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テーマ:仕事しごとシゴト(23738)
カテゴリ:おシゴト
前回更新した“エライこと”はさておき・・・
本番の前日8日夕方にフィレンツェ入りした本社担当者と顔合わせに行って来ました。 宿泊ホテルは5つ★+lussoの最高級ホテル 招待者も全てここに宿泊で、今回のイベント特別デスクも中に併設してあった。 最初に電話で話した時は、 “かなり難しい内容になりますが”とビビらせてくれたのに “すごく心配してるように思うんだけど、大丈夫よ、 記者会見で話すのは大まかな事だけで技術的に込み入った話はないから” ・・・て、心配させてくれたのは、アンタなんやけども・・・ と言われ、少し安心。しかし、もらっていた原稿は会見で配るリリースだけども 会見ではあくまでベースではあるけれども、それを読むわけではないことも 数日前に発覚 して、やはり気が気ではない。 記者会見本番。 会場はヴェッキオ宮殿からオルサンミケーレ教会最上階の旧穀物子庫に変更。 会見デスクにはマイクと飲み物が並び、その両脇には巨大スクリーン、 各国のカメラマンが慌しくスタンバイを始めている。 おお~TVとかドラマで見るシーンやないか・・・と小市民な私は動揺を隠せない。 後ろには私も入るブースが6つあり、まずはマイクや切り替えボタンの説明を受ける。 が、何となく話を聞いてると、最高経営者、フィレンツェ経済担当からの挨拶の後、 今回新製品の技術的説明をするのはフランス人となり、 また違うボタンを操作してフランス語→イタリア語の同時通訳を聞いて 更にそれを日本語に同時通訳しなくてはならないことに。 こういった同時通訳初体験なのに、ややしいことはやめてくれーーーーーー!!! まずは最高経営者の挨拶・・・今まで経験してきた通訳は1対1で私が間に入ってのもので 私が訳さないと当然前に進まないし、私のリズムも多少とらせてくれるところがあるんだけど 当然ながら記者会見のような1対超複数の同時多言語通訳になると、 全くノンストップで、私がつまろうが何しようが、どんどん前にいってしまう。 それでも、最高経営者の挨拶は全体的なことでかつ原稿に総部分もあったので何とか終了。 フィレンツェ市役所経済担当の挨拶は、全く下原稿なしだけど、 これも速さについてくのに必死だけど内容は難しくなかったので、何とか終了。 問題は、技術者の話・・・多くは語りませんが・・・撃沈 でした。 更に超撃沈は、質疑応答で、当然これは下原稿なしでかつ技術的な質問ばかりで・・・ 英語・フランス語の質問が多く、またしてもイタリア語同時通訳後に日本語同時通訳・・・だけど・・・ それ以前に・・・何を言ってるのか・・・頭が真っ白で・・・ いや、何かしゃべらなくちゃと必死になっても 唯一分かった単語を並べてるだけ・・・まともな日本語になってない・・・ていうか、 私も正直、自分が何をしゃべったか覚えてないくらい(大恥) 他に質問がなければ会見を終わりますっていうので、目が覚めて、全身の力が抜けた。 隣のブースの、ヴェネツィア映画祭での同時通訳もしてる中国人通訳の人も “技術者の話と質疑応答は半分も訳せなかった”と言ってたけど、私の訳はゼロに近い やばい・・・と思ったら、日本支社の担当の人が私に挨拶にやってくるではないか。 穴があったら入りたい・・・が、そんな穴もないし、隠れるわけにもいかず、挨拶の後、 “いや~こんな技術的な話に入った記者会見は初めてでしたよ~” それは、私の訳分からん(どころか沈黙がほとんど)訳のフォローなのか・・・ 情けなくなる 一時帰宅してから、夜の展示会へ向う送迎バスに乗る為、再びホテルへ。 そうすると、日本支社のマネージャーと担当者&翌日のインタビューをする記者の方がやってきた。 ここでも、穴があったら入りたい状態ながらも、ご挨拶を・・・が、向こうの第一声は “○○(私の名字)さん、通訳中、ウケてましたね~” ・・・!! あまりに凹んで覚えてなかったけど、最高経営者が冗談を交えて挨拶をしていて、 私も訳しながら何度か噴出してしまったのだった!!通訳としては、よろしくない・・・ “し、失礼しました・・・” あ~ホンマに穴があったら入りたい・・・ それでも、記者の人からは私の通訳は他の通訳者に比べて声の通りも良くて聞きやすく、 訳もまとまっていてとてもよかった!などとお褒めの言葉を頂く・・・が、 社交辞令だろうと恥ずかしさはまだ抜けず。 王家が厩舎として使っていた場所を利用した展示会は、 設営・ライトアップが素晴しく、3日間だけの開催にしてはすごい規模だった。 (翌日インタビュー内で、1週間会期を延長したことが判明したけど) ここでも記者の方から展示品などに書かれている事について質問があれば 訳さなければいけなかったけど、英語併記でもあったし、皆さん見る方に終始して 特に仕事らしい事もなく、私も展示会を楽しませてもらった。 