にロンドンっ子が朝の地下鉄のエスカレーターでよく目にするように、手にテイクアウトのモーニングコーヒーを持って到着すると、添乗員が言った。「バスでは水以外は飲んでは駄目です。トイレも有りませんから、まだ時間が有るので行って来てください」あわてて私はビクトリア駅構内に取って返して、急いでコーヒーを飲み干し、２ペンス硬化を払ってトイレを済ませ、バスターミナルからコツウォルズツアーのマイクロバスに乗り込んだ。ツアーでは４つの良く保存された伝統的な美しい田舎の村々を回って、それぞれ４０分程の自由時間と１時間ちょっとの食事時間が有った。それぞれの村に着く。私はバスから放たれると、まず街を見回し村はずれまでの距離を計る、教会の裏庭から教会に入ったり、街外れまで走って行って写真を撮ったりして、またゴムの付いた人形が引き戻されるように、バスの集合場所まで急いで帰る、を繰り返した。あいにくの曇り空で楽しみにしていた一眼レフでの撮影はあまりきれいには撮れなかったが、目に焼き付けた景色は確かに美しかった。バスの車窓から見えた鹿や雉や羊を数えるのも楽しかった。私が選んで入ったパブの料理もまあまあおいしかった。だけど、実はこの旅、満足とはいかなかったのである。ガイドさんはどの村にも人々が生活していますからと言うのだが、村の中には観光客とその観光客相手の土産物屋で働く人しか目につかない。やっぱり私は生活の匂いがする場所が好きなんだなあと自覚した。歴史が伝えてきた建物や教会や博物館を見て回るツアーもいいけれど、人々の日常の中から、かの地の歴史や文化を想像するのが、私の性に合っているのかもしれない。ヴィクトリア駅に帰って来て、バスを降りてまっすぐテイクアウトのソーセージロールと温かいコーヒーを注文しながら、ふとそう思った。

  December 30, 2011

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  デパートの始まり

  先日テレビを見ていたら、デパートを最初に思いついた人とその歴史のようなものをやっていた。それによると、それまで婦人達は家から出掛ける機会は教会に行くぐらいしか無かったそうだ。そんな婦人達をターゲットにフランスで初めてできた百貨店が「ボン・マルシェエ」。それまで値段はお客を見て決めていたのが、買いやすいように値札を付けたり、バーゲンセールをやったりしたのだとか。そしてデパートの建物の形は女性たちが親しんでいる教会の雰囲気を持たせ、天井をドーム型にした。ロンドンからパリ１泊旅行に行った時、パリのデパートにも寄ってみた。「ギャラリー・ラファイエット」その時何気なく撮った写真がこのドーム部分の写真。下から突き出た大きなクリスマスツリーをクリスマスバージョンのドームが包んでいた。旅行もこうやって歴史や謂れが分かるともっと楽しくなる。例えそれが後からついてきたものでも。こちらはラファイエットのお隣のデパート「プランタン」の外観。そう言われて改めて写真を見ると、こちらにもドームが付いている。なるほどなるほど、携帯電話を無くしたパリではあるが、だんだんもう一度パリを訪れてみたくなって来たから不思議。

  December 16, 2011

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  主婦の買い物

  レストランで私はメインディッシュにラムのパイを注文した。お皿の上には付け合せにパイのほかには少しの生野菜と、ボイルドポテトとフライドポテトとマッシュポテト。日本では絶対ありえない付け合せ。一瞬ここはドイツかと思ったが、他のパブでもそうだったのでこれが普通のよう。スーザンさん前の席のご夫婦に声をかける。また知り合いか？そしておもむろに出した冊子の一枚を切り取ってあげていた。良く見ると割引券の綴りのようだ。デザートが安くなるらしい。ここでも主婦の一面を見たような気がして親近感が湧いて来た。日本と同じだ。こうやって見栄なんて張らずに家計を助けているんだよ、主婦は、と世の殿方に言いたいね。もちろんスーザンさん、自分の支払いにも（私の分は彼女のおごり）そのチケットを使っていた。食後はまたディケンズツアー再スタート。ゲートの上が家になっているゲートハウス、教会、ディケンズが執筆していたというスイスハウス、昔の城壁、ギルドホール。ギルドホールというのは今の商工会議所か同業者組合みたいなものだ。以前旅行したカンタベリーにも有った。イギリスに限らずヨーロッパにはあちこちにある。ここのスーザンさんが大好きな場所だというギルドホールにはこの時代のロチェスターギルドの援助者でもある何代目かのイギリス国王や王妃の肖像画などが掛けられていた。ここで市の行事を行うこともあるそうだ。彼女にとっては思い出の場所なのだろう。そしてその建物の一部はまたディケンズの作品の資料館になっていた。ディケンズの小説は暗い、なぜか暗い。ロンドンの街の片隅で生きる庶民の生活を扱っているからかもしれない。そして私が読みかけの「大いなる遺産」も暗い小説なのである。ちょっとネタ晴らしをすると幼くして両親を亡くした主人公ピップは姉に虐げられながら育つ。ある日、訳も分からずお金持ちの婦人、ハビシャムさんの家に招かれ少しの間そこで奇妙な仕事をする。そしてしばらくして家に戻ったピップは突然自分に多額の遺産が舞い込む予定だから、それを使ってロンドンで紳士になる修行を積むように言われる。ピップはきっとそれはハビシャムさんの遺産だと勝手に思い込むが実は、小さい頃夕暮れ時、沼地で意に反して助けた脱獄囚からの贈り物だった。脱獄囚がお金持ち？結末はまだ先・・・。ネタ晴らしはここまで。話をギルドホールの資料館に戻す。展示物の中に罪人を新大陸（たぶんオーストラリア。聞き忘れた）に送る船の模型などが有り、罪人たちがお金に替えるために作ったというものも有った。骨で作った細工品など・・・。あまりに精巧に美しく出来ているので思わず象牙かと聞いてしまったが「違う！」と言われた。何の骨でしょうねえ。（聞きませんでしたが。たぶん動物です）暗くなる頃、クリスマスマーケットに行きたいかと聞くので、せっかくだからとロチェスター城でやっているクリスマスマーケットを見学。するつもりが、買ってしまった。どのブースにもスーザンさんの友達がいるんだもの。心の中で叫ぶ「策略だ・・・」。スーザンさんの友達がにっこり笑って「買って行かない」と言えば、重いとは思ったが、カシスのジャムを買い、ジンジャーホワイトチョコを買い。握手しちゃったからねえ。スーザンさん、昼食べたレストランのオーナーのやっているクリスマスリースブースで、例の割引チケットを出した。どうやらただで水仙の球根をくれるらしい。もらった球根を私にくれるという。「無理です。これを持って日本に入国できない。植物だから」「あらそうなの？」見上げるとライトアップされたロチェスター城が雨の中夜空に浮かんでいた。さて、重くなって動けなくなる前にロンドンに帰ろう。列車の駅まで車で送ってもらい、ハグをして、また日本かイギリスで会おうと約束して別れた。彼女が我が家にホームステェイしたおかげで、私は日本人なのに知らなかった三浦按針の歴史を教えられ、勉強し、ディケンズを教えられ、その本を読んだ。こういう交流も有りだなと忙しかったけれど楽しかった日帰り旅行を、帰りのロンドンへ帰る電車の中で思い返していた。ヴィクトリア駅では先生に引率された子供たちがチャリティクリスマスソングを歌っていた。クリスマスマーケットでジャムを買ったおつりをドネーションＢＯＸにチャリン！そして、相も変わらずこれからロンドンを出る列車の電光掲示板を大きな荷物を持って見つめる人がいた。

  December 15, 2011

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  やあ、やあ、やあ。

  ロチェスターの街、丘を降りると古いストリートの入り口。そこがロチェスターのメインストリート。翌々日のディケンズクリスマス仮装パレードのための垂れ幕が張ってある。町中の人がビクトリア時代の恰好をしてストリートを練り歩くんだそうだ。スーザンさんが事前に送って来た写真、ボーイフレンドとのコスチュームツーショットも気合が入っていた。通りに入るとスーザンさん、あれが「大いなる遺産のピップのおじさんの商店のモデル」「あれが作品に出てくる時計台」と指し示しながら進む。それぞれの壁に黒と金の板金でディケンズゆかりであることの表示板が埋め込まれている。その合間に、通りに立ち並ぶお店を右に左に覗いて私を誘う。女性としてはこれはありがたい。お店を覗いてどんなものが売っているか見るのも旅行の楽しみの１つだから。彼女が女性で良かったと思う瞬間。我が夫の場合はたぶん通りの真ん中をスーッと通りながら案内することだろう。クリスマスバージョンに飾り付けられた、石鹸屋さん、香水屋さん、カード屋さん、キャンディー屋さん。しかしそのせいばかりでなく、２０分歩いても我らはまだ通りの入り口から２０メートルほどしか進まないのであった。数歩進むとスーザンさん、友人に会うのである。「やあ、やあ、久しぶり。こちら私の友人の○○○、日本から来たのよ」覗いたチョコレート屋さんを出ると、また友人に会う。「やあ、やあ、やあ、昨夜のクリスマスマーケットのコスチュームは素敵だったわよ。あ、こちら私の友人」その都度私は握手して、「こんにちは、よろしく」と言う。「初めまして、よろしく」と言う。英語を習い始めた中学生の会話練習のように、自己紹介を繰り返す。ストリートのど真ん中にディケンズの「７人の貧しい旅人」に出てくる小さな慈善宿屋が残っていた。実際に貧しい旅人のために使われた小さい部屋と小さいな暖炉が有る６室だけの宿屋だ。今は博物館になっていた。その中でボランティアしている夫人とハグした後にスーザンさんは私を紹介した。「日本から来た私の友人、ディケンズのファンなのよ」えー、いつ私はそんなこと言った？確かにディケンズ読んだとは言ったけど・・・。いつしか私はディケンズファンとして、その後挨拶する度、紹介される度定着して行った。そしてまた、通りに出れば「やあ、やあ、やあ、あそこのパーティで・・・」「また、しばし歩行停止ですね」会話に取り残された私と、スーザンさんの話相手のペットは目で会話する。一体全体この町の５人に１人は彼女の友人じゃないかと思う。彼女はこの町の市長経験者。いろんな付き合いが有るのだろう。そういう意味では友人でなくても、彼女を知っているという人の確率はもっと上かもしれない。１時過ぎ、ようやくお昼を食べようとレストランに入った。案の定、入り口でシュエフを呼んでもらう。そしてシェフとハグしてまた私を紹介した。「ゆっくりイギリス料理楽しんでね」丁寧に挨拶して厨房に下がるシェフ。２階席になぜか２人横並びで座ったわたし達、注文をした後、私は言った。「スーザンさん、駅で会った後の私のためのゆっくり英語。今じゃすごく早くなっているの感じてる？」

