NOUNOURS NOYEの日常

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• 日常、四十四日目。

  今朝、ムートンをクレッシュに連れて行く道のり、ふと頭をよぎった事があった。私の母の事である。以前、日記にも書いた事があるが、かなり強烈な性格の持ち主である。何故、いきなり思ったのかだが、単に寝不足で辛かったのと家を出る前に見ていたFrance5の番組Les Maternellesの今日のsujet（＊1：テーマ）が関係しているのかも。”creche entreprise”というのがメインテーマであった。つまり会社内にクレッシュがあり、お母さん、お父さんは安心して子供を預け仕事ができるというシステムだ。会社の機能とともに運営されているので朝7時から夜22時半まで開いているのだ。”いっぱい仕事がある人の為なんだなぁ”とぼーっと思っていたのだがふと考えると“出来れば子供との時間を仕事でなくしたく無いなぁ”と思ったのだ。私の両親はcommerce（＊2：商売）をやっていたので土日の休みがなかったのだ。だから週末にparc d'attractions（＊3：遊園地）に行ったこともないし、ピクニックにも行った事がない。そんな事を思いながら歩いていたらBonhomme de boisという木作りのおもちゃ屋の前を通った。ここのおもちゃはかわいい。プラスティックのおもちゃは洗えたり壊れたりしないので便利だが木の持つ暖かみがない。できればムートンに沢山木のおもちゃを与えてやりたいがここのおもちゃ、excessivement cher（＊4：めっちゃ高い）んですわっ。だから手がでないのよ。そんな事を思った時、私は小さい頃から何不自由なく物を与えられていたのを思い出した。母はたまに私や私の兄と出かけられる機会があるといつも何か買ってくれていたのだが、働いていて子供と接する時間がなかった母にとって愛情をあげる意味を持っていたのである。“何もしてあげられないし、おもちゃも買ってあげる機会すらなかったから。”と今母は語る。母はmariage arrange（＊5：見合い結婚）で父と結婚した。地主同士の結婚だ。だからウチははっきり言って金持ちである。はっきりと言おう、かなり金持ちである。しかし、今みたいな時代ではなく、”嫁は働き手”の時代である。古い家でもあるので、それは厳しく辛い仕事を母はさせられた。朝早く起きて、自分の子供の面倒の前に下宿していた店の店員のご飯を作る。その後自分の身支度をし、自分も店に出る。仕事をあがるのは夜の6時だが、6時ぴったりに私の祖母から電話がかかってくる。’なにしてんだい！6時だよ。家に帰って夕飯の支度をしな！”下宿人も含め、その頃我が家には叔父、叔母もいたので合計10人はいただろう。夕飯10人分を作る。勿論、母は暖かいご飯を食べた事はない。みんなが食べ終わった頃にやっと腰を下ろせたからだ。その後、片付けなどし、みんながお風呂に入ってから彼女の番になる。勿論、その間子供好きの叔母が我々の面倒を見てくれた事もあるが大抵歩けないうちはおんぶして仕事をしていた。だから、たまに我々と3人で出かけられると何かしてあげたくなったんだろう。だからと言って、買いたい放題ではない。彼女のお小遣いは月5000円しかなかったからだ。これで彼女は化粧品から生理用品までまかなっていた。こんな風に育ってきたからかどうかはわからないが愛情を物質化したくないしできるかぎり時間をさいてやりたいと思うのだ。ただ、こう思っている自分が実現しているのかと自問する日々ではあるが。私が中学生の頃には母の生活も裕福になってきたので今では辛い思い出でしかないがそんな生活を強いた祖母に対し”しこり”が残っているのは隠せないが…。だから私はみんなが自由、平等でsacrifice（＊6：犠牲）でない人生を送りたいと思うのだ。（だからフランスで生きているのかも…？）＊1：sujet〔スジェ〕＊2：commerce〔コメルス〕；働いている人は　　　commercant〔コメルサン〕。　　　営業君はcommercial〔コメルシアル〕。＊3：parc d'attractions〔パルク・ダトラクシオン〕：　　　もっとフランスにいっぱいあればいいのに～。　　　でも、ラパンはmontagne russe（ジェットコースター）が　　　大嫌いなので行けないか…。＊4：excessivement cher〔エクセシヴマン・シェール〕:　　　私にとってはですが…。＊5：mariage arrange〔マリアージュ・アランジジェ〕＊6：sacrifice〔サクリフィス〕

  2005.10.13

• 日常、四十三日目。

  今朝、ラパンと一緒にCAF（＊1：国家援助手当）に行って来た。フランスに居る限りフランス国に住んで得られる権利を主張しようかと。ご存知の通り、先の見えない生活をしている我々にとって少しでも助けがあると嬉しい?。ならば、国に助けてもらおうとallocation logement（＊2：住宅手当）を申請した。学生時代から恩恵を受けられなかったので駄目もとで書類をだしたらある日口座に結構な金額が振り込まれた。でも、明細もなにもないのでCAFから来た事は分かったが"コレ、何？"という感じではあったものの、ウヒウヒな私達であった。CAFのホームページで現在の我々の収入でシミュレーションしてみたら毎月135ユーロほどくれるとでたのでまたもやウヒウヒ。しかし、どっさり来た後、ぱたりと何も来ない…。allocation logemantの他に我々は当然の如く、allocation jeunes enfants（＊3：いわゆる子育て手当）も頂いている。ありがたや、福祉国家。これは出生届けを出せば、収入によって金額の差があるものの勝手舞い込んでくる。あっ、でも高収入の人は駄目かも…。これでウチはクレッシュ代がチャラになる。うふ。なので、あのどっさり金はallocation jeunes enfantsのボーナス？などと、欲の減らない私は考えてしまった。じゃぁ、allocation logemantは？知らない人が家のドアの前にどっさりお金を置いてくれた気分だ。でも、なんでだか知りたいし、貰えるもんは貰うぞ！と言う事でCAFの窓口に行ったのだ。新しいシステムでaccueil（＊4：受付）でallocateur（＊5：手当を受ける人）のカードのバーコードを照らすと隣の待ち合い室のテレビ画面に名前がでて呼ばれたのがわかる仕組みになっていた。"無駄なチケットが無くなっていいじゃん。"と賞賛した私に対して、ラパンは"名前が出るなんて個人のプライバシーの侵害だ。"といかにもフランス人がいいそうな事を言ったので面白かったが、私のecoloな意見に"そうだねぇ…。"と直ぐさま方向を変えるのがラパンらしい。熱くなるもの早いが冷める早さも光速なみだ。窓口に“ラパン”とでたのでguichet（＊6：窓口）1へ。いかにもCAFで働いていますといわんばかりの風貌のおばちゃんがいた。ここでもう25年以上働いていて、毎日朝15人以上のcollegue（＊7：同僚）にビズをして昨日の愚痴をつまみに自動販売機のコーヒーをすすり15分ほどくっちゃべる。そして、はぁ～と嫌気の刺したため息を付き"j'en ai ras le bol de ce boulot。"（＊8）（“この仕事にゃ、うんざりだわぁ。”）とぶったれて窓口の反対側に腰を下ろすのだろう。なので、我々を迎えた時はぶったれていた。が、おばちゃん受けが気持ち悪い程良いラパンが口を開くとなんともやさしく答えるではないか！おばちゃん曰く、貰える金額は去年の年収をベースに引き出しているので去年私が働いていた事もあって恩恵を受けるにも金持ち過ぎるのだ。でも、今はビンボーなのよぉ～。そう、この変な福祉国家は去年の年収をベースに援助金を出すので"今"のシチュエーションにはあまり助けにならないのである。おかげでクレッシュの今年分の金額もアップしちゃったんだよ。あのどっさり金はrappel（＊9：追給）と言って、以前申請した時にさかのぼりもらえるはずだった分をまとめてくれるのだ。やさしい福祉国家フランス。辛い時に助けて欲しいんだけど、なせがズレているシステムなのだ。それとも常に貯金体制を整えていなくてはいけないのか。＊1：CAF〔カフ〕；Caisse Allocation Familiales　　　フランスにお住まいの方一度試されて下さいね。＊2：allocation logement〔アロカシオン・ロジュマン〕：　　　alloc〔アロック〕と訳して言う人もいます。＊3：allocation jeunes enfants〔アロ～・ジュンヌ・ザンファン〕；　　　子供一人じゃ少ないけど子供が増えれば増えるほど　　　金額があがり、子だくさんな家庭は働かなかったりするほど。　　　でも、確か3歳までだったかな？＊4：accueil〔アクイユ〕；未だにちゃんと発音できましぇん。＊5：allocateur〔アロカトゥール〕；辞書にはないので　　　CAFが勝手に作った名前なのか！？　　　アカデミー・フランセーズはコレを放っていていいのか！＊6：guichet〔ギッシェ〕＊7：collegue〔コレッグ〕；クラスメートだったら　　　camarade〔キャマラッド〕。＊8：j'en ai ras le bol de ce boulot　　　〔ジャン・ネ・ラ・ル・ボル・ドゥ・ス・ブゥロ〕　　　"もう駄目だわ！"と行き詰まった場合は、　　　"je n'en peux plus !"〔ジュ・ナン・プ・プリュ〕　　　各言葉をはっきりと強く発音しましょう。＊9：rappel〔ラペル〕

  2005.10.12

• 日常、四十二日目。

  今日の朝からラパンの子供時代の友達が来た。彼はラパン、ラパン弟とよくつるんで遊んでいたらしい。しかし、年が経つに連れて、学業の関係もあり疎遠になっていった。ラパンもラパンの家族も覚えていないが、数年前に彼の家にお邪魔した事があるので私はサラ～っと覚えていた。その彼が最近またラパン家族の前に現れた。Tout d'un coup（＊1：いきなり）。数年前に彼は自分の両親にホモであることを伝えたが、それが原因で疎遠になってしまった。しかも、ちゃんとパートナーがいるもののお互いfidele（＊2：誠実）ではないので2ヶ月に一度SIDA（＊3：エイズ）のテストを受けている。しかも長い沈黙の後にも関わらず、再会した途端に、ホモである事が原因の病歴やら（精神病院に何回か入院したとか自殺未遂をしたなど）彼とのあっちの話（”僕は”受け側”だから、いつもやられてばかりなんだよね。”と言って、自分のおケツをクイッと上げたり）をしてきたりと、さすがのラパンもびっくりな再会であった。何故そんな彼と今日も会っているかと言うと、彼の仕事はressources humaines（＊4：人事）関係の仕事をしており、ラパンが仕事を探していると聞いたので履歴書やらLMの手直しを手伝ってくれ色々コンサルタント会社を紹介してくれると言うのだ。ラパンから再会の話を聞いていたので心構えをしてはいたものの、かなり変わった人である。確かに今朝カフェで会った彼は病的な感じでコーヒーカップを持つ手がいつも震えていた。なにかソワソワしてばかりで、絶えずタバコを吸いつつ、何故かひっきりなしに薬を飲んでいる。”これはcalmant（＊5：精神安定剤）なんだ。”（彼は現在1ヶ月半のドクターストップである）と、言うが、ラパン、ラパン家族、そして私が思うところやっぱり彼は重い病にかかっていると見た。しかも、以前仕事を放って飛び出した雑誌の仕事のパトロン君に雰囲気が似ていたので私はビズしたなり体が勝手に引いて行ってしまった。自信に溢れ、人の話はあまり聞かず、俺は何でも知ってるぜ的な雰囲気が癪に触る。そんな事でいちいちカリカリしていたら社会で働けないのだろうけど（って、働いていないのはそれが原因か？）この手の人間は苦手だ…。偉そうな喋り方がピキピキくる。ラパンは御節介な事に（というか感謝しなければいけないのだろうけど）私の事も話していたので、私の就職にも話が飛んだりした。あー、居心地が悪い。でも、これで仕事が見つかったりしたらラッキーなのだが彼が提示するものはレベルが高そうで蚤の心臓の私には危険すぎる。パリで有名な役員級の仕事斡旋のコンサルタント会社を紹介してくれたがこんな所に電話するだけでおしっこちびっちゃいそうだ。で、会いに行くとなったらtomber dans les pommes（＊6：失神する）しちゃうよ。今も彼の10年の職歴を駆使してラパンに講座を開いている。この後は私の番なのか…？怖い、怖い。自分を人の前に出すのが異様に苦手なので彼が自分がCVを出した会社の人事の人でなくても緊張しちゃうよぉ～。仕事が欲しい気持ちもあるがだからと言って無理に自分を偽って波長が会わない人にヘラヘラするのに抵抗があるは子供の言い訳なのだろうか？ラパンはその点、対人系に強いので平然とお話している…。彼の大手、有名、インターナショナル、高級という世界は私が苦手とする世界だ。怖い肉食人種の世界だ。奇麗なライオンやらジャガーの毛皮を被ったハイエナ君達だ。そんな所に入ったら（入れたら、だが）2分足らずで喰われちゃう。か、抵抗して抵抗した挙げ句、おいらも同じように毛皮を被るようになってしまうんだろう。そうとも限らないかも知れないが、そうじゃないんだけどなぁと思っていながらも彼にそうじゃないと言えない自分がいるのでどっちにしろ痛い目にあうだろう。仕事が欲しい。でも、強くなれない。この堂々巡りはいつか止めなくてはいけないんだろうな。＊1：Tout d'un coup〔トゥ・ダン・クゥ〕；　　　あるいはsoudain、brusquementなど。＊2：fidele〔フィデール〕；フランス人には存在するのか？＊3：SIDA〔シダ〕；言わずと知れたHIV。＊4：ressources humaines〔ルスゥス・ユメンヌ〕；　　　略されてRHと書いてある場合もあります。＊5：calmant〔カルマン〕＊6：tomber dans les pommes〔トンベ・ダン・レ・ポンム〕；　　　なんでリンゴの中に落ちるんでしょうか？　　　梨じゃだめなのかねぇ。　　　しかし、フランス人はリンゴを使って官能的な言葉を　　　作る才能に長けている。　　　例えば、croquer la pomme（誘惑に負ける）とか　　　pomme d'amour（トマト）とか　　　se sucer la pomme（キスし合う）とか。　　　そんなにリンゴが好きなんですね。

  2005.10.11

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  日常、四十一日目。ちょっと番外編。

  今日は皆さんにお願いがあるんですが、皆さんはどっちのタイプが好きですか？タイプ1：気の向くままに描いてみました。タイプ2：ちょっと頑張って描いてみました。客観的に見れなくなってきたのと、人の意見が聞きたくなったのが理由ですね。根本的に線で絵を描くタイプなんですが、その線を生かせたものを作っていきたいと思っているんです。勿論今まで色々描いてきていますがやっぱり自分の好きな感じと人が見て良いと思えるものって違うんですよね。今回の2点はどちらとも好きなタイプなんで困っちゃたんです。皆さんの答えで方向を決めるのではなく参考として意見を頂けたらとおもってます。宜しくお願いします。

  2005.10.09

• 日常、四十日目。

  最近、何故か凹んでいる。何が回っていないのか分からないのだが、全くもってやる気無し夫である。仕事も見つからないし、見つかりそうでも異様に不安になったり緊張したりするし、かと言って自分の進みたい道も捨てられず二兎追うものは一兎得ずな状態に陥りそうだ。ムートンのワガママぶりもいよいよ本場を迎えつつありあと手が3本くらい欲しい…。そんななので眠れない…。今朝なんて4時半に起きて絵を描き始めちゃいましたよ。8時にムートンを起こして自分も朝食を取り、（でもこれは第二弾。第一弾のシリアルは4時半に頂きました。）送り出す。またまた机に向かい、あれやこれやとやっているうちにお昼ご飯。見ているとラパンに嫌がられるフランスB級ドラマ、”Les vacances de l'amour”を見ながらレトルト辛し明太子のパスタを頬張る。その後、のんびりお茶タイムをしながら消化タイム。のそのそと机に戻り、描き描き…。しかし、睡眠を4時間しかとっていなかったので頭がぼーっとしてきたので休む事に。ベットに入ったのは4時であった。今日は頑張るなぁ～と自分にご褒美の一言をかけ爆睡。ムートンを迎えに行く為に目覚ましを5時半にかけたがあまりの姿にラパンは驚いたのか（ってもっと凄い姿を見ているからそう簡単には驚かないか…）”寝てなさい。僕が迎えに行くから。”（あー、なんて優しい旦那さんでしょう！）と申し出てくれたので、悪い気はしたのだが、”帰りにスーパーでcreme freshe（＊1：固形状生クリーム）とpain de mie（＊2：食パン）買って来てぇ。”と頼んだ。きっとラパンは”10年前はこんなに図々しくなかったのになぁ…。”と悲しく思っていたに違いない。勿論頼んだ物を買って来てくれたラパン。そして、プセットに乗ったムートンの左手首にはブレスレットのようにパンがぶら下がっており、それを端からちぎって食べていた。夕飯を作りながら電話をかけなくてはいけなかった。いつだか覚えていないがネット上でpostuler（意味はコチラ）したポストのagenceから連絡があったので今日の朝から電話しまくっていたのだが通じなかったのだ。ぎりぎり7時までなら電話をかけれると思ったので携帯を片手に豚肉を焼いた。”じゃぁ、とにかくブックをPDFで送って下さい。”（PDF：ファイルのフォーマット）”いやぁ、作ってなかったんすよ、PDFのブックは…。”とは言えないので、夕飯を食べながらどう対処するか考えた。だから、今夜は何を喰ったか覚えていない…。（覚えているだろう！お前が作ったんだから！）はっ、と気がつくとムートンが好物のキュウリ片手に部屋を走り回っていた。そして私のまわりにはtagliatelle（＊3：平べったいパスタ）が散乱しておりラパンがムートンを叱りながら拾ってまわっていた。緊張と寝不足で思考回路がやられているらしい…。あー、気が重い…。この台詞を何回唱えただろうか。お腹も満たり、眠け最高潮、ファイル作りの緊張でダラ～。”明日作って送ってもいいよねぇ～…。”悪魔のささやきが聞こえる…。ベットがおいでおいでする…。お風呂からあがったムートンをベットに引きずり込み、寝入る体制に入ったものの、頭はこれでもかというくらい冴えて寝れん。仕方なく起きて仕事開始。ちょっと重いけどPDFのファイルを作りラパンを叩き起こして仏語メールの添削を頼み、”envoyer”（＊4：送る）を押す。ふー、一段落。アドレスが間違って届きませんメールも来なかったので一安心。凹んだ気持ちもちょっと浮上。ただ、眠気はこないなぁ。これってストレスからくる不眠症ってやつみたいね。ただでさえnaturel不眠症なのに酷くなっちゃいましたよ。別名、”明日が怖い”病。明日はちゃんとしなくちゃ。こんなんだから夕飯の食器も洗っていないし、ムートンはパジャマが洗っていないからTシャツにオムツ姿で寝ているよ。っつーか、おいらは今日一日パジャマ姿？では、もう2時過ぎなんでねますね、いい加減。＊1：creme freshe〔クレーム・フレッシュ〕；　　　日本だとないのでカルボナーラを作るのに苦労したなぁ。＊2：pain de mie〔パン・ドゥ・ミ〕；　　　皆さんもご存知でしょうが　　　crousti mouelleuxが美味しいですよね。＊3：tagliatelle〔タリアッテル〕；棊子麺好きなんでね。＊4：envoyer〔アンヴォワイエ〕お詫び：思考回路がいかれているのでへなちょこ語彙録になってしまいました。次回は努力します…。

