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カテゴリ:ドイツ映画
≪テキサスのパリって知ってました?≫
久しぶりに観ました。ヴェンダース監督作品は3本しか観た事はないのですが、私はこれが一番好きです。 テキサス州のパリを目指して彷徨う男トラヴィス。彼は砂漠の真ん中で倒れ、連絡を受けた弟が迎えに行き彼とともにロスへ向かった。実に4年ぶりの再会だった。弟夫婦の家には4年前置き去りにした息子ハンターがいた。彼の失踪後妻のジェーンが弟夫婦のもとへハンターを置いてそのまま行方が分からなくなっていたのだった。 ロードムーヴィーって事件やハプニングがなければ退屈なものが多いです。この映画は特に何かがが起こったりするのではないのですが、何故か画面に引き込まれてしまうのです。 テキサスの荒涼とした風景、そこを通る1本のハイウェイ。青く澄んだ空。 よく映画に出てくるアメリカ西部の光景ですが、私はこの荒涼たる風景を見るといつも孤独を感じてしまいます。果てしなく広がる大地に人っ子一人いない、たま~に車が通るだけ。ガスステーションがポツンと建っていてこんな所で事故にあったり泥棒に出会ったら助からないな、といつも思うのです。 そんな場所を放浪する一人の男の謎。何故彼はここにいて、どこに行こうとしているのか。弟にでさえ最初は口を開かず、そのあたりの謎めいた雰囲気がこの映画一瞬退屈そうで、実は目を離せなくしてしまうのです。 今では弟夫婦の実の息子のようになっているハンターとの間もしっくりいかない。でもトラヴィスのすごく無理しているのがわかるのですが、無口ながらもなんとかハンターとの距離を埋めようとしている様子が涙ぐましい。車道を隔てて二人が歩くシーンがとても印象的です。 「想像を絶するほど愛してしまったから」というトラヴィスの言葉は、ちょっと都合よくも感じます。結局は幸せな家庭を築けなかった男の言い訳、そして最後まで彼の身勝手な行動は共感できるものでありません。ハンターの今後も気になります。トラヴィスもきっと再生を目指して、又あの場所を探し求めるのではないかと思います。 ジェーンは今後ハンターを養っていけるのか?弟夫婦はどうなる?彼らが今までハンターを育て、それに対してのトラヴィスの気持ちはきちんと彼らに届いているとは思えないし。「あんたはやっぱり身勝手だよ」とトラヴィスに対して思うのですが、なんかこのダメ男の孤独感や哀愁が漂う雰囲気に負けてしまうのですよね。ホームレスになったりする人って、こんな人も多いんじゃないかと思ったりするんです。全てを投げ出して逃げてしまいたい、とか思ったりする人っているんじゃないかな、と。 トラヴィス自身がまずきちんと再生しないといけないんだと思います。 決して共感できないんですが、全編にただよう哀愁と乾いたギターの音色が何とも言えない郷愁を呼び起こし、何故か惹かれてしまうんです。 PARIS,TEXAS 1984年 西ドイツ/フランス 監督:ヴィム・ヴェンダース 脚本:サム・シェパード、L.M.キット・カーソン 出演:ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー、ハンター・カーソン、ディーン・ストックウェル、オロール・クレマン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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