  December 13, 2011

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  上巻だけの「大いなる遺産」

  見渡す限り緑の牧草地、イギリスの郊外を走るとどこも同じような丘陵地帯が続いている。北に走っても南に走っても。イギリス国内そんなにあちこち行ってはいないけれど、高くそびえる山を見ることはあまりないのだろうということが想像できる。そんな丘陵地を走って電車はロチェスターの駅に滑り込んだ。駅の少し手前から見えてきた町は思ったより大きいのかな。スーザンさんは徒歩で来ると思っていた私の想像を覆して駅前に駐車した車の中で待っていた。「よく来たね。娘は一緒じゃないの」というスーザンさんに、私は「お久しぶり。娘は仕事ですから」と言ってハグをした。まずはジリンガムの街に行くというスーザンさんに連れられてメドウェイ観光をスタート。私の住む市はイギリスのメドウェイ市と姉妹都市になっている。それは以前書いた通り、私とスーザンさんが知り会うきっかけにもなっているのだが・・。そのメドウェイ、地図で探してもなかなか見つからない。メドウェイは３つの街が集まった合併市なのである。その１つであるジルンガムから始めるという。そこに向かいながら、車の中で私たちは別れてからの互いの出来事、家族やボーイフレンド（と言ってもスーザンさんは私よりか年上だからロマンスグレイの）のことなど話ながらドライブした。ジリンガムは三浦按針が生まれた街である。そう、歴史で習った青い目の侍、日本に流れ着いて侍になって日本で生涯を終えたウイリアム・アダムスの街。あは、スタートはディケンズじゃないですね。スーザンさんは、とある町はずれの昔は村の中心に有ったけれど災害で村が移動してしまって、取り残されたという丘の上の古いノルマン式の教会の前に車を停め、鋲の打ち込まれた古い頑丈そうなドアを開け、開け・・・開かない。鍵がかかっている。車の中で今日はこの教会でお葬式が有るんだと言っていたけれど、誰もいない。首をかしげながらスーザンさんは、おもむろに携帯電話を出し、神父（英国国教会は牧師さんかな）さんと黒い服を着た教会関係者を呼び出した。５分ほどで飛んで着た神父さんと挨拶を交わし、紹介され、私たちは教会の中に入ったのであった。三浦按針が洗礼を受けた教会。黒い服を着たおばさんも神父さんと一緒に来て、教会内の説明を受けている間にお葬式の準備を始めた。私が記念に絵葉書を求めようとすると、「はて値段はいくらだったかな」と他のものをひっくり返しながら一生懸命探している。「あの、おつりは寄付で良いですよ」というと近くに有ったコースターをお礼にくれた。ここはロンドンから遠い。のどかでいいなあ。そのあと按針記念塔出記念撮影しながらロチェスターに移動した。丘の上の住宅地に車を停めるといよいよディケンズツアーの始まり。スーザンさんのディケンズの話に付いていけないまずいと、「二都物語」「オリバーツイスト」「クリスマスキャロル」「大いなる遺産」を急いで復習しては来たが、何しろ翻訳が古い。日本文が古いので遅々として進まない。時間切れで「大いなる遺産」は飛行機の中でと思いつつ寝てしまって、途中読みであった。それでも、スーザンさんには「ディケンズ読んできたよ」と嘯いた。彼女は丘を降りながら次々とディケンズ由緒の建物の説明をして行く。メドウェイ２つ目の街チャタムで幼少期を過ごしたディケンズの小説にはロチェスターの街のたくさんの建物が登場するから、街を巡ればそれはすなわちストーリーを巡ることになる。ディケンズワールドという子供向けの手っ取り早いアミューズメントパークも有るけれど、「本物のディケンズワールドの方がいいでしょ？」というスーザンさんの通りだと思う。途中たどり着いた赤レンガの建物、レストレイション・ハウスの前で彼女は「大いなる遺産」のストーリーをわたしに振ってきた。ドキ！後半は読んでない。「ピップ（主人公）がね。ハビシャムさんの家に行くでしょ？　あれがこの家よ」「ピップが遺産の送り主はハビシャムさんだと思っていたけどほんとは違たでしょ？」ドキ！それはうすうす気が付いていたが、まだ決定的なことは本で掴んでいない。白状しちゃおうか。ところがスーザンさんは、その後のストーリーを私の同意なんててんで無視して語ってくれたのである。そうか、そういう結末か。私は素知らぬ顔で、ピップに付いて知っていることで話を合わせた。ハビシャムさんが住んだという家のモデルになったレストレイション・ハウス。チャールズ２世が身を寄せていたことが有るというエリザベス様式の邸宅だが、ディケンズ読んでない人にはあまり興味の湧かないイギリスにはごろごろ有るような古い家。この後どうなるんだろう。ディケンズツアー。「クリスマスキャロル」や「オリバーツイスト」は舞台はロンドンだった。「二都物語」然り。まずもって、ロチェスターが舞台の「大いなる遺産」をきちんと読むべきだったのだ・・。

  December 12, 2011

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  ディケンズの街へ

  １２月１日（ロンドンに着いて３日目）私はロンドンから地方へと出て行く電車の始発駅の１つであるビクトリア駅の構内の人混みの中で、電光掲示板をじっと見つめていた。手には娘が予約してくれたロチェスターへの切符を握りしめて。約束をした友人のスーザンさんに会いに行くために。時刻は９時４２分。予約の切符は９時５２分。電光掲示板に行先表示が出ている列車はおよそ１０列車。それぞれの列車にホームが表示されるとその電車の乗客は改札を通って自分の載る列車が到着したホームに向かう。それまではホームにさえ入れない。隣の列車も、２つ隣の５８分発の列車も、もう到着していて、ホーム番号がとっくに表示されているのに、私の乗る列車はまだ表示されない。どうしよう急に列車がキャンセルになったら。イギリスではよくあることなのだ。地下鉄なんてしょっちゅうキャンセルされ、駅がクローズされているのを見かける。現にその時、ビクトリア駅の構内にある地下鉄の入り口ではチャイムのような警報音が鳴りっぱなしで、地下鉄への入り口は半分閉ざされ、乗客は追い出されゲートの前で群がってヴィクトリアラインの再開を待っていた。５２分がキャンセルになったら、５８分の列車表示にも停車駅の下の方にロチェスターの名前が有るから、どこを回ってロチェスターに着くかわからないがとりあえず、急遽その電車にチェンジしなければならない。不安な面持ちで表示を待った。９時４４分、ようやく私の載るべき列車のホーム番号が表示された。４番線。良かった。電車が入ってくる。後は間違って１等車にさえ乗らなければ黙っていても５０分後にはロチェスターに着く。動き出した電車で、携帯電話からスーザンさんに予定通りロチェスターの駅に着くことを知らせようとするが留守電。仕方ないので伝言を入れる。「電車に乗りました。５０分後に着きます。ロチェスターの駅前で会いましょうね」電話をしまおうとしてふと見るとスーザンさんからの着信が有った。ありゃあ、電光掲示板を必死に見ていて気が付かなかった。ホームに入ってくる電車。

  December 11, 2011

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  おいしいところで食べれば

  帰ってきました。毎日、娘から借りたオイスターカード（Pasmoのようなもの）と路線図を持って地下鉄やバスを乗ったり下りたり、足が棒になるまで１日中ロンドン市内を歩き回った。ビクトリア＆アルバート美術館で大好きなウィリアムモリスの絵を見、ノッティングヒルの骨董屋街を歩き、疲れたら公園やカフェでお茶を飲んで一休み、そしてまた、ブランド品は買わないけれどハロッズで食器を眺めて目の保養をし、ピカデリーやオックスストリートの人混みを歩く。暗くなったら会社帰りの娘と落合い、予約してあるレストランで食事をしたり、ミュージカルを見たり。帰る前日は、さすがに疲れた。ライセウム劇場で落ち合って２日連荘の夜７時半からのミュージカル「ライオンキング」を見る頃は、前日の「オペラ座の怪人」のびしっとスーツを着こなしたしっとりした大人たちと違ってかなり若年層の観客がキャーキャー言っているにもかかわらず、観劇の途中で意識が何回も飛んだ・・・。意識が飛んだ？そう、眠くて眠くて、意識がすっ飛んでいる間に子ライオンが大人のライオンになっていたりした。さて、良くイギリスの食事はまずいといわれる。しかし、きちんとしたそれなりの高いレストランで食べればフィッシュアンドチップスだってかなりおいしい。　　首相府の旗が見えるセントジェームス公園の中のお気に入りのカフェのセルフサービスパートでカットマンゴーとダークチェリーケーキ。バラマーケット名物パエリヤ。テイクアウトだと侮るなかれ、下手なレストランやパブより高いだけ有っておいしい。　　日本ではアジア料理レストランは増えてきたけれど、アフリカの人たちがたくさん住んでいるロンドンで、私がリクエストしたのはベーカー街のモロッコ料理屋。タジン鍋もおいしい。　ロチェスターの街のスーザンさんの友人のレストランでラムのパイとプディング。イングリッシュプディングを想像したら、クレームブリュレでしたねえ。写真を撮るからと言ったらスーザンさんが自分のパフェも並べてくれた。コツウォルズのパブで食べたチーズのパイ。パリのコンコルド広場のクリスマスマーケットのバターとお砂糖のシンプルクレープ。絶品。さすがパリ。この他にチョコとバナナのパイとチーズとハムのガレット（そば粉のクレープ）も食べた。マカロン　シュルブプレ！　ラヂュレのマカロン、どういう注文の仕方をしたか、フランボワーズが３つも入った。雨が強くなってきて駆け込んだハンサムなボーイさんがたくさんいるカフェではジャンポール・エバンのケーキを置いて有った。思わぬ収穫。ミルフィーユ。お菓子はやはりパリにはかなわない。ロンドンよりも日本のケーキにずっと近い味。というか日本のケーキがパリに近いのか。　　パレ・ロワイヤル近くのレストランで。アミューズは私がトマトとモッツアレラ、娘がエスカルゴ。主菜は私がカモのロースト、フルーツソース。同じポテトでもなぜか味が違う。アミューズや野菜の盛り付けが素敵！　フォートナム＆メイスンでの一人アフタヌーンティ。スコーンとクロテッドクリーム、サーモンサンドイッチはおいしかったけれど、カップケーキのアイシングクリームは　くー！甘い。紅茶はアールグレイ。販売フロアーではナルニア国物語の「ターキッシュデライト」の量り売りを見つけて買う。帰国の日、荷物をまとめてから、モニュメントで昼休みの娘と待ち合わせ。すごくおいしいフィッシュアンドチップスが有るからと、セントポールが見える金融街（日本の大手町みたいなところ）のパブで最後の食事を。店の中にカウンターがいくつもある面白い作りの店で、ちゃんとクロークでコートを預かってくれる。フィッシュアンドチップスと侮るなかれ、すごくおいしかった。魚の種類は選べる。私はえび。娘はタラの一種。まあ値段もすごく良かったけれど・・。高級そうなスーツを着込んだ紳士たちが昼休みにワインやビールを飲んでお喋り。あれで本当に会社に戻るのか？この頃サービス料が入っているから払わないでも良くなってきているチップ。ここでは最後にちゃんとチップと付けてカード払い。　　　　飛行機はＡＮＡお酒の飲めない私にフライトアテンダントが作ってくれたノンアルコールのカシスカクテル。前菜は鴨、メインは牛肉、デザートにはパフェもチョコレートもついて来た。家に帰って体重計に乗ったら・・・、きゃあ！！フラッシュを焚かないので写真が暗いですねえ。

  December 8, 2011

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  オペラ座の怪人

  イギリスに帰って来た翌日、娘が会社に出た後、ゆっくり家を出た。まず向かったのは郵便局。イギリスに住む２人の友人に毎年送っている日本から持ってきたクリスマスプレゼントを送るため。日本から送るととても高いから、ロンドンにいるうちに送ろうと思ったのだ。ロンドンにいても旅行者にはそんなに英語は必要じゃない。物を買うときだって日本で暮らす日本語をしゃべらないカイル君方式で買いたい物を突き出すだけでも事足りる。だけど相手から何かを聞かれる場合は大変だ。3日目のロチェスターは１日中スーザンさんと英語で会話したけれど、そんなに困らなかった。何を話題にしているか見当がつくからである。でも、レストランで、カフェで物を頼む時など予期せぬ質問に困ることがある。例えば、コーヒーを頼んで「ホワイト？」と聞かれる。「何?それ？」コーヒーはブラックじゃない。聞き返すと、ミルクを入れてもいいかどうか聞かれているのである。初めからミルクって言ってよね。さて、郵便局で色々聞かれた。「今はクリスマスシーズンで、郵便が凄く混みあっている。スペシャルなんとかで送ると、早いけどどうする？」「うーん、」「中身は何？」「食べ物だから、スペシャルでお願い」その次の質問が分からなかった。聞き返す。分からない。しかし実は非常に簡単なことを聞かれていたのである。「他に何かないか」「Anything else?]しかし、その言葉の前に予期せぬ言葉がくっついていたので、文脈が長くなって分からなかったのであった。「もうひとつ送ります。これは急ぎじゃなくて」おお！英語。もっと勉強しなければ。この旅、還暦近いおばあさんには無謀なのかなと思った一瞬。パリから帰って来た目にロンドンは優しい。地下鉄の表示は統一されている。ホームに降りれば行き先表示だけでなく、南に行くのか東に行くのか書いてある。ホームはパリに比べればずっと綺麗で明るい。最初の日、うるさいと思った電車内もおしゃべりなロンドン子が雀のように「ピーチク、パーチク」しゃべり通しなのも楽しくほほえましく感じさえしてきたから不思議だ。街だってせっかちなロンドン子、みな赤信号で渡るけれど轢かれない。車がちゃんと譲るから。街を歩いていてちょっとでも肩が触れるとみな「ソーリー」と言う。そして何よりも、パリであんなに鳴っていた車のクラクションがあまり鳴らない。道幅の狭いロンドン渋滞しても車が数珠つなぎでも、紳士的に待っている。そういえばパリで見た車、結構あちこちへこんでいたなあ。どうして信号がある交差点に3人も4人も交通整理の警察官がいたんだろう。みんな信号無視するからだろうね。パリの運転度胸が必要らしい。優雅で美しく華やかなパリの地上と対照的に地下に潜ればそこは暗い。ロンドンだって油断すればすぐ掏られることは皆知っている。大英博物館やコベントガーデンを歩いた後、夜7時にピカデリーのハーマジェスティシアターの前で娘と待ち合わせた。ミュージカルの好きな娘が積極的に取ってくれたチケットで「オペラ座の怪人」を見た。クリスチーナとラウルの愛を怒りと悲しみで見つめているファントムはパリで見たオペラ座のてっぺんに立つエンジェルの像を模した舞台装置で宙を舞った。2階席の一番前、手の届きそうな位置に悲しみの怪人がいた。

