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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:フランス映画
≪愛する人を失った女性の再生物語≫
元プリマドンナのミリアムは、同じバレエダンサーの夫に去られ痛手を負い、息子のセルジュと一緒に前夫との想い出の地ヴェネチアを訪れていた。そこで出逢った贋作画家のピエールと恋に落ち、又元気を取り戻したと思った矢先、海での事故でピエールとセルジュを失ってしまう。絶望の彼女は、セルジュが命を落とす間際まで撮影していたビデオカメラを手に彼の夢だった旅を始める。 クロード・ルルーシュ監督、音楽フランシス・レイの名コンビの作品です。 最初の方から断片的で一瞬よくわからなかったのですが、次第にそれが繋がっていき、ラストは大きな一つのストーリーとなる。この監督らしい映画ではあります。 悲しみのどん底にあるミリアムの心情を丁寧に描き、過去と現在とを交差させながら、もう一組のカップルと徐々に接点を見出していきます。 会話でよく出てくるのが「偶然と必然」と言う言葉。原題の意味もそうなのですが、偶然のようでいて実はそれは起こるべくして起こった、とか会うべくして会った、という事で、これは何となく仏教的、東洋的思想なのかと思っていましたが、そうでもないのでしょうか。「こういう偶然は実は必然だから彼女と僕は縁がある」的な考え方。実は私も以前そういう風に思っていた事がありました。ところが、私の場合ですが、良い事にはそういう考えが出来たのに、悪い事だとそうは思えなかったのですよね。ここに出てくるマルクという人物も、相手が美人だったから無理やりそうこじつけたんじゃないか、なんて気もします。 個人的にはラストの部分はしらけました。まあ、あれがなければ彼女の完全なる再生物語にはならなかったのかもしれませんが、ちょっとファンタジックかな。ファンタジーは決して嫌いではないのですが、前半との兼ね合いからどうもラストが甘すぎる感は否めませんでした。 「おかえり~!」の部分で終わっていれば…もっと感動したかも。 HASARDS OU COINCIDENCES / CHANCE OR COINCIDENCE 1998年 フランス/カナダ 監督/脚本:クロード・ルルーシュ 音楽:フランシス・レイ 出演:アレッサンドラ・マルティネス、ピエール・アルディティ、マルク・オローニュ DVD お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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