  2005.10.05

• 日常、三十九日目。

  今日はストがあり、クレッシュにも人手が足りないと言う事でムートンをお休みさせた。朝はぐっすり寝たのでご機嫌なムートンであった。天気はいまいちだが、先週買ったサッカーボールを持って公園に遊に行こう。寒くなってきたのでいつものJジャンの中にトレーナーを着せようとしたが拒む。身軽な恰好が好きなムートンなのでこういうpull（＊1：セーター）類が嫌いなのである。仕方なく少し着慣れているgilet（＊2：カーディガン）に変える。なんてやさしいママンだ！しかし、いくらgillet+Jジャンでも寒そうだ。風邪をひかれたら困るので袖無しのdoudoune（＊3：ダウンジャケット）も着させようとするとすごいcrise（＊4：癇癪）を起こした。これがもう大変だった。トレーナー以上のcriseで引きつけを起こしている。それでも、ボールで遊べるよなどと誤摩化してみても地べたに這いつくばって、建物全体に聞こえる大声でわめくので、一旦家の中に戻り話し合うことにしたが、泣きわめく態度は酷くなる一方。いい加減、忍耐の緒が切れた私は上着を全部はがしてbodyとズボン姿にし、”来たくないなら、着なくて結構！このままの恰好で行きなさい！”と怒鳴りつけ、家を出た。2歳半の子供にそこまで怒らなくてもいいのだろうが、この頑固さにはほとほと参っている。たかがセーター一枚だったり、シャツの色だったり…靴下からピロッと出ている糸くずという事もある。細部を説明すればきりがない程、神経質というか”うるさい”のだ。好き嫌いが異様にはっきりしており、その上望むものが”こんな感じ”ではなく、”コレ”という位決まっているので、簡単に事が進まないのだ。半袖でプセットにのったまま公園へ行く。北風ピューピューとまではいかなくとも寒い陽気だ。公園に行くまでも何回か、“寒いんでしょ？コレ着る？”と聞くが、答えは相変わらす”Non”であった。公園に着き、半泣きのムートンに”ほら、遊んでいるみんなもちゃんとmanteau（＊5：上着）着ているよ。”と行ってみたが、”Non”という返事。今回は絶対折れないと決めたので、”遊びに行きたいんなら、着なさい”攻撃を続けた。いくら意地悪と言われようが譲らないぞ。この子が風邪をひこうが、通り過ぎる人が不思議に見ようが断固このmanteauを着るまでムートンの要望は聞かない！しかし、5分経っても、10分経っても、絶対着ようとしないムートン。なんて頑固なんだ！鳥肌が思いっきり立っているにも関わらず、折れない2歳半児！恐るべき精神だ！このまま大きくなられては困るのだ！この頑固さで思春期でも迎えられたら、本当にいつか私はこの子を家から勘当するに違いない！ラチが開かないと見たので、家に戻る事にした。もちろんbodyとズボン姿のままで。家に着いて、お説教でもしよかとソファーの上を片付けて入り口に置いて来たプセットの中にいるムートンを見に行くと、寝ていた。こっくりこっくり、こっくりさん、だ。泣きつかれて寝てしまった。作戦失敗。ここで話し合いが出来ないのでは意味がない…。単に意地悪なママンで終わりだ…。”嫌なものを着させようと、意地悪な事をするママン”でムートンの頭にインプットされてしまった。起きたらどう反応していいのだろうか…。意地悪な私のことだから今日一日冷たい態度をとるんだろうなぁ。2歳半児相手に折れない3●歳の頑固者だからなぁ。ムートンの頑固な所は母親譲りか…。血を憎むよ。この時期の子供を育てるのはpenible（＊6：骨の折れる）と聞いているが、ほかのママンはどう乗り切っているのだろうか…。それも子供の性格によりけりなんだろうが、こんな頑固者を相手では本当に困るだけだよ。この世にごまんと居る2歳半児のママンの中でこの冬に着させるコートをどうしようかと頭を痛めているのは私くらいなもんだろう…。＊1：pull〔ピュル〕＊2：gilet〔ジレ〕；いわゆるチョッキ。前ボタンの上着類をさす。＊3：doudoune〔ドゥドゥウヌ〕＊4：crise〔クリーズ〕；本来の意味は危機、発作、不況など。＊5：manteau〔マントー〕＊6：penible〔ペニーブル〕；辛い、とても不愉快な。　　　”あー、マジでつらいわ…。”は　　　=”Qu'est-ce que c'est penible….”となる。　　　〔ケス・ク・セ・ペニーブル〕

  2005.10.04

• 日常、三十八日目。

  今日で3●歳になりました。嬉しくないもんです…。この一年は良い年であってほしいのですなぁ。前年は本当にdur（＊1：ハード）でした。と言うか、ここ何年が毎年dur度が増しているが…。やっぱり今のアパートがいけないような気もするのだ。何かこう”気”が回っていかないというか流れが悪いというか低運をもたらすような気がするのだ。ココに移ってから精神的に弱くなってcrise de tetanie（＊2：日本名だとパニック障害？）も起こし始めたし、病気もよくする。勿論アパートだけが原因ではないだろうが、自分たち以外の何かが作用している感じがするのだ。今年に限っては、胆のうの発作を数回繰り返し（痛いんですよ、これが。陣痛より痛いかも…。）春の日本行きの後に摘出手術を予約していったにも関わらず、日本で発作を起こし、救急入院、手術となり、ラパンとムートンを実家に残し12日間の入院をした。その前後、滞在中はヒドい花粉症にかかり、締めくくりには帰りのチケットがまるまる無駄になり、片道チケットを再購入するはめになるなどとんでもない旅行となった。そして、大事には至らなかったものの、父が心梗塞で倒れ入院、手術した。と、思ったら先日軽い脳梗塞で再入院。祖母のボケも増し、家族はストレスの日々を過ごすはめになる。フランスにおいてはラパンママンの状態が悪化していくにつれ、ラパン両親のdispute（＊3：口喧嘩）が絶えず、家族内がピリピリしている。そして我々といえば、仕事探しの日々にプレッシャーを感じ始めこの先の事ばかり考える日々だ。あー、こんな事書くと、凄い不幸っぽい人だなぁ。でも、当人は結構サラッとしていて、毎日絵ばっかり描いているんだけどね。とにかく今年3●歳は笑って生活できるようになりたいもんですわ。フラフラ人生まっただ中で、溺れる日々ではあるけれどラパンとムートンとがっちりスクラム組んで頑張ります。私のように愚痴のはけ口や鬱状態から逃れるためにブログを書いている人が多いと思うが、こんなボケた奴もいるので安心して人生を歩んでもらいたいと思いますね。うふ??。＊1：dur〔デュール〕；　　　固いという意味もあるので　　　ゆで卵はoeuf dur〔ウッフ・デュール〕。　　　反対語はmou(m)〔ムゥ〕 / molle(f)〔モォル〕。＊2：crise de tetanie〔クリーズ・ドゥ・テタニー〕；　　　特に手や顔の筋肉が硬直してしまう症状だが、　　　私の場合これに呼吸障害がついた。＊3：dispute〔ディスピュットゥ〕；　　　手が加わるとbagarre〔バギャール〕となる。

  2005.10.01

• 日常、三十七日目。

  最近ムートンの寝付かせ方に頭が痛い…。生まれた時からなんの問題もなく一人で良い子にベットに寝ていたムートンだが、最近は一緒にベットに入ってから寝付いた所でムートンのベットに移すという形になっている。いつも一人でゆっくり広々と寝るのが好きだったムートンと一緒にベットで寝るとは夢にも思わない程であった。前だったら、異様にexcite（＊1：興奮した）し遊び始めてしまうのだった。ムートンが1歳の時に初めて日本にいったのだが、その時家族で行った温泉旅行でも、ムートンはひとり隣の座敷のこたつの横で寝ているほどであった。（母は驚いていたが…。）しかし、今年の日本旅行でムートンは一緒寝の楽しさや安心感の味をしめてしまったのだ。座敷で川の字で寝ていたが1歳の時は違い、体の自由がきくようになり自分でgigoteuse（＊2：赤ちゃん用寝袋）からでれるようになり勝手に誰かの（いつもパパででしたけどね！）布団に入り込むようになっていたのだ。そして今年の夏。あちらこちらへ旅行に行った際、いつもムートンは我々と一緒に寝ていた。それに追い打ちをかけるように、ラパンのNY旅行で増々頻繁になっていた。通常、生まれてまだ小さい時に添い寝をし始め大きくなるにつれて’これからは自分のベットで寝ましょうねぇ～”となるのだろうが、これでは方向が逆だ。躾ができない我々に問題があるのはわかっているが、一緒寝に憧れていたのもあり、あの小さい手を握ったり静かな寝息を聞きながら眠れるのは嬉しかったのだ。しかしこれではいかんとradical（＊3：徹底的）にやり方を変えた。”今夜から自分のベットに戻って寝ましょうねー”泣きわめくムートンをあやしつつ寝かしたが、一晩中、悪夢の叫びに見舞われ全然眠れなかった。朝の5時にムートンを我々のベットに入れ寝る事ができた。昨夜はムートンのベットを我々のベットに横付けし”パパもママンも横に居るよ”作戦で寝かしつけた。幸いムートンはお尻を揺らせれたりお尻の割れ目をこちょこちょされるのが好きなので、昨日もラパンがこちょこちょしたら10分くらいで寝た。”こんなんでいのかなぁ。ちゃんと躾しないとなぁ。”という不安と”ムートンがぐっすり寝るのが第一だから形式にこだわらず彼が気持ちよく寝れるようにしてあげてもいいのではないか？”という親ばか論理のハサミ打ち状態である。”Dodo, maman”とベットを指差し寝るのを促す。そして、布団に入って電気を消すと5分もしないうちにronfler（＊4：いびきをかく）するムートンは幸せなのだ。ムートンが神経質な子であるとも知っているので安心した状態を与えて育てたいと思うし一緒に寝る事も苦でもなく、返って嬉しいくらいだ。ただ、一人でしていく事も学ばなければいけないとも思う。2歳半という時期は楽しく生きる事と学ぶ事が常に混在していて楽しく学んで生きれれば一番良いんだろうけど我々には大きい壁らしい。さて、今夜はどうするか…。（このまま”もものけ姫”をみながら寝てくれるといいんだけれどなぁ…。）＊1：excite〔エクシテ〕；　　　動詞だとs'exciter〔セクシテ〕となる。　　　よく使う言い回しに　　　”Ca m'excite !”〔サ・メクシットゥ！〕があるが、　　　言い方によっては”ワクワクするぅ！”となったり　　　あるいは”そそられるわぁ～。”となるので気をつけて　　　使いわけましょうね。＊1：gigoteuse〔ジゴトゥーズ〕；ムートンは2歳過ぎまで　　　これに入って寝ていました。　　　確かにふとんが剥がれたりという心配がないので便利でしたね。＊1：radical〔ラディカル〕；根本的な、効果的な。＊1：ronfler〔ロンフレ〕；関係ありませんが、　　　猫のゴロゴロはronronner〔ロンロネ〕といいます。

  2005.09.30

• 日常、三十七日目。（preface）

  皆さん、お騒がせしました。幸いな事にこんぷーたーが直りました。と、言うか…単に私がデスクトップの換気扇まわりを掃除せず、埃が溜まってしまいヒートアップしちゃったみたいです。Mac専門店に電話したら、蓋を開けて中のリセットボタンを押しば直ると指示され、その通りにしたら…”ドゥ～ン！”あー、いい響き?。こんぷーたーは無理せず使ってあげる主義なんですが、お尻もちゃんとお世話しないといけませんね。と、言う事で泣いたカラスもどこえやら。早速、書かせていただきます。

  2005.09.30

• 日常、三十六日目。

  こんにちは、皆さん。大変な事が起きました。コンピューターが動きません。ボタンを押しても、いつもの”ドゥオ～ン。”（私のこんぷーたーはMacです。）が、聞こえない…。お金に余裕があったら笑えるが、笑えない…。と、言う事で今日のブログは書けませんでした。ごめんなさいね。

  2005.09.29

• 日常、三十五日目。

  お留守番も無事に過ごせた。さすがに最初の夜は心寂しく感じたけど、ムートンの（たかが数時間のなんだけど）世話で疲れ、それからの夜は爆睡であった。夜中にベットの上でゴロンゴロン寝返りを打つ人がいなかったのでゆっくりおねんねさせて頂いた。（ラパンが寝返りを打つと私は船乗りになった気分。）でも、昼間は一人ボッチだったんで、こっちの方が寂しいと言うか、fade（＊1：味気ない）感じだったな。結構忙しく動いてはいたが、なにせ会話をする人がいないから頭がぼーっとした。喋る相手がいないからどうかは知らないが、色々、今の我々の関係とか、これからの関係とか、（良い意味でも悪い意味でも）ラパンの存在とかを改めて考えさせられた。一体、彼は私にとってどんな存在になっているのか。凄く熱い感情もなく、冷めた感情でもなく、居心地のよいお風呂に入っている感じは、どうなんだろうか？と。守られて弱くなった自分もいる。でも、不安を感じなくていい。こうしてほしいと思うけど、干渉したくない。矛盾した事だらけなんだな。もしかしてもっといい人が現れたかも知れないとも思ったりするけど、ラパン以上に自分を愛してくれる人はいないという確信もある。じゃぁ、自分もラパンを彼が自分を愛するように愛しているかと考えると、愛しているってどういう事なんだろうって、分からなくなっちゃうんだな。コレって贅沢な悩みなんだと思う。お金が沢山あって、”何買ったらいいのかしら？”って悩むのと同じように。アホな私を叱ってやってください。10年も一緒にいると、相手を子供のパパだと思うようになると、人生を設計しなくてはいけなくなると、生活に単に追われると、相手に対する見方って変わらざるを得ないのか。それでも幸せだとは思っているし、楽しい時も沢山ある。gourmand（＊2：食いしん坊）なんだな、きっと私は。良い加減のお風呂の中に入りつつも、かき氷食べたり、音楽きいたり、お気に入りのテレビシリーズを見たりしながら、足でも揉んでほしいようなものなのだろう。いつも刺激が欲しいのか、routine（＊3：ルーティン）が嫌いなのか。一度、psy（＊4：精神科医）に行ってみようかな？知らない自分発見を発見したりして。＊1：fade〔ファッド〕；味気ない、色あせた。＊2：gourmand〔グゥルマン〕；　　　食べるのが好きな食いしん坊という意味であるが、　　　どん欲な物欲しげな人という意味でもある。＊3：routine〔ルゥティン〕；metro、boulot、dodo。＊4：psy〔プシ〕；psychiatre、psycologue、psychanalyste。　　　多すぎないか？フランスの専門医。

  2005.09.27

• 日常、三十四日目。

  今日からnouvelle vie（＊1：新しい生活）の始まりである。何故、新しい生活なのかと言うと、生活形態を変えたからだ。面接の時の話の通り、臨時として雇われるようなのでこれから先どうするか考えなければいけないと思い、冴えない私の頭の中で色々と考え始めた。何をすべきなのか？したい事は分かっている。ただ、それで喰っていけるかは大きな疑問でもあるが、喰っていけるように頑張る価値はあるとも思うのだ。ただ、喰えるまでだらだらとは続けられない。生活があるからだ。でも、とにかくこれから少しの間頑張って挑戦してもいいのではないかとも思うので、まずは今までの生活リズムを変える必要がある。抵当に過ごしている今日この頃だが、まずは自分のしたい事を”仕事”と捉え、生活の中心にする。家事、ブログその他は仕事が済んでからだ。今までは（家で仕事をしていた時も）手が空いた時とか同時進行で家事をこなしていたが、やはりそれは”主婦”の私にとっては便利だが、”仕事をする”私にとっては能率の悪い事だ。それではたらたら仕事が進むだけで、出来上がらない。まずは悲しい事にもこのブログを一番後回しにしなくてはいけない。（あっ、でも小人の読者さんや、ブログで知り合った人達とのコミュニケーションのためにももちろん続けるますよ。）朝起きて、ムートンのクレッシュ送りをしたら、まず、仕事！そして、仕事！その間に、家事は一切しない。そして、ムートンお迎え、お買い物、夕飯の支度。のんびりとムートンタイム。添い寝をして寝付いた所で、仕事復帰。そして、ブログをやって、就寝。てな、感じでどうだろうか？持つ、だろうか？無理なスケジュールはやめた方がいいんじゃな～い？続かないよぉ～。そうだよね。claque（＊2：折れる）しちゃうよね。でも、気弱にならず、頑張ってみようじゃないか！今日も、仕事していて楽しかったじゃん！やっぱり充実感はある。だから、やってみる。今日は自分の今までの作品を見返した。新しい発見とモチベーションアップになったが、学生時代のスケッチブックの中に、当時の日記もあった。かなりdeprime（＊3：落ち込んだ）な内容で、この頃から症状がったんだなぁと。フランスに居る自分の対しての疑問やジレンマが湧き出ていた。（今はこのブログのタイトルにもなっているようにnoye（＊4：溺れる）だけどね。）やっぱり学生の頃はその他もろもろの心配事がないらしく、生き生きとした作品が多い。今更ながら、年を取ったなぁ、保守的になったなぁと思う。そんなネガティブな雰囲気を吹き飛ばすにも、まず、仕事だ！！！＊1：nouvelle vie〔ヌーベル・ヴィ〕；いい響きです。＊2：claque〔クラッケ〕；疲れるとう意味合いだが、　　　”Je suis claque(e)”=ストレスなどに絶えきれず、　　　”折れる、壊れる、切れる”という風に使う。＊3：deprime〔デプリメ〕；まさに、”凹む”。＊4：noye〔ノワイエ〕；以前にも書きましたが、繰り返して言います。　　　このブログのタイトルは”溺れたクマちゃんの日常”です。