その後招待者は夕食会、私は送迎バスの1台を借りて家まで送ってもらい1日目は終了。 1日目、一言で言うと、まさに撃沈。 通常こういう時、悔し涙を流してしまう私だけど、今回はなし。 っていうのも、下準備は私のできる120%やった自信はあったし、 いくら下準備したからってできた内容でないほどレベルがあまりにも高いものだったから。 唯一私が間違ったとするならば、無謀にもこの仕事を受けてしまった事くらい。 それでも、この経験がなければ、この業界においても、記者会見での同時通訳でも、 いつまでも“未経験”になっていまう・・・今経験を豊富に持つ一級の通訳さんでも “1回目”は必ずあったわけだし・・・と自分で自分を慰めてみる。 2日目は最高経営者と通信社1社、専門誌2誌のインタビュー。 皆さん揃って編集長! 会場はそのホテルの・・・最高スィートで1泊3000ユーロ(45万円?)の部屋! 部屋にはあらゆる飲み物とグラスが並んだカウンターに、 その隣のおしゃれなミニテーブルにはパスティッチーニ(小さなケーキ)がズラリ。 そこに、タキシードを着た給士係のおじさんがキリっと立っている。 この自分とは場違いな状況にややうろたえ気味のはたまた小市民な私 9時スタートのはずが、最高経営者がお疲れで30分遅れのうえ、 さらに遅れて通信社の方のロングインタビューは1時間予定が30分ほど、 2誌の編集長さんは聞く内容がほぼ同じだからと合同で。 1日目の撃沈で盛り返さないとという気持ちもあるけど、開き直った感じに近く、 記者さんたちも待ち時間に下書きした質問内容を見せてくれたので、助けられたのもあり、 緊張を必死で隠しながら、冷静に努めて割合スムーズにいけた(と思う) ただ貫禄ある最高経営者の方に、“質問がよく分からないんだけど?”と 2,3回聞き返された時は、ヤ、ヤバイ・・・ とひるんだが、 動揺を見せては格好悪いので、冷静に言葉を変えて繰り返した。 インタビュー終了後、最高経営者は私に、キミ、フィレンツェに住んでるの?ふ~ん、 で、通訳してるんだ・・・BRAVA!と、ケーキをほうばりながら言われたんだけど これはそのまま受け取っていいのか、適当な場つなぎ的おしゃべりなのか不明。 2日目、自分では1日目の大恥をやや挽回できたかな?と思ったけど 日本支社の方と記者の方からは大好評で、ミラノの担当者にもそれを話してくれ ミラノ本社から以後またお願いするとも、日本支社企画で何かあるときも、 記者の方でもこのメーカー以外でもイタリアものがあるときはぜひ!と言って頂けた。 正直、他の日本人通訳さんを見た・聞いた事がないから自分のレベルが いかなるものなのか?というのは全くもって不明だし、まだ聞き返されたり、 自分でも語彙の少なさや、訳しながら文法的におかしいと気付きながらも そのまま話し続けたり冷や汗ものの場面も多くあるし・・・ しかし、優秀な通訳とは?優秀な通訳になるには何が必要?と考えた時、 語学的に完璧であるという事はもちろんだけど、それだけではないはず。 今回、“今すぐ原稿におこしたい、そんなライブ感が伝わってきました。”と ある記者の方から褒めて頂いてすごく嬉しかったんだけど、 私の通訳としての長所はそこにあるのかな?とも思ったりした。 それでも、怒涛の2日間を終えての一言は、やっぱりまだまだ難しいことは山ほどある。 何が難しいと言うと、以前新聞記者のインタビューの通訳の時にも書いたけど、 “正しい日本語”を話すのが、本当に難しい。 それは、適した単語と、正しい文章、なめらかな話し方、などなど、 それがかつ“瞬時”に出なくてはいけないのが、これまた難しい・・・ 日本人なのにおかしい気もするが、普段日本語はマニーノに話すだけだし、 イタリア語の意味は理解できてても日本語がでてこないんやなぁ~・・・ あと、こういった完全同時通訳の場合、日本語はかなり不利ということを再認識。 というのも、欧米のほかの言語なら基本的に主語、述語という文の構成が同じだから 順次置き換えていくだけで良いんだろうけど、日本語の場合、動詞が最後なので 最後まで文章を聞かないと・・・それが長い文章になると、文の内容を全て覚えながら かつそれをタイミング良い箇所で訳していかなくてはいけない。 じゃないと、収集がつかないうちに、どんどん前に進んでいってしまう・・・ ・・・で、最終的に沈黙続き→撃沈になるわけですなぁ・・・ こればっかりは、もう経験を積んで慣れていくしかないんだろうけれど。 あるいは、TV見ながら通訳の実践練習とかするか・・・ ともあれ、撃沈あり収穫もありの怒涛の2日間、 最終的には次につながる形で終えることが出来ました。 あとは日本行きを待つばかり! ↑ まだまだ経験を積まねば!・・・ぽちっと応援よろしく♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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