カテゴリ:島ネタ
イスラム原理主義とかキリスト教原理主義なんて言葉はたいていの人が聞いたことがあるだろうし、そのうちの何割かの人は原理主義の意味も知っていることと存ずる。
しかし先輩原理主義はほとんどの人が知らない筈である。何故なら私が今これを書きながら捻り出した言葉であるのだから。 誰が考えたかは別にして先輩原理主義とは実に面倒である。例えば、お世話になった先輩を慰労するって名目なんかで後輩が酒席を用意する。焼肉屋である。支払いは勿論全額後輩である。上等な霜降りの部位が盛られた大皿を何皿も喰らい、石垣牛の刺身だ寿司だステーキだ生(ビール)おかわりね、と飽食を尽くすまでは慰労だからOKだと思う。おそらく支払額は四名で四万円を軽く超えてるだろうが、ま、OKだ。慰労だから。 後輩も最初からそれぐらいの散財は覚悟の上の慰労会仕切りの筈である。 しかし、いただけないのは支払いではなくて『喋り』である。先輩は馬鹿でも先輩だから、先輩の全然大したことない経験をさもたいそうな事のように長々と語り、その半端な経験から導き出した軽佻浮薄な思想哲学を更に長い時間をかけてくどくどと喋り続ける。 最悪なのは、その喋りの長さやくどさではなくて先輩ご本人が自分の喋りのイケてなさにこれっぽっちも気付いていらっしゃらないと言うことに尽きるだろう。たとえば先輩は中学高校では蹴球で大した選手だったらしく、中年を迎えられた昨今では小学生チームのコーチ・指導・育成なども手掛けていらっしゃるからなのか人生の訓辞をすべてサッカーに結び付けて説明しようと試みるのであるが、これがさっぱりわからない話だったりする。 例えばこんな具合である。 「いいか。まだ若いおまえ(後輩)が自分の夢を追い求めたいって気持ちはよくわかる。ん!わかるよ!だがな、よく聞けよ。いいか、夢を追い求めるって事は一見格好よくみえるがな、追うって事は実はたいへんなことなんだよ。サッカーと一緒さ。ボールを追いかけようすると相手ディフェンダーが俺を止めようとしてスライディングするわけよ。わかるだろ、スライディング。で、俺は常にボールを視界の隅に置いたまま相手ディフェンダーのスライディングを交わしながらボールに向かって更にギアをあげる。すると、もう誰も俺について来られないんだ。わかるか?スライディングを交わしながらトップギアへ上げる。ぶっちぎる。人生もそう。な、わかるだろ?」 この手の物言い、どこにテーマがあって、何を言いたいのか微妙に判らない感じが私には無性に嫌なのである。いっそ全然意味不明なほうがアバンギャルドな感じがしてまだマシってもんであるが、先輩原理主義の夜はこんな話を聞かされることに延々と何時間も費やさねばならない。正味、時間の無駄だと思うのである。 それに後輩は更に最悪だ。四万円も使ってこんなミもフタもない話に深く深く頷き続けねば ならいないのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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