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カテゴリ:フランス映画
≪笑いは恐怖心を和らげてくれた…ありがとうゾゾ≫
戦争中の話を深刻なタッチで描くか、コメディタッチで描くかどちらかに別れますが、これは後者。そういう意味では、同じフランス映画の『陽だまりの庭で』にも似た雰囲気があるかもしれません。『クリクリのいた夏』のジャン・ベッケル監督が、今回もジャック・ヴィルレとアンドレ・デュソリエの二人と仕事をしています。 1960年代初頭、フランスの田舎町。小学校教師のジャックは、毎週日曜日に赤い鼻をつけたピエロに扮して町の公民館で人々を笑わせている。思春期の息子リュシアンは、大好きなパパがそんな風に人前に立つのがいやでたまらなかった。 この日も満席の観衆の前にピエロ姿でおどけてみせる父を、リュシアンは笑えずにいた。その様子を見てジャックの古くからの友人アンドレがリュシアンに話し始めた。ジャックがピエロになる理由を。それは第二次世界大戦中、フランスがドイツの占領下のときの事… 特典映像で監督は、「深刻なものが一転してコメディになる、そんな軽いものにしたかった」と言っています。 確かに、深刻であるはずのドイツ占領下時、若い頃のジャックとアンドレのとった行動はびっくりするくらい幼稚で、軽々しくて本当にコメディになります。深刻なものが軽く、というより、軽いものが深刻な場面に陥ってしまいます。ただ、その命の危険にさらされるような深刻な時に笑いがあった。この作品のテーマはそこなのでしょう。 「笑いは最高の武器だ」・・・映画の冒頭にセバスチャン・ジャプリゾのこの言葉が流れますが、彼らを死への恐怖から救い出してくれたのが「笑い」だったのです。 しかし、この笑いもそれを演出してくれたその本人の悲しい運命には胸が痛み、ジャックとアンドレの引き起こした出来事で傷ついた人の行動、言動にはちょっと信じられないような気もするのですが、ある種のプライドも垣間見る事が出来ます。でも、私が彼の奥さんだったら、あんなふうには言えないと思うけど。 軽いタッチの中にさらりと反戦メッセージが込められているところが、フランス映画らしい。 深刻さと軽さ、笑いが交互に襲ってくるようで、監督のやさしさが溢れているような作品です。 ただ、マジメルを除く全員、特に主人公の二人の戦時中の様子は、カツラをつけてはいるものの、あの馬鹿げた行動をするまだ多分若かったであろう青年を演じるにはかなり無理があります。皺はいっぱいあるし(女性もですが)、動きも鈍いしで、ちょっとそのへんは辛かったですね。名優達ですから存分に出したかったんでしょうけど。 EFFROYABLES JARDINS 2003年 フランス 監督:ジャン・ベッケル 原作:ミシェル・カン 脚本:ジャン・ベッケル、ジャン・コスモ、ギョ-ム・ローラン 出演:ジャック・ヴィルレ、アンドレ・デュソリエ、ティエリー・レルミット、ブノワ・マジメル、シュザンヌ・フロン、イザベル・カンドリエ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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