  2005.09.26

• 日常、三十三日目。

  明日ラパンが帰ってくる。メールでやりとりしているので、全く連絡がないわけではないので安心してお留守番ができた、と、思う。昨夜はいきなりムートンがパパを恋しがって大泣きしてしまった。訳も解らずいきなり大好きなパパが居なくなって寂しいのだろうが、文句言わず良い子で過ごして来たもののやはり恋しくて仕方がないらしい。寝る時も（一緒のベットで添い寝して、寝入ったらベットに移す）わざわざ私のお腹の上に乗ってくるし、腕枕を求めてくる甘ったれぶりである。可愛そうで一緒に寝ているが、（というか、寝てもらっている感じも…）”あー、いけない癖をまたつけちゃうなぁ”と思いつつ、grand chagrin（＊1：とっても寂しい）で泣く我が子を”もう大きいんだから、一人でベットに入りなさい！”とまで心を鬼にはできなかった。ただでさえ甘えん坊で困ったちゃんなのに、ある程度一人で出来るようになって欲しいのだ。未だにtetine（＊2：おしゃぶり）とdoudouは手放せない。昼間は渡すようになったが、昼寝や夜は必ず必要である。その他、環境によって慣れない所に行くなど、精神安定剤の代わりになっている。無理に手放させなくてもとも思うのだが、やっぱり周りの同い年の子達が手放して行くのを見ると、自分の子が感受性の高い子だからと分かっていても、焦ってしまうのだ。もちろん、トイレトレーニングなんて…。petit pot（＊3：オマル）にすら座らない。オムツを変えるのが嫌いなので、教えない。まるっきり赤ちゃんなのだ。今まで発育過程を見ていると（これでも見ていたんですよ。）他の子より一般的な”発育度”が半年程遅い感じがするのは知っていた。遊び関係は遅い。今頃フラッシュカードらしきものに興味が出て来たし、機械モノに興味を示すのも遅かった。赤ちゃんの時は”観察”ばかりしている子だった。何も心配している訳ではないが、私の心の中がすっきりしないのだ。（それを心配というのでは？）私の育て方が悪かったのか、今でも間違ったやり方をしているのか？とも思ってしまう。みんなそれなりに自分のやり方で出来る限りの子育てをしているとは思うのだが、ウチは何かが違うのかなぁ？ただ今彼が出来る事は全て彼が”観察”して得たものである。我々が教えて出来るようになったというのは本当に少ない。こうやって彼はautodidacte（＊4：独学で）で学んでいくのだろうか？それならそれでいいのだが、学校に行くようになったと思うと不安は尽きない。＊1：grand chagrin〔グラン・シャグラン〕；　　　失恋など心が張り裂けそうな悲しみを言う。　　　が、赤ちゃんなどが、パパ、ママンを恋しがって泣くと可愛いので、　　　”Ah～、c'est un grand chagrin, hein?"（あら～、さびちいのねぇ～）　　　と言ってあやす。＊2：tetine〔テチン〕；ゴム派か、シリコン派か。　　　ムートンはシリコン派で先が舌に沿う形をしたタイプで　　　しかも口まわりの部分は”赤”じゃないといけないみたいです。　　　おしゃぶり派か指くわえ派かの議論は後ほど。＊3：petit pot〔プチ・ポ〕；chambre de potだと溲瓶なので　　　気をつけましょうね。＊4：autodidacte〔オトディダクト〕；能動的な行為は　　　結構auto～という単語が多いです。

  2005.09.23

• 日常、三十二日目。

  ラパンが発ってから数日、と言うか2日しか経っていないのに、心寂しい。いつもいつも一緒にいたから、居ないってこんな感じなんだと今更ながら感じる。妊娠中、仕事をせず専業主婦を少ししたが、その時もガラ～ンとした家で一人ぽっつりいったっけ。でも、その時は毎晩ラパンが帰ってくるからそんなに寂しくなかったのかも知れない。今はムートンが居てくれるから寂しさも半減だけど、ムートンも寂しいようなので可愛そうだ。たまに思い出したかのように”パパァ～？パパァ～？”と言って、トイレのドアを叩く。トイレに居ると思うらしい。何故なら、普段でもトイレに30分以上籠る習慣があるからだ。なので、ムートンは”パパ見当たらない=トイレに居る”という図が頭にenregistrer（＊1：記録する）されているのだ。先日日記に、ラパンが留守中の生活は、旦那さんが出張した家庭のような感じと書いたが、旦那さんが出張しなくても日本のサラリーマン家庭はこんななんだろうなと分かった。そういえば、ウチの兄は家にいない。帰ってくるのがいつも12時近いからだ。早くて10時。以前は彼の息子も待っていたりしたが、最近はプレスクールも始まったりと、”子供らしい生活”に切り替えているので、夜に会うこともないらしい。なので、週の間は私の義姉と甥、2人だけの生活である。幸い、彼らはウチの両親の隣に住んでいるので、よく遊びにいったりご飯を食べたりしているらしいが、ママンと子供の1対1の生活だよなぁ。そう考えると寂しいだろうなぁと思う。すでに2日目を迎えた我々は寂しい気持ちが収まって慣れて来た感じもある。きっと彼らもそういう生活に慣れているから寂しいとは思わないのだろう。ただ、そんな生活をしているのを”頑張っているわねぇ、偉いわ。”と褒める人達がいるが、それはどうだか？とも思う。一人で子育てしているのは大変だと思うが、見守る周りもいるから幸せだと思う。手伝ってくれる人がいるのだ。ウチは運良く、ムートンがクレッシュに入れた。それはとてもとてもとても運のいい事だと認知している。その代わり、周りの手伝いはないのだ。私の親は日本だ。ラパンの親は身体不自由（ママンがね）だ。”どっちが偉い？”という問題になってくる。勿論世の中色んな生活をしている人がいて、誰の助けも、何処にも預ける事も出来ない人が山ほど居るのも知っている。それに比べたら、ウチはクレッシュに行っているだけマシだ。しかも、今我々には自由な時間がある。ただいつも思うのは、子育てが大変大変という仕事であり、それをしている人は“偉い”というのは如何なものかと。一世代前だったら褒められもしなかっただろう。一日中一緒に居るのは大変だと思う。自分の時間が全くない。何をするにも、何処にいくにも大変だ。じゃぁウチみたいに（以前のね）クレッシュに入れると、一日一緒ではないが、自分の思ったように子供を躾られないし、子供の精神状態にすごく気を使っていかないといけないし、毎日時間との戦いである。どんな状況であれ、子育ては大変なのだ。子供を持つという事はそういう事なのだと思う。だから、“偉い”という観念は私には理解できない。環境が整った家庭でも、シングルマザーの家庭でも、給料がnounou（＊2：ベビーシッター）に横流しになってしまう家庭でも、ウチのように御気楽な家庭でも、子供がいるかぎり、みんな大変なんだと思う。ただ、私は怠け者ゆえいつもラパンがムートンの世話係なので、一人でお世話を見るのが”たっいへ～ん”なのだ。（本当に自分は棚の上なんだな）（で、エラソーな事を言うのも好きなんだな）なんて言いながら、甘えてくるムートンが可愛くて仕様がない。今日もせっせとIKEAまで足を延ばし、ムートンが大好きなDaimを買ってくる親馬鹿ぶりを発揮。しかも、最近朝晩が冷えるので、長袖Tシャツも買ってみたりする。お陰で、一人Bercy2のH&mで30分以上かけて5,5ユーロの長袖Tシャツを選んでいた。＊1：enregistrer〔アンレジストゥレ〕；　　　録画、録音、記録、記憶、登録する事。　　　空港などのチェックインも。＊2：nounou〔ヌヌ〕；nouriceが正しい言い方なんでしょうね。　　　根本的に”近所の子供の面倒を見てくれる人”で、　　　資格のある人だとassistante maternelleになる。　　　30時間以上のフォーメーションを受けた人で、　　　通常、nounouよりか安いが、申告しなくてはいけないのが面倒。　　　クレッシュなどで働いている人はpuericultrice（保母さん）である。

  2005.09.22

• 日常、三十一日目。（戦の後）

  面接に向かうため、メトロに乗る。パリを横断だ。やはり初めて行くので、時間の見当がつかない。でも1時間以上もとったから大丈夫だろう。フンフンと鼻息も荒く出発したが、歩きながらはっと思い出した。パーキングチケット…。いつも車を路駐しているのだが、1週間ごとに在住者用のカードの横にパーキングチケットを買い替えないといけないのだ。1週間で2,5ユーロ。でも、駐禁をとられると11ユーロ。先週替えたチケットの期限は今朝までだったのだ。すっかり忘れてたー！帰って来た時には11ユーロのPV（＊1：駐禁チケット）が待っているのか…。でも、出てしまったのだから仕方がない！進むのみ！メトロに乗って最寄りの駅に着いた。この番線はある駅を境に乗車している人の雰囲気が180度変わる。パリに10年いるが、なかなか慣れないものだ。淡いキャメルカラーのモルタル素材のような生地でできたラッパー上下の若者の目の前に座った。凄い恰好だ。恥ずかしくないんだろうな、彼は。ヨーメン！ヨーメン！と心の中で叫んでいるんだろう。膝の位置まで下がった腰のポケットからしきりにbonbon（＊2：飴）を取り出して食べている。こんな恰好をしても味覚は幼児なところが可愛い。甘いものに目がないんでちゅね?。でも、一応鞄の取手をぎゅうと握り、警戒態勢を保つ。（嫌な性格ですねぇ、私って）最寄りの駅に到着。バスに乗り換える。もう、ココはアフリカだ。バスで目的地に着いたのは11時半だった。うーん、カフェでも飲んで待つか…。でも、どこのカフェに入ろう…。外から物色し、勇気を出して入った。当然、”アジアの子、何しに来たんじゃ？”という目線が私を刺した。そんな事にもめげず、意外においしいnoisette（＊3：ミルク入りエスプレッソ）を頂き、時間がくるのを待った。12時5分前…。出発進行！大きな建物の8階にオフィスはあった。でも、7階にも9階にも誰もいない。空だ。そんな事は気にしない。ドアを叩いて中に入ると、意外や意外、まさにオフィスといった感じのごくありふれた風景であった。（って、何を一体想像していたんでしょうかねぇ、私は。）受付のお兄ちゃんに事を告げると、”そちらでお待ちください。”と言ったのであろう、あまりにも蚊の鳴くような声だったので聞こえなかったのだが、手をそこにあるソファーの方へ向けた。待つ事10分、日本人の女の人が来た。どっかに移動するかと思いきや、そこで面接開始。いやだわぁ、こんなだだっ広い所で自分の経歴をベラベラ喋るのは～。仕事内容を説明してくれたが、広報とか人事の人ではなさそうで、喋りが私より下手だった。人事の人が手が離せないとの事で先にテストをして欲しいと言われた。来ましたね。うはうは。デスクにつき、説明を受ける。Illustratorで化粧品の説明書を1から作るのと、あるカタログに翻訳された文章を流し込みする作業だ。ただ、この流し込み作業はInDesignでしなければいけないのだ。知らないのよー、このソフトー。レイアウトならQuarkの方が使え慣れてんですけどー。でも、Adobe社だから勘を使えばどうにかなるか。と、いうわけで、どうにかした。頭の良いソフトで文章をコピー＆ペーストでフォントもそのまま自動的にかわってくれる。ふー。全部を1時間くらいでと言われたので、張り切ってやったが、やっぱり緊張していたのか、何回も点検してやっと完成。でも、流し込みの方のを1ページ忘れちゃった。”あっいいですよ。”って言ってくれたので、というか、彼女も早くお昼に出たかったらしく、人事の人に私を合わせて、さっさとお昼に行っちゃいました。人事の人はさすがに会話に長けていて話が弾んだし、サラサラっと方向を変えて探りも入れて来た。別に隠す事もないし、繕うのが嫌いなので、そのまま彼女のペースで話していった。こんなだから人付き合いが下手なんでしょうね。しかし、問題がある。私がフリーランスで働けるのを逆手に取られてしまったのだ。勤務したいんですよー。勤務。まぁ、フリーの方が勝手に料金とか決められるけど、今私が欲しいのは安定した職なんですよー。それでも仕事欲しさに強く出れなかったー。くー。でもこれで仕事が入って来たらそれでもいいんだが、シチュエーションは変わらんなぁー。ぼーっとしながら建物を出る。最寄りの駅まで歩いて行けそうなので、天気も良いので、バスを乗らず歩く事にした。頭の中をいろんな事が巡る。自分のした仕事は良かったのだろうか…やり残したページをちゃんと終わらせればよかった…もっとテキパキこなせば…人事の人の反応…もっとフランクに話した方がよかったかも…どうなるんだ…どうなるんだ…。お日様ピーカンの中、私の周りだけ梅雨模様だったかもしれない。しかし、駅の方に近づくにつれて、面倒くさい事が起き始めた。それは、”コニチハ””ニーハオ”を言われる事である。私はコレが大嫌いである。言う人に睨む事もあるが、睨むのに振り返るのを勘違いするバカも多いので大抵無視する。相変わらず、四方八方から聞こえる。イライラが頂点に達した頃、それを超える嫌な事が。一台の日産ミクラがのったりのったりと私の横を走る。私と同じ早さで。おいおい。そりゃーねーだろ。横目でチラッと見る。やはりそうらしい…。気が一気に滅入った。このお日様ピーカンの下、リクルート姿までとはいかないが茶のブラウスに黒のパンツ足下はカーキのballerine（＊4：バレーシューズの形の靴）そして手に茶のコートを抱え、型からカーキの小バックにブックの入った布袋を下げてるというストイックな恰好だぞ…。そんな姿したpute（＊5：売春婦）が何処にいるんじゃー！！！しかも、ミクラだぞ、おまえの車は！引っかけんだったらフェラーリくらい乗ってろよ！しかも328ならもっといい！（↑それは私の勝手な好みでしょう…）面接してどきどきして疲労した上に、”君、いくら？”攻撃かい…。そんな時に横を通ったあやしい黒人のおっちゃんが、”Ca va？”（”どうよ？”）と行って来た。無視していたら、”Tu ne parles pas？”（”話さないのぉ？”）とか言う。”tu”で話しかけるなよ。私はこれも嫌いである。”J'inore que vous savez comment il faut parlera la personne qu'on ne connait pas, je suis desolee, on ne parle pas comme ca !Si vous voulez me parler,j'aimerais bien que vous me parliez correctement;Sinon je n'ai pas du tout l'intention de vous repondre !”（＊6）と言ってやりたかったが、変な気を起こされると嫌なので、そそくさとメトロに乗る。変な脱力感に見舞われたので、技術上の問題で一旦停止した駅で降り、腹ごなしにMacDoで遅い昼飯を取った。こんな些細な面接でここまでボロボロになるとは情けない…。っつーか、面接だけだったらここまで疲れんだろーに。ガランとした家は嫌いだ。ラパンが居たら、グワーッと愚痴を吐き出して、頭をなでなで、良い子良い子してもらえんだけどなぁ。早く帰ってこないかなぁ～。って、出発したばかりよ…。＊1：PV〔ペーヴェー〕；ちゃんとした名前は　　　contravention〔コントラヴァンシオン〕。　　　最近はかなりうるさく、下手してlivraisonの所に止めると、　　　朝の7時から取り締まられるので、レッカーされてしまう。　　　＊2：bonbon〔ボンボン〕；またはfriandise〔フリアンディーズ〕。＊3：noisette〔ノワゼット〕；ミルクがほんの少し入ったエスプレッソ。　　　色がノワゼット色をしているからこの名がついたが、　　　ノワゼット味ではないので気をつけて下さい。＊4：ballerine〔バレリン〕；今流行のバレーシューズ。　　　私はこれが大好きなんですよ。　　　ムートンも捕まえるのに、走れるんでね。＊5：pute〔ピュット〕；きちゃない言葉です。　　　覚えるなら、prostituee〔プロスティチュエ〕の方が上品ですな。＊6：”知らない人にどういう口のきき方をするべきか、　　　あなたが知っているかどうかしりませんが、　　　すいませんがね、ふつー、こんな口のきき方しませんよ。　　　私に話しかけたかったら、　　　もうちょっとましな口のきき方してくださいな。　　　じゃなきゃ、答える気なんかぜんぜ～んありませんから。

  2005.09.21

• 日常、三十日目。（出陣前）

  さあ、面接の日だ。そしてお留守番もスタート。しかし、今日は朝の4時半にスタートをきったのである。勿論ムートンの夜泣きである。というか、”夜叫び”といった方が適当だと思う。”ウゲェ、ママァ～ン、ウマァ、パッパァ～…。”無視をしていたが、いい加減うるさいので、もっと大泣きしないようにと優しく答える。”Papa,dodo（＊1；ねんね）。Maman,dodo。”また布団から出て寒いのかと思い、確認しにいくとプヨォ～ンとした匂いが…。夜うんちか…。ヤラレタ…。嫌がるムートンのおむつを変えると、案の定何時間か前の物体を発見。そして何よりも困る品物、おむつかぶれも一緒に。数分放って置くだけでかぶれてしまう弱い肌の持ち主なので、うんちならうんちと言ってくれないと困るのだ。痒い痒いと苛つくんだもん。私の心強い味方、おむつかぶれの敵、Mitosyl（＊2；おむつかぶれクリーム）を塗りたくる。魚の匂いプンプンなのだが、効き目は抜群。ベットに戻したもののしきりに我々のベットに来たいと嘆き続ける。これまた長引くのでこちらも苛つき、”寝ないんなら寝なくて結構！起きなさい！”と、ムートンをサロンの方へ連れて行く。訳がわからず泣くムートンだが、ワガママを言っているのは自分だと分かるらしく、珍しく私に抱きつき、そのまま寝入る。（ちょっと可愛いと思ってしまったりして…）やっとムートンをベットに戻し、私も床についたものの、あっという間に朝がきた。来たはいいが、また寝坊だ。もう、8時半だよ。ムートンを起こす前に私がシャワーに入らなきゃなのに。ラパンはいつものごとく私に気を利かす事もなく、ひたすら自分の身支度に没頭。起こしてくれたって良いのにぃ～。ダッシュでシャワーを浴び、ムートンを起こすが、勿論爆睡しており反応ゼロ。”起きてすぐに僕がバイバイしちゃったら可愛そうだから、出て行くまで寝かせてあげなよ。”何ぬかす…。私はこれから自分の身支度、ムートンの朝ご飯、ムートンの支度、クレッシュとやる事が山ほどあるのに、相変わらず自分勝手な発言を。ラパンがムートンにチューをして出かけた。もう、9時だよ。ムートンをユラユラゆらしやっと起こしたものの、かなり不機嫌なご様子。そんな事に構っていられないと身支度を続ける私。ラパンのイライラとムートンのイライラがadditionner（＊3：足す）それに面接のストレスがmultipiler（＊4；掛ける）でかなりピリピリしていた。いかんいかん、これじゃムートンが可愛そうだと気を直し、笑顔で対応したら、ムートンも気分よく言う事を聞いてくれた。さっ！さっ！出発よ。とりあえずムートンをクレッシュにと家を出た。家の建物から出て、折り畳んであったプセットを開き、さあ！出発と一歩ふみだした時…。踏んだ。プチ・うんこを。踏んでしもうた。がくっ…。いかんいかん、そんな暇はない。左踵をずるずる引きずるようにして歩いていった。ラパン弟の結婚式に行く時もそうだった。すんごく奇麗なおベベを来て、いざという時に、踏んだのだ。緊張すると向こうから来るらしい。すたすたといつもの道を行き、ムートンをクレッシュに放り込む。家に一旦引き返し、持っていくものを確認。そして何より大切な”朝ご飯”を摂取。”腹が減っては戦はできん”とは私の為にある言葉だ。どんな時でも、特に大切な時にこそ、食事摂取は第一。腹が満たされなくては、脳みそは動かん！良い仕事をするには、良い食事！お腹も満たされたので、いざ出陣！（本音はどっきどきー）続く。＊1：dodo〔ドド〕；言わずと知れた、ねんね。　　　ウチではねんねではなく”ごろん”になっている。＊2：Mitosyl〔ミトジル〕；魚の肝油で作られているので、　　　かなり魚臭いが、効き目は大。　　　たっぷり塗るとかなり真っ赤なかぶれもすぐ消える。　　　重宝してます。＊3：additionner〔アディッシオネ〕；足し算はaddition。　　　そう、”お勘定”と一緒です。　　　ちなみに引き算はsoustraction。＊4：multipiler〔ミュルチプリエ〕；かけ算はmultiplication。　　　ちなみに割り算はdivision。