  December 6, 2011

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  二都物語

  ロンドンに着いたのが実際夜だったので、活動１日目は前記で書いたようにディケンズツアーで費やし、２日目も電車に乗って郊外のロチェスターまで出かけ友人のスーザンさんの案内でディケンズ探索。それは長くなるから日本に帰ってから書こう。３日目は日本語バスツアーでコツウォルズへ１日旅行。それもまた後で。今日は週末会社が無い娘とユーロスターに乗ってパリにって来た。これは右も左もわからずただ娘に付いて行く旅だった。イルミネーションツアーのエッフェルもミサ中にパイプオルガンの鳴る中静かに座ったモンマルトルの丘の教会も素敵だった。もちろん凱旋門もシャンゼリゼもノートルダムもオペラ座も心躍るものだった。街中がクリスマスできらきら。しかし、私の二都物語、もうひとつの都の印象は結構強烈だった。はじめはロンドンに比べて建物が華やかで優雅で何と美しいと感激。ロンドンで生活する娘でさえそう感じて声に出した。人々のおしゃれな服装、子供でさえ洗礼された服を着ている。マカロンを買ったラヂュレの店員さんの歌うようなフランス語は素敵で、カフェのボーイさんに「マドモアゼル」と言われた娘は大喜び。しかし、地下鉄の汚いこと、街にはいたるところに犬を連れた物乞いが、犬の糞は街中にそのまま、人々は踏んで歩く。モンマルトルの丘では親子の女性のスリがいた。街の救急車やパトカーのうるささはロンドンより凄いかもしれない。シャンゼ大通りのクリスマスマーケットにさえ、自動小銃を抱えた軍人や警官がいっぱい。ああ、この街は優雅さと怖さとを抱えた町なのだと・・・。そして、目茶目茶混雑したデパートで次女へのお土産のバックを買った後２度目のシャンゼリゼのクリスマスマーケットに出かけた後、ホテルでくつろいでいてふと気がついた。携帯電話がない！

  December 5, 2011

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  ストの街、ディケンズを探して歩く

  今日、イギリスに来た外国人は三分の一だそうだ。公務員ストなので、空港職員も当然スト参加。ただでさえうるさい街中をデモ取り締まりと交通規制の警察車がサイレンを鳴らして走りまわっていた。朝、娘の家を会社に行く娘と家を出て地下鉄内で別れる。公園で寄ってきたリスに挨拶、そしてちょっと気に入っているセントジェームスパーク内のレストランで独り朝食。目の前には首相官邸だろう建物に高々上がったイギリス国旗。その後向かった先はウェストミンスター寺院内のチャールズディケンズの墓。一つ一つ名前を確認して、文豪たちの墓の中にディケンズのそれを見つける。床に嵌めこまれたなんてことはない碑だけど、まずはディケンズから始まらなきゃ。お昼は一緒に食べるから来いと言われた娘の会社のあるモニュメントを指定の時間に目指すけれど少し時間が早く着いたので、午後行く予定のデレンホールマーケットやそのあたりのディケンズの小説に登場したり、その時代にディケンズが歩いただろう古い教会やパブのある路地・バンクや王立取引所などディケンズゆかりの場所を調べて置いた写真を頼りに見学。ちょっとミステリーツアーのような。昼は会社の前で待ち伏せてバラマーケットでテイクアウトのパエリアをサザーク大聖堂の庭で食べた。なんとまあ、ミステリーツアーの後は学生旅行のよう。でもバラマーケットのコーヒーもおいしかった。娘と別れた後はちょっと離れたところにあるディケンズハウスを地下鉄と徒歩で目指す。雨が降って来た街並み。思った通り、その家はさっぱり見つからない。今日はあきらめるか、と思った頃ふと普通の家の窓を見ると何冊かのディケンズの本が窓辺に道行く人を誘うように飾って有った。そこがディケンズハウス。呼び鈴を鳴らすも誰も出てこない。恐る恐る取っ手を回して重たい緑のドアを開ける。勝手に入って来いということらしい。「ここはディケンズミュージアムですか」「そうですよ。あれ？そんなに雨が降ってるの？」私が手に持つ傘を見て聞いて来た。そうだよ。冷たい雨の中、探した探したディケンズハウス。疲れた。今日は一つ余分に疲れることしたから余計疲れた。高いところの好きな私、ディケンズは薄の前に、ビルの谷間に見つけてしまったモニュメントの螺旋階段を息も絶え絶えになって登っちゃったからね。一度娘の家に帰って合鍵で入って休んでいた私に、夜は私がリクエストしたモロッコ料理を予約しておいたからベーカー街まで出て来いと言う。再びコートを着て電車を乗り継いで指定場所に出掛けた。ディケンズハウスの後乗ったダブルデッカーは街の中心とか、ストの影響とかで１時間半乗っても目的地に着かない大渋滞。私の乗ったバスはビクトリア行き、すぐ前に見えたバスもビクトリア行き、その前も・・。バスが数珠つなぎだから、乗客を無理矢理降ろして乗り換えさせ、車庫に帰ってしまうバスもいる。ノットサービスのバスが街中にいた。その点地下鉄はコツを覚えたら分かりやすくて良かった。これじゃ普通すぎてどこか分からないディケンズの家。

  December 1, 2011

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• パディントンで鳩とカプチーノを

  長い長い時間かけてやっとイギリスに着いたと思ったら、ANAと同時に着いたインドからの飛行機から降りたイスラムの服を着たバングラディッシュの人や目にも鮮やかなサリーを着たインドの人と入国審査が重なってしまった。そしてまた長い長い列に並んだ、４０分。インターネットで買っておいたヒースローエキスプレスでパディントンに着くころには、日没の早いイギリスでは外はもう薄暗い。パディントンの駅のスタバで仕事帰りの娘と落ち合う約束だったが、スタバは席がいっぱいで結局、天井が駅構内と繋がっているカフェでコーヒーを飲みながら小一時間娘を待っていた。なぜかテーブルの間を鳩が歩いている。テーブルに置きっぱなしの食べ残しを鳩がつつきに来る。建物の中なのに。ふと高い天井を見るとずっと上の方の一本の桟の上に鳩が数珠つなぎにとまっていた。おおらかというか、だらしないというか、ロンドン。鳩の恐怖に襲われ始めた頃にやっと引き取り手が現れて、親が迎えに来た幼稚園の子供さながら、ダブルデッカーに乗って娘のフラットにお持ち帰りされた。こうして旅は始まった。パディントン駅写真撮ったのに撮影モードがRAW。借り物のPC では加工出来ない。最初から失敗の旅の始まり。

  November 30, 2011

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  旅のテーマはチャールズ・ディケンズ？

  明日は母の遺骨を持って納骨堂のある長野の善光寺に行ってこようと思う。今回は父の時のように入院している母が待っているわけでもなし、妹と娘と夫と温泉に一泊する計画。長野駅には伯母が妹の遺骨が届くのを待っている。それが済んだらちょいと旅に出てこようと思う。行く先はロンドン。娘に会いに行くとみなさんおっしゃるが、毎日忙しそうに仕事しているので迷惑は掛けられない。一人で行って、一人で観光して、夜だけ娘のフラットに泊めてもらう事にした。「鍵は一本しかないのよね」と娘が言う。ええー、そうすると、朝出勤する娘と一緒に出て娘が会社から帰った後帰宅するの？残業なんかしたら、私はこの冬の寒空の中、どこで時間つぶすの？お酒が飲めないからパブは却下。恋人ばかりのロンドンアイも寂しいし、閉館後の大英ナイトミュージアムでミイラに追いかけられるのもいや。心配していたら、合いカギを作ってくれた。でも初日は鍵が無いから、イギリス到着後、ヒースローで時間つぶして、ヒースローエキスプレスでパディントンまで行ってカフェでお茶していたら迎えに来てくれるんだって。土日は娘がパリの夜景を見に行きたいんだそうで、初めて見るパリ、あこがれのパリに金魚の糞のように付いて行く。迷子にならないように。凱旋門を見て、フォッションでお茶買って、ラデュレでケーキ買って、シャイヨー宮からエッフェル塔の写真を撮る。いやあー無理かな。たった二日だもの。以前ホームステェイしたイギリスはメドウェイ市の友人にメールしたら、ちょうどディケンズフェスティバルで「私も含めて町中が仮装するからその日に合わせておいで」と言われた。残念、その日はパリ。だから、その二日前に会う約束をした。さて、でも、メドウェイなんて駅名地図にないよ。彼女はメドウェイの市長経験者。でも探しあてた駅の名前はロンドンから一時間半ぐらいのところにあるロチェスターだ。その日彼女は白髪のダンディなボーイフレンドと一緒にロチェスターの駅前で待っていてくれる事になっている。ロチェスターはチャールズディケンズのゆかりの地だ。私を町全体のディケンズワールドへ案内しようと手ぐすね引いて待っていてくれる。たくさん歩いてもいいように靴はぺったんこので行った方がいいよね。「クリスマスキャロル」はもう読んだ。「二都物語」は学生時代に読んだ。今読んでいるのは「大いなる遺産」さて、スーザンさんに会う前に読破できるだろうか。飛行機は９時間。眠らなければ読めるよね。そうそう「二都物語」の二都はロンドンとパリ。この旅、ディケンズがテーマ？以前行った時アンティーク市場で粘って値切って買った表面がフラットなケーキプレート。このパターン違いのを狙っている。廃版だから無いかな。以上のような理由で、ブログはしばらくお休みします。現地でうまく更新できる技術が有って、毎日出歩いて疲れ果てていなければ更新するかもしれませんが・・・。

  November 25, 2011

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  ぼくはオーウェン

  久しぶりにこのシリーズ。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ぼくはオーウェン。パパはオーストラリア人。ママは中国人。ついでにおばあちゃんはイギリスからオーストラリアに渡ったオーストラリア人。だからパパはイギリス国籍も有るんだ。ぼく？ぼくは国籍２つだよ。生まれは日本だけどね。日本国籍は無い。弟のオーウェンオリバーはオーストラリアで生まれた。ぼくが日本で生まれてから、僕はいったいどこの国の人間か分からないくらい地球の上を移動したよ。日本国→おじいちゃんのいる中国→ママが弟のオリバーを産むために行った、パパのおじいちゃんとおばあちゃんがいるオーストラリア→パパの駐在先のサウジアラビア　→そして日本。もうちょっとしたら３か月ほど中国のおじいちゃんのところにオリバーを見せに行くんだ。え、僕の年齢？もうすぐ３歳だよ。僕が何語を話すかって？ママとパパとは中国語。半分は英語。サウジではインド系の幼稚園に行った。この間日本人のおばちゃんとおじちゃん（お父さんの元上司のおじさんとその奥さんは、ママの日本語の先生）に有った時、思わずしゃべった言葉はヒンドゥー語。幼稚園の友達がみんな話していたからね。どの国が好きかって？そうだね。僕の行動範囲は狭いから、今は何処にいてもママとパパがいれば同じかな。言っとくけどママは日本語ほとんど忘れたそうだから、僕も話せないよ。英語か中国語でお願いします。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝勤労感謝の日に突然かかってきた電話。駐在先から仕事が終わって１週間前に帰国したイアンからの電話だった。（どうも１週間たって電話してくる人が多い）話ているうちに会おうということになったはいいけれど、子供が小さいからそちらの最寄りの駅で会おうというのに、なんだか歯切れが悪い。まあ結婚の時といい、歯切れが悪いのは今に始まったことではないのだが。「そちらは車が有りますよねとイアン。」「車で来いと？」「駅までタクシーで行くと迷うから」ごちゃごちゃごちゃごちゃいう。そのうち「車にはカーナビ有りますね」うーん、家まで来いということか。「古いカーナビだから行けるかなあ」「大丈夫です。このアパートも古いですから」口の減らない人だ。イアンは日本語もペラペラだから、軽口は軽快だ。カーナビも思わず考え込むような丘の上の入り組んだ住宅地の中のアパートで、４枚のお皿と４つのカップしか無い、暖房も何もないがらんとした部屋で、手土産のケーキを食べた。たどり着いたのが奇跡としか言いようのない海の見える一面の住宅地を見下ろす丘の上だった。アンナさんが買って来てくれたいかにもアラブといった感じのパフュームと甘ったるい棗。意外に病み付きになる味。

