五月の森はサンセール

冬樹(ふゆき)・純米吟醸生原酒　2009年2月上槽

●蔵元:福乃友酒造　秋田県大仙市神宮寺
●原料米:秋田県産キヨニシキ100%　●精米歩合:55%　●酵母:協会7号
●日本酒度:-2　●酸度:2.3　●アミノ酸度:1.1　●アルコール分:17度
●お値段:720ml/1,600円　1.8L/3,280円

毎年冬樹を搾るタイミングに合わせて蔵元に行ってましたが、今年の仕込みは例年より一ヶ月早かったようで都合が合わずに行きそびれてしまいました。良くも悪くも工業製品のようには行かないところが日本酒の世界ですから仕方ありませんね。

ところで以前はパソコンで“ふゆき”で変換して“冬樹”と出る事はありませんでしたが、今は一発で変換出来るようになったから冬樹も有名になったもんですね(そうなのか?)。これって、私のパソコンだけがそうなんでしょうか?

一昨年から蔵人が一新して、昔からの冬樹ファンのお客さんから「味が変わったねー。」とよく言われますが、造っている人が違うんだから変わって当たり前なんです。料理だって同じ作り方をしたとしても人によって微妙に違いますよね。

たしかに昔と味わいの路線は変わっていますが、酒としては十分に美味しく仕上がっています。“酒米の王者『山田錦』に一般米キヨニシキで挑戦”をテーマに21年目。『一星スピリット』は昔よりも輝きを増して瓶の中に活き活きと詰め込まれています。ところでこの“一般米”であるはずのキヨニシキも年々生産する農家の方が減っていて今じゃほとんど作られていなそうですから、一般どころか“幻”になりつつある米のようです。

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ちなみにこの冬樹には二種類あって、昔ながらのキヨニシキで造られたのは画像の緑の文字で、それ以外の米で（年によって違います）造られたものは青い文字のラベルなんです。どちらが良いのかは意見が分かれるところでしょうが、錦本店では今も昔も最初からずっとこの緑のラベルを販売しています。

でっ、能書きはともかく今年の出来はと言いますと、ごくごくほのかに吟醸香。味わいは甘口タイプながら豊かな酸が全体をピシッと引き締めています。そしてこの酸が食欲をかき立ててくれて肉料理が欲しくなる純米酒です。

昨日から普通の生活に戻りましたが、カツオのタタキにも良く合いましたよ。酸度2.3は一般的に言ってかなり高い方で、人によっては「酸っぱい」と感じられかも知れません。でもワイン好きの私にとってはそれくらい屁の河童。じぇんじぇん平気と言うより、むしろその方が美味しくさえ感じられてしまいます。ジューシーな味わいで、四合瓶を美味しく一本呑んじゃったもんねー♪

それにしても21年間も売れ続けている商品って、日本酒じゃなくても凄い事じゃないでしょうか？21年前に世の中に出回っていたあらゆる商品の中で、今でも売れ続けている商品ってそんなに無いような気がしますが、冬樹はその意味では清酒業界の『コカ・コーラ』または『カルピス』ですね（笑）。売れ続けている秘訣は美味い酒であるのはもちろんの事、全ての瓶に一星さんの想いを込めた手書きのメッセージがついていて造り手の顔が見えるからなのかも知れません。

蔵人を一新して二年目の福乃友。そして今年の冬樹を是非お試し下さい。

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