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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:その他の国の映画
1953年、カナダ。カトリック系の私立学校に通う14歳のラルフは、父親を戦争で亡くし、母親は入院中だ。ある日、その母親が昏睡状態に陥ってしまった。奇跡でも起こらない限り目覚める事はない」と告げられたラルフは、授業中に「奇跡とは何か?」とヒバート神父に尋ねる。「君達がボストンマラソンで優勝したら奇跡だ」と言われ、自分が出て優勝したら母親は目覚めると信じ、彼は走り始める。 タイトルを見ると「又か」と思うのは否めません。『リトル・ダンサー』がヒットしたら次は『リトル・ストライカー』だの『リトル・ランナー』だのって。内容はそれぞれに全く違うのです。ただ、根底にある諦めない気持ちとか勇気とかは共通したテーマなのですが。『リトル・ダンサー』は又格別ですけど、他の二つの作品も私は好きです。 ラルフはタバコを吸ったり、女子更衣室をのぞいたりして学校では問題児のレッテルを貼られています。前半で見せるおバカな行為や下ネタには失笑、爆笑、コメディなのかと思いました。しかし、後半からは、母親が目覚めるために奇跡を起こそうと必死になって練習を続けるラルフの姿に心を打たれます。 ラルフのやっている事は、思春期の男子なら誰でもやりそう(又は想像しそう)な事ばかりですが、病床の母親はそんな彼をいつもやさしく見守っています。しかし、その母が二度と目覚める事がないかもしれないと知ったラルフの恐怖や不安が見ていて痛々しい。そして、奇跡を起こせば母親は目覚めるかもしれない、と思ってからの彼のひたむきさに段々引き込まれ、ボストンマラソンのデッドヒートには思わず本当のマラソンを見ているように応援をしてしまいました。 スポ根もののようで大変ベタではありますが、何かにひたむきになる姿を見せられるのはやはり気持ちがいいものです。泣きはしませんでしたが、ラルフにとても感情移入してしまいました。 「奇跡」とか「祈り」という言葉がよく出てきますが、カトリック系の学校が舞台で神父達の議論もそこに関係しているかと思います。正論かもしれないけど非常に現実的な校長の神父に対し、元マラソン選手でもあったヒバート神父のラルフに対してのさりげないアドバイスや優しさが良かったです。 でも、奇跡ってもちろん滅多に起こることではないし、祈っていれば起こるわけでもありません。奇跡を起こすために努力することが大切なのだと言うことを、教えてくれているのではないでしょうか。 ラストは何もかも上手く行き過ぎの感はあります。でも、だからこそ観ている側は爽快感を得られるのかもしれません。 確かにラルフはリトルランナーではあるけれど、やっぱり邦題の付け方は安易だと思うなぁ~。ただ、原題も私達から見ると随分大げさな気もしますが… SAINT RALPH 2004年 カナダ 監督/脚本:マイケル・マッゴーワン 出演:アダム・ブッチャー、キャンベル・スコット、ゴードン・ビンセント、タマラ・ホープ、ショーナ・マクドナルド、ジェニファー・ティリー DVD お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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