  November 24, 2011

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  ルユンが帰って来た

  先週のある日携帯電話が鳴った。「先生！わかりますか。金です」「おお、金さん。お元気？どうしてる？」「それがですね。先月日本にきたんですよ」ということで、さっそく大きくなったであろうルユンのご機嫌取りに小さな熊のぬいぐるみを抱えて金さんに半年ぶりに会いに行って来た。地震の後、小さな子供を抱えて余りの怖さと、国の帰国勧告で韓国に帰国した金さんであるが、ご主人と一緒に戻ってきたのであった、と思ったら良く聞いてみると、留学生であるご主人は国に帰らなかったという。同じアパートにいる何組かの韓国人たちも、留学生のご主人は残って家族は一時帰国したが、皆すぐに戻ってきたらしい。完全帰国してしまった金さんは、だから、今回はビザが出ないので３か月の滞在しかできないんだという。それでも、しばらくは日本にいる。「チュマン（十万という名前を付けられた日本生まれの金さんのプードル）は元気ですか」「はい、元気です。ルユンはチュマンがお兄さんだと思って、チュマンのまねばかりしていました。ご飯も手を使わないで食べたり、チュマンのゲージに入ったり」私は、オオカミに育てられた子供の話を思い出す。金さんがルユ産むために韓国に帰った時連れ帰ったチュマンの日本のケージは今、ルユンが出入りして遊ぶおもちゃ箱になっていた。日本語はだいぶ忘れたようで、金さんが一生懸命記憶の箱から掘り出して来る日本語を、私が推理したり、繋ぎ合わせたりしながらの会話であったが、楽しいひと時だった。そうそう、冒頭の「先月きました」は良く聞いてみると「先週来ました」の間違いのようだった。お土産の熊さんよりも私のバックの中身の方が気になるルユン。

  November 23, 2011

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• キラとラチュ

  昨夜日本語クラスが終わった後、その日のボランティア皆で食事に行った。そのうちの私も含めて３人はブータンに一緒に旅をした仲間。１人はその時ブータンに青年海外協力隊で赴任していて、我々の旅を企画し、彼女の生徒である日本語を勉強しているガイドと共に案内してくれた女性だ。私はその時一緒に行った仲間に聞いた。「もう一度チャンスが有ったらブータンに行きたい？」しばらく考えたのち「うーん、あのでこぼこ道が無かったらねえ。峠にはトンネルが出来たらいいのに」と答えが返って来た。確かに私以外全員が酔ったからなあ。でも、そうかなあ、安全のためというなら少しはわかる気がするが、それはブータン国民が望まない自然破壊につながるのではないだろうか。ふと考えてしまった。その、国民総幸福論の国から結婚ほやほやの国王と王妃が来日している。毎日テレビる見る国王は民族衣装の「ゴ」を着て、国王とジェケンポ（最高位のお坊さん）が身にまとう黄色いカムニを付けておられる。私は毎日女性の民族衣装である「キラ」を変えて現れるきれいな王妃様に目が釘付けになる。キラは安いものはマーケットで1,500円ぐらいから売られているが、高いものは旅行者でも手が出ないほどに高くその織や刺繍に手が込んでいるものだ。王妃様が来ておられるのは高いんだろうなあ。今日来ておられた白いキラに赤い刺繍の「ラチェ」ははっとする美しさだった。私はブータン旅行中、プナカのゾン（政府の役所兼僧院かな）にはどうしても正装で入りたくて旅の初めに首都の生地屋さんでキラを購入したのだった。ラチュだけは高くて買えなくて（旅の最後には清水の舞台から飛び降りるつもりで買ったが）ゾン訪問時はガイドさんの妹のを借りた。キラを着るのは旅の記念になると皆は思って買い求めたようだが、私はキラを来て入ることが信仰を理解することなのだと信じたのである。根っこは我々と同じ仏教の信仰。誇り高き国への敬意だったかもしれない。私が買い求めた今日の王妃様と同じ赤の地に刺繍がしてあるラチェを身に着けてまた再びブータンを訪れる日が有るだろうか。今日の王妃様のキラはここに↓http://www3.nhk.or.jp/news/tokusetsu2011/1117.html

  November 17, 2011

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  肉嫌いと豚肉が食べられないの違い

  何回かの危機を乗り越え、そして奥さんをハラハラさせてきたお隣のご主人もついに先週帰らぬ人となった。変な絆で結ばれて、時にはホスピスで隣り合わせの家族室で寝泊まりし、入浴のために一緒のタクシーを飛ばして帰って来たりして励まし合ってきた私とお隣の奥さんだったが、ついにそれも終わった。先日亡くなったご主人のその通夜と告別式の受付を頼まれて無事勤め上げ、家に帰る途中昼のおかずを途中のスーパーで買った。その日の午後は我が家でインドネシア語のレッスンが有り、いつもパート帰りに来てくれる先生と一緒に昼ご飯を食べるのであるが、自分で作っている暇がなかったから。まずサラダ売り場で、「肉やベーコンの入っていないサラダはどれですか」と聞く。先生はイスラム教だから。「これ一品だけです。」指さされたものは海藻とレタスのサラダ。この日もつい、頭の中にお隣の奥さんが浮かんでしまった。助け合ってホスピスに通っていた時、お惣菜を届けるのにいつも肉嫌いの奥さんのために肉無しのものを探す癖がついてしまったのだ。肉無しの選択肢は非常に狭い。肉の全く入っていないお弁当なんてほとんどないからね。惣菜売り場で改めて私は聞き直した。「豚肉関係の入っていないサラダはどれですか」インドネシアあたりのイスラムは豚肉と酒以外はOK なのである。以前日本語の生徒たちから、牛丼やハンバーガーが大好きだと聞いて以来、頭の中で何かがはじけ飛んだ。イスラムの食事は、肉嫌いに比べてなんて選択肢の範囲が広いんだろうと。初めてのイスラム圏のホームステェイ受け入れの時あんなに悩んだのが嘘のようだ。私は鶏肉入りサラダと鶏肉ハムのサンドイッチをその日のお昼に買った。それにしても疑問が１つ。お隣の奥さん、ご主人の肉入りの料理はどうやって味見していたんだろう。今日のホテルのレストランでの四十九日の法事の食事のサービスプレートは大倉陶苑、黒船。

  November 13, 2011

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  家が無くなる

  いや、この場合住む家がなくなるわけじゃない。我が実家はわたしと妹と嫁いで（はるか昔）、嫁ぎ先の姓を名乗る娘２人。３年前に父が逝き、この間母が逝った。今、私は喪主としていろいろな手続きに走り回っている。介護保険証や国民保険証、印鑑登録証などの公的証明書の返還。公的年金の廃止手続き。その他銀行等。それらをやりながら気が付いた。これは、もう誰もその「姓」を受け継ぐものが無い家の記憶を１つずつ消しゴムで消すような行為そのものだと。無くさないように大切に保管しなければならなかったものらは、母の死と同時に何にも役に立たないものになった。今では母の生きた証明を取るのに私の証明物で事足りるのだった。以前は代理で取りに行った私はしつこく母の身分証明を求められたのだが・・。テーブルの上に無くす心配もなくなった母の実印を置きっぱなしにしてじっと見つめる。父の時は病気の母を抱えていたから、後の処理は税理士さん、司法書士さんにお願いした諸々、暇になってしまった今、自分で頑張って挑戦して見ようと思う。インターネットで調べたり、役所に日参したりして勉強している。今まで知らなかった仕組みがはっきりしてくると税の事などしっかりわかってきた。日曜日は４９日の法要、それが済んだら３年前妹と父の遺骨を抱えて長野の善光寺に行った時と同じように、彼らの故郷が見える丘の上の納骨堂に母のそれを於いてこようと思う。４人の親を見送った我が家には並べて置いてはいけないと言われるので、別々の部屋に２つの家の仏壇が有る。それぞれに花を供えお菓子を供える。下げてくるときも２つ。危ない危ない、２つ食べちゃ太る。いや、まだ４９日が過ぎてない母の「後飾り祭壇」が有るので、お菓子は３つ。３つ食べる？母の亡くなる３日前ホスピスの病室に入ると枕元に、母が父の死後ずっと身に着けていた父の時計が母の腕から外されて置いてあった。その時計のバンドには母の指輪がしっかりと通されていた。痩せてしまって、指から抜け落ちてなくなってしまうのを恐れた看護師さんがしてくれたものと思う。これは母の祭壇ではなく父の仏壇の前に置いた。実家の名前のものがほとんど消える頃、今度は書きかけている自分のエンディングノートを完成させようと思っている。私も、「夫の時計に私の指輪を」と書いておこうかな。

  November 10, 2011

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  最強は誰だ！

  ある日の夜、夫がお風呂に入ろうとして「あれ、ヤモリだ」と叫んだ。時々窓から覗くと外の壁に張り付いていることがあるけれど、今日は家の中、それもお風呂場の床の隅にいたのである。窓は閉まっている。どこから入った？どうしよう。恐る恐る手で捕まえようとしたら、するっと逃げて隅のどこかに入ってしまった。ユニットバスだから隙間はないはず。でも見えない。「いやだなあ、ヤモリと風呂に入るのか？」としぶしぶお風呂に入った夫。その夜夫が寝てから、私もさて寝ようかとトイレに行ったら今度はトイレの床の隅に張り付いていた。うん？どうやって移動した？廊下を悠々と歩いて？目を合わした瞬間、即座にドアを閉める。そしてしばしトイレの前で考えた。どうやって捕獲しよう。掴むのは怖い。それに素早いのは分かったから、どうせ逃げられる。そうだ、ＴＶでは動物は網で捕まえているではないか。洗面所に走って、洗濯ネットを持って来た。そして目にもとまらぬ早業で、トイレのドアを開けるや否や、狙いを定めてヤモリに被せた。そろりそろりとへっぴり腰でネットを少しずつ動かし、袋に閉じ込める。最後はさっとファスナー部分を持って持ち上げた。入っている入っている。捕獲成功。ヤモリは玄関に出した洗濯ネットから自由の身になって帰って行った。しかし家守りだから、きっとまた戻って来るのだろう。我が家のヤモリ。次の日。タイのワンさんのフェイスブックの動画に目が吸い付けられた。壁にヤモリが２匹。そのうちの１匹に何かひものような細いものが巻き付いている。何だろう？蛇だ！細い細い蛇が巻き付いてヤモリを締め上げているのだった。もう１匹はそれを少し距離を置いたところからじっと見ている。逃げない。そして少しずつ少しずつ間合いを詰めて行って、目にも止まらに早業で蛇に噛みつき、また目にも止まらぬ早業で飛び退いたのである。蛇は少し動いたがまだもう一匹のヤモリからは離れない。すると、噛みついた後、遠くに飛びのいたヤモリが、またじりじりと間合いを詰め始めた。親か、連れ合いか、兄弟か。蛇が異常に怖い夫ならここいら辺りで卒倒しているだろうけど、私はその動画から目が離せなくなってしまった。そして、ある瞬間ヤモリはまた再びシャシャと飛びついて蛇に噛みつき、目にもとまらぬ早業で飛び退いたのであった。さすがの蛇も体制を崩す。ゆっくりとゆっくりと鎌首を今度は攻撃者の方に向ける。そして、するすると締め付けていたヤモリを放し、攻撃者に向かった。救助成功。しかし動画はその後を撮っていない。どうなったか。きっと２匹とも逃げおおせたよね。それに違いない。愛は勝。必ず勝つ。洪水のタイ。人間だけじゃなく水に追われた生き物たちも生きるために必死なのであろう。お風呂場のヤモリ、素手で捕まえて噛みつかれなくて良かったと思った私である。それにあんなに素早いんだったら、絶対に手でなど捕まえられないと心底納得の動画であった。これも最強？↓花の国のゴジラ。

