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カテゴリ:本
最近偶然ですが、女性作家の本ばかり読んでいます。 有名作家の本でも、正直面白くないものが多かった中で、一気に読んだのが宮尾登美子の『天璋院篤姫』。大河ドラマで観ていた頃、その原作本を読もうと思い購入した文庫本でしたが、最近になって読んだものです。 大河ドラマの『天璋院篤姫』の大ファンでした。篤姫と瑛太演じる小松帯刀(こまつたてわき)の淡い恋(帯刀の一方的な想いですが)と友情にいたく感動したものでしたが、いつかテレビ番組で、篤姫の姑役だった高畑淳子が、脚本の田渕由美子を前に、「篤姫と帯刀は何の接点もなかったのをこの人はあんなドラマにしちゃったんだから」と言っていたので驚きました。本を読んでみると、確かに帯刀の「た」の字も出てきません。嫁ぐ前は西郷隆盛と大久保利通との接点も無し。和泉家の父には側室もあり、腹違いの妹がいたことは本を読むまで知りませんでした。 大河ドラマはとても面白かったのですが、本はより篤姫の人となりが細かに描写されており、驚く面もあるし、「やっぱりな~」と思う事もありました。 特に、斉彬への疑念、和宮への思いは、テレビで観ていたよりももっと激しいと言うか、より人間らしい感覚で描かれています。 そして、篤姫の徳川家への思いや、慶喜への思い、恨みといったものは並大抵のものではなかったのだと知りました。そして又、3000人を抱える大奥の主人として、徳川家の御台所、大御台所としての心構えが素晴らしいものでした。 結局女性はあの時代男性の駒でしかなかったのだ、と改めて思うのです。結局は、斉彬は家定がああいう人と知りながらも、お家の為に篤姫を家定のもとへ嫁がせます。策略なのです。その家定とは最後まで本当の夫婦とは言えなかったかもしれないし、そのあたりは一生終えるときに、決して心底から本当に幸せだったのか、はわかりません。 それでも、それを受け止めて、最大の努力をし、的確な判断を下し、激動の江戸末期から明治にかけて最後まで徳川家と大奥を守り抜こうとした篤姫。とても魅力ある女性でした。日本全体の事というわけでなく、あくまで徳川家を守りたい一心だったのでしょうが、それでもその姿勢は、真のリーダーとはこういう人だ、と思わずにはいられません。だから、大奥の女性たちから絶大な信頼を得たのです。菅首相に篤姫の爪の垢でも煎じて飲ませたい気分です。 宮尾さんの綿密な取材のもと描かれた篤姫は、より人間として、女性としてありのままの姿があり、ドラマ以上に親近感を抱くのです。 【中古】afb【古本】天璋院篤姫 [新装版] (上下セット)/宮尾登美子 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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