  2005.09.20

• 日常、二十九日目。

  明日からラパンはNYに行く。3泊4日の短い旅行だ。ラパンとラパン・ママン、ラパン弟、ラパン弟嫁の4人で行く。ラパン弟嫁がhotesse de l'air（＊1：スチュワーデス）なので、安く旅行ができるからだ。このNY旅行は彼らが結婚する前から出ていた話であるが、当初ラパン・パパとの4人組だったのに、直前にしてラパン・パパは行かないと言ったので、ピンチヒッターとしてラパンが行く事になったのだ。希望を言わせてもらうと、”仕事が見つかっていけませんでした。”の方がよかったのだが、ないものはないので仕方がない。NYには以前から行きたかったと言っていたので、心からよかったとも思っている。楽しんで来てもらいたいものだ。私とムートンは当然お留守番である。実は、今回がこの10年で”初めての留守番”なのだ！うっはー、どきどきだ。しかも、明日は面接だし。ムートンが居るので心細さはないだろうしムートンの世話で色々することはあるのだろうけど、（お陰でご飯も一緒に食べるし）さほど友達もいない私はまさに独りぼっち状態である。以前は私が日本に帰ったりhospitalisation（＊2：入院）したりとラパンを独りぼっちにさせてはいたが、自分がそうとなうと結構どきどき。Deplacement（＊3：出張）で旦那さんが留守な家庭ってこんなんでしょうね。Incident（＊4：アクシデント）が起きませんように。小心者の私としては願うばかりだ。寝る時にいつもは締めないガスの元栓とか締めちゃったりして。窓も全部閉めて、ドアの鍵も内側から全部かっちゃって、もちろんムートンと添い寝ですよ。一応男の子ですからね。しかし、その前に、ラパンの旅支度をせねば…。なんで私がするんだ？とも思うが、”忘れ物”をされるのが嫌な性分なんで。そして、私は明日の面接の支度。うはっうはっ。でも、ちょっとお腹が痛いんだよねぇ。なんでかなぁ？ストレスかなぁ？それとも一昨日食べたベトナム料理かなぁ？（でも、Lotus（＊5：ベトナム料理屋）のご飯はたべなれてんだけどなぁ。）明日には良くなっていますように…。＊1：hotesse de l'air〔オテス・ドゥ・レール〕；　　　でもスチュワートだとsteward〔スティワルト〕となる　　　不思議な国、フランス。＊2：hospitalisation〔オスピタリザシオン〕＊3：deplacement〔デプラッスマン〕；　　　または、voyage d'affaire〔ヴォワイヤージュ・ダフェール〕。＊4：incident〔アンシダン〕；些細なアクシデントの事で、　　　accident〔アクシダン〕の方が”事故”に近い意味合い。＊5：Lotus〔ロチュス〕；13区中華街にあるベトナム料理屋。　　　最近名前が変わって、確か…Koan Ngonとかいう感じになった。　　　一応パリでは5本の指に入る美味しさ。　　　でも、Phoを食べるのであれば、Pho14にどうぞ。　　

  2005.09.19

• 日常、二十八日目（裏）。

  今日はいきなり（裏）です。ガガガガーッという工事の音で目が覚めた。ううーん、よく寝たなぁ。ぼーっとベットの中でしていると次に、近くの教会の鐘の音が聞こえた。1,2,3,4,5,6,7…おっ、8…おっ、9…おおおー9時か！！！寝坊じゃ。寝坊じゃ。よく寝たぁじゃないじょ。起きてみると、ラパンはコンプーターの前でカチカチしている。朝からよくコンプーターするなぁとも思ったが、急いでムートンを起こす。ムートン、一人で起きていたらしい。ムートン語で大好きなヌイグルミに何か語っていた。丁度いい、目覚めがいいからご飯も食べやすいぞ。最近流行のコーンフレークを与える。9時半には家を出なくてはなので急いで喰え。しかし、今日の朝晩はラパンなのだ。オメーは何してんじゃい？じゃ、そろそろ朝の日課をして（トイレの事さ）、シャワーでもあびるか…とのんびりなラパン。ふんっ、後で焦ってもしらんぞ。わたしゃ、ゆっくりカフェオレでも飲ましてもらいます。ムートンが勢い良くコーンフレークを食べるのは良いが、もう9時半だ！！！未だトイレに籠るラパンに、　9時半過ぎですよー、と親切に声をかけなくてはいけないとは…。子供が2人だよ。いつもなら、朝ご飯をゆっくり食べて、ちょっとビデオでも見て、車でもちょっと遊んでそれからお着替えなんだけど、今日はそんな時間はない！はい、着替えです。胃に入ったばかりのコーンフレークなど気にせず、ムートンをこねくり回して着替えさせる。が、ムートン、怒り始める。”ノン！ノン！ノン！”ラパンの呑気さとムートンの”ノンノン”攻撃に腹がったったので、怒った！怒鳴った。”着替えたくないなら着替えなくて結構！部屋に行って反省しなさい！”雷どっかーんだ！今日はラパンが朝晩じゃん！アシストしてあげるけど、自分は勝手に自分の支度だけして、あとは俺まかせはいけないね！ちゃんと時計見て、行動してよ！だからツケがこっちにまわってくんじゃん！アセクセ急ぐのは私だし、訳分からんで気分が悪くなるのはムートンじゃん！ムートンも少しは理解しろよ！っつーか、人の言う事聞けや！あーあーあーあーあーあー。ムカついた。怒られて一人部屋で泣くムートン。ラパンがなだめて着替えを終わらし、お話をしているらしい。戻ってきてクレッシュに行くからと、バイバイチューをしに来た。こんなに怒らなくても良いのかも知れないけど、こうしなくてはいけない事をこうしないのは許せない性格なのだ。なぜこうしなくてはいけないのかと言うと、こうするとみんなが気持ちよく居られるからだ。それをオーガナイゼーションと私は思っている。みんながみんな自分の事ができるなら私はそこまでしなくてもいいのだろうが、みんなが勝手にしていては事が進まないのである。そんな私の頭は固いのだろうか？機嫌を直したムートンはクレッシュに向かった。帰って来たラパンは苛ついて、またその事に対して落ち込む私に気を使って、昨日の皿洗いをしている。こうやってたまに雷を落とさないとつけあがる家族なので仕方ないか…。落とさないでいいならば落としたくもないんだけどね。こうしている自分は25年前の母の姿そっくりだ。血は濃い…。うはー。

  2005.09.16

• 日常、二十八日目。

  日本の実家に大学卒業○周年の同窓会のお知らせが来た。あぁ、もう卒業して○年も立つのかぁなどとnostalgique（＊1：ノスタルジック）になっていたのだが、同時に恐ろしくも感じてしまった。だが、この通知の知らせは思わぬ質問から知ったのだ。勿論、知らせの主は前回登場したウチの母である。banal（＊2：変哲もない）な電話の会話で、いきなり、”11月なんだけど、帰ってくる？”と聞いてきたのだ。”11月には仕事が見つかっていて欲しいもんだよ。”と答えたら、“同窓会があるらしいよ。で、S子（私の親友）が一緒に行きたいから帰ってくればいいのにって言ってたよ。”と言う。“S子は同窓会に行く気なんか？”怪しい風を背後に感じたが、さらさら行くはないので、欠席として返事してくれるよう頼んだ。そして、何事もないかのように、来月の私の誕生日のプレゼントの話をし始めた。最近私のプリンターの紙を噛む機能がキーカーキーカーといかれた音を出すと訴え、交渉成立。うはうはして電話を切ったので、同窓会の話など遠く遥か大西洋の上を飛んでいた。しかし、その日の午後、S子からメールが来た。先日送ったpaquet（＊3：荷物）が届いたとの事。その他、最近の彼女の様子などが書かれていたのだが、メールの最後にPSとあった。そこには、”同窓会の連絡がきたのはママから聞いてるかな？で，きっとママがヌヌース・ノワイエに会いたくてさびしいからだと思うけど、私からから同窓会に帰ってくればって言ってみたらって言ってたよ。”と書かれていた。”素直になればいいのにね、ママも。そこがかわいいところでもあるんだけどね。”とも付く加わっていたが、全く素直でないのも知っているし、あまりかわいいとも思わん。こんな小範囲で小細工すれば丸見えな事が分かってやるastucieux （＊4：知能犯）である事も知っている。ウチは根本的に素直に事が言えない家庭である。泣きつく事もしない。頼みもしない。そんな性格だから損をしているとも思うが、返って変な心配をさせてしまうんではないかと思うからだ。”行きたいよ、行けるもんなら。”母は私にそう思わせたくないのだ。そう簡単に行けないのを知っているから、自分のわがままなだけだから、と思っているのだろう。私も“フランスに来れば？来たいんなら。”と言う。自分の希望をimposer（＊5：押しつける）し、相手にpression（＊6：プレッシャー）を与えたくないのだ。たとえそれが家族であっても。家族だから尚更なのだ。よくラパンに言われる事の一つに、”したい事をしたいと口にしなさい。”がある。それに対し、こちら側がしたければするし、したくなければしないと言うよ、と。やっぱりある意味、フランスは大人な国だ。相手に合わせるのはある意味美徳かも知れないが、単なる可愛くない自己満足という感じする今日この頃である。＊1：nostalgique〔ノスタルジ〕＊1：banal〔バナル〕；平凡な。　　　quelqu'un de banal；凡人…。悲しい言葉ですね。＊1：paquet〔パッケ〕；　　　paquet de ～；～の塊、大量の～　　　誰かからの誘いを断るのに↓　　　”Desole…J'ai un paquet de boulot.”　　　（ごっめーん、仕事がめちゃくちゃあんのよー。）＊1：astucieux 〔アスチュスィユ〕；抜け目のない人、やり手。＊1：imposer〔アンポゼ〕；強いる。＊1：pression〔プレッシオン〕；　　　faire pression sur～；～にプレッシャーをかける 。　　　その他の意味に、ビールの”生”というのもあるので、　　　カフェで生ビールを頼む時には↓　　　”Une pression, svp.”。

  2005.09.15

• 日常、二十七日目。

  今日、母から電話があった。母は、私が渡仏してから10年間、殆ど毎週日曜日に電話をかけている。つまり、500回以上だ。私がおぎゃーと産声をあげた時、七五三のおべべを来た時、桜の木の下で入学写真を撮った時、成人式の着物を一緒に選んだ時、私が結婚でもないのに、家を出るとは想像もしなかっただろう。まさか、それがこんなに遠い異国だとも。家族への言葉はまた別の機会にするとして…。私の母はかなり特殊な人である。以前はある野球監督の悪名高い奥様に似ていたが、最近はよくテレビに出演されてタッキー好きな占い師に似ている。デンと構えたallure（＊1：風貌）は誰にも勝てない。彼女は最近、”年老いてねぇ”という台詞が口癖だ。これは私の兄、悪魔ちゃん一号の辛辣な口調から身を守るために考案したのだろう。（ちなみに悪魔ちゃん二号は私です。）悪魔ちゃん一号から滅多打ちにされると代わりに母は蚤の心臓の父を滅多打ちにする。私はその中でみんなのneutralisant（＊2：中和剤）として人生の半分を過ごした。なので、よく電話でも“ワガママ言わないようにね。又悪魔ちゃん一号から刺されちゃうよ。”と、あやすのである。なにせ彼女は小学生時代、先生から質問を受け、答えが分からなかった時、“分かりません。”ではなく、”（答えるのが）嫌だ。”と答えたので、その日から黒板に、“ワガママ。”と大きく書かれたそうだ。その話をした時、“兄弟からもよくワガママって言われたでしょう？”と言ったら、“言われないわよ。”とエバって答えられた。ので、”でも末っ子だから甘やかされて育ったでしょう？”と聞くと、”甘やかして育てられたけど、それは私の責任じゃないわよ。甘やかした兄弟の責任よ。まぁ、それに“甘んじた”のは私の責任だけどね。”と、言い切られた。そんな彼女は精神的にもろいくせに、度胸があるのだ。3日間放って置かれた饅頭のようなものだ。以前日記に書いた、ブログを書いている人目当ての”俺俺詐欺”に気をつけるようにと話をしたら、”あー、俺俺詐欺、かかってきたわよ。”と自慢げに答えるので、”どうしたの？”と聞くと、”俺、俺、って言うから、ウチには”俺”っていう人はいませんって言って切っちゃった。”確かに、悪魔ちゃん一号が若かりし頃、“俺“禁止令が出ていたっけ。泣く人にもsans pitie（＊3：情け容赦なく）、ばっさり斬る母。二回目は泣いてわめく声の背後に脅す声が聞こえたらしいが、”生年月日は？”と、聞いたそうだ。“答えないから、切っちゃった。”全く動揺しない。確かに証券などの勧誘の電話に出ると、”何処の誰だか知りませんが、勝手に電話番号調べて、人にもの売るくせに自分の尻も動かさないようじゃ、あなた出世しませんよ。”と、言っていた。そんな母と一緒だった私はinvincible（＊4：無敵）だったなぁ。ただ、それは日本においての話。フランスに来ると“借りてきた猫”である。＊1：allure〔アリュール〕＊2：neutralisant〔ヌートラリザン〕；　　　またはsubstance neutralisante　　　〔スュプスタンス・ヌートラリザントゥ〕＊3：sans pitie〔サン・ピチエ〕；“お頼み申しますぅ～”＊4：invincible〔アンヴァンシーブル〕；　　　=vaincre（〔ヴァンクル〕打ち勝つ）出来ない（”in”）から。

  2005.09.14

• 日常、二十六日目。

  先週、中華街に行ったので、Tang Freresに買い物に寄った。中華街を仕切ってるTangさん。いったい何件のsupermarche（＊1：スーパー）をもっているのかは不明だが、石を投げればTang Freresにあたるくらいある。ウチはその中でもAvenue Choisyにある一番大きいのにいつも行く。野菜も豊富で、しめじとかえのきが買えるからだ。それにいつもにんにくの芽も購入。大好きなチンゲン菜も。ここでは日本食品も安く手に入るし、お米も安い。いつも10キロの”しので”を買う。この”しので”の本名は”日の出”だが、何故かローマ字で”しので”になっているのだ。今回は白大根も発見。噂では15区のマルシェやMonoprixにうっているらしい。ウチの周りでは黒大根しかなく、一回かってみたものの辛すぎて使えなかった。うふうふと大根の煮付けを想像し、手に取る。でも、以前柿を買った時に大失敗したのを思い出したので、今回はハズレではない事を祈った。（アレは渋かったぁ～）大当たり！煮付けにした大根ちゃんはホロホロしていて最高でした。でも、日本食ってこんなにも体に解けていくものかと実感。食べた後、胃が重いとか体が重いとか感じる事はなく、まるで胃に何も入っていないかのような軽さ。そりゃー、ご飯と煮付けと海苔の佃煮じゃ、重くもならないだろうが、なんかこうすーっと体に入っていく感じがたまらないのだ。ムートンは大根の煮付けはいまいちだったらしい。汁だけをチューチュー吸っていた。でも、ご飯好きなので、しそわかめのふりかけがかかったご飯をムシャムシャ食べ、お味噌汁でお腹を膨らましていた。＊1：supermarche〔スーペルマルシェ〕；いわゆるスーパー。　　　大型（AuchanとかIntermarche）は　　　hypermarche〔イーペルマルシェ〕。　　　小型（alimentation generaleとか）は　　　surperette〔スーペレット〕。　　　CarrefourとかCasino級はよく　　　Grande surface〔グランド・シュルファス〕と呼ばれる。

  2005.09.13

• 日常、二十五日目。

  面接の日が決まった。やっぱり再来週になった。日時の返事をメールをしたら、早速承諾の返事メールが来た。うーん、面接をするにあたってはフランス式だが、対応は日本式だのー。しかし、この返事メールに恐ろしい事が…！”面接の際に、もしお持ちでしたらブック（＊1：ポートフォリオ）をお持ちください。”と、きた。まぁ、この職業をしていて、CV（＊2：履歴書）のみで済むはずはないと思っていたから驚きはしなかった。（でもちょっと嫌だけどぉ）しかし、これだけじゃなーい！”簡単なMAC上での技術テストを受けていただきますので、お時間のほうですが、約１－２時間見ていただけますか？”だってー。技術テストなんてぇ～。勿論使いこなせますよ。でも、でも、でもぉ。どきどきしてsouris（＊3：マウス）をガチガチいわせてやったら向こうだって？？？って思うよなぁ。しかも、日本語環境だったらどうしよう…。PhotoshopもIllustratorもXpressもフランス語環境じゃないとやりにくなぁ。日本語に訳された時の言葉を把握していないし、clavier（＊4：キーボード〕の配置が違うからPomme+ＡするつもりがPomme+Qになったりしちゃうんじゃ、時間かかっちゃうよ。でも、あと1週間ある！特訓だ！最近使っていないテクを練習しなければ！そんな事を考えだしたせいか、私のこの不幸な性格のせいか、脳みそが異様に活発化し変な想像までし始めてしまった…。ビビる私。ブルブルした手つきでMacを操るもの、いつものように出来ず、冷や汗ダラダラ。その背後に立つ、背広を来た審査員達。（複数なのね）私がする事全てをノートにカリカリと書き込んでいる。彼らの眼鏡がキラキラ光り、それにまた動揺する私。”あはっ、間違えちゃったっ…。”と照れくさく笑う私に無反応な審査員達。そんなこんなで写真の切り抜きに1時間以上もかけてしまう。テストを終えた私に、審査員達は冷たく“ありがとうございました。お返事させて頂きます。さようなら。”と言葉を残し、部屋を後にする。Macの前で7分間呆然とし、そそくさと帰り支度をし、部屋を出る。誰もいない廊下を一人出口に向かう。外に出て、バス停に向かう。曇った空の下、未だ呆然とする私。こりゃ、駄目だ…。今からコレじゃ、駄目だ。ブックもちょっと手直しして特訓して、着ていく洋服にアイロンかけなきゃ。って、何を着ていったらいいんだろう？フランスだからいつもみたくラフな感じでいいのかな？この業界はparticulier（＊5：特殊）で困るよ。＊1：book〔ブック〕；フランスではこう呼ばれている。＊2：CV〔セー・ヴェー〕；curriculum vitae＊3：souris〔スゥリ〕；まさにそのまま。＊4：clavier〔クラヴィエ〕；ピアノのそれも同様。＊5：particulier〔パルティキュリエ〕；　　　独自の、特殊な、個人的な、個々のという意味を持つが、　　　”風変わりな”という意味もあり、　　　“変な”と言いたい時にbizarre〔ビザー〕ではなく　　　コチラを使うとちょっとポジティブに聞こえる。　　　ので、私はよくムートンを”bebe particulier”と言っている。