  October 30, 2011

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  男が強い？女が強い？

  秋の１日の出来事。昼過ぎ、日本語教室に行くついでに、まだまだ頑張ってホスピスを往復し、時には寝泊まりして看護を続けているお隣さんをホスピスまで車で送って行った。もう何回か危機を迎え、その都度、西宮の息子さんは飛行機で、小田原の娘さんは車で飛んでくる生活。娘さんとの交代での看護もかなり疲れが出てきた様子だ。患者である旦那さん、家族が行っても寝てばかりでうんともすんとも言わない、目も開けないんだとか、男性の看護師さんの時も同じ。ところがところが、女性の若い看護師さんが声を掛けると目を開き、時には何とか口を開けて話をしようとするらしい。「まったくやんなっちゃうわよ。」とお隣さんは車の中で言う。「先日しゃくだから、すごくかわいい猫なで声で、『こんにちは、私は誰でしょう』って言ったの、そしたら目を開けたのよ」後で日本語教室の看護師志望の若い子にその話をしたら、「そうなんですって、男性の患者さんは皆、若い女性だとすごく元気になって驚かせるようよ」という。お隣の旦那さんの生命力はそこら辺にあるのだろうか。見舞う母もホスピスにはいないし、ホスピスのスタッフにとってはいなくなったものより、今現在、一生懸命戦っている者たちの事でいっぱいだろうからと、お隣さんを降ろして車を出した。今夜は夫の北海道土産のシシャモといくらの醤油漬をお隣さんの晩御飯に届けることにしよう。

  October 28, 2011

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  どんな状況でも希望を失うな！

  タイ人ってすごい！と思うこの頃。タイには3人の友人がいる。彼らは毎日facebookでバンコクの洪水の情報を寄せてくれる。それらの写真を見ていてタイ人のおおらかさと、したたかさと、のんきさと、ユーモアに感心しきりの日々である。「大丈夫？」という私のメールの、「うんまだ来ない、大丈夫」という割には、載せられる写真がすごく深刻な水の量なのである。なのに映っている人々がのんびり。どうなっているの。写真は著作権侵害になるといけないので載せられないが、例をあげよう。写真1、バックの建物が1階の屋根まで水に浸かっているであろう風景の中に手作りのいかだが　　　　流れている。いかだには赤い日よけのパラソルがさされ、その下に４匹の犬だけが寝　　　　そべっている。彼らはまるで貴婦人のようにゆったりと流れていく。写真２、腰までの道路を流れる水、子供たちはその中で泳ぎ、大人は網を打って魚を捕る。　　　　時々は逃げ出したワニが捕まえられるが、懸賞金などなんのその、微々たる懸賞金よ　　　　り食べちゃったほうがおいしい。写真３、座った猫の後姿。着せられている服は手作りの救命胴着のようなもので、縫い付けら　　　　れた3つのポケットに浮き代わりのペットボトル。水を見つめるその姿には哀愁が漂　　　　う。写真４、人間は移動するのに腰まで水に浸かって行くが、動物はそうはいかない。　　　　2つの大きな盥の中には子猫・子犬が10数匹。そこは仏教国。　　　　あっちの仏教は輪廻転生の世界。犬達はおじいさんかもしれないから大切に。写真５、膝まで水に浸かりながら、レストランでテーブルに座って食事なんて言う写真はごろ　　　　ごろ。極めつけは胸まで水に浸かった人が、お盆を浮かべ食事をしている。お盆の上　　　　にはたぶんタイ風焼きそば。写真６、タイでは家の門、店の周りにブロックを積み上げて水が来ないようにする日曜大工が　　　　流行っているそうな。友人のタンさんが作ったのは犬の絵入りに自分のサイン。　　　　　　　　　　　　　タンさん、これは手抜きじゃないの？これじゃあ水が来ちゃう。写真７、木の上からぶら下がっている2つの大きな実は？答えは避難させたオートバイ。写真８、なんとタイの高速道路は駐車場になっちゃった。　　　　ちゃっかり高速道路に車を避難させている人があまりに多いので走れません。　　　　ちゃんとカバーまでかけてるんですね。　とそののんきさに感心していたが、それは実際に水が来てない人の言うこと。ここへ来てバンコクは切羽詰まって来た様子だ。　今日のバンコクポストでは、あちこちから託されて流れ着いた犬達が島のようになって集合している写真が載った。皆やせ細っている。濡れている。タイの人は優しいから何とか逃がす工夫をしてくれたけど、その先をどう生き延びるかということのようだ。さて、東北関東地震で助けられた恩をどうやって返すか。　

  October 25, 2011

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  動物になった気分

  ただいま。帰ってきました。何処から？　と聞かれると困るけれど、葬儀の後の忙しさとちょっとした心の空白からとでも思ってください。先週、ずっと行かれなかった山の家に冬支度しに行って来た。山は寒いから水道栓など水抜きをきちんとしないと、水道管が凍って破裂するのである。朝、家を出て途中甲斐大泉にあるパノラマの湯で露天の朝風呂を浴びて、山の家に到着。山はすっかり紅葉して美しかった。もみじも楓も真っ赤に色着いていた。我が家の庭の今年伸びた実生のもみじは、唐辛子を枝先にぶら下げて帰ったにもかかわらず、相変わらず山を降りて来た鹿達にしっかり食べられていた。網で敷地を囲った永住者のお隣の敷地には入れないので、我が家の庭を通って歩き回っているらしい。夜、夫と２人きりで食べる夕ご飯は温泉の横の販売所で買った森の幸。なんだか動物になった気分。販売所にはいろいろな種類のキノコや、山ブドウ、山梨、山わさびなども売っていた。翌朝、標高2,000ｍのところにある白駒の池の紅葉でも見て帰ろうと話しながら、昨夜余ったキノコ鍋をつついていると、庭の階段を昇って来るお隣さんが窓から見えた。この時期は危ない、去年とその前は「ヤナギダケ」とやらのキノコをもらった。今年は・・・。「これ鹿の肉です。鍋にでもして食べて」ついに撃っちゃったのか・・・・。あまりに鹿の被害が多いので許可を得てハンターが駆除しているらしい。おーいウサギを食べると言っていたフランス人のステベンへ。ついに私もシビエ料理デビューになってしまうよ。いやいやそれよりも、以前別荘地で熊が目撃されたと張り紙が有ったが、次に来るときに熊の肉をお隣さんが持って、坂を上ってくる姿が浮かぶ事の方が怖い。

  October 21, 2011

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  回診

  とても不思議に思うことが有る。日に何回となく回診に来られるホスピスの先生方はほとんどの場合、丸いパイプ椅子を持って病室に入って来られるのだ。付き添いの看護師さんも同様だ。皆で椅子を引っ張って歩かれる光景はちょっと面白い。立ったまま患者を見下ろして診断するでもなく、ベットに寝ている患者の目線に一番近い高さで、付き添う家族の目線と同じ高さで、まるで悩み相談でも受けるセラピストのようにゆったりと座って症状やつらさの悩みを聞いて行かれる。そして診断が終わると、椅子を畳みまたその椅子を持って次の病室に移動するのである。忙しい先生なのにホスピス病棟に流れる時間のようにゆったりと移動される。いや、そのゆったりの時間をそうやってホスピス病棟の中に作り出しているのかもしれない。↑先々週ロンドンから母に届いたスコットランドのお土産。ホスピスの家族室で目覚め、母の病室に様子を見に行き、前夜買っておいたパンをほのぼのと開けて行く陽の光を窓から感じながら、毎日ボランティアさんの手で取り換えられる花が活けられた談話室でかじる。同じ状況のお隣の奥さんと一緒に、タクシーを飛ばして家に帰りお風呂に入り、洗濯をし、会社に行く前夫が干してくれた洗濯を取り込み、朝夫が明けてくれた雨戸を閉め、ゴミ当番の掃除をして。一時間でまた二人でホスピスに取って返す日々を繰り返した。今日、自宅のソファに座って所在無げにあたりを見回し、あの忙しさを遠い昔のように思い浮かべる。あの生活をまだ続けている彼女に身体を気遣うメールを打って、「ふっ」とまた溜息。心にちょっぴり開いた穴埋めに少し時間がかかりそうです。たぶんほんの少しの時間。たっぷり出来てしまった自由になる時間で海でも眺めに行こうかな。それとも秋の海は寂しいからやめて買い物に行こうかな。映画でも見てがははと笑おうかな。電車に乗って知らない街で降りて、果てしなく一日歩くのもいいかな。

  October 6, 2011

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  猫の怪

  ホスピス宿泊２日目。前夜一晩中、２つある家族室の１つにかわるがわる出入りする大勢の人の足音が隣の私の寝ている畳の部屋まで聞こえて来て、良く眠れなかった。５時に起きて母の病室の様子を見に行こうと、その前にトイレに立った。トイレの戸を開ける。ギャー！便器の下に何かいる。目が光った。直後、トイレの中ですごい音がした。手洗いにおいてある液体せっけんのボトルの落ちる音、なにかをかきむしる音。猫かな。どうしよう。このまま閉じ込めておくわけにはいかない。いったん閉めた扉をそっと開ける。その途端、待ち構えていたように脱兎ならず脱猫が疾風のように飛び出していった。家族室は１階。猫は何処から入ったか？ホスピス棟は病院と別棟で２４時間自動ドアで家族がいつでも出入り出来る。夜中でも。でも防犯上９時過ぎるとインターホンで告げてからのドアの開閉になっている。猫は重量が足りないからまさか自動ドアを自分では入れないだろう。それより、逃げた猫はどこに行った？まだホスピス内？病室に行っては大変なので、２階のナースステーションに告げに行く。「あ、そうですかあの猫階段上がってきたんですね」２階では看護師さん達が猫を目撃して騒いでいた。ちょうど開いていた一つの病室の窓から猫は飛び出して行ったということだった。そこは２階であるけれど、ちょうどがけの石垣が窓の位置に来ているところだ。猫なら容易に飛び移ることが出来るだろう。しかしどうやってトイレには入ったのだろうか。自分でドアを開け閉めして用を足している猫を思わず思い浮かべてしまった。そんなことはないけれどね。偶然がいっぱい重なったんだろう。母の部屋の写真ボードに貼ってある、ロンドンの娘からの絵葉書さあ今日も忙しい。１日の始まり。

  September 30, 2011

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  ジャヌディンとテテプ、そして宝物

  　先週の日本語教室は台風でお休み。その前の週、私の担当は１番上のクラス。先学期まで生徒は６人だったのがその日はフィリピン人ンのルーイさんを入れて３人になった。インドネシアの３人は３年間の実習を終えて帰国するのである。ジャヌディンさん、バソリさん、アンガさん。今、来日２年目のテテプさん、イルファンさんが授業を受けた。いつも明るいおしゃべりなテテプさんなのに、その日はどことなく静か。きっと先輩３人が帰ってしまうのがさびしいのだろう。来日した時、その１年前に来日していた３人と同じ部屋で共同生活を始めた彼ら。先輩３人に日本の事を教わり、仕事の事も指導してもらって来たに違いない。何処に行くにも一緒の彼らだから、きっとお兄さんのような存在だったのだろう。今度からは今年来日した３人の後輩の面倒を彼らが見るのである。先輩が彼らにしてくれたように。順送りに。わたしがインドネシア語を勉強しようと思った時、辞書が必要になった。買うのはたやすい、しかし・・・。授業の時、ジャヌディンさんがいつも使っているのを見ていた。「もし後輩にあげないのだったら、私にもらえないだろうか」たぶん後輩にもうあげちゃっただろうと思って、恐る恐る聞いてみた。「私は２冊持っています。１冊は後輩にあげました。もう１冊は喜んで先生にあげます。」彼の大事に大事に３年間使ったガムテープで補修した・手垢でボロボロになったその辞書をもらった。彼の宝物は私の宝物になった。私は本棚から今は使わない国語辞典を抜出し、国に帰っても勉強を続けてＮ１の試験に受かりたいというジャヌディンさんに交代にあげたのであった。今日からしばらくホスピスの家族室に寝泊まりします。今週はごみ当番が有るので毎日少しの時間家に帰ってきますが、ＰＣに触れられるかどうか。コメント返しも出来ませんがご容赦を。

