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テーマ:おすすめ映画(4071)
カテゴリ:イタリア映画
この作品はもう随分前に観ているのですが、まだレビューを書いていない事に気づきました。少々重いものの、とても心に残る映画です。 ジャンニは出産で恋人を失ったショックから、我が子を手放し去ってしまった。その時生まれた男の子パオロは、亡くなった母親の家族に育てられたが、彼は障害を持っていた。15年後、生まれてすぐの我が子を捨てた父親のジャンニはパオロに会うことになった。パオロをミュンヘンからベルリンのリハビリ施設に送り届けるのだが・・・ うしろめたさと共に戸惑いながらも何とかパオロと向き合おう、近づこうとするジャンニ。ジャンニの感情をお見通しのようなパオロ。その距離は縮まりそうで離れ、離れたかと思うと又近づき。 パオロは不安や、怒りを覚える時必ず「家に帰る」と言い出します。家は彼が唯一安心できる場所なのでしょう。何度も「家に帰る」とパオロに言われながら、ジャンニはある時、リハビリ施設で一人の女性と出会います。彼女もまた、パオロより重度の障害を持つ少女の母親だったのですが、演じるシャーロット・ランプリングの辛い思いを吐き出すようなその思いと言葉に心が握りつぶされたような気持ちになります。介護は誰からも褒められることもない、報われる事もない、そして永遠に続く、と。そして、彼女からは絶望に近いショックな言葉も吐かれるのですが、誰がそれを責められましょうか。 障害を持つ子供の親としての覚悟、そして共に生きていく強さ。ランプリングが柔和な表情から一転してその強い言葉を吐く時の表情が恐ろしく、そして又覚悟を決めている親としての強さを画面に発していて圧倒されます。 パオロを演じるアンドレアはあまりにも自然なので、思わず彼のプロフィールを確認した位でした。彼の演技には深く強く感動させられます。彼の演技無しにはこの映画は成り立ちません。 悩み苦しみながらも、徐々にパオロを自分の家族として受け入れる覚悟をしていくジャンニ。そして迎えるラスト。ジャンニを演じるこの美しく、端正な顔立ちのキム・ロッシ・スチュアートは、ややもすればアンドレアの演技に全部持っていかれそうな気配があるのでしょうが、実は演技派で驚き。アンドレア、キム、そしてランプリングの3人がいたからこその良作なのだと思います。 いろんな苦悩を背負いながら、これからきっと一緒に歩んでいくんだろう、と思わせる含みのラスト。 パオロの「家の鍵」はきっと心の中にあって、その鍵を開けるのはジャンニなのだと。 決してお涙頂戴ではなく、障害児と歩んでいく親のあり方をリアルに鋭く描き、そこから構築されるものとは何かを問いかけた、素晴らしい作品だと思います。 LE CHIAVE DI CASA / THE KEYS TO THE HOUSE 2004年 イタリア/フランス/ドイツ 監督:ジャンニ・アメリオ 脚本:ジャンニ・アメリオ、サンドロ・ぺトラリア、ステファノ・ルッリ 出演:キム・ロッシ・スチュアート、アンドレア・ロッシ、シャーロット・ランプリング、アッラ・ファエロヴィック 他 家の鍵(DVD) ◆20%OFF! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.04.24 16:23:03
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