  2005.09.10

• 日常、二十四日目。

  ムートンをクレッシュに連れて行った足で、St-Germain des presの方に向かった。ムートンのgel douche（＊1：シャワージェル）がきれたので、買いにいったのだ。いつも行くのは、“何故こんな安いの？”と思える価格で有名な6区にあるpharmacie（＊2：薬局）に行った。ムートン用のいつもの品に今回は自分にご褒美と良いハンドクリームも購入。ハンドクリームで満足するとは、安い人間だ…。（でも一応、Decleorですよっ）その後フラフラし、義姉のバースデープレゼントを探しにBon Marcheにいく事にした。適当に見繕って、一杯ひっかけて、（アイスティーですよっ）デパートを後にし、バス停に向かったその時！すれ違いさまに見た人物にドキッとした。その人物は建物の入り口に背もたれし電話をしている。格好はジーンズに黒のトップ、スニーカーにスポーティーな鞄をタスキがけし、サングラスをかけていた。ドキッとしたのはその格好ではない。彼女の声と、振り向き様に見た彼女の口元である。一瞬の出来事であったので確認できなかったが、その人は10年前、アパートを一緒にシェアし、3ヶ月後喧嘩別れした元友人のKに似ていたのだ。（↑Kがちょっと登場）声にハッとし、あの口元を見た時、心臓がバクッとし、脳みそがフィードバックしたのを感じた。喧嘩別れし連絡も取り合っていない。何処で何をしているかも知らないが、まだパリにいてもおかしくないし、いなくてもおかしくない。”たまにすれ違ったりして…”などと思う時があったが、人生において趣味も目的も違う二人なので、狭いパリですれ違うとこは私がメトロでpique pocket（＊3：スリ）に合うのに等しい確率だと思っていた。（この10年間、本当に“じみた”事さえないんですって）もう一度、遠くから見てみる。特徴的な口元は見えない。格好も彼女が好む、クラシックなお嬢さんカジュアルな感じでなく、（Coachの鞄を愛用してたなぁ）すっとスポーティーな感じで、あの頃のKっぽくなかった。“どうなんだろう？どうなんだろう？”と心の中で唱えながら、未だどきどきしている心臓の音を感じながら、バスに乗り家に着いた。Kは何をしているのだろうか？もし、彼女が本当にKで、お互いが気づいたら、我々はどんな行動をしただろうか？別れてからはずっと嫌な思い出だったが、こんなに月日が立つと、怖いけど知りたい事になっている。多分私は“久しぶりぃ。元気そうだね。”なんて言えるかも。でも、当時、フラフラしていた私を毛嫌いし、”Nounours Noyeみたいなのがいると日本人のイメージが悪くなるから、日本に帰えんなよ。”と言ったK。ヘラヘラする私に多分同じ感情を抱くかも知れないが、dignite（＊4：自尊心）が強いKは礼儀正しく受け答えするに違いないだろう。それとも、仲直りしちゃうかも？10年経ったいまでも、関係を持ち直そうとは思わないのは、compatibilite（＊5：適合性）に問題があると確信しているからだろうか。＊1：gel douche〔ジェル・ドウシュ〕；ムートン愛用はコレ。＊2：pharmacie〔ファルマシ〕：この6区の薬局では↑コレが　　　8,80ユーロで買えるのだ！（通常、12,13ユーロする）　　　薬品以外もおいているのはparapharmacie〔パラファーマシ〕。　　　赤ちゃん用品からダイエットものまで幅広い品揃え。＊3：pique pocket〔ピック・ポケット〕；1番線に御注意を。　　　座って足下に置くと、背反対の座席の下から取られたりします。＊4：dignite〔ディニテ〕；この言葉、フランス人結構好きですね。＊5：compatibilite〔コンパティビリテ〕；　　　電化機器など、あらゆる“適合”の意味。

  2005.09.09

• 日常、二十三日目。ーお知らせー

  うっふ。面接できそうです。どんな仕事かよく知らないんですが、コンピューターをいじると言う事で、履歴書を送っていたんです。どきどき…。面接は再来週になりそうな感じだが、それまでどきどきなのぉ～？みなさんにこのどきどきを伝えたかったので、（かなり自己中な意向…）これだけ書かせて頂いた。乞うご期待。

  2005.09.08

• 日常、二十二日目。

  昨夜、ラパンの友達M君が遊びにきた。彼は地下鉄RATP（＊1：パリの地下鉄）の運転手さんである。毎日、1番線でパリを右に左に移動している。そんな彼はRATP社内のボーイスカウトのanimateur（＊2：指導者）でもある。なので、メトロを運転する代わりに、年に何回も山だの海だの子供達と楽しく過ごしている。それだけではない。そこでよく知り合う女の子達とも仲良く過ごしているのだ。6ヶ月前に知り合った女の子ととても仲良くなったのだが、仲良くなり過ぎた彼は恋に落ちてしまったのである。相手の女の子は25歳。M君は33歳。うまくいくことは可能であるが、ちょっと無理があるらしい。でも、M君の前彼女は21歳の大学生だったなぁ。あっ、でも別れちゃったか…。彼女はBac+7（＊3：博士号クラス）の才女であり、自分が開発したサーフィンの用具を世に出したいと思うambitieuse（＊4：野心のある）な人なのだ。その上、幼い頃から色々な国で暮らした経験もあり、14歳で家出同然で生きてきた…とM君はこんなにも彼女が凡人離れしていると熱弁する。ただ、coup de foudre（＊5：一目惚れ）で好きになってしまったM君に対し、彼女はM君と付き合う気がないと言う。それなのにM君に電話し、会いにくる。M君も”今回限りだ！”とよく言っていたが、まだ続いているらしく、昨夜も彼女からの電話に受け答えしていた。懲りないものだと思うが、こんなものなのだろうか…。しかし、かなり弱っているM君。33歳にしてこの様では…と嘆いてもいた。（あいたたた。私も耳が痛いです…はい。）その上、”彼女は人生経験豊富で才女なんだから、こんな自分を相手にしたくないのも分かるんだ…。”などと言う。才女はメトロの運転手と結ばれないのか…？M君は子供を引きつける不思議な力を持っていて、昨日もムートンはM君に寄り添ってテレビを見ていた。ボーイスカウトもするくらいだから、本当に子供が好きなんだと思う。それに、30歳も超え、アパートも買ったし、そろそろ家庭も築きたい。今回の不意な恋物語は彼にノックパンチをくらわしてしまったようで、見ているコチラも可愛そうになる。未だに電話をしてきて会いたがる彼女は、M君に何かしらの感情があるのか、単に”したい”だけなのか…。まさに、魚の活き造り状態である。口をパクッパクッと開けてもがくM君を彼女が美味しそうに眺める図を想像する私はかなり意地悪かも知れない。（実際そうだが。）年齢、学歴、家柄、職業、その他色々、こんがらがった糸の上に生きている我々は糸の端っこを見つけるのは困難らしい。と言う私は面倒なのが嫌いなので、こんがらがる糸を片っ端から切って辿り着いたような、駄菓子のひも飴感覚で適当に引っ張ったような…。それでも、一応、“カラァ～ン！カラァ～ン！おぉあたぁりぃ～！”。＊1：RATP〔エール・ア・テ・ペ〕；　　　Regie autonome des transports parisiens　　　つまりパリ市交通公団。メトロとバスです。　　　メトロは臭いので私はあまり好きじゃないのね。＊1：animateur〔アニマトゥール〕＊1：Bac+〔バック・プリュス～〕；　　　Bacはbaccaraureat（大学入学資格）。　　　それからdiplomeをとった年数を足す。　　　Bac+2ならDEUGといった感じ。＊1：ambitieuse〔アンビシユーズ〕；これは女性形。　　　男性形だとambitieux〔アンビシユー〕。＊1：coup de foudre〔クゥ・ドゥ・フードル〕；　　　どどど～ん！と落ちるので。

  2005.09.07

• 日常、二十一日目。

  私は現在、職探しの身である。フリーランスで働く事も出来るが、この職業は不安定すぎるので、定職につきたいと思ったからだ。ただ、ポストがない。それとも私のスキルが低いからなのか…。今までフリーで働いていたときも、salarie（＊1：サラリーマン）になれるきっかけはいくつかあった。diplome（＊2：免状）を取った後に、好きなグラフィックデザイナーの事務所に空きポストがでるときいて、すぐにpostuler（＊3：就職志願）した。しかし、面接してくれると連絡が来た時、アホなことに私は日本にいたので、すぐにできなかった。では、帰ってからという話になったが、フランスに戻ってから電話すると、”あんた、誰？”みたいな事になっており、話は流れてしまったのだ…。Aie! aie! aie!痛い…。その後、小さいインターネット系の事務所で働き始めた。日本人のパトロン君と怪しいnoir（＊4：闇で）で働く秘書のみという、本当に小さい事務所で、会社のネット販売のデザインをした。私のする事を買ってくれるいいパトロン君だが、私がプリント系もできると知ったら、私に相談なしにいろんな所に営業をし始めた。”俺は日本にいた頃、年商3億の会社もってたんや！”と意気込むパトロン君は、フリーで契約してんのに、あちらこちらに私を振り回して、”ウチで働いてるデザイナーですっ！”と、私を所有化し始めたので、ちょっとプチッ。日本なら当たり前なのだろうが、ココはフランス。一日14時間労働も、徹夜仕事もしたくなくなったので、退室させてもらった。その後、フリーで企画中の雑誌のADを体験。仕事を遊び感覚で出来たのは楽しい思い出だが、先のない仕事に不安を感じ始めた。”いつ出るんだ？”経済的な問題で進まないのはわかるが、若いパトロン君（同じ年だったね）の無謀なで非現実な計画に着いていけなくなり、またもや退室。この時はかなりハードな退室の仕方でしたね、はい。その間に、学校の友人からウチの会社に空きが出るかも…と誘われ、有名ADさんと面接を受ける。とりあえず、テストみたな感じで某デパートの仕事を…と言われ、連絡を待つ事、一年、電話がきた。有名ADさんの秘書さんからで、”有名ADさんが会いたいと言っている”と言ってきたが、有名ADさんが誰だが思い出すのに30秒はかかった。しかし、その時はフリーでの雑誌の仕事が軌道にのっていたので、断ってしまったのだ！なんてお馬鹿な私…。Aie! aie! aiiiiiiii!これは痛い。痛かった…。その後、ムートンを妊娠。雑誌の仕事を少し続けながらの妊娠生活。産後4か月で復帰したが、その3ヶ月後に前記したように退室。この雑誌に集中するために他のclient（＊5；クライアント）の仕事を断っていたので、今更復帰は難しかったし、妊娠・子育て期間に、自分のやりたい事がどんどん明確になっていくのが感じられた。それは、絵本を書く事。妊娠・子育て記録をスケッチブックに書いていたが、こんなにも楽しく自然にできることはないくらいだった。グラフィックよりかこっちの方が楽しいと思えた。いくらもっと険しい道だとしても。今は職を探しながら、自分の作品を作っている。でも、怠け者だから、こうしてブログなんてかいたりしてなかなか進まないが、この先、この場でお披露目できたらな、と思っている。毎日、一日があと3時間多かったらなぁと思う日々だが、地道に進んで行こう。＊1：salarie〔サラリエ〕；35時間制という、パラダイスなフランス。　　　お仕事を探す時には、CDIなのかCDDなのか気をつけましょう。　　　CDI；contrat a duree indeterminee　　　CDD；contrat a duree determinee＊1：diplome〔ディプロム〕；フランスにはいっぱい種類があります。　　　BEPとか、CAPとか、DEUGとか、DESSとか、DEAとか、　　　Doctratとか…腐る程。＊1：postuler〔ポスチュレ〕；CV（curriculum vitae）（履歴書）と　　　手書きのLM（lettre motivation）を一緒に。　　　この手紙がかなり重要。　　　自己アピールの文章は、異様な程自慢げにするとウケがいいが、　　　手書きの文字が気に入られて採用される場合もある。　　　さすが、フランス。＊1：noir〔ノワール〕；またはblack（ブラック）でとも言う。＊1：client〔クリアン〕

  2005.09.06

• 日常、二十日目。

  今日はお昼をラパンのママンとねーちゃんと弟と姪っ子と一緒に食べた。パパは趣味のbrocante（＊1：骨董市）でいなかったので。鼻息荒い口論がパパの不在だけであり得ない事はないが、怒鳴り合いにはならないので、それだけでもありがたいが…。私はムートンと一足遅く、ムートンが大好きなバスで行った。話ではねーちゃんが仕事帰りにピザを買って変えると聞いていたので、急いで彼女の家に向かった。が、いってみると、ラパンが弟とordinateur（＊2：コンピューター）をいじくり、ママンは気温が30度もある日なのに、このアパートの中は寒いわ…と嘆き、ねーちゃんは疲れたぁとほざいていた。まぁ、こんな図はいつものことなので気にしなかったが、肝心のピザは？用意など全くない。オーガニゼーションが存在しない家庭なので仕方ないか…。結局、私が来てから多数決でMacDo（マクドナルド）に決まった。ポテトなない、コーラがないと、騒動があったが…。今日のお昼の話はなんだったのか分からずじまいで、みんなとサヨナラし、今度はKちゃんママンの家に遊びにいった。（昨夜もそういえば、友人宅に遊びにいって、帰ってきたのは夜中の1時であったなぁ。）いきなりの訪問で悪いなぁと思いつつ、フラフラするのが大好きな我々はお邪魔した。Kちゃんは日増しにあかちゃん脱出で、疲れないかなぁとも思うが、今日はつま先立ちでつかまり立ちをしていた。楽しそうに立っているが、少しすると”座らせろー”とふがふが言う。その様子を怪訝そうに見るムートン。Kちゃんが顔を触りにくると、この世の終わりかのように嫌な顔をする。”あかちゃんなんだから仕方ないでしょう？”と言っても、眉間に皺を寄せて、”ノォ～～～～～～～～～～～～～～～～ン！！！”と不機嫌そうに叫んでいた。そして、おもちゃの取りっこが始まった。Kちゃんは楽器好きで、日本のおじいちゃんが仕事場で貰ったミニ・ピアノで遊ぶのが大好きである。それを横目で見るムートン。何やら楽しそうなものだと、すりすり寄っていくと、ピアノの前で遊ぶKちゃんをおしのけ、ピアノの前に陣取った。もちろん気に喰わないKちゃん。泣き出す。”もう、ムートン！これは、Kちゃんのだからそんな取り方しないの！”と、ピアノをKちゃんの方に差し出すと、今度はムートンが泣き出す。それをまた取り戻す為に前に乗り出すムートン。Kちゃん、泣き出す。”じゃぁ、こっち半分がムートンで、こっち半分がK。”とKちゃんパパが二人の前にピアノを差し出すと、二人とも、泣き出す。出口のない遊びだ。ムートンはいつもクレッシュで骨肉の争いをしておもちゃを獲得している癖があるため、おもちゃをあげれない子なのだ。その上、”自分のモノ”にこだわる性格なので、彼のものに触ろうとするなら大変なのだ。命より大事なdoudou（＊3：お気に入りのヌイグルミ）がある。名前はPouf-pouf（プフプフ）。ムートンの誕生のプレゼントで貰った、山のようなヌイグルミの中からみごと選ばれた、”私が一番かわいくないと思った”クマである。今では、ムートンが”化粧”したペンの点だらけの背中と、毎週洗っているため、中身のコットンが分解寸前の”vecu（＊4：年期のある）”な姿になっている。毎日クレッシュに連れていくので、淡い黄色のPouf-poufは日に日にグレーに変色していき、終いには、スーパーなどでムートンが落としてしまったPouf-poufを親切に拾ってくれたマダムに”Il faut laver ce doudou, Ilest tres sale, hein?"（このヌイグルミ、洗わなきゃね？凄くきたないわよ。）と笑われるのだ。そして、帰ってすぐに洗うのだが、洗っている間、ムートンの”Pouf-pouf！Pouf-pouf！Pouf-pouf！”攻めにあう。そして洗濯後、まだ湿っぽいにも関わらず、満足げにムートンはPouf-poufを抱きしめている。ただ、奇麗に淡い黄色に戻ったPouf-poufの命はほんのわずかで数分後にはおやつのチョコがつくのだが。＊1：brocante〔ブロカント〕；蚤の市はpuce〔ピュス〕と言い、　　　まさに蚤という意味。＊1：ordinateur〔オルディナトゥー〕＊1：doudou〔ドゥドゥ〕＊1：vecu〔ベキュ〕；”体験した、実の”という意味であるが、　　　時間を経た感じのある状態をさす。　　　→vivre〔ビーブル〕生きるの過去形

