カテゴリ:夢のような夢の話
あしたになれば、何かが変わるんだ、って。
あたしはいつも、いつだってそう思って布団をかぶる。 枕に顔をうずめて、それからしばらくしてから 横を向いて丸くなって眠る。 それなのにベッドからおりたって、いつも見える朝は同じだし、 部屋の何も変わったりもしないし、 数学のテストが近付いてきても、あたしの頭がいきなり良くなって 勉強しなくても点数が取れたりしないし、 教室に行けば、死んじゃえばいいって思ってるエミやユイやヒロミが いつもバカみたいに大きい声でしゃべってるし、 コウスケはきっとリエのことが好きだから あたしと一緒に帰ったりとか、手を繋いだりなんかしてくれないし。 あしたは、あしたこそは、っていつも寝てるのに なんにも変わらない。 だから、だと思う。 眠れなくなったのは。 だって、眠っても何も変わらないから。 それに、あしたになれば変わるかもって思って それで何も変わらないあしたが来たら その度にがっかりするんだから。 最近、ずっと眠ってない。 それから、かな。 眠ってなかったら、少しずつ変わってきた。 ママもパパも、あたしをずっと心配してくれて すっごく優しくしてくれるようになった。 数学のテストの日も、無理に学校行かなくていいよ、って言ってくれたから 喜んで、堂々と学校を休んだ。 いつも輪の中にはいんないと、のけ者扱いするエミとかユイとかヒロミも 最近あたしのことを構ってこないからすごく楽。 コウスケはてっきりリエのことが好きだと思ってたのに このごろはあたしの方をチラチラ見てくる。 なんだ。眠らなければ良かったんじゃない。 どうせ、あしたになっても変わらなかったんだ。 ずっと起きてて、今日が続けば、 少しずつ変わってきたんだ。 ずっと、寝てない。 寝たくない。 だいたい、3週間くらいかな。 でも、3日くらい前に。 ちょっと最近身体がおかしいなって思って、 学校へ行くとちゅうにすごいめまいがして、倒れそうになって。 あんまりそれから憶えてないけど学校に着いた頃から 遠くで耳鳴りがする。 ちょっと聞こえたのは 「おねがい、かえってきて」 「そんなに、眠らなくていいから起きて」 ってママの声みたいな。 やっぱり、寝なくちゃだめだよね。ちょっとは。 耳鳴りがするんだもん。 コウスケと手を繋ぎながら帰る途中に思った。 たぶん、あたしはこれからも、ずっと眠らない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.09.09 12:57:13
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