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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:フランス映画
ルイ・マル監督の戦争を題材にした作品。 第二次世界大戦末期のフランス。17歳の少年ルシアンはレジスタンスに加わろうと隊長を訪ねるが断られ、勤務先の病院に戻ろうとする道すがら、あるホテルの前に立って中の様子が気になっていた。そこへ1人の男が来て彼に声をかける。そこはナチのゲシュタボの本部で、手先となったフランス人がたむろしていた。そして、ルシアンもレジスタンス弾圧に協力する事になっていく。 何の予備知識もないままに観始めた映画でした。 病院で掃除夫として働くルシアンが、帰省時に自転車を疾走させるシーンにジャンゴ・ラインハルトの「マイナー・スウィング」が流れます。この曲は『ショコラ』で大好きになった曲ですが、それが流れて何だかワクワクするような気分になり、どんな映画なんだろうと期待も沸いたのです。ところが、私の思いとはうらはらの展開に、実はちょっと落ち込んだ気分になりました。 久々に帰省した我が家は人手に渡っていて、父親はドイツ軍の捕虜となり、母親は今の家の持ち主とただならぬ関係にある様子。そこでレジスタンスに志願するも断られ、そしてゲシュタボ本部の華やかな生活に半ば憧れるような形で、そして半ば知らない間にそこの仲間となってしまうルシアン。酒を飲まされ思わず口走ってしまった事で、村のレジスタンスの隊長(ルシアンの入隊を断った)は逮捕されてしまいます。 事の重大さをわかっていない無知な若者が、知らず知らずのうちに仲間を、そして愛する人(ユダヤ人)をも裏切るような形になってしまう。何とも悲しくて哀れで、胸が痛くなるのです。 バカな若者だ、と言うのは簡単ですが、そうとは言えない気がしました。もうちょっと物事を深く考える人間だったら若いと言っても他の行動を取ったはずですが、彼はおそらく無学で、そして上のような伏線があり、抑圧された暗黒の時代、もしかしたら当時の若者の多くが誰でも同じような道を辿る可能性はあったかもしれないと思うのです。 ルイ・マル監督に『さようなら子供たち』と言う、やはり戦争、ユダヤ人を扱った作品があります。あれは理不尽さに涙が止まらなくなっりとても心に響いた作品でした。こういう作品は後味の悪さはつきものですが、本作はいろんな意味でもっと残酷かもしれません。 LACOMBE LUCIEN 1973年 フランス 監督:ルイ・マル 脚本:ルイ・マル、パトリック・モディアノ 出演:ピエール・ブレーズ、オロール・クレマン、オルガー・ローウェンアドラー、テレーズ・ギーゼ 他 ルシアンの青春(DVD) ◆20%OFF! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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