  September 27, 2011

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• selamat malam. こんばんは

  先日の台風の折、私は前日の内に、日本語教室の生徒さん達に、台風のため授業が無くなったことを伝える役目だった。いつものように子供クラス・大人クラスの生徒さんに電話で、あるいはメールで。新しい連絡手段、Facebookは便利だった。メールアドレスを知らなくても生徒の１人を見つけられれば、芋蔓式に生徒達を見つけられるのだ。特にインドネシアから来ている生徒は、勤務している会社が違っても、住んでいるアパートが違っても、何かというと集まり、一緒に行動するから、彼ら同士Facebookで繋がっているのだ。あの日も１人ずつfacebookで見つけては伝言して行った。メッセージを伝える。運よくチャットが繋がっていた生徒にはリアルタイムで連絡した。「こんばんは、明日は台風が来ますからお休みします」そうすると、みなこうやって返事をしてくるのだった。「selamat malam. sensei」（こんばんは先生）「sudah makan malam」　？？？？？待った！！インドネシア語？確かに先週のある日、簡単なインドネシア語を勉強したいから、教えてと言ったのは私だ。そして彼らは案の定、近くのレストランに全員でやって来て、全員で教えてくれたのだった。しかし、たった１時間程度だから、覚えたのは挨拶ぐらいが良いとこだ。でも、彼らは今も、皆で私のインドネシア語の先生をやってくれているのである。チャットで。一生懸命辞書を引く私。「ご飯食べた？」かな？？？？人懐っこくて親切で、日本大好きな彼らなのである。

  September 24, 2011

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  試練再び

  台風が来ることが分かっていたので、自分の通院を終えた後、今日は母の入院するホスピスで朝一番に妹と待ち合わせた。腸に異常をきたして母が土曜日緊急入院したのである。もともとホスピスのイベントでバーベキューが有るからとホスピスショートステェイの予定をバーベキューの日・今日に合わせていたのだが、それどころではなくなった。それでも、氷とアイスクリームと水しか許可されない母もＢＢＱパーティに病室から車いすで参加させてもらった。１階談話室の会場には、ベットのまま移動してきた３人、車いす・酸素ボンベの患者さんなど１０人程と、看護師さん、ボランティアさん、お医者さんなど３０人ほど集まっていた。そこはホスピス。食べると命に今すぐ影響出る母のような人以外は皆、食べたいものをモリモリ食べる。ベットに寝たきりの人も首を持ち上げて焼きそばを大口でほおばる。ビールをおいしそうに飲む患者さんも。病院じゃないからね。なんでも食べていい。人生の最後だから。以前から書いて来た我が家のお隣のご主人もホスピス入院を果たし、今、ベットで参加している。今はもう話すことも出来ないけれど、私の呼びかけに唇を動かし一生懸命答えようとしている。焼き芋や焼き肉、マツタケ、さんま、どれも食べられないけれど、この場に一緒にいる事に意義が有るのだ。最後まで社会に参加している。ここは特殊な社会だけれど、普通の人の生活を先生も看護師さんもボランティアさんも普通に行ってくれる。何も特殊なことはない。母は食べたいと所望した氷をおいしそうにいただく。「今日は虹色で」とブルーの服を来た介護士さんがにこにこしながら渡した。さあ、台風が来ないうちと車を飛ばして自宅に帰ってきたけれど、もうすでに庭のジャカランタの木が傾いて、バケツが飛んでいた。必死で台風対策をする。次第に風が強くなり、ウッドデッキ備え付けの畳んだパラソルがぽきんと折れる。木々が揺れちぎれて飛ぶ。ほとんどの会社が午前中で切り上げて帰宅する中、仕事が終わらなくて会社を出遅れた次女と連絡を取る。あの日の再現。あの日は首都の交通は全部止まった。今日は歩いて帰宅難民は危険。総武線が止まる。新宿の到着、山手線が止まる。四谷到着、丸の内線が止まる。彼女のツイッターが実況中継している。あの時は体力勝負だった。今日は持てる英知と現代科学の情報を駆使して、少しでも自分のマンションに近づこうとしている様子が見て取れる。この日本のまた再びの災難にロンドンの長女がツイッターで応援を送る。あの日の再現。大手町に到着、目黒線が止まる。次女が言った。乗る電車、乗る電車の車掌が「この電車は○○までしか行きません。本当に乗りますか？（そんなニュアンスで）」というんだとか・・。そして何時間もかかって自分のマンションにたどり着いた彼女。この半年、若者たちは自分の能力と体力を信じて賢く成長したんだろうな。かってない経験をし、大きな試練に立ち向かう。富も幸せも信じたものも一瞬で消えることもあるんだと、この先進国と言われる豊かさの中にどっぷりつかりながらも、考えることがいっぱいあるんだろうと思う。

  September 21, 2011

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  映画館と化した我が家

  ホスピス所属自宅待機状態の母、１週間に２回近くの老人福祉施設へデイケアーに出かけ、おしゃべりをし、お風呂に入れてもらい、昼食後ベットで休ませてもらって、我が家での退屈を解消している。私はというとその日は「鬼の居ぬ間に命の洗濯」とばかり、散歩・買い物に出かけ、ストレス発散。先週のある日、母が出掛けた後横浜の映画館で「大鹿村騒動記」を見ようと、前日から密かに画策していた。だが当日の朝、「なんだか胸が苦しいような気がする」の一言。そういえば看護師さんが「肺への空気の取り入れが悪くなっている」と言っていたなあ。デイケアーはお休み、しばらく様子を見ることに・・。映画館への逃避は儚く萎んで行った。そんなこんなでこの頃は有料ヘルパーさんが頼めない時は家から出られないことが多い。で、どうするか。そうです。ＤＶＤをしこたま借りて来て見る。我が家は４２インチテレビの映画館に早変わり。「シンシアのいる街」フランス・ストラスバーグ　　　むかーし「ベニスに死す」を見た時のカメラワークに似ている。あれ綺麗だったなあ。「彼女の消えた海辺」トルコ　　　おお、怖い怖い。１つ嘘つくとその嘘を隠すために嘘が広がる。「君を思って海を行く」クルド難民の話　　　あの少年にドーバーを渡らせたかった。対岸に見えていたのは行ったことのあるセブン　　　シスターズの白いギャップを思い起させる風景。「シチリア、シチリア」イタリア　　　長ーい、長ーい１人の男の人生を平たんに追って行って、平たんに終わるんだと思った　　　ら、違っていた。英語を話さない、吹き替えのない、ただひたすら字幕を追う映画達。「ブラック・スワン」これは英語有り　　　観客を身動き出来ないほど集中させる映画だ。「メッセージ」　　　普通。たぶん内容を忘れちゃうだろう映画。　　　どーんと重い社会派映画は好きです。そういえばＤＶＤばかり見ていて月見してない。ホスピスに飾ってあったお月見飾り。だんごは何処だ？

  September 13, 2011

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  私の人生９５％

  来客が突然の腹痛でキャンセルになった。それでも夫は買い物と料理はやめにしたものの、お菓子を作るためにキッチンに立っている。私はというと昨夜途中でチャンネル権取られたのでまだ見終わっていないＤＶＤ　で映画鑑賞の続きを始めた。「ねえ、お砂糖は無かったっけ」「いつもの調味料置き場にあるよ」「無いよ」仕方がないからＤＶＤを一時停止にして、「さしすせそ」しか入っていない、狭いいつもの調味料置き場から新しい砂糖の袋を出して渡す。再びＤＶＤ鑑賞。「あれ、ゼラチンの場所替えた？」「いいえ、変えてません。いつものところにあります」ＤＶＤを止めて、いつものところからゼラチンを取り出して渡す。「いつもここだっけ？」「はい、いつもそこです」映画は「英国王のスピーチ」レンタル開始と同時に一番乗りで借りて来た前から見たかった秀逸作。主演はあの「傲慢と偏見」のコリン・ファース。大好きな俳優だ。佳境に入って来た。すっと私の視界を横切って洗面所に行った夫。洗面台の下を覗きこんで。「台所洗剤のストックここだよね。切らしている？」見つけられずにキッチンに帰って行った。我が夫の「男の料理」良いところは、きちんと鍋釜を片付けながらやるところである。しかし、今は・・・。ええい！うるさい。英国王の威厳が萎んでいくではないか。私は洗面台に飛んで行って、ど真ん中に鎮座しているストックのいつものスタイルをした台所洗剤を出して来た。その後、その間進んでしまったＤＶＤを巻き戻す。彼に譲ってしまった私の時間は５％。うん？この新作洋ナシのタルト、アーモンドクリームはすごくおいしい。５％の時間返してくれとは言いませんです。はい。

  September 4, 2011

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  ５００円の遺言

  １００円ショップに行くと５００円玉を入れる貯金箱（缶）を売っているのを知っているだろうか。１０万円と書かれたその缶にぴったり５００円玉を入れると全部で１０万円貯まるのである。有る時思いついた。よーしこの缶に１０万貯めて貯まったら夫と旅行に行こう。収入のない主婦の考えそうな事だ。人間だんだん欲が出てくるのが常である。最初は国内旅行が目的だったはずが、テレビの旅番組を見ていると・写真集の世界遺産の街に魅せられてしまうと・ブログ友達の旅の記事を読むと、そこに行きたくなる。ボロブドゥール、チベット、モロッコ、マチュピチュ、ドイツアルプス・・・。果てしなく夢が広がる。そしてついに５００円貯金缶は果てしなく数が多くなるのだった。まあでも、まだ私が買い求めたのは数個だけど・・。５００円玉がぎっしり詰まっているのはそれ以下だけど・・。それぞれの缶の外には紙が貼られ、目的地の地名が書かれる。チベット、バラトン湖、ボロブドゥール、ベネチア。１０万円で２人で海外旅行が出来るはずもないが、その時の小遣いにはなる。夢は果てしなく広がる。しかし、私たちももう良い歳である。もしも、もしかしてどちらかがそのお金を使わないうちに逝ってしまったら・・・・。残った方がそのお金を持って目的地に旅をするので有る。遺言。旅の終着に付いた時言うのだ「ほらついにここ約束の地に来たよ」と。「そうしようね」と言ったら、夫が言った。「他の人と来てもどうせわからないよね」まあ、それも良いでしょう。そこに行くことが遺言なのだから、それさえ果たせば、と広い心で思ってはみたものの、癪だから、歳を取ったら息も絶え絶えになるような高地を書いておこうか。ネパールとかボリビアとかレイラダックとか。いや待て、何も私が先に逝くとは限らない。後に残ったのが私なら。ブータンのタクツアン僧院3,000ｍに登った時ですら高山病のように頭が痛くなったんだった。危ない危ない。とりあえず、今はまだボロブドゥールとバラトン湖とルアンパパンの半分しか行かれないことになっている。お茶を飲みながら１人ほくそ笑む。朝もやの中のルアンパパンの托鉢への喜捨を想像して。追伸この話は我がブログ友のあなただけの内緒にしておいてくださいね。泥棒が入るといけませんから。まあ、しかしあれを盗んで逃げるにはちと重すぎますがね。

  September 1, 2011

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  蝉騒動その後

  土曜日、皆であるイベントに行ったのだが、朝早くの出発のため皆寝不足。それに長時間日光にさらされて顔は真っ赤、体はぐったりで日曜日は皆ぐうたら生活だった。イベントに参加した次女の友人も前日から泊まっていたので日曜日の昼食は庭のウッドデッキでイタリアン。その日も蝉がうるさい。ミンミンゼミ、アブラゼミがわんわん鳴いている。蝉マンションの杏の木を見るとまたまたミンミンが１匹。ツクツクホウシが２匹。至近距離に固まっている。「ツクツクホウシを良く見たいね」その一言で、次女が素手で捕まえて来た。庭中蝉だらけなので、それは容易なのである。初めは指でつまんでいたが、写真を撮るからとTシャツの胸に留まらせた。ところが、ところが。蝉には羽が有る。突然室内で飛んだのである。悪いことに我が家には天井が無い。高い吹き抜けのようになっているので、上は屋根の高さまである。運の悪いことに屋根には明り取りの填めごろしの天窓が付いている。蝉はそこを空と間違え、まっすぐそこを目指した。逃がしてやりたくてもどうにも届かない。たった７日間の生涯を我が家の中で終えるのはあまりにも忍びない。まだ恋の相手にも巡り会っていないだろう。いや、杏の木に一緒にいたもう１匹が彼女かもしれない。そこで娘とその友人、夫が３人がかりで。頭をひねる。私の１ｍ物差しと棒を繋げ、その先にレジ袋を取り付けて、応急補虫網を作った。背の高い娘の友人が食卓に上り、出来立て補虫網で蝉を捕獲しようとするがなかなかうまくいかない。５分程格闘している間に、恐れをなした蝉が窓のカーテンのレベルまで飛んで来た。すかさず夫が捕まえて庭に放す。夕方にはツクツクホウシも庭の合唱に参加した。行く夏の・・・・。梨をつまみながら、頭をひねるが、うーん、俳句は思い浮かばない。前回のキチキチ蝉。コメント頂いて頭をひねってくださった方、webで調べてくださった方。情報をくださった方。ありがとうございます。とらのこどもさん、うーん、確かに「ハルゼミ」の鳴き声が一番近いような気もするのですが、あれは山の家に行くと夏の初めにたくさん鳴いています。ちょっと違うかな・・・。

