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2008.02.01
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テーマ:たわごと(26897)
ノート昨日の日記で、イギリス/タイの合作映画「バタフライ・マン」
 についてレビューしましたが、
 書いているときに思い出したお話など~

 -----日本語、わかりません。-----

 それは、南中を過ぎた陽射しがじりじりと
 肌を焦がすような夏の暑い午後だった。

 20代半ば少し前の私は、とある街のとある
 駅前でお付き合い中の彼氏と待ち合わせをしていた。
 
 都心から離れたその街は、海にも近く元々は漁師町。
 潮の香りが、たたずむ私の鼻腔にも届いてくる。

 ふと時計に目をやると、珍しくいつもよりも早くに
 待ち合わせ場所に着いてしまったことに気がついた。

 どちらかというと、南方系の顔をしている私。
 はっきり言うと、地黒。

 夏の陽射しを浴びれば、散歩しているだけでも
 こんがりと良い色に焼けてしまうような
 日焼けサロン知らずの女である。

 言うまでもないが、冬の陽射しでも焼ける。

 美白は諦め、とことん焼いてやる~と、
 その日も二人乗りのヨットでセイリングの予定?
 もしくは、ボディサーフィン(ただの海遊び)
 の予定であった。

 しかし、時間はまだまだある。迎えは来ない。
 じっと待つのが苦手な女は、ふと横を見た。

 賑やかな音楽、きらびやか?言い換えれば
 やや悪趣味な看板。
 視線の先にあるパチンコ屋に気づいた私は、
 吸い寄せられるように、店内に入った。

 紫煙でもうもうとしている店内は、一種独特な
 熱気で盛り上がっていた。
 
 時間つぶしのつもりで、空いている椅子に
 腰掛け、100円玉5枚ほどでパチンコを始めた。

 すると・・あれよあれよ~という間に
 7が三つ揃ったのであった。
 俗に言うスリーセブンである。大当たり!!!!

 そして、またまた続けて~大当たり。
 ものの15分ほどで連続ヒットのラッキーな昼下がり。

 予期せぬ出来事に呆然としていた私の元へ、
 パチンコ屋の店員が駆け寄り「打ち止めだよ~」
 と告げた。

 予想外の展開に唖然とし、言葉を失っている
 私の顔をのぞきこんだ店員の表情が変わった。

 あっ、そうだったのか~ という様なピカット君の
 表情で少し大きめの声、大胆な身振りを交え、
 再度、色黒の女に向かって声をかけた。
 
 「This マシーン~ ゲームオーバー!!よ!」
 「わかりますかぁ~? オーバーオーバーよ!」と・・


 一度胸の前で交差させた腕を左右に伸ばし、
 身体でもゲームの終わりを告げようとしていた。

 涙ぐましい努力である。仕事熱心な店員である。

 ことの次第がようやく飲み込めてきた私だったが、
 どうしてよいか判らずにいた。
 
 ここでいきなり日本語を語るのも、申し訳のないような
 気になってしまったのである。
 
 途方に暮れていた私に店員のトドメの一撃・・

 「ユー・・タイ、フィリピンどっち?」と~
 
 あ・ん・ぐ・り・・・Angryではなく~
 えっ?そこまで言うか・・・という感じだった。
 今でいう、どんだけ~という感覚だろうか?
 
 ここまで言われると、意地でも日本人ですと
 言えなくなってしまう。
 
 もうどうにでもなれ~の心境で、私は呟いた。
 
 「Thank you. I can't speak japanese~」と
 


 親切な店員さんは、カウンターまで重いパチンコ玉を
 運んでくれた。
 
 そして、両替用のチップを受け取った私に、
 明るい微笑みとともに、「まぁた、来ぃてねぇ~」と
 英語っぽい日本語で言った。
 
 店を出て、眩しい陽射しに目を細めた私は
 懐具合もよろしく、待ち合わせ場所へ。
 
 今回は立場は逆転し、遅刻状態であった。

 「どこにいたの?」と尋ねる彼氏に

 私はただただ聞いた。

 「あたし、タイ人に見えるかね~?」

 「フィリピン人には、見えるけどね~
  なんで?また間違えられた?ギャハハ・・」

 絶対おごってやんない・・・
 懐をきつく締めなおした夏の昼下がりであった。


                 The End 
 





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最終更新日  2008.02.02 00:06:03
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