  2005.09.04

• 日常、十九日目。ー答えー

  昨日の質問。家事、子育ての役割分担について。ラパンに私の不満をぶつけた。いつものように、不満があると黙っていられないからだ。イライラした感情を持って生きていけない性分なのだ。それに、そんな気持ちを持っているのを、ラパンに隠して生きるのも嫌だ。スケジュールを作ろうという話になっていたので、勝手ながら、勝手に作った。今までのように、保育園の送り迎えは50％50％。その他、一応の子育てには問題がないので触れなかった。家事については、手伝う気満々な様子なので、どちらがaspirateur（＊1：掃除機）をいつかけるか、salle de bain（＊2：お風呂場）？それともcuisine（＊3：台所）？など、役割分担はさっと決まっていった。しかし、最大の問題である”お風呂入れ”については話し合わなければいけなかった。私が主張する”料理するのは大変なのよ”をラパンは理解できないらしい。（ちゃかちゃかっとできるもんだと思っているのだ。）毎日献立を考え、30分以上台所にたつのは、”お風呂入れ”に等しく大変なのだと熱弁しなければいけなかった。でも、”毎日ぃ～”と嘆くラパンが可愛そうなので、”じゃぁ、週末は役割を交代しよう”と譲歩。腑に落ちていないラパンに数度となく納得したかどうか確認した。日本人なくせに、ココら辺がかなりchiante（＊4：うざったい）なフランス女化し、たまに嫌になる。突き詰めて突き詰めて突き詰める、この性格…。あぁ、ラパンの忍耐力に感謝。いつもこのように話し合いをして物事を決める我々だが、話し合いというよりか、私が文句をぶちまけ、ラパンが折れるという形になるのだ。ただ、お互いが一応納得するまで話し合うので、朝方まで話し合う事もしばしばあった。でも、お互いが気持ちを隠し始めたらカップルは危ないと思っているからかも知れない。相手がどう考えているのか、どうしたらお互いに良い方向が見つかるのか、よく話し合って常に努力しなければ、所詮他人同士なんだから目をつぶって歩いていく事はできない。どんな下らない事も話して決めるべきだと、私は思う。ただでさえ、異国人同士なんだものねぇ。でも、いつも折れるラパンに感謝しつつ、可愛そうとも思いつつ、毎回しめしめと思う、この性格も困ったもんだ。＊1：aspirateur〔アスピラトゥール〕；　　　フランスの掃除機は本当に重くて使いにくい…。　　　個人的に掃除機の騒音に神経質になって、　　　何故か急いでかけないといけない気になってしまうのは私だけでしょうか…。＊2：salle de bain〔サル・ドゥ・バン〕；　　　お風呂に入る→prendre le bain　　　お風呂に入れる→donner le bain＊3：cuisine〔キュジーヌ〕；ウチのキッチンは一畳くらいしかにのだ。　　　ここで毎日料理するんだぞ！大変なのが少しおわかりでしょうか。＊4：chiante〔シアントゥ〕；これは女性形。　　　男性形だとchiant〔シアン〕となる。

  2005.09.03

• 日常、十八日目。ー質問ー

  今我々は職探し中なので、2人とも家にいる状態が多い。なんだかんだする事があって、一日はあっという間に過ぎて行ってしまうものだ。一応イラストを描かなければいけないのだが、そんな事放ったらかしで、ブログ書いたり、ネットいじったり…。ただ、私には一応femme au foyer（＊1：主婦）としての仕事もある。ラパンも手伝ってくれる時もあるが、根本的動くのは私である。あー、洗濯しなきゃ、掃除しなきゃ、ご飯作らなきゃとぼやくのは私だ。ラパンは決して無理強いしない。したくなければ、言えばしてくれたりするのだ。ムートンの世話もよく見てくれる。おむつ換えもお風呂もご飯の時の手ふきも、殆どできる。一応、規定がある。朝、ラパンが保育園に連れて行ったら、私が迎えに行く。おむつ変えも夜泣きで起きるのも、en alternance（＊2：交代）。食事に行く時もその相手によって、世話をする方が決まる。（相手が彼よりなら私。私よりなら彼。と、ゆっくり話もできるように。）50％50％にこなしている。ただ、menage（＊3：家事）はちょっとややこしい。昼間、掃除洗濯をするのは大抵、私だ。ご飯の買い物も私。作るのも私。洗い物もほとんど私。ラパンも助けてくれたりやってくれるが、それでは家計が凄いことになってしまうし、洗濯物はしわしわで、色もはげる。奇麗そうに見える家も、実は隅っこが汚いという状況だ。それでは困る。いくらおおまかな人間でもこれが続いては生きてゆけないだろう。だから私がしないといけないのだ。得意とする方がしなくてはいけない。それでも頑張って進歩したラパンは、掃除も洗濯もやればできる。ただ、ご飯だけは作れない。パスタを茹でる事しかできない。（肉も焼けるが、それを”料理できる”といえるのか…）だから、掃除洗濯同様、”出来る方”はすればいいのだ。ただ思うのは、家事を出来る方がすればいい的にこなしていくと、私にかなりの負担がきているんだから、ラパンが得意とするムートンの世話をもう少し多く見てくれてもいいんじゃないか？という事だ。せめてムートンのお風呂くらい毎日してくれたっていいのに、と思うのである。これはワガママなのだろうか？日本人妻なら誰でも疑問を抱かず、”子育て”というのをしているのだろうけど、ここにいる私は50％50％の対等でいたいから、仕事も子育ても家事も50％50％であってほしいのだ。こんな事でイライラするのも疲れるので、落ち着いたらこの気持ちを言おう。どんな答えが返ってくるだろう…。＊1：femme au foyer〔ファム・オ・フォワイエ〕；　　　最近はラパンのようなhomme au foyer〔オム・オ・フォワイエ〕も多い。　　　きっとconges paternites〔コンジェ・パテルニテ〕を　　　取るパパも多いからかも知れない。＊1：en alternance〔アン・アルテルナンス〕＊1：menage〔メナージュ〕；だから家政婦さんはfemme de menage、　　　家電はelectromenager〔エレクトロメナジェー〕。　　　faire le manegeとfaire des menagesは大きな違いがあるので　　　使うのに気をつけよう。

  2005.09.02

• 日常、十七日目。

  今日は、Kちゃんママンとお昼を食べる約束をしたので、Place Vendomeの方まで足をのばした。Kちゃんママンはお洋服屋さんで今働いている。今年始めから産休明けし復帰したのだが、Kちゃんママンの産休の間、私がピンチヒッターとして代わりに働いていたので、お店の人とも顔見知りなので挨拶がてらお店をのぞいた。”あらぁ、Nounours Noyeじゃなーい！元気ぃ？”一見travelo（＊1：ニューハーフ）のような店長さんが迎え入れてくれた。彼女はいい人なのだが、仕事する上ではこの上なく困ったチャンなのだ。私も一緒に仕事をしていた時は疲れさせられたものだ。そして、今日から復帰した”大きな女の子”にもあった。彼女は去年から鬱病で一旦辞めたのだが、何故か戻ってきたのである。元気そうであったが、細くてでかい彼女はちょっとまた痩せたらしく、190cmもあるかと思われる彼女は異様なひょろながさを醸し出していた。それと、派遣の子。やる気なし子ちゃんだ。最近のKちゃんママンの頭痛の種である。そして最後に、ホモな子。相変わらず田舎臭いダサイ感じが取れない、ギトギトした感じで、お店の雰囲気を一人で壊していた。この彼はKちゃんママンのかなり大きい頭痛の種である。事件は私が辞めた直後に起こったのだ。（何故なら私と入れ違いに彼はお店に来たから）その頃一緒に働いていた子がバカンスに出てからのこと、何故か手の指の付け根にできものが見え始めた。医者に診てもらうと、なんとgale（＊2：疥癬）というではないか！こんなものが未だに存在するとは、さすがフランス！あなどれない…。結局、人から移されない限り感染しなと分かった彼女は、お店のパトロン君と相談した。パトロン君が調査し始めると、犯人発覚。ホモの子が3週間前から感染していたと吐いた。が、”でも、治療して、今じゃ直っているから大丈夫です。”だって…。おいおい、Kちゃんに感染する可能性だったあるんだぞ。ニューハーフ風な店長さんにも10歳になる女の子いるのに。こんな事が起きるこのお店の内情はいつも話題豊富である。話題はいっぱい、でも働かない。いっぱいすぎて働かない？っていう説もあり？今日も、働かないこの人達の噂を聞いた。私もこの中にいたからよく分かる。本当に働かないのだ。これでよく会社がまわるものかと驚いてしまうが、まわるのだ。最後の数ヶ月間、Kちゃんママンと一緒に働く期間があった。地下のストックでせかせか片付けをするのはいつも我々であった。その姿は笑える。奇麗な洋服はきているものの、まさにclandestin（＊3：密入国者）そのものだったからだ。”なんで働いているのは私達ばかりなのぉ？”と嘆くKちゃんママンと”アジアのimmigre（＊4：移民）だからよ。”とよくわらっていたものだ。今日もアジアの移民の彼女は頭痛の種に囲まれて働いている。お陰でお店は回転していく。恐るべし、フランス社会。＊1：travelo〔トラブロ〕もっと上品に言うと、　　　travesti〔トラベスティ〕仮装したという意味。＊2：gale〔ギャル〕；歌手のフランス・ギャルはこのギャルではありません。＊3：clandestin〔クランデスタン〕＊4：immigre〔イミグレ〕；我々はこれに属するのか？

  2005.09.01

• 日常、十六日目。ー帰還ー

  朝、気分よく目覚めた。田舎の朝の澄み切った空気はいいもんだ。みんなにおはようをして、支度し始める。いつもは6時起きのママンだが、田舎のいい空気でよく寝れたのか、今日は寝坊だわ～と朝からご機嫌な様子。くわばらくわばら。ムートンのシャワーからでたくな～い攻撃で、ピキピキしていたが、無事に食卓に予定通りついた。いろんなパンがのったcorbeille（＊1：かご）、かわいいpichet（＊2：ピッチャー）にはいったカフェ、手作りのconfiture（＊3：ジャム）。うーん、なんてリッチな朝食。なんて思っているのもつかの間、疲れる時が私を待っていた。ママンは宿の婦人が最近ハマっている食事療法の話に夢中になっていた。ママンの肺が悪いと聞いた婦人が、私もリュウマチで悩んでいたのを、Dr Seignaletの食事療法で直したと熱弁していた。聞くのはいいが、熱中しすぎて周りがみえないらしい。バターもジャムも何でも自分お手元の置いちゃうから、いちいち手を延ばして取らなきゃいけないし、姪っ子が紅茶を飲みたいけど、ポットが重くて自分のカップにお湯を入れられなので、私が仕方なくいれてあげた。しかも私の膝の上にはムートンがいるのだ。そのムートンの要望も聞いて、パンにバターを塗ったり、牛乳をついだり…。（手伝えよ、気を使えよ…。）夢中で聞いているママンに反して、パパは小声で、”僕はちゃんと食べるものに気を配っているから、今までのように好きなものを好きなように食べるよ。”と呟いている。（火に油をさすなよ…。）ふんふんと聞くママン。”口に入れる物は大切よねー”と言っている彼女の冷蔵庫の中身を知っている私は、？？？な気持ちであった。彼らの冷蔵庫の中は常に空っぽである。あるのはヨーグルトとチーズとバターくらい。”あっ、買い物したね”という日にはハムが入っているくらいだ。生野菜が入っているのをこの10年間見た事はない。でも、この機会に少し考え直すのかな？（こう思った私はかなりnaive（＊4：ナイーブ）…。）朝食後、宿の皆さんに別れを告げ、海の方へと足を延ばした。これはママンの意向で、パパの不動屋さんまわりの希望はペッシャンコ状態である。車で30分もしないで海辺に着いた。赤土の崖の下に砂場が広がっているので、mine d'or（ミンヌ・ドール）と名付けられた海辺であった。そんなに天気は良くなかったが十分な陽気であったと、寒がりな私が思うのだが、異様な寒がりなママンには不満の材料のひとつであったらしい。海辺でゆっくり日焼けを希望していたのに、曇っていたのでは話にならない。”Il fait pas chaud, hein?”（＊5：あったかくないわねぇ）いかにもふてくされたフランス人の台詞である。（いーじゃんか、お天道様ピカピカじゃなくても。海が見れるだけじゃ、駄目なの～？）そんなママンの不機嫌さを感じてか、自分のmission（＊6：任務）の遂行の為か、パパは海辺に着くなり、我々を置いて近くの不動屋さんまわりに言ってしまった。（勝手にしてくれ）ママンは寒そうに丸まっている。ならばせめてセーターの前を閉めればいいのに、シルエットが崩れるのを嫌ってかそのままである。（勝手にしてくれ）ムートンはラパンに肩上げしてもらい海で遊んでいた。今回も毎回のように、”砂きら～い”といって、ラパンに抱っこされ続けるのかと思いきや、はっと気がつくと、海辺にたっているではないか！砂の上に立っているだけで奇跡的なのに、波が足にかかってきても泣いていない！あー、ハレルヤ！ムートンの海デビューである！その後、砂浜を駆け回るムートンを見ながら、我が目を疑いつつ、今回来てよかったと思えることがあって良かったと心をなでおろした。しかし、パパが戻ってきて、くつろぐ我々に反するように、”これからどーするんだ？”と急かしてきたので、お昼を食べようという事になった。我々は折角来たんだから、ムートンの好物のムール貝を食べたいと思っていたが、お金を使うのが嫌いなパパは、”僕は食べないよ。ダイエット中だから…。”などと、小声で言っていた。が、ママンも食べたいということで、あっけなくレストランに行くことに決まった。しかし、車を止めた所に不動屋さんが！パパは車を降りるなり、ラパンを呼んで、物件を見始めた。うんざりなママンはレストランの方へ歩き出した。私もちょっとうんざりなので、ママンと一緒に行った。8ユーロでmoule-fritesが食べれる。前回のブルターニュ・ノルマンディー旅行の時よりも全然いいムールで、満足感たっぷり。ふっくらと大きいムールちゃん達。ムートンもふんふんいいながら、ムールを貝からむしって食べた。お腹いっぱい、cidre（＊7：シードル）も飲んでいい気分。と、思っていたら、今朝の食事療法の話が浮き上がってきた。相変わらず、”あんなの勝手に好きなやつがすればいいのさ！”という態度を変えないパパはよしとして、今度はあんなに熱心に聞いていたママンが、“気をつけないとね。あれは流行のsecte（＊8：信仰宗教）よ。”なんて言い出した。（おやおやややぁ～）今朝の”あなたに乾杯！”的な態度はどこへやら。”あなたにピーム光線！”な発言じゃないですか！私の胃で消化され始めたムール達もびっくりしていたよ。さっさと片付けし始め、ムートンが遊びたがっているからと席を外した。あとは、各自の車に乗って帰るだけだと言い聞かせ、この満腹いい気分を壊さないようにした。車に乗って、いざ出発と思ったら、ガソリンが足りなさそうな事に気づいた。どこかでガソリンを入れたいとパパに言うと、”Nanteまわりで帰るけど、Nanteまでもちそうか？”と聞いてきたので、”大丈夫”と答えた。ここからだと長くて40～50キロだから、十分間に合う。が！が！が！出発して、しばらくしてから、Nanteにいくかと思いきや、Nante手前でAnger行きの高速にのるじゃないか！お？お？お？ガソリンタンクの赤ランプがつき始める。おいおい、高速のあちらこちらにガソリンスタンドはないんだぞ。急いでパパの携帯に電話するが、”もたないのか～”みたいな反応。（どっか壊れてる？）運良く20キロ先にスタンドがあると発見。ちょっとドキドキしながら、economique（＊9：経済的）な走りでスタンドに到着できた。ガソリンをごくごく飲むma voiture（マイカー）。と、その時、パパの車に乗っていた姪っ子が、水を飲みたいと言ってきた。ムートン用に1本残っているのを仕方なくあげると、ママンまでごくごくのんでいるじゃないか！夏の車旅行で水を持参せんのか！（そういやぁ、何も用意してなかったね。そのくせ酸素吸入している時、”これすると本当に喉が乾くのよ”って、水をがぶがぶのんでたっけ…。勿論私が用意した水を。）水を返してくれを言いたくなかったので、ラパンとムートン用に別の水を買いに行った。車の中でムートンが暴れだした時に対応するように、Hariboのcrocodile（＊10：ハリボのワニの形をしたグミ）も購入。出口でパパに会い、”何を買ったの？”というので見せると、”あー、またお菓子かい？太るよ～”と、言われた…。（放っといてくれ…。）その後、ムートンと通り過ぎるトラックやバスを見ながら、ゆっくり帰る事ができた。家に着いた私は、週末の小旅行であるにも関わらず、骨抜き状態であった。でも、海が見れて、ムール貝を食べれて、ラパンとムートンの笑顔も見れたのでよしとしよう。（でも、次回は遠慮するが。）＊1：corbeille〔コルベイユ〕；Macのゴミ箱もcorbeilleと呼ばれている。＊2：pichet〔ピッシェ〕；レストランでワインを1本飲めない時、　　　25mlか50mlのpichetで注文できたりする。＊3：confiture〔コンフィチュール〕＊4：naive〔ナイーブ〕；これは女性形。男性形だとnaif〔ナイーフ〕。＊5：Il fait pas chaud, hein?〔イル・フェ・パ・ショ・ア～ン〕；　　　この”hein？”は”よねぇ～”的に使われる。＊6：mission〔ミッション〕＊7：cidre〔シードル〕；doux（甘口）brut（辛口）、　　　fremier（とても辛口）の3種類がある。　　　よく冷やして飲むのだ。＊8：secte〔セクトゥ〕；フランスには結構いるのよ～。＊9：economique〔エコノミック〕＊10：crocodile〔クロッコディル〕；Hariboはヨーロッパの駄菓子。　　　だが、中身は恐ろしく、ゼラチンは豚の脂肪のゼラチン質を使用。　　　うまいがこわいお菓子である。

