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カテゴリ:フランス映画
≪ユロ氏の行くところトラブル続き。でも愛すべき伯父さんなのだ≫
大好きなジャック・タチのユロ氏の再登場。日本では『ぼくの伯父さん』の方が公開が早かったためこの邦題になっていますが、制作年はこちらの方が早く、ここでのユロ氏は誰の伯父さんでもありません。 夏のヴァカンス。海辺のリゾート地でみんな楽しく過ごしています。ポンコツ自動車に乗ってやっとホテルに着いたユロ氏。そこで繰り広げられる小ギャク、コント風のクスッと言う笑いが満載の作品。 ユロ氏のキャラクターはこの作品で初めて出てきたかと思われますが、例の帽子にパイプ、そして独特の足を伸ばして前かがみの歩き方。誰にでもチョコチョコとお辞儀をして、ちょっと日本人っぽいです。ユロ氏はほとんどしゃべりません。パントマイム的な動きで全てを物語ります。タチは、コメディで重要なのは足の動きだと言っていますが、なるほど彼の独特のあの動きはチャップリンの動きにも通じるものがあり、足の動きの重要性と言うのは納得してしまいます。 リゾート地で出会う人々のキャラクターもそれぞれ特徴があり、実際こんな人いそうだな、こんな夫婦もいそうだな、と言う感じ。その人たちが出てくるたびに又あんな事しそうだ、とかこんな事言いそうだ、と思うのですが、それが当たる楽しみ。そしてそれとは裏腹に思いもかけない行動をとるユロ氏。この対比も又おかしい。 決して悪気があるわけではなく、ほんのちょっと好奇心が強かったり、人と違ってたりして彼が行くところトラブル続出なんだけど、どうしても憎めない愛すべきユロ氏のキャラクター。 夏が終わりみんな去っていき、このリゾート地で多くの人がユロ氏を“変な奴”くらいに思っている中隠れユロ氏ファンもいる事にほくそ笑み、最後まで残ってひとり去っていくユロ氏に哀愁をおぼえ、ちょっぴり寂しくなるのでした。『ぼくの伯父さん』でも『プレイタイム』でもラストは騒々しい中にも何か一抹の寂しさを感じるのです。コメディでもちょっとだけ疎外感のあるユロ氏に同情してしまうからなのでしょうか。 モノクロの映像とあの何とも言えないけだるい音楽が絶妙。あの時代のフランスの避暑地ってこんな風なんだ…と思えるようなおしゃれでおもしろい小粋な作品です。 LES VACANCES DE M.HULOT 1952年 フランス 監督:ジャック・タチ 脚本:ジャック・タチ、アンリ・マルケ 出演:ジャック・タチ、ナタリー・バスコー、アンドレ・デュポワ <DVD> <ポスター> <CD> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.01.10 14:57:54
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