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カテゴリ:フランス映画
≪十字架遊びは悪い事だけど、大人のする戦争と言う遊びはもっと悪い≫
子供の頃幾度となく観たはずなんだけど、大人になってからは全く観ていない作品でした。ずうっと知ってるつもりだったけど、あの名曲とラストの有名な「ママーン、ミシェール」のシーンは強烈に印象に残っているのに、あとは何だかぼんやりとした記憶しかない事に気付きました。今回本当に数十年ぶりに観たのだと思います。 第二次世界大戦下のフランス。パリから南仏へ疎開途中ドイツ軍の攻撃で両親を亡くした5歳のポーレット。1人彷徨っているうちに農家の少年ミシェルに出会い、彼の家で暮らすことになった。ふたりはポーレットの死んだ犬の墓を作ったのだが、それをきっかけに小さな虫や動物の死骸を埋め、十字架を立てるという遊びを始めていく… これは観る側がいろんな解釈が出来る作品ではないか、と思います。 両親を亡くし、愛犬を亡くしたポーレットがあまりに淡々として悲しみをあらわさない。最初それはとても不思議な感じがします。しかし、目の前で死んでいった両親を見た5歳の彼女にとって、その事柄はあまりに強烈でショックで、その死を受け入れられないものだったのかもしれません。ミシェルのお兄さんの死、小さな動物の墓を作る事。そんな中でポーレットには少しずつ両親の死とは、それは永遠に会えないこと、とわかってきたのではないでしょうか。 ラストシーンはやっぱり悲しくて、切なくて、改めてこれは悲しい映画なのだと思ったのですが、ただ、仲が悪い隣家とのシーンはおかしな、というよりは滑稽な部分も多くただ全編悲しみに満ち溢れているわけではありません。 ミシェルは大好きなポーレットを喜ばせたい一心で、彼女の望む美しい十字架を盗んでいたわけですが、ポーレットの子供が故にただ純粋に美しい十字架が欲しい、と言う思いは、逆から言えばとんでもない悪で、純真さと悪 もいろんな見方があります。ポーレットがミシェルに十字架をねだるシーンはちょっと恐ろしさも感じました。 有名な音楽はナルシソ・イエペス。もう20年近く前になりますが、コンサートに行ったことがあります。ご高齢なので次のチャンスはないかも、と思い行ったのですが、やっぱりこの曲を聴くとあのラストシーンを思い出してしまいました。 ポーレットを演じたブリジット・フォセー、この作品での演技は『ポネット』でのヴィクトワール・ティヴィソルちゃんと並ぶ自然体の名演で私を号泣させました。 子供の目から見た戦争と別れを描いた後味は悪いですが、心に残る作品です。 JUEX INTERDITS / FORBIDDEN GAMES 1951年 フランス 監督:ルネ・クレマン 脚本:ジャン・オーランシュ 原作:フランソワ・ボワイエ 音楽:ナルシソ・イエペス 出演:ブリジット・フォッセー、ジョルジュ・プージュリー、シュザンヌ・クールタル、ジャック・マラン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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