  August 30, 2011

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• キチキチ蝉

  今日は洗濯日和だった。信じられないような大雨が襲って来たのは夕方の事。それまでは洗濯物がすぐ乾くので３回も洗濯をしてしまうほどのいい天気だった。その青空のもと、庭の杏の木で朝からいっぴきの蝉が鳴いていた。「キチ、キチ、キチ」なんだか変な鳴き方をする蝉だ。穴から孵化したばかりかな。そのうち鳴き方も上手になるだろうと思って家事が忙しく、蝉の事は忘れた。洗濯をし、掃除をし、お茶を飲む。ふと気が付くとまだ同じ蝉が鳴いている。「キチ、キチ、キチ」変な蝉。昼過ぎ、プール帰りの小学生の男の子と母親が道路を通りかかった。窓は開け放してある。蝉の鳴き声の向こうに親子の話し声は聞こえる。「あれ、変な蝉が鳴いてる」お母さんが言った。「あれこれキチキチ蝉っていうんだよ。珍しいね。この辺にはいないはずだけどな」息子が言った。「へ？キチキチ蝉？」私は聞き耳を立てる。「あ、あの木のあそこにいる」男の子が指さした。そこは杏の木のかなり低い位置だ。数分後、親子が去った後、私はそっと庭に出て蝉を見た。まだ同じ位置で、同じ鳴き方をしていた。急いでインターネットで調べる。キチキチゼミ？あれ、無いね。チッチゼミは有る。でも鳴き方は全然違う。おかしいな。もう一度庭に出てみる。まだそこにいた蝉は、まだキチキチと朝と同じに鳴いている。姿は普通のヒグラシだ。おい、キチキチゼミ、君は一体全体何者だ？結局彼（？）はどっとゲリラ豪雨が来るまで我が庭で「キチキチキチ」と泣いていた。

  August 26, 2011

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  夏休みボケ

  ということで、山の家から戻って来たが、なかなか生活のリズムが戻らない。すっかりちやほやされて楽しんだ母をホスピス（どうやらホスピスと老人ホームと間違えているんじゃないかと思える節もあるが・・）から引き取り、山の家から帰って来た。案の定あちらが涼しかった時はこちらも涼しかった。帰ってきたらやたら暑さが身に応える。何とか毎日の家事と母のために出入りして介護してくださる方たちの応対をこなして、あとは冷蔵庫の前を行ったり来たりして冷たいものを探す毎日。山小屋生活を懐かしんで写真だけＵＰしておこう。　　　　　　　　　中央アルプス駒ヶ岳ロープーウェイと霧の千畳敷、チングルマの落花後の花弁達。これはこれできれい。　　清泉寮は今日もソフトクリームへの長い列。もちろん待てない人がいるからお土産だけ買って、さっさと退散。牧場通り。「は、早く！もっと近く！」怖くて近寄れない男の子と食べたくて口が伸びきってしまったロバ。結局このロバ、男の子が逃げてしまって、人参にはりつけなかった。そしてお決まりの清里マチスのマンゴープリン。

  August 25, 2011

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  ダウン

  ロンドンの娘が体調を崩してダウンしたらしい。心配していたらどうやら今日は復活したとツイッターでつぶやいていた。暴動に巻き込まれる心配もあるし・・・。次女がロンドンにいた時は地下鉄テロだった、怖いなあ。そんなんでオリンピック出来るんだろうか。先週の事。夜、強い風が吹いた次の朝、和室の雨戸を開けると、いつになく明るい。え！え？私の愛すべきゴウヤのグリーンカーテンはどこ？網とその網を吊っている棒ごとグリーンカーテンは地面に落下していた。雨戸のシャッターの傘部分にマグネットで止めたフックに吊り下げてあるだけだから、どうやら巻きつくものの重さに耐えかねたようだ。持ち上げて復活させようと試みるが、キュウリやゴーヤやトマトまでが絡みついて地球の重力に従っているから、全然持ち上がらない。仕方なく、キュウリの蔓をを切り捨てる。２５本のきゅうりを食べたからもういいだろう。愛着もあるがスパッと切り捨てた。きゅうりは３本のピクルスサイズの子供を残していた。それをそっと採って冷蔵庫の中のピクルス瓶に入れる。姿の良いピクルスが出来ることだろう。トマトには新しい棒を立てて添わせる。後に残ったのはゴーヤのみ。ゴーヤの蔓も上まで行ってまた戻って来ている。Belgische_Pralinesさん、グリーンカーテンは下から這い上がるものだと言ったけど、ごめんなさい。途中から折り返して上から降りてくる蔓も有りました。ただいまゴーヤは大きいのが３本。寝室の前のグリーンカーテンには小さいのがたぶん１２，３本。写真は昨夜咲いたお待ちかねの月下美人。明日から母をホスピスのショートステェイに預けて、ちょっと山の家に行って来ます。避暑に行くんだから、こっちが涼しくなっちゃいませんようになんて、意地悪なことを考える。だって、いつも山の家に行く頃は関東も涼しいんだから。つまらない。

  August 15, 2011

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  夏が来れば思い出す♪

  夏が来れば思い出す。フランス人のジルダとフロリアンが我が家にいた夏休み。「国に帰ったら残りの夏休み何するの」との私の問いに、「ビーチに行ってガールハント！」と答えていた。ロリアンヌが帰る時、同じ質問をしてみた。答えは「ビーチに行ってボーイハント」分かり切ってはいたけれど、フランソワーズレネにも同じ質問をぶつけてみた。「ビーチに行って・・・・」君らはそれしかやることないのか！と心の中で思ったものだ。フランスはブルターニュ地方に小さな港町が有る。町の名前はブレスト。その町から我が家にホームステェイした高校生たちは７人。最初にやって来たのはジルダとフローリアンの凸凹コンビ。２人一緒にやって来た。柔道の交流のために。まだ中学生だった。彼らが帰国した日に彼らが使ったベットを見たら、きちんとベットメーキングした枕の上にちょこんとブレストの名入りの帽子が２つ置いてあった。次にやって来たのが交換学生の高校生、美人のロリアンヌ。その頃流行っていたピチピチのＴシャツでおへそ丸出しにぶったまげた私。フォーマルな服装でと書いてあるセレモニーにその格好で出かけて、２度びっくり。彼女が帰るとき言った。来年は超ハンサムな子が来るよ。お母さん受け入れてやって。そう、ブレストから来る子は、前年我が市の交換学生を受け入れた子が来ることが出来るシステム。だから、次の年に誰が来るかわかっているのだ。そして次の年、リクエスト通りやって来たのはロリアンヌの言葉通りハンサムなピエール。英語が苦手なブレストからの交換学生の中にあって、彼は英語が上手だった。ロマンチストな彼。彼が帰った後、部屋を片付けようと入ると、ベットの上にはブルターニュの地図と何枚かのブレストとパリの絵葉書。その真ん中にはハートの形のガレットの缶が置いて有った。今度はあなたがフランスにおいでとでも言う様に。もちろん置手紙も。いやはや、感動してしまった私は１週間その部屋を片付ける気にはならなかったので有った。次にやって来たのはシンディー。時差ボケでご飯が食べられず、お皿の上でフォークでおかずをかき混ぜていたっけ。ちゃんとフォーマルなドレスを用意して来て、心配していたパーティの席でも安心だった。「来年は弟が来るからね」そう言い残して帰って行った。もう、交換学生の受け入れはそろそろ卒業かな、と思っていたけれど、そう言われちゃやらない訳にはいかない。次の年、フランソワーズレネがやって来た。勉強家で将来は軍人になるんだと言っていた。最後はステベン。フランスで知り合った、日本人の彼女がいて、独学で勉強した日本語で滞在中ずっと通した。勉強になるから「全部日本語でお願いします」と宣言した彼。いまだにメールはすべてローマ字を使った日本語で書いてくれる。ペットのウサギのジビエは元気かな。そこで私の市の交換学生の受け入れは卒業した。その後自費で我が家にもう一度やって来たのはジルダとピエールとステベン。もちろん全員といまだに細々とあるいは頻繁にfacebookやら、E-mailやら、チャットでコンタクトは取り続けている。ピエールは医者の卵で、シンディはついこの間お母さんになった。フランソワーズレネは軍服の写真だったからやっぱり軍人になったんだろう。ジルダはイギリスや観光船でアルバイトをしながら今は世界的に有名な会社の社員になった。フロリアンはスポーツ整体師。ロリアンヌは弁護士を目指す。ステベンはパリで働いている。彼らはわたしにフランスにおいでと言ってくれる。いつの日かお祭りには世界の帆船が集結するというその港街に行って見たいなと思う。夏が来れば思い出す♪。遙かなブレスト。遠い空♪。

  August 10, 2011

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  氷　その参

  土曜日の朝、ロンドンの娘と東京の次女と夫も仲間に入れてスカイプをしていると、長女が、「なんか周りがうるさい」という。「あれは我が家の蝉。ミンミンはお隣の蝉」居間の戸もキッチンの戸も開けてあるから、蝉がわんわん鳴いているのがロンドンまで聞こえたのだ。ロンドンは寒くて蝉も鳴かないんだそうだ。日本は毎日暑い。蝉も鳴き急いでいる。さて今日のお題、「氷　その参」は実は「その壱とその弐」の前に書く予定だった。だから１番最初に食べた氷の話。コメダより前に。コメダに最初に行って氷が無いと思い込んだ後、優しい私は夫のために氷の旗を探して歩いたのだった。灯台元暮らし。歩いて買い物に行く丘の上の我が街のスーパーの真ん前にその旗は揺らいでいた。そう、風鈴のぶら下がったジャカランダの木のあるお宅の隣の隣。知的障害者の働くお店。「こんにちは」声をかけて店に入ると、女性と男性、２人の青年が一生懸命箒と塵取りを持って掃除をしていた。男性の方が「来たよ来た」と厨房に声をかけると、奥から年配の女性が２人に向かって「お客様だから掃除はやめにしましょう」と言っているのが聞こえる。姿は見えない。箒を片付けた２人、厨房の前に整列して「いらっしゃいませ」男性は腰の辺りで肘を曲げ握ったこぶしを引いて「よっしゃ」とでもいうように小さく気合を入れた。それからおもむろに私の前に水を運んで来た。「何にしますか」女性の方がわたしに注文を聞く。「氷ください。なにが出来ますか」　彼女、厨房に聞きに行く。「メロンとイチゴです」「じゃあ、イチゴください」出て来た氷を食べていると、青年の方が伝票を書くためまた厨房に声を掛けた。「氷はいくら？」奥から「１５０円」の答え。青年は私の前に来て、ちょっと首をかしげる。そして私に問うた。「１５０円？１５０円かな」私は答える「１５０円です」奥の声が聞こえていたもの。ここでの時間はゆっくり流れる。私は知っている。その流れる時間のスピードを。以前何年か、障害者の作業所でボランティアをしたことがあるから。氷を食べて店を出た時、私はにんまりと笑った。氷もおいしかった。応対も気持ち良かった。ゆったりと待つ時間の流れも久しぶりで心地良かった。自動ドアを背にして立つ、後ろを振り向かなくてもわかる。きっと彼はさっきしたようにガッツポーズをしている事だろう。ちゃんと仕事をし終えた達成感のガッツポーズを。写真は丘の上から見下ろす海辺の花火大会。今宵はなぜかシーサーも花火を見ている。

