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テーマ:映画から何かがはじまる(571)
カテゴリ:ショート・ショート
非常に悩むハ行!「バベットの晩餐会」「北京ヴァイオリン」
「フローレス」「ホテル・ルワンダ」などの良作ぞろいの中から、 個人的に、やっぱり1周年記念のハ行の 映画はこれ ↓ 「バーディ」←あらすじ、感想はクリックしてね。 1984年 アメリカ 監督 アラン・パーカー「フェーム」 「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」 出演 マシュー・モディン、ニコラス・ケイジ他 ---ショート・ショート--- 黄色のインコ 鳥という言葉を聞いて、すぐに思い浮かべるのは 自由~という響きではないだろうか? 9歳くらいの頃だったろうか・・ 神社のお祭りに出かけたときのこと。 今思うと、昔のお祭りの露店とは、かなり怪しげ だった。ピンクのインコや、ピンクのひよこなども 売られていた記憶がある。 参道の両脇にところ狭しと並ぶ露店。 あんず飴や、水あめ、絶対失敗する 型抜きなどもあった。(ピンクのガムを堅くしたよう な中に線で絵がかかれていて、その型どおりに うまく絵を抜くと、なにかもらえる~というもの、 しかし成功例を見たことがない) 数多く並んだ露店の中に、そのお店はあった。 おおきめの箱に、50匹ほどの赤ちゃんインコを ごちゃ混ぜに放っている。 箱の大きさは、金魚すくいの水槽ぐらい。 その店で売られているインコが、どうしても 欲しくて、何度も何度もその店に足を運び、 じっとインコを見つめていた。 どうしても欲しかったのだが、 意外と高かったような気がする。 子どもには手の出せない金額だった。 すると、その露店のおじさんが、さすがに金も 持っていないだろうが、物欲しそうな顔をした 子どもの熱意に負けたのか?迷惑だったのか? はたまた貧乏そうに見えたのか? 隅のほうに転がっている一匹のインコを 持ち上げて、こう言った 「これ、すぐ死んじゃいそうだけど、そんなに 欲しいのなら、あげるよ、持ってけ~」 手のひらに乗った黄色いインコは、見るからに 弱々しく、虫の息という感じだった。 ハンカチに包んで、いそいで家に戻り スポイトで水を与えた。 ケーキか何かの箱に入れ、祈るような 思いで、寝床の脇に置き奇跡を祈った。 そして、次の日の朝・・・ 驚いた事に、私はインコの声で目が覚めた のだった。 前日の虫の息が信じられないほどの元気な 鳥の声、しばしあっけにとられた私の 方を見つめる、インコの黒い丸い可愛らしい目。 出会えた喜びをお互いにかみしめるかの ようだった。 今でも鳥の目を見ると、あの日のことを 思い出す。 そして、名もなかったインコは少し大きくなった 頃に、爪楊枝使いが達者ということで、 木枯らしモンジロウにあやかり、 「もんじろう」という名をもらった。 そして、もんじろうは私の名前も覚えるほどの お利口さんに成長し、おもちゃのような 声で、よく私の名前を呼んでいた。 ついでに、ポチの名前も呼んでいた。 すぐに死んじゃうぞ~ という予想を見事に裏切り、なんと、 その後18年という長寿を全うした。 最後の日、出会った日と同じように私の手の中で 小さく震えていた。 獣医さんにも見せたが、やはり歳ということで 風邪みたいだけれど、どうすることも出来ないと 言われた。 母と共に、夜通し見ていた。長く一緒に いてくれた可愛らしい黄色いインコを。 明け方、それまでじっとしていた身体を 大きくはばたかせ、まるで手の中から飛び立つ ような姿勢で、羽を思いっきり広げた姿で 息絶えた。 「自由に飛んで行っちゃったね」と母が言った。 「飛べて良かったね」と私が答えた。 The End お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.11.27 22:11:52
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