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カテゴリ:フランス映画
カトリックの聖地の名前がついているということで、タイトルだけを見てちょっと固めの宗教的な話だろう、でも、WOWOWでよく放映してるからまあどんなもんかちょっと観てみようか、くらいでストーリーも読まずに録画した作品でした。ところがこれが蓋を開けてみればコメディタッチのヒューマンドラマ。監督・脚本があの『赤ちゃんに乾杯!』や『女はみんな生きている』のコリーヌ・セローですから、なるほど、と納得。 亡き母の遺産を相続する条件は、兄ピエール、姉クララ、弟クロードが一緒にフランスからスペインのカトリックの聖地サン・ジャック(サンティアゴ・デ・コンポステーラ)までの1500kmの巡礼地を歩く事だった。険悪な関係のこの兄姉弟と一緒のツアーに参加するのは女子校生の2人、その内の1人目当てに参加したアラブ系のイスラム教徒の少年と、彼に騙されメッカへの巡礼と思い込んで参加したその従弟、物静かな女性、そしてツアーガイドの9名だったが・・・ 大人になっても罵り合い、つかみ合いのケンカをするような兄姉弟と他の参加者達。みんなそれぞれの悩みや問題があり、旅の最初はケンカは多発、トラブル続出。何と大人気ない人たちだろう、と笑いながら笑う気にもなれず、等と言う矛盾した気持ちでみていたのですが、それも何日間も共に歩いて旅をする中で少しずつ誤解も解け、家族愛も芽生え(再生?)、次第に打ち解けていくメンバー達。ただ歩くと言う行為はシンプルだけど、一番心を密に出来ることかもしれません。 失読症の少年に熱心に文字を教える事で、他の事にも柔らかな物腰になってくる姉や、鼻持ちならなかった長男が最後に取った行動には拍手を送りたくなる。聖職者たちの上から目線や冷たい態度との比較は、タイトルそのものとは裏腹にこの映画が決して宗教的に賛美されたものではなく、それよりも人間っていいな、と言う気持ちにさせられるものでした。イスラム教徒の少年達の参加やその子達の思いを考えると、結局キリスト教だのイスラム教だのって関係ないな、って思えます。映画の中では、もちろん有名な大聖堂や修道院も出てきますが、それにも増して印象に残るのはそこでの彼らの行動、エピソードや、美しい自然。 スペイン語読みのサンティアゴで巡礼地のイメージがある所ですが、こんなツアーが日本ならありそうだけど、フランスでもあるのが面白い。 結局亡き母親は、聖地というより生家へ彼らを連れて来たかった。そしてその途中で彼らの肉親と言う絆を取り戻して欲しい、という母親ならではの思いが届いたようで、とても後味の良いものとなりました。 ラスト、失読症の少年を襲った不幸な出来事も払拭するような、クララの家族の温かいウェルカムの心に、私は泣いてしまいました。 笑いを交えながら、心温まるステキな作品でした。 SAINT-JACQUES...LA MECQUE 2005年 フランス 監督/脚本:コリーヌ・セロー 出演:ミュリエル・ロバレ、アルチュス・ドゥ・パンゲルン、ジャン=ピエール・ダルッサン、マリー・ビュネル、パスカル・レジティミュス 他 サン・ジャックへの道(DVD) ◆20%OFF! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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