  August 8, 2011

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  氷　その弐

  日曜日の今日。朝から２人で良く働いた。夫は庭のベンチを日曜大工で作った。私は物置にたくさん余っていたペンキを整理ついでに消費するため、ウッドデッキに重ね塗り。ペンキが乾くまでウッドデッキでのお茶は出来ない。真夏の太陽がかんかんと照りつける本格的な夏。部屋の中は蒸し暑い。「氷食べに行こうか」夫が言った。「昨日行ったじゃない。２連荘だよ。おかしいんじゃないの？」私が答える。実は土曜日にコメダにかき氷が有ることを告げ、さっそく２人で行ったばかりなのである。「君の方が？３連荘だよ。」逆襲。そうだった。金曜日もコメダへの下見のついでに宇宙船のような、宇治金時氷を食べたのだった。かんかん照りの昼下がり、２人で丘を降りる。金曜日に私一人で食べたのは宇治金時。きのうの土曜日２人が食べたのは練乳イチゴ。さて、本日食べた氷は？寝室の前のゴーヤの大量生産のグリーンカーテンに比べ、和室の前のグリーンカーテンのゴーヤは成績が悪い。変わって、たった１本でグリーンカーテンに割り込み参加しているきゅうりの収穫はもう２０本を優に超えている。今朝も夫が２本採った。昼に氷を食べて帰ってから畳に座って何気なく覗くと、下の方に３０cm近くあるきゅうりがぶら下がっているじゃないか。「心が暗いと見えないのよね」と冗談を言って収穫。１０分後。夫が「どこに目が付いているんだろうね。」そう嘯く手の中に私が収穫したのより巨大なきゅうりが有った。「こんな大きなのを忘れられていて、きゅうりの木も重かっただろうね」夫がつぶやいた。ものさしは３０cm。もちろん私の収穫物は小さい方。

  August 7, 2011

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  氷　その壱

  夫は氷が大好き。ロックアイスじゃ無くて、かき氷の方。夏になると必ず、食べに行こうよと誘う。昔はかき氷なんてどこにも有った。ゆらゆら揺れる「氷」と書いた白地に青いおなじみの旗がどこの喫茶店にもレストランにも有った。ＯＬだった若かりし頃は中部地方の大都会のそれもど真ん中で、会社の昼休みにしゃれたレストランに「フラッペ」を食べに行ったものだ。フラッペと氷同じだよね。ピエールが我が家にいた時、聞いてみた。ブルターニュから来た彼、「フラッペ」を知らなかった。それとも発音が悪かったかな。脱線。もとい！今じゃ、氷の旗を探すのは大変だ。夏はしゅわっと冷たい、頭がカチンとするような氷が食べたい。エクセルシオーネのフローズンマンゴーじゃだめ。タリーズのアサイのスワークルでもだめ。マックのマックシェイクでも代用できない。ある日の日曜日、夫に「氷食べに行こう」と誘われた。「コメダ」去年、氷の旗がぶら下がっていてすごく大盛りのかき氷を食べたことを覚えていたのだ。しかし今年は、コメダの店頭でメニューを見るも氷がない。２人でがっかりして帰って来た。そして今日あまりにもたくさん歩いて喉が渇いたのでパフェでも食べようと、コメダに寄り道。なんとなんと、氷のメニューが有るではないか。しかも去年とまったくそのスタイルが変化していた。すごい！金色のボールにまあるく盛られたこれは宇宙船？我が家族が唯一登山出来る、野辺山に有る飯盛山かと思うようなまん丸。ちょこっとスプーンで突いて、飛んで行かないか確認してから、征服しに執りかかる。なかなか手ごわい。氷って食べているうちに溶けて色の付いたシロップの海がだんだん深くなっていくのに、五合目（正確には半分。縦に食べているから）まで制覇したのに、そのスタイルが一向に変わらない。色も滲みて行かない。なんだつまらない。そしてついに徹底抗戦したのであった。そう、全部崩して、カシャカシャとかき混ぜて、昔のかき氷のように積み上げて、それからおもむろに食べる。氷はこうでなくちゃ。ズキンと頭が痛くなって。脊髄のどこかでパキンと音がした。

  August 5, 2011

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  ジャカランタ

  あの震災以来、いつも遠くの大きなスーパーに車で買い物に行っていた私が、我が家のある丘の上の品揃えこそ悪いがそれなりの小さなスーパーに歩いていくことが多くなった。生活を見つめ直したのは何も若者だけではない。それに１つ、そこに行く楽しみも見出した。そのスーパーの前に有る１軒の家の庭にジャカランタの木を発見してから。まだ木が小さいから花は咲いていない。南国の花だからはたして咲くかどうかもわからない。でも、木が大きくなるのを気長に待てば花も咲くだろう。現に電車で４駅先の町の、歯科大学の庭に花を付けているジャカランタを３本、私は発見している。それは天国に咲く花。私の中では天国の花は沙羅双樹でも蓮でもなく、ジャカランタなのである。ブータンの冬の都プナカで、川の中州に満開のジャカランタの紫の中に埋め尽くされるように聳え立つプナカゾンを川岸から息をのんで望んだ時から。今日もジャカランタの脇を通って買い物に行った。ちりんちりりん、ジャカランタから天国の鈴の音が聞こえたような気がしてふと見ると、青い透き通ったガラスの風鈴がジャカランタの小枝に結わえ付けられていた。ちりんちりりん、花が咲くまであと何年だろう。それまでのお楽しみはその風鈴。

  August 1, 2011

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  日曜日の朝

  空模様がパッとしない日曜日の朝、それでも晴れ間を狙って夫と散歩に出た。久しぶりに光の丘に。丘に向かってトンネルを抜けると、野菜売りのおばさんが畑の横で店開きの準備をしている。今日は何が有るかな。帰りに寄ろうと横目で通り過ぎる。坂道が緩やかになるとそこは光の丘。芝生の広場を中心に起伏のある丘のあちこちにビルが点在する。それぞれのビルの外壁には日本人なら、いや、外国人でも誰もが知っている通信関係のいくつかの日本のビッグネームが書かれている。日曜日、ブラインドが下ろされたカフェ「ローズテリア」の角を右手に曲がる。ほどなくビオトープの小川。英語で言えばBrookかないやもっと小さいか。１０センチほどの小さな魚が私たちの足音で流れの中に置かれた土管のトンネルに隠れる。ビオトープの脇には半夏生の群生。水辺の公園には蒲が穂を付け、池の面に河骨や睡蓮。　　風がささーっと吹いて来て、見上げる木からピンクの合歓の花びらを送ってよこした。池を周遊するとそこにはカルガモの家族が食事時間を知っていて集まって来ている。　今日は日曜日、風もゆったり流れて、私たちの歩みもつられてゆっくりになる。再び丘の中心に戻ると、バスがやって来た。そしてバスが止まる。半袖ワイシャツやアロハシャツを来た会社員達が列をなして降りるとそのまま、三々五々それぞれのビルに吸い込まれて行った。そして次々とバスがやってくる。２分と間をおかず、満員のバスがどんどんやって来て、人々を吐き出す。ラッシュアワー。時刻はちょうど９時。いつもの年と違った日曜日の風景。節電の夏の節電スケジュールの出勤風景。歩いているほんの１０分ぐらいの間に１０台もバスを見ただろうか。まだまだやって来る。そして、企業戦士達が皆ビルに吸い込まれた後は、虫たちの時間。蝉や蝶々や紙切り虫の時間。

  July 31, 2011

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  負け犬の遠吠え。

  今年の初めに行ったあることで、税金の支払い請求が来た。そんなの聞いてない。県税事務所に問い合わせたら、親切にも、もう１つあることをするとそれは減免になるんだそうだ。そんなこと誰も教えてくれなかった。では、その「もう１つ」を司法書士の手を借りず自分でやってみようと取りかかる。以下は私の先週からの行動だ。まず、１回目、法務局にそのやり方を相談に行った。　　　　　　　対応したのは年配のおばさん。　　　　　　　「自分でやるつもりなのね。これとこれと種類作って持ってらっしゃい。　　　　　　　　提出前に見てあげるから、必要なものすべて揃えて必ず持ってくる　　　　　　　　ように」　　　　　　　１０ｍ上からの目線。　　　　　　　仕方がない、こちらはド素人。　　　　　　　肩を落としてすごすごと帰る。　　　　　　書類作成。実は我が家、土地の買い足し、増築、新築を繰り返している。　　　　　　　　権利書や登録識別情報がやたら動いていてさっぱりわからない。　　　　　　　　ややこしや～、ややこしや～。←（野村万歳の狂言じゃないよ）　　　　　　　　今度行ったら、ついでにこれも聞いちゃおう。　　　２回目、また前回のおばさん対応。　　　　　　　持参した書類を見るなり怒られる。番地がこんな表記じゃないでしょ。　　　　　　　建物の記載の仕方は課税評価書とは違うんだからね。書き直し。　　　　　　　忘れるから今、メモして。自分で。他のいらない書類は間違えるから　　　　　　　さっさと仕舞って、１番で登記簿取ってまたいらっしゃい」　　　　　　　　　　　　　　「あの、まだ、ややこしや～の質問が・・・」　　　　　　　「それは今、関係ない！」　　　　　　　100mぐらい上から目線で迫られ、すっかり自信を無くして帰って来た。　　　３回目、おばちゃんの言う通り、書類を直してまたまた出直し。　　　　　　　「あ、しめた！、今日は隣のおじさんだ。ラッキー」　　　　　　　と思ったのもつかの間、　　　　　　　「この箇所とこの箇所、こんな表記じゃだめだよ」　　　　　　　「あのう・・。お隣に座っている相談員の方に聞いた通り作ったんです」　　　　　　　　　　　　　　　「とりあえず、ここと、ここ手書きで直していいから、印鑑押して」　　　　　　　　　　　　　　　　私の発言は完全無視された。　　　　　　　　手書きで良いって、そんなんでいいの？あんなにうるさく言われたのに。　　　　　　　そして、今日も「ややこしや～」の質問は出来ずにすごすごと帰って来た。　　　　　　　当然、本題の仕事はクリヤーしたのではあるが、なんか釈然としない。　　　　　　　まるでしっぽを巻いてすごすごと引き返す負け犬の心境。　　　すっきりしないので、以前登記を頼んだ司法書士に電話で「ややこしや～」の質問をす　　　る。　　　物の５分とかからないで、彼は私が納得するようにきちんと説明してくれた。　　　　　　しかも丁寧な口調で、親切に、わかりやすく。　　　お役所と民間の違いはこうも違うものか。　　　わたしだって、馬鹿じゃなかった。ちゃんと説明してくれれば「ややこしや～」だって　　　理解できるのだ。　　　負け犬はブログで、届かない遠吠えをする。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

  July 29, 2011

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  ライチはランブータン？

  アメリカでの結婚式を終えて日本に帰って来たカイルくんとミホコさんが日曜日、我が家にやって来た。そうだ、せっかくだからカイル君が我が家にステェイしていた時からの友人であり、今は品川で働いているフィリピン人のエミルさん一家を、カイル君には内緒でサプライズゲストとして来てもらい、一緒にお祝いしてあげようと声をかけた。何年も前のある日の夕食、我が家で出会った２人、ホームステェイの学生と日本語の生徒。本当ならこの日本で、出会うことがなかった２人だが、ハロウィーンの準備やイベントに連れて行くうち、仲良くなった。その後も互いに国に帰ったり、来日したりを繰り返ししている間もメールで友情を繋いでいたようだから、サプライズゲストにはもってこいだろう。先に到着したカイル君に「サプライズゲストも来るよ。誰だろうね」と告げた。彼は間髪入れず、「エミル」と答えるじゃないか。なんだ、どうして知ってるの。どうやらエミルさんがメールかfacebookで喋っちゃったらしい。残念。そうこうするうちに、エミルさんも奥さんのアンさんと４歳になったフランセスカちゃんを連れて来た。去年のハロウィーン以来だ。最初ははにかんでいたフランセスカちゃん、カイルと遊んでいるうちに「ぎゃはは」と大笑いしてすっかりリラックスして楽しんでいる。どこかでいつかもこんな光景が・・・・そうだ、カイル君が我が家にいた時、夫の会社の後輩が連れて来た幼稚園生だったシュウヘイ君と遊んでくれ、カイル君が日本語の「うん、うん」しか話さないのに、すっかり懐いて、帰るのが嫌だと泣いてしまったんだった。日曜日もすべて英語で押し通すカイル君。それでも両親との英語とタガログ語、幼稚園での日本語を理解するフランセスカちゃんだから、全然問題なく夢中になって遊んでいる。本当に子どもが好きなんだな。英会話教室で子供のクラスもあるという彼、きっとうまくやっているに違いないと納得。　　　しかし、写真の中、犬のぬいぐるみの上にナルニアのリープチープを載せたのは誰？そしてまた納得いくまでタルトを作り続ける我が家のシェフ。写真は　by　エミルあ、タイトル。ケーキの後、中華街で夫が買って来た生のライチを食べている時、カイル君が「初めて見る」と言った。エミルさんも「初めて」と言った。横でアンさんが、「フィリピンに有ります」エミルさんが嘯く、「ランブータンは有るよ。名前が違うけど、同じだよ」そうかなあ、ランブータンは食べたことないけれど、同じじゃないと思うよ。

  July 24, 2011

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