  2005.08.28

• 日常、十五日目。ー出発ー

  週末、またブルターニュに行ってきた。今回はラパンのパパとママンの付き添いで一緒に行ったのだ。パパとママンは今住んでいるパリ13区から引っ越ししようと考えているのだ。ママンの肺の状態の改善と老後の静けさを求めて。ただ、これにはなが～い道のりと喧嘩の日々があった。いい加減、ゆっくり田舎に住みたいもんだと言いつつ、根本的に田舎に行きたくないパパ。まだ一花咲かせたいらしく、黙って老金生活をしたくない。それに反して、田舎生まれのママンはのんびりとロバを飼ってゆっくりしたい。でも、子供達と離ればなれになりたくない。こんなこんがらがった理由があって、行く行かないの論議をしてすでに数年が経っているのだ。しかし、我々が田舎に家を買いたいと言い始め、少し気持ちが変わったのか、我々が家を買う準備ができる間も何処かにlocation（＊1：貸し物件）を見つけて、田舎で暮らしてもいいんじゃないかと思ったらしい。と、言う事でDe particulier a particulier（＊2：仏版アパマン）に広告を出したら、希望しているブルターニュに空き家があると連絡があった。じゃぁ、早速、下見だ！土曜日の朝早くに出発。NanteとRennesの間に位置する小さな町に4時間で着いた。ごくごくありがちな田舎の町。訪れた物件は彼らが希望としていた石積みの古い家ではなく、近代建築のコンクリート製の家で、それを見たママンは既にゲローッとした顔でサラッと見てさっさと外に出て行ってしまった。（そりゃー希望していたものじゃないかもしれないれど、そんな赤ら様に嫌な雰囲気出さなくても…。500ユーロ以下で家を借りたいっていうんじゃ、こんなもんでしょ。）反対にパパはdiplomate（＊3：外交的な）な人なので、ふんふんと家の説明を聞いたりして、部屋もひとつずつ見て回っていた。その間、ママンは”家が道脇に立っている”だの、”垣根がないから外から丸見え”だの、”あんな小さいサロンじゃ、私のソファーが置けないわ”だの、”内装が私の趣味じゃない、私のカーテンとマッチしない”だの”乾燥機がおけるかしら”だの、気に入らない理由を100億個も並べていた。はふー。（聞いているだけで疲れる。）下見が終わり、お昼でも食べにいこうか。違う町まで行ってみた。車から降りた途端、パパは不動屋さんを見に行くと行ってしまった。（おいおい、お昼は？）ママンは疲れているのか、不機嫌。カフェを見つけて腰を下ろしたはいいが、あるのはへなちょこサンドイッチばかり。肉屋が休みだから、パテもないし、ソシソンもない。ハムならあるという。じゃあ、jambon de pays（＊4：通常、生ハムと理解する）はあるかと聞くと、あるというので、ラパンとラパンママンはsandwich au jambon de paysを注文した。この時、jambon crue（＊4bis：生ハム）と言えばよかったのだろう、サンドイッチにはいっていたのは、jambon de Paris（＊4ter：いわゆるハム）であった。愕然とするママン。（ラパンもね）その上、目の前の協会脇にとまっていたトラックに、”crepe bretonne”（ブルターニュ産クレープ）とかかれているのを見て、”ブルターニュなんだからクレープ食べればよかった。”と、ほざく。（何も探しもせず、ここのカフェでいいっていったのは誰じゃ？）パパはその間、カフェの横にあった不動屋さんで貸し物件を見つけたのですぐに電話した。14時半に下見できるそうだ。不動屋さんが来るまでまったりとしている間、車の中から解放されたムートンははしゃいで走り回っていた。あまり無茶をしないとタカをくくっていたのでのんびりへなちょこなcroque monsieur（＊5：ホットハムチーズサンド）を食べいたそのとき、ムートンが椅子の背もたれに寄りかかり過ぎて、椅子ごと倒れた！椅子の後ろには石でできた鉢があり、ムートンの額をかすめた。運良く、ムートンは手から着地し大事に至らなかったが、びっくりして大泣きしている。それなのに、言う事を聞かないからだ！と怒ってお尻ペンペンするラパン！”なんで叩くの！！！”と私は激怒した。しかし、驚く事が次に待っていた。慰めようと抱っこするムートンの頭に水が降り掛かってきたのだ。何故か異様に興奮しているママンが叫んで、コップの水をかけたのだ。わからん。しかも、口いっぱいに何か食べているからそれを出せ！と叫んでいる。ムートンの口には噛みかけのハムがはいっていた。ハムを取り出し、ムートンを抱っこして慰めるが、今度は怒鳴るママンにラパンが怒っている。”下手したら、頭蓋骨骨折よっ！”（ありうるけど、大袈裟じゃないっすかぁ？）と繰り返し怒鳴るママン。”だからって怒鳴んなくてもいいだろうーが！”と怒鳴り返すラパン。平凡な田舎町に響く、パリジャンの怒鳴り声。さぞかし暇な田舎の空気をanimer（＊6：盛り上げる）したことだろう。しかーし！ちょっとむかついた。何故水をひっかけたのか？後、小さな引っ掻き傷と腫れがでた様子を見たママンは、”腫れるって分かったからすぐに水をかけたのよ。お陰で腫れがすくないでしょ？”とほざいていたが。（なんだ、そりゃ？ってな感じ。）その後、不動屋さんと今日2件目の物件を見たが、お話しにならないもので、帰ってくると、さっさと今夜の宿をさがしましょ、と町を後にした。又、町を変え、観光案内所で付近のauberge（＊7：田舎風小ホテル）やchambre d'hote（＊7bis：ホストハウス）のリストを貰い、早速電話した。ついさっき通った町にchambre d'hoteが空いているということで、予約し向かった。大きな池の畔にある、石積みの家である。離れ全部をchambre d'hoteとしているので、プライベートな感じでよい。一泊二人で43ユーロ。しかも、朝食付き。以前泊まったブルターニュのはなちょこホテルは朝食付きで63ユーロだったのでお得な気分。ママンは疲れているから、レストランに来ないという。それに付け加え、一緒に来た姪っ子も、”あたしもグランメールと一緒で、テイクアウトしてここで食べる”と言う。（みんな勝手にしてくれ。）とにかく、ママン以外で近くのある宿婦人お勧めのクレープ屋に行った。テイクアウトできるかわからないので、開店の19時まで待たなければいけない。でも、テイクアウトできなかったら、ママンは何を食べるの？そんな疑問もよそに、パパは車の後ろのランプがつかないと修理し始めた。（本当に、みんな勝手にしてくれ。）仕方なく、近くのスーパーに閉店時間を見に行く私。（なんで、こんな事を私がしなくちゃいけないんだ？）運良くテイクアウトできると知り、ゆっくりとクレープを堪能。海の幸いっぱいのクリームソース仕立てでおいしゅうございました。でも、ママンがお腹を空かして待っているからと言う事で、カフェもそこそこに帰った。（ゆっくりご飯も喰えんのかいな…。）しかし宿に着くと、ママンは一人湖畔を散歩しているじゃないか！我々が出て行ってから、近くの馬だの鳥だのを見物していたという。（元気なら、一緒に来いや！）ブルターニュのクレープが食べれてご機嫌なママン。振り回されてヘトヘトのパパ。幸い我々は別の部屋で家族団らん。ゆっくり寝ることができた。毎回、わけわからんパパとママンの行動にはいつもヘトヘトになる。そんなに気にしなくてもいいんだろうけど、チクチクッと耳をさす言動や、キキッと神経をさす行動に反応してしまう。ラパンは両親思いなので、私が今ココで書いている気持ちの半分しか伝えていない。私は別に両親思いではないが、ラパンは一応気を使ってか、私の両親について何も言わない。か、何も思っていないか…。（ただ、かなり特殊な親だから、絶対何かあるとおもうが）明日はどうなることやら…。ムートンの頭に何がふってくるのだろうか…。＊1：location〔ロカシオン〕＊2：De particulier a particulier　　　〔ドゥ・パルティキュリエール・ア・パルティキュリエール〕　　；毎週木曜日発行。良い物件だとその日の午前中に決まってしまう。　　　我々が探していた頃は7時に買って、8時に電話、　　　9時に下見というハードなものだった。＊3：diplomate〔ディプロマットゥ〕；興奮して怒鳴らず話せる人＊4：jambon de pays〔ジャンボン・ドゥ・ペイ〕；　　　一般的には生ハムで意味が通るが、　　　ブルターニュではたんなるハムとして認識されていた。＊4bis：jambon crue〔ジャンボン・クリュ〕；言葉の通り、生ハム。＊4ter：jambon de Paris〔ジャンボン・ドゥ・パリ〕：ハム。　　　何故”パリ”がつくのだろうか？＊5：croque monsieur〔クロック・ムッシュー〕；　　　目玉焼きがのるとcroque madame〔クロック・マダム〕。　　　その他、色々なチーズがのったり、トマトがのったり、　　　スモークサーモンがのったりと最近はバーリエーション豊富である。＊6：animer〔アニメ〕；盛り上げたり、活気を与える。＊7：auberge〔オーベルジュ〕＊7bis：chambre d'hote〔シャンブル・ドット〕；　　　自分の家の部屋を貸す。田舎に多い。

  2005.08.27

• 日常、十四日目。

  今日は金曜日だが、日曜日に友達のbebeのanniversaire（＊1：誕生日）にいってきたので、彼らのお話。晴れて一歳を迎えたKちゃんは（正確には22日が誕生日）、ママンは日本人、パパはフランス人のムートンと同じフランコジャポネちゃんである。最近あっという間にハイハイもし、つたい立ちもできるようになっていたので驚き。”この子、動かないの～”と言っていたKちゃんママンの心配もどこえやら。このKちゃんが生まれるにあたって、同じ境遇であるKちゃんママンからよくconseille（＊2：アドバイス）のお願い受けたりした。相談に乗るのがちょっと嬉しい私は、あるったけの脳細胞を働かせ彼女に答えた。確かにココは母国から遠く離れた地。実の親に相談してもいいが、この地でのやり方もあったり、この地でしかないもので対応しなければいけないので、そうそう日本式というわけにもいかない。しかもKちゃんママンのオカァ様はDijonにいるので、相談にのるにもちょっと不便。（いや、遠くにいてくれて嬉しいと言うべきかもしれない…）なので、”わからないけど、私はこうしちゃった”式で子育てをしている。色々ある赤ちゃん用品も教えてあげた。私はムートンがpeaux sensible（＊3：敏感肌）なので、使う製品に気をつかっている。私のアトピーのせいだろう。使っているのは、LaboratoireSVRの製品で、Provegolというラインだ。もちろん、Kちゃんもご愛用。最近流行のcalendulaのエッセンス入りで、sans savon、sans alcool、ph neutreという安心もの。他のに比べて香料も少ない。ただ、どこにでもあるMustelaとは違い、見つけるのが面倒なうえ、ちょっとお値段が高いかもしれない。ムートンはずーっとこれを使っているせいか、彼自身の匂いなのか、Kちゃんママンはいつも、”ムートンはあかちゃんの匂いがいつもするね。いい匂い…。”と、いってくれていた。しかし、Kちゃんが生まれてある日のこと。”なんかねぇ、Kもムートンと同じローションを使っているのに同じいい匂いがしないのぉ～。”と、悲しそうに言った。確かにムートンは未だにいわゆる”赤ちゃんの匂い”がするのだ。Kちゃんもあかちゃんの匂いがしたのだが、何か違う。旦那さんは”Kはcroute de lait（＊4；頭皮にフケのようなカサカサだできる病気；日本名がわかりましぇん）があって、それ様のシャンプーの匂いが混ざっているからだよ”と言っているが、Kちゃんママンは納得していない。どうしてウチの子はこんな匂いなの？といいたげであった。そんな小さな疑問を抱えた事もどこえやら、Kちゃんママンは仕事と育児に追われながら、Kちゃんを今にでも食べちゃいそうに可愛がっている。今後の課題は”ムートンみたいに何でも食べる子になるか？”ということらしい。確かに、ムートンは2歳半にして、嫌いな物がない。嫌いな物といえばピューレのようなメチョッとしたもので、歯ごたえのあるものを好む。皆さんもご存知な通り、好物は”酢”な味。もずくとかサラダとか。最近食べた代物ははサーモンのtartare（＊5：たたき）であった。あとは、ロゼールで食べたpate de foie de porc（＊6：豚の肝臓のパテ）。よく考えると恐ろしい2歳半児である。あっ、嫌いな物発見。それはケーキ。甘い物が得意じゃない。それなら、せんべいか都こんぶを好む。Kちゃんがこんな子になれるのだろうか。赤ちゃんらしいものをたべるのも可愛いと思うのだが。＊1：anniversaire〔アニヴェルセール〕；　　　勿論、歌う場合も”Joyeux anniversaire　　〔ジョワイユ・ザニヴェルセール〕”♪＊2：conseille〔コンセイユ〕＊3：peaux sensible〔ポ・センシーブル〕；　　　オイリーならpeaux gras〔ポ・グラ〕、　　　乾燥肌ならpeaux seche〔ポ・セッシュ〕、　　　混合ならpeaux mixte〔ポ・ミクストゥ〕。＊4：croute de lait〔クルットゥ・ドゥ・レ〕；日本名だとなんていうんですか？＊5：tartare〔タルター〕；というと殆どが牛肉のたたきで、勿論生である。　　　レストランによっては自分で味付けする所もあるが、　　　だいたいそのレストランの味付けがされている。　　　私はタルタル探しが趣味。ケッパー入りなんてーのがいいねぇ。　　　ただ、店構えでもちろん食べれるかどうか判断するが…。＊6：pate de foie de porc〔パテ・ドゥ・フォワ・ドゥ・ポー〕；　　　一般的なのはpate de campagne。臭みが弱く食べやすい。　　　cornichon（ピクルス）を忘れずに。

  2005.08.26

• 日常、十三日目。

  今日は朝からラパンと喧嘩をしたので、ムートンをクレッシュに連れて行った帰り、気晴らしにスタバに行った。何でもないスタバではあるが、フランスにいる私にとっては大きな存在でもある。日本を思い出させてくれんだなぁ。まだ大学生の頃、アテネ・フランセに通っていた。いつも駅を出て、スタバお茶の水店に寄るのが習慣だったのだ。まだ、スタバという言葉すら存在しなかったあの頃、フランスにどっぷり浸かっていたあの頃である。それに付け加え、”歩いて飲めるコーヒー”が好きな私なので、家の近くに出来た時には大喜びしたよ。以来、ちょくちょく足を運んでいる。ぼーっとプチ・カプチーノを飲んでいると、隣のカフェにいるカップルが目に入った。観光客っぽいが、フランス語っぽい言葉を話しているなぁと見ていると、garcon（1：ギャルソン）が注文の品を持って来た。テーブルに置かれたのは、カフェ・クレームとchocolat froid（＊2：アイス・ココア）らしき物体。chocolat froidらしき物体と私が呼ぶには訳がある。まず、茶色、その上にcreme chatilly（＊3：ホイップクリーム）がどっさり、それが大きめのコップにはいっており、paille（＊4：ストロー）がささっているのだ。どう見てもchocolat froidらしき物体。私同様、置かれたその物体をまじまじ見つめるカップル。”ココから見てもchocolat froidらしき物体と見えるんだから、そんなに眉間に皺を寄せなくても…”と思う程、怪訝な顔をしたままだ。自分のクレーム（＊カフェ・クレーム）のミルクの泡をぱくぱく食べる彼女は、怪訝な顔で自分の注文したchocolat froidらしき物体を見つめる彼に何か言うと、chocolat froidらしき物体のクリームだけをぱくぱく食べ始めた。スプーン5,6杯、ペロリと食べると、”あ～やっぱりcreme chatillyよ”という顔で彼に話しかけた。いくら大量にcreme chatillyがあったとはいえ、あれだけ喰われてしまうとしょぼくれたchocolat froidらしき物体というか、たんなるCacolacである。ちょっと不満げな顔になった彼を思ってか、罪滅ぼしか、彼女が取った行動は、”自分のクレームのミルク泡をすくって、彼のchocolat froidらしき物体のコップに入れた”のである。そして、”こうすれば同じよ”と言わんばかりに、泡とcreme chatillyをぐるぐるかき混ぜた”のだ。そして、彼も、”納得いったかのように、美味しそうに飲んだ”のである。彼女見事な欲しい物は頂きつつ、カップルの平和を保つ技に惚れ惚れ。私もかなりの強者で、ラパンを手の上で転がしているが、ここまでサラリとこなすにはまだまだ熟練が必要である。自分の技の未熟さに目が覚めたせいか、朝の喧嘩なんてどこいく風。お土産にラパンにプチ・カプチーノとマフィンを買って行った。あー、ありがたや、スタバ。また利用させてもらうよ。＊1：garcon；この頃はギャルソンと呼ぶよりも、　　　”Monsieur!"と呼ぶことが多い。＊2：chocolat froid〔ショコラ・フォワ〕；　　　だからホット・ココアはchocolat chaud〔ショコラ・ショ）　　　→でも、アイス・コーヒーはcafe glace〔カフェ・グラッセ）＊3：creme chatilly〔クレム・シャンティイ〕；　　　ラパンはスプレー型のホイップクリームを　　　逆さまにして口に直接噴射してたべるのが好きだ。＊4：paille〔パイユ〕；藁という意味。中が空洞だからか？

  2005.08.24

• 日常、十二日目。

  バカンスの話。私達が行った所はもMonptpelierのちょっと上、Lozere（ロゼール）地方である。フランス内で一番マイナーな地方で、フランス人でも知らない。私は去年の夏に初めてここに来たが、ラパンのおばあちゃんのお葬式という悲しい出来事がきっかけで、十分に満喫できなかった。ここはラパンのママンの生まれ故郷なのだ。ママンは、いつも夜につける酸素補充機も現地に配達してもらわないといけないし、高地で空気が薄いのが駄目で残念ながら来れなかった。ただ終始、電話が掛かって来て大変ではあったが…。ここでは、ママンの従兄弟家族のお宅の一角に泊まらせてもらった。彼らはいかにも丈夫そうなrustique（＊1：田舎の）な感じが漂い、我々のようなPrigo（＊2：パリっ子）はヨワッチイ感じがした。ちゃんとした食事をし、よく働き、ちゃんと昼寝もする、田舎万歳の生き方は結構ひかれた。本当にパリだと、ろくな物を食べていないし、空気も悪い。人々はいつもイライラしているし、何かに追われるようにせかせかしている。”Mreci”も、”Pardon"も、”S'il vous plait”もないが、ここではみんなが親切で礼儀正しい。当たり前な事を当たり前としているシンプルな生き方に新鮮味を感じてしまった。奥さんのPieretteさんの手作りのジャムで朝食をとる。勿論、パンもバターも牛乳もロゼール産。お昼は、Les gorges du tarnという渓谷の川沿いか山道の適当な場所に陣とって、特産物のJambon de pays（生ハム）とかsaucisse seche（ドライソーセージ）とかfromages（チーズ）でpique-nique（ピクニック〕したり、従兄弟のMauriceさんの庭で採れたインゲンのサラダにPieretteさん巨大ズッキーニのグラタンを御馳走になったりした。夜は自炊の日が多かったが、みんなで噂のAligot（＊3：アリゴ）を標高1000キロにある山小屋レストランに食べに行ったり、娘さんのValerieさんと一緒に、遠縁の従兄弟のOlivierさんの別荘にバーベキューの招待を受け、その夜は数年に何回かあるというetoile filante（＊4：流れ星）を庭に寝そべって堪能したりした。あー、田舎万歳。空気が旨いからいつもの鼻の奥がツーンといたくなる事もなかったし、カルキが全くないのでお肌もツルツル。日が強いけど、山風がさわやかで過ごしやすく、まさに気分爽快。こう書くと、いい事ばかりで、パリになんでいるんだ？と思うかもしれないが、その通り！パリにいる意味は一体なんだ？！うーん、心の中で何かがざわめき始めたぞ…。今夜はお土産の美味しい物達を連れて、他の家族メンバーの舌鼓を打たせに行く。肉肉しい彼らがふんふん鼻をならせて喜ぶ姿が目に浮かぶ。もちろん私もその一員であるが。＊1：rustique〔リュスティック〕＊2：Prigo〔パリゴ〕；田舎にいくとパリジャンはこう呼ばれる。　　　→そして”Parisien, tete de chien.　　　〔パリジャン、テットゥ・ドゥ・シヤン〕”　　　　=”パリジャンは犬の顔してら～”とけなされる。＊3：Aligot〔アリゴ〕；トンムというチーズとにんにくたっふりの　　　ジャガイモのピューレで、鍋からハサミで切ってお皿にもる。＊4：etoile filante〔エトワル・フィラント〕；　　　今年のフランスの夏は当たり年だったそうだ。

  2005.08.20

• ただいま。

  こんにちは。帰って来ました。日焼けしない私なのに、やはり山の日差しは強く、こんがりしておりやす。これでは、タイ人に見られてしまうなぁ。（ちなみに焼けていない時はベトナム人ですがね。）8月8日から日記をアップしていないにも関わらず、何故が訪問されているとは驚きだ。これが、まさにネットの力なんだろうかねぇ。気を入れ替えて、書き続けなくては…。

  2005.08.19

• おしらせ。

  立ち寄るみなさん。こんな日記をよんでくれてメルシーです。沈んで行かないようにと書き始め、今のところかなり浮上状態で嬉しいです。また立ち寄ってくださいね。明日より、10日ほどお休みさせていただきます。フランス人もあまり知らないマイナーな地方、lozereにラパンとムートンと遊びに行きます。新鮮な空気と美味しいaligotをたらふく満喫してきます。私のドジ話はちゃんと忘れないように、ノートにかいておきますので、帰ったら披露するのでまた笑ってやってください。a tres bientot.

