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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:フランス映画
≪忘れる事で幸せになる場合もあるのでしょう≫
今日は古いフランス映画のレビューです。 ミシェルは店の客ジュリエットとお互い一目ぼれ。思わず自分は店の跡取りだと嘘をついてしまったミシェルは、海でのデートの為に店のお金を盗んでしまい留置所へ入れられた。ジュリエットの事を想う彼は、夢の中で彼女を求めさまよう。そして行き着いたある村。そこは記憶をなくした人たちが住む「忘却の国」だった。 先日このミシェル役のフィリップが同じく主演の『夜ごとの美女』も観ましたが、それと同じようなファンタジーロマンとでも言いましょうか、不思議なストーリーでした。 「忘却の国」では誰もみな記憶をなくし、自分の名前さえ、そして自分が何をしてきたかもわからないので、新参者が来るとよってたかって自分の過去を探り出そうと必死です。でも聞いたからってすぐに忘れてしまうのですが。その光景は認知症のお年寄りの行動を見ているようで、滑稽でもあり、切なくもあります。 モノクロですが、幻想的な場面はその雰囲気を充分に味わえますし、フィリップもそうですが、ジュリエット役のクルーティエが美しく上品なので全体にとても品の良い映画になっています。 美しい映像と音楽、そして不思議なストーリー。 でも、それとは裏腹に現実は厳しい。 現実逃避の物語ではありますが、辛い過去を負った者が行く所が「忘却の国」なのでしょうね。 邦題は何かちょっと…。"愛人"よりも"愛しき"とか"愛しの"ぐらいの方がいい感じもするのですが。 JULIETTE OU LA CLEF DES SONGES 1951年 フランス 監督:マルセル・カルネ 脚本:ジャック・ヴィオ、マルセル・カルネ 原作:ジョルジュ・ヌヴー 出演:ジェラール・フィリップ、シュザンヌ・クルーティエ、ロジェ・コーシモン、イヴ・ロベール お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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