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人間仁科のブログ・八重山見聞録外伝

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2008.03.04
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カテゴリ:島ネタ
この冬、石垣島では一ヵ月間の総日照時間が4時間あまりということがあった。来る日も来る日も雨と北風だったわけだ。夏の間に焼けた肌はどんどん白くなり、なんだか陰鬱な空ばかり見上げていた低調な冬だったわけであるが、石垣島商業界にもたいそう冷たい風が吹きすさぶ冬となったそうだ。雑貨屋もアパレルもマリン関連も民宿も、そして不況には強い筈の飲食業界にして例年の三割減との話である。

75万人→72万人
上の数字は、一昨年から昨年度への観光客数の変化を表している。こちらのローカル紙によれば昨年は本土復帰以来初めて観光客数が前年度を下回ったそうだ。数字の上では、たかが4%減。当たり前に考えれば各業界とも激震が走るほどの減少数ではないだろう。一昨年100万円あった売り上げが昨年96万円となるだけのことだ。

だが、実際はそうイージーではない。
イージーに行かない理由は幾つかあり、一番の問題は三万人減の内訳である。

石垣島へ訪れる観光客は皆一様なわけもなく、バックパッカー型の個人旅行者から数名の小グループ、二世代三世代が一緒の家族旅行、中小の慰安旅行、パックツアーを組む団体旅行、大口となる100名以上の修学旅行まで観光の形態も多岐に渡っている。

団体さんや大口の顧客と言うのは本土の大手旅行代理店などがその優秀なる営業力をもって石垣島へ断続的に送り込んでくるわけで、毎年右肩あがりの観光客層であり、彼らは基本的に宿泊先のホテルで飯を食い、バスで島を回り、添乗員さんの案内でみやげ屋へと入る。つまり旅行代理店から配られた旅程表以外の場所ではほとんどお金を使わない。ま、すずめの涙ほどの自由時間に巷間噂にのぼる飲食店へと赴いたり、友人知人からどうしてもと頼まれた特産品を買いに一人歩きすることもないことはないだろうが、そこで使う金額などはたかが知れている。

一方、個人客や小グループの観光客は移動範囲が広く、行動パターンも多種多様である。宿泊先ではほとんど飯を食わずもっぱらガイドブックやネットで調べ上げた店々を渡り歩き、飯を食い、スイーツを探し求め、海にもぐり、船に乗り、Tシャツやら雑貨やら民芸品をこれでもかと買い込んでいく。つまり行った先々で浪費しまくるのである。

三万人減がどこの観光客層に生じたのかは、もう言うまでもないだろう。
個人や小グループだけが減ったのである。更に言えばその観光客層の減少数は実際には三万人どころではない。

何故か?

団体やパックツアー客は若干ながら増えているのである。業界の人たちの話から推計すれば少なくとも一万人以上は増えている筈で、おそらくはそれ以上。それで全体が三万減っているのだから個人・小グループが壊滅的に減少しているのは明白なる事実である。更に言えば推計4~5万人の個人・小グループが減少するにしても一年を通して平均的に減って累積での4万、5万なら痛手も薄れるが、やはり夏場はそれなりに好況であるから、結果、減少は冬期だけの一時期に集中的に起こり、ダメージの大きさは今や瀕死を招きかねないほどになっている。おそらくは次の冬、石垣島界隈では倒産や閉店が連鎖的に起こるのではなかろうか。個人客減少の流れは容易く変わらないだろう。私はこの冬、そう感じたのである。

ここ三十年余り石垣島および八重山観光は上げ幅に高低はあっても概ね右肩上がりだった。これまでは【ありもん】だけでやってこれた。ありもんとはつまり海であり空であり人であるわけだが、ありもんは今や食い荒され、汚れまくり、その魅力は完全に右肩下がりである。それでも行政は無策無能の極みであり、本土の大手企業が大きな箱を建てつづけるのを黙って見過ごし、飛行機と船の運行便数が増えるのを奨励する程度のことしかやってこなかった。人気テレビ番組の舞台となっている間が頂点だったのである。テレビ番組が終わってしまえばあとは下るばかりか。

今、島を作り直さなければ観光でこの先もやっていくのは無理なのではないだろうか。観光で食う道を捨てるという選択肢もあるとは思う。それならそれで私はいいと思う。賛成である。しかし本気で観光を捨てられる人がどれだけいるのだろう。公共工事に頼れない現在、観光がなくなれば石垣島・八重山に残るであろう勢いある産業は畜産だけである。つまり牛だけだ。ま、パインやマンゴーなんかも売れてるが観光が衰退すればそれらも運命を共にする気がするのである。ほら、やっぱり牛だけしか残らない。まずいよな。







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Last updated  2008.03.05 08:36:19
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