  2005.08.07

• 日常、十一日目。

  ムートンのお休みで、日記が書けない…。お昼ねしている時にと思うのだが、おいらも寝ちゃうのねー。寝ても寝ても寝れちゃうからびっくりだ。きっと7月の猛暑で寝れなかった分だと、言い聞かせている。色々考えて、頭がこんがらがる日々ではあるが、（こんがらがったのをほどく為に日記をつけているんだが）今日は考えた事じゃなくて、聞いた事。ウチと同じ日仏家庭の友達が日本に帰ることになった。旦那さん（仏）の仕事が決まったからだ。彼女（日）は前から、”もう、適当に帰って仕事探すっていう手もあるんだけど…’と言っていたのだが、今回は仕事がきっちり決まったので、心おきなく出発できると喜んでいた。正直、羨ましい…。いや、人を羨んでも仕方がないので、先に進もう。友人は帰るぎりぎりまで時間がないのだが、ちょっとでもとカフェで会った。“最近なにしてるぅ”と聞かれたので、“ブログ書いてんだ”と意気揚々に答えたのだが、“危ないよぉ～”と言われてしまった。最近、ブログを見て、その人の状況などを掴み、流行の“俺、俺”手口でお金を取るらしい。私のようにフランスに住み、ブログを書いている彼女の友達が最近ヤラれたらしい。彼女の母親の元に泣き声で電話をかけ、車で事故に遭い、警察に捕まったので、保釈金が必要だからここの口座にお金を振り込んでほしいと言ったそうだ。当然、心優しいお母さんは振り込んでしまったそうだ。よく考えると、免許を持っていない彼女、事故を起こしたのに保釈金が必要、日本の銀行の口座に振り込む…と、怪しい点ばかりなのだが、異国にいる娘が泣き声でかけてくると親は一発でやられてしまううんだな。なので早速、我がパパとママンに伝える。金に関してはかなりクールな二人だが、普段泣かないおいらが泣いたらパニくるだろう。呑気な性格だから何にも考えずにこんな事をしているが、何処にいても、何をしても怖い目にあってしまうんだねぇ。でも、私も数年前だが、変な電話をもらったものだ。”◎◎ジムクラブですが、おめでとうございます、ジム一式セットが当選しました！いつ、引き取りにこられますか？””は？””ジム一式セットが当選しました！おめでとうございます。いつ来ますか？””あの～、そちらに登録すらしていないんですけど。””あっ、全然関係ないんですよ。どなたにでも当選権があるものなんです。いつ来ますか？””でも、ジムセット、いりません。””え～、gratuit（＊1：タダ）なんですよ！いつ来ますか？””でも、本当にいらないんです。””当たったんですよっ！タダなんですよっ！いつ来ますか？””………。（ガチャン）”それから、数が月間ごとに2回程同じ電話が掛かってきたが、ラパンに出てもらって以来、掛かってこなくなった。こんあのもあった。”もしもし。””あ～、俺。””…。あの、誰ですか？””えー？俺だよぉ。俺。””…。あの、分からないんですけど…。””えー、またまた、酷いなぁ。俺だよぉ。覚えてないのぉ？””はい。覚えてませんが。誰ですか？”“レ・アールで会ったじゃん。俺だよ。””レ・アールでの何処ですか？いつですか？””ちょっとぉ、ふざけないでよぉ。酷いなぁ。覚えてない振りしなでよ。いっしょに、話したじゃん。だから、こうやって電話してい…””（ガチャン）”切っちゃった。面白いなぁなんて思っていたけど、長くなりそうだったんで。でも、こんな事があったんだと話たら、ラパンに怒られた…。このたぐいは、Pages Jaunes（＊2：タウンページ）を見て、日本人の名前を探してかけてくるものである。私が来た頃（10年前）はこんな日本人ギャルを引っ掛けるのが多かった気がする。最近、大人しくなった感じのオペラ界隈のナンパ君達も、この頃は見かけないような気もするしねぇ。あっ、でも、”なにわや”でお昼を一人でしていたら、隣に座っていたフランス人がおいらに、”日本人ですか？”（日本語で）と、聞いてきた。”なにわや”で一人で昼飯喰ってんだからべたべただろぉがと思ったが、一応、”はい。”（日本語で）と、返事してあげた。昼飯はゆっくり一人心静かに”OVNI”（＊3：日仏無料ジャーナル）でも見ながら食べたいのに、“何時ですぅかぁ？”（日本語で）と、聞いてくるので、”Il est 1heure moins quart."（12時45分です。→直訳：1時十五分前です。）と、フランス語で答えたら、何も答えず残りの親子丼を食べ続けた奴もいたっけね。フランス人のお友達を作って、フランス語を上達したいわぁ～と思っている奴を探してたんだろうね。ご免よ、フランス語にゃ不自由ないし、フランス人にも不自由していないのよん。せめて、”Ah! Vous parlez francais."（あー、フランス語話すんですか。）とでも言えば、不潔な動機を隠せてちょっと話もできだんだろうが、黙りこくっちゃ下心が丸見えだよ。毎日こーやって危険と背中あわせでいきているんですね。みなさんも気をつけましょう。こういう私も、昨日友人（日）と歩いていたら、変なclodo（＊4：浮浪者）に立ちはばかれて怖い思いをしたよ。でも、憎いのは、スタスタと先に歩いていちゃって役に立たない旦那達（仏）であった。＊1：gratuit〔グラチュイ〕；若い方達が使うお言葉→gratos〔グラトス〕＊2：Pages Jaunes〔パージュ・ジョーヌ〕；　　　個人の電話番号なら→pages blanches〔パージュ・ブランシュ〕、　　　載せたくなかったら→listes rouges〔リスト・ルージュ〕　　　にしてもらいましょう。　　　France Telecomは電話料金の支払いの早さで　　　顧客のクラス分けをしています。　　　早く支払うと’いい顧客”なのでプロモーションなども　　　せっせとしてくれますが、　　　支払いが悪いと当然listes noirs〔リスト・ノワール〕入りです。＊3：OVNI〔オブニ〕；月1日と15日に出る。　　　家族経営なので、8月はまるまるお休み。　　　以前仕事関係でファイルを送る事があったが、　　　Photoshopでセーブする時にバージョン５でしてくれと　　　言われびっくりした。（いつの時代のPhotoshopなのか。）　　　→ちなみにOVNIとはObjet Volant Non Identifie　　　〔オブジェ・ボラン・ノン・イダンティフィエ〕、つまりUFO。＊4：clodo〔クロド〕；ちゃんと言うと→clochard〔クロシャー〕

  2005.08.07

• 日常、十日目。

  やっぱり今日はムートンをお休みさせた。いつもはクレッシュに連れて行くので、8時半に無理矢理起こしているが、バカンスなので寝たいだけ寝れたらしく、寝起きの悪い彼も今朝からご機嫌の様子だった。”だった”というのは、今朝ムートンのpetit dej'（＊1：朝食）を用意していたのはラパンだったからで、私は昼までぐっすり寝させていただいた。日本から荷物が送られてきた。前回行った時に、ビデオカメラのバッテリー補充機を忘れてしまい、送ってもらうことになっていたのだ。受け取ったラパンが、“補充機だけなはずなのに、やけにでかい箱だねぇ。くっくっく…。”と、いつものように笑っているが、確かに毎回でかい。色々詰まった玉手箱なのだ。毎回欲しいものを送ってもらうのだが、ウチのママンは喜ばせるのが趣味な人なので、”ふりかけ”と頼むと、最低3種類違った味のものをいれるのだ。ムートンの希望の品であるトミカのバスは6台も入っていた。異国で不自由している娘を思って、これでもかー！というくらい気合いを入れて詰めてくれる。なので、実は食べていない日本食材がたんとあったりする。ムートンはこてこての和食派である。あまり日本食を作っていないのに、何故か好きなのね。この間は“きんぴら”→”もずく”→“きんぴら”→”もずく”と狂ったように食べていた。それに対し、ラパンはまだ日本食debutant（＊2：初心者）というか、肉入り日本食派。例えばトンカツとか、しゃぶしゃぶとか、牛丼とかいった類である。それか、日本食特有の“甘辛”な味がついていればＯＫ。寿司も最近食べれるようになって、甘エビ、さけ、いくら、中とろ、卵がレパートリーに入っている。10年前は一緒にお寿司なんて食べれないんだろうなぁと思っていたが、私の調教のかいあって、寿司accro（＊3：中毒）にできた。あははー。私の調教以外にお世話になったのが、パリにある美味しいお寿司屋さん。有名なお寿司屋さんには高くて行けないけど（”眉山”ー昔は”伊勢”だったーとか”勇”ね）、ＭＢＡをフランスに取りにきた友人が教えてくれたa emporter（＊4：テイクアウト）もできる16区にあるお寿司屋さん”comme des poissons”とか、もっと気さくな感じなお寿司屋さん”こりん”とかがある。食品規定のきびし～いパリなので、新鮮度もかなり高く、まさにqualite-prix（＊5：カリテ・プリ）。たまにラパンが“お寿司ぃ～”と吠える時、仕方なくlivraison a domicile（＊6：デリバリー）の寿司をとる。前述にあげた寿司屋とは格段な味の差だが、”ここはパリ、私は寿司素人”と言い聞かせ、電話してしまう。シャリが型押しなのが痛い点だが、何回か”まつり”に注文した事がある。中国系のエセ寿司よりかは全然うまいからだ。中国系のエセ寿司屋の特徴は、焼き鳥部門があり（お寿司が食べれない人用）、前菜にキャベツのサラダ、ほぼ水に近いみそ汁、そしてデザートには必ずライチかperle de coco（＊7：ココナッツ団子）がついているので、一目瞭然である。”まつり”はそれにくらべて、日本一直線な品揃えである。デザートにどら焼きとか抹茶ケーキもあるしねぇ。（どら焼きは日本食店でも手に入るが、一個4ユーロもするのだ）しかし、面白い事があった。電話恐怖症の私はこんな時も必ずラパンに電話させる。初めて頼んだ時であった。フランス人らしきスタッフが電話に応対し、無事に何ともなくお寿司はやってきた。こんな寿司ではあるが、寿司に飢えている我々はふがふがと頬張ったものだ。そして、二回目。パンフレットの電話番号に、フランス語対応と日本語対応があるのに気づき、じゃぁ、日本語ならと私が電話した。応対したのは日本語が話せるフランス人であった。注文などは日本語で済ませたが、彼が合計金額を日本語で言うのに躓いているので、最後はフランス語にしてあげた。あはっと電話の向こうで笑う、気まずい感じの彼であった。やけに時間がかかる。来るまでに1時間はかかっただろうか。やっと来た寿司に飛びつくと、ん？何か違う。味が違う。今日のは何故か旨いのだ。ネタが旨いのだ。“使いわけているのか？”味の分からないフランス人向け、寿司にうるさい日本人向けに違う物を使用しているのか、単に今日のネタがいいだけなのかは不明だが、その日の”まつり”の寿司はかなりイケた。あれから頼んだ事はないが、頼むとすれば、勿論私が日本語で注文するぞ。　　　　＊1：petit dej'〔プチ・デージュ〕；　　　ちゃんと言うとpetit dejeuner〔プチ・デジュネ〕　＊2：debutant〔デビュタン〕＊3：accro〔アクロ〕；何かにはまっている場合にも使う　　　→il est un accro de play station.　　　（あいつはプレイステーションにはまってる）　　　＊4：a emporter〔ア・アンポルテ〕；　　　反対に”こちらでお召し上がりですか？”の場合は　　　sur place〔シュウ・プラス〕　　　　　　　　＊5：qualite-prix；“こん値段でこの質！”という意味。つまりはお買い得。＊6：livraison a domicile〔リブレゾン・ア・ドミシル〕　　＊7：perle de coco〔ペール・ドゥ・ココ〕；perleは真珠。　　　つまりココナッツの真珠。でも、味はココナッツ団子。　　　周りがもちっとしていて、なかにココナッツが入ったあんがある。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

  2005.08.03

• 日常、九日目。

  やっぱり、毎日書くって大変ね。ムートンがいる週末は無理だ。そのムートンは今日はクレッシュに行った。昨日は特別にお休みだったのだ。今、ムートンが行っているクレッシュはいつもの所ではなく、夏の7,8月の間、バカンスに出ない子がgroupement（＊1：集めること、集団）される臨時クレッシュなので、知らないお友達や、知らない先生とご対面してしまう。ムートンはsensible（＊2：感受性の強い）な子である。ゆえ、この新しい環境に慣れるのにも時間がかかった。7月初めの2週間は昼ご飯を食べなくなってしまったが、その後は少しずつ慣れたらしく今では全然元気になってくれた。でも、先生方も気にしてくれるので、仲の良い先生がいない時は昨日のようにお休みさせる事がある。これは彼にとって良い事なのか悪い事なのか…。良い事と思えるのは、彼はまだ2歳半という幼児なので、無理矢理辛い思いをさせなくてもいいからと思うからだ。大人でさえ、知らない人の間に入るときにはちょっと緊張するものだ。理由も何も分からない幼児をそこに放り込むのは親の都合である。だから、せめて楽しく幼児期を過ごさせてあげるためにお休みさせる。これが、“良い”理由。悪いと思える理由には、私個人の体験あって思う事。私自身も彼と同様、環境やら人やらそういうものに感化されやすい質である。そういう性質だから出来る事（絵を描く事とかね）もあるが、社会生活においては何の役にも立たなかった。“引っ込み思案”は“損”なのだ。日本においては気にしてくれる人がいたりして、ある程度“存在”があるが、このsauvage（＊3：無秩序、野生）な国では、意見を言わないのは存在しないに等しいのである。こんな意見はいろんなブログで語られているので付け加えるものはないが、どうなるかなぁと気になるのである。だから、彼のこの先を考え、今は大変だけど、順応性を養う意味で連れて行った方がよく、こうやってお休みさせる事は甘やかしているだけではないかと思えるのである。親になるって、常時発生する問題の処理に追われる事なのかも知れない。かわいい子には旅させろ的な私だが、ムートンの泣き顔を見ると本当に心が張り裂けそうになる。でも、弱い性格で損をしてきた私としては、同じ道を歩んで欲しくないなぁと思うけど、それも単なる親のエゴなのだろうか？でもまぁ、ラパンと話して、結局明日からムートンはお休みさせる事になると思う。これも、この子がかわいい親のエゴだよね。＊1：groupement〔グルゥプマン〕＊2：sensible〔サンシーブル〕；（その他の意味）敏感な/顕著な/　　　感知される/高精度の/デリケート扱いを要する　　　→フランスでは結構良い意味でとられる言葉である。＊3：sauvage〔ソバージュ〕；一時期流行った髪型にみられるように、　　　“ワイルド”という意味。　　　　でも、どちらかというと“原始的”な意味で使われる事が多い。

  2005.08.02

• 日常、八日目bis。

  先日、ラパンが趣味でやっているオークション販売の相手に、家の近くの教会前で商品を手渡す約束があったのでついていった。ムートンをクレッシュから引き上げてきた後だったので、家族3人、行き交う車やバスを見ながら相手を待っていた。（車好きなムートンは終始”ふにゅがなが、ふにゃななんな～”とムートン語で興奮しながら叫んでいたが）”ピロピロ～”、ラパンの携帯がなった。ラパンの親友、トーゴ人のleopard（＊1：豹）君が来るって。彼を待ち、肉好きな彼の為にpicard（＊2：冷凍食品専門チェーン）に肉を調達。ついでに、甘いものも必要なので、アイスも購入し、にこにこしながら家に向かった。ラパンもかなり肉好きだが、エンゲル係数と太りやすい体質の関係でやや控え目な我が家である。でも、日本人の家庭よりかは肉系でしょうね。必ず何か肉らしいものが食卓にのっているもの。あっ、ムートンも幼児なくせに、肉肉である。家の前の道にさしかかった時である。家の前あたりにポリスメ～ンの車が！何にも関心がないようなそぶりな私は、実はこういうものが好きなのだ。目をキラキラさせて、“何？何？”と見る。そのとき、ラパンが、”あっ、あれは噂のジャポネーズじゃない？”いつもの巨大な帽子を被っているよ！”と、叫ぶじゃないですか！なんとも、彼女はポリスメ～ンの車の中にちょこんと座っていたのだ！この彼女、不思議ちゃんである。この不思議ちゃんを気にし始めたのは、かれこれ去年の秋くらいだろうか。目につかないはずがない。いつもムートンを迎えにいく5時～5時半頃に家をでると、我が家は6番地だが、不思議ちゃんは家の斜めな前の7番地の玄関前にいつも立っているのだ。帰りにスーパーで買い物をして、6時過ぎに戻ってきても、まだ立っているのだ。しかも、直径80センチはある巨大なマダ～ム風の帽子をいつでも被っているのだ。素材はオーガンジー系のふんわりとしたもので、ベージュ、黒、生成りといたカラーが多い。服装はお嬢様風で、ふんわりとしたスカートに生成りの踵3センチの靴、そして必ず白ストッキングである。いつも不思議だねぇ、と、ラパンと話をしていたのだが、ある日、いきつけのカフェに不思議ちゃんがいた。その後、何日か見るうちに、不思議ちゃんは午後4時頃カフェに来て、ミルクティーを飲む。そして、スケッチをしたり、縫い物をしたりする事がわかった。しかも、必ず、外に座る。寒い冬でも、外に座る。ラパンとは想像したのは、誰かを待っている→待たないと入れない→鍵は持っていない→待つくらいなら、知り合いなのに、鍵がない？→知り合いはいない→何をしに7番地にくる？→squatter（＊3：不法住居）？うーん、謎は深まるばかりであった。直接声をかけて聞く度胸もないので、通り際にラパンが、”待ってくださ～い”だの、”今日何食べるぅ？”だの、へにゃらこな日本語を話し、”ココの人も日本人でぇ～す”みたいなアホな雰囲気を演じてみたