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カテゴリ:C級小説
久々のC級小説いってみます。
ボブ君、ブルース君に続いて、今回登場するのは~ な・ん・と・・リアルな外人さんです!名前はとりあえず アレックとでもしておきましょうか 映画館での思い出-手に汗握る時 思い起こせば、花より団子の18歳のNobubu。 楽しみといえば、部活(体操部)終了後の 友人達との買い食い! いつものように学校脇の何でも屋系の食品店で でっかい肉まんを買い、食べていた時に友人が呟いた。 そういえば雑誌にペンフレンド募集っていうのが のっていたけど、あんた、手紙だしてみたら? 別に興味ないし・・と即答するNobubuに、 友人が力説する。 友の話によるとどうやら外人さんと お友達になれるサークルみたいなものがあるらしい。 最初はペンフレンドから始めるということで、 英語の勉強にもなるし、自分は試すのが怖いが、 あんただったら、出来そうだということ。 横から見て楽しみたい、という魂胆が あからさまだったが、なんか面白いかも? とかなり前向き(単純)な性格の Nobubuは、とりあえず自己紹介文を サークル宛てに出してみた。 それから、しばらくして3人位の人から文通希望の 手紙が届いた。どれも全て英語。 早くも、後悔をしながら辞書と格闘し、 全ての人に返事を書いたのだが・・・ 文通を希望されたのにも関わらず、 お返事をくれたのは、そのうちの1人、 東京在住のカナダ人のアレックだけだった。 2ヶ月ほど文通をした後に、東京だし会おうよ。 ということになり、ためらいまじりに待ち合わせの 御茶ノ水へ・・・ それまで、不思議だが写真交換などしてはいなかった ので、どうやって識別するのか?とかすかな不安は あったものの、今とは違いその頃は、街にそれほど 外国人がうようよと、溢れている状態ではないので、 待ち合わせ場所に行けば、すぐに判るだろうと、 明るい予測で待ち合わせ場所へ・・・ 予想100%的中。一目瞭然。 軽めのブラウンの髪に長身、絵に描いたよな外人。 この街中で、ああいう人と一緒に歩いたら かなり目立つだろうな・・と向こうは判らないのを いいことに、躊躇しているNobubuだったが、 知らないそぶりで5メートルほど接近した時に 不覚にも、眼が合ってしまった。ばちっと。 思いのほか、優しい眼をしている。 歩み寄るアレック・・Are you Nobubu?と生の英語。 もうごまかせないと悟ったNobubuは、 イエ~スと即答。 しかし近くで見ると、笑顔が可愛い23歳の外人。 なんだかドキドキしながら、お茶の水らしく お茶会へ・・ 2、3時間お茶を濁していただろうか? 伝えたいことの10分の1も伝えられないまま。 そしてヒアリングが正しければ、近いうちにカナダに 一度戻るから、その後また会って欲しいみたい な事を言われたような気がした。 初めてのお茶会は成功。そして1ヶ月ほど後・・ カナダ土産につられ、待ち合わせの新宿へ この日の予定はどうやら、映画鑑賞のようだ。 しかし、ピュアな日本人Nobubuは甘かった~ まさか、またしても題名の思い出せない映画 になろうとは・・ 映画が始まった瞬間、手を握り締めるアレック。 えっ?と一瞬ひるんだNobubuだったが、 まあ、外人だからこんなもんか?と 半ば我慢したのだが・・それがいけなかった。 生療法は怪我のもと・・(使い方間違っているかも?) この状態が2時間ずっと続くとは・・ 予想外の長時間戦。 徐々に粘ついてくる手の中、そして気分は 加速度をつけてロマンチックからかけ離れていく。 あたしは、日本人だな。大日本人! 痛切に感じた瞬間。 どうやって、自然に手をほどこうか?という ことばかりを考えていたので、 映画の内容を覚えていない。 頭の中では色々な作戦が浮かんでは消える。 (例・・身体伸ばし作戦、くしゃみ作戦、 映画で泣いて、ハンカチを取り出す作戦などなど) どれも実行できぬまま、時間だけは過ぎる。 映画のストーリーも置いていかれたままに。 そして映画が終わった頃は、手の中は、 梅雨時と化していた。 映画自体も汗ばんだ黄色い色合いに変わって しまったかのようだった。 映画は、やっぱり友達と来よう・・と 強く感じたあの日。 アレック君とはその後会っていない。 映画の後、食事に誘われたが、 門限があるからといって、断った。 映画館での展開を考えると、先が怖いし。 すでに、アレックへの興味がレスザンゼロ っていう感じだったのだろう。 なによりも映画を見終わるということが こんなにも幸せだったのかと 初めて思えた瞬間だった。 手元には、何通かの文通の手紙だけが 空しく残っていた。 The End ---エンドクレジット--- ラブレターフロムカナダ by畑中洋子 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.07.04 03:40:45
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