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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:フランス映画
≪彼女は転げる、何度も何度もゴロゴロと≫ アル中の父親からはいつも怒られ暴力をふるわれるムシェット。貧しい生活の中、母は病床でまだ乳飲み子の妹の世話もムシェットがしなければならない。学校でも誰からも相手にされず孤独な少女。ある日、森へ入り込み雨の中道に迷った彼女をアルセーヌが自分の小屋へ連れて行く。密猟をしていた彼は森番のマチューと言い争いになり、マチューを殺したようだ、とムシェットに告白、彼女にアリバイ工作を頼む。 孤独だなぁ。 家庭環境はズタズタで、明るい気持ちになんかなれない。学校でも注意を引こうと級友に土を丸めて投げつけてみるが、それでも無視。 そんな少女が唯一楽しめたのが遊園地。そのシーンだけがムシェットの笑顔を見られるのです。 モノクロで台詞も極端に少なく、登場人物のほとんどがいつもしかめっ面か無表情でとても暗く、最初は面白くないのかも、と思っていたのですが、孤独なムシェットがどうなるのか気になり観続けてしまいました。 こんなに孤独で劣悪な環境で、おまけに近所の人たちからも、ふしだらな娘だという印象でしか見られなくなる。八方塞になってしまった彼女のとった行動はこれしかなかったのか。何だか今の日本のいろんな状況を見ているようで、とても考えさせられてしまいました。 ラストシーンの「バシャーン」という水の音が、何とも印象的。 1967年制作なのですが、もっともっと古い映画のような雰囲気です。 MOUCHETTE 1967年 フランス 監督/脚本:ロベール・ブレッソン 原作:ジョルジュ・ベルナノス 出演:ナディーヌ・ノルティエ、ポール・エベール、ジャン・クロード・ギルベール、マリア・カルディナール お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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