螺旋階段。
一体どこまで続いているんだろう。上を見上げながら私は、ふぅと大きなため息をつく。どれくらいの間、私は歩き続けているのだろう。上れども上れども頂上は見えず、ただ無機質な階段が続いているばかり。彩のない壁。光を遮った閉鎖的な空間。それでも尚、何かに追い立てられるように私は上る。目的すら忘れてしまうくらいにただただ無心に上る。巻貝のようにそれは正確な円を描いている。戻ることは許されず、ただ上ることだけを誰かに強要される。両足の筋肉は疲弊し、悲鳴のような痙攣をおこす。汗が額を伝い、私の歩く道筋に跡を残す。もういいじゃないか。立ち止まってゆっくり休めばいいじゃないか。どこからともなく声が響く。私は上るのを一瞬やめ、声の主を探す。振り返っても上を向いても、そこには誰も居ない。たった一人私がそこに突っ立っているだけだ。今はゆっくり体を休めるべきだよ。疲れが収まったらまた上り始めればいいんだよ。私はおうおうと大声で泣く。狂ったように壁にこぶしを打ちつけながら叫ぶ。パパ・・・子供の声がして、私は辺りを見回す。不思議なことに、涙が一瞬のうちに止まった。なぜだかわからないが、私を呼ぶ子供の声がとても安らかに聞こえた。少し休もう。私はその場にしゃがみこんだ。そして膝を抱えて丸くなった。疲れが消え失せるまで、しばらく休もう。私はきっぱりと心に決めた。誰かを寂しい気持ちにさせるのはよそう。時にはその場所で、ゆっくりと周りから聞こえる声を聞いてみるのもいいかもしれない。たとえ景色が見えなくても、私には心の窓がある。心の窓さえ開けば、そこからは何でも見えるのだから。シャワーを顔に浴び、嫌なことやつらい気持ちを全て流してしまおうとした。明日からの新しい日々のために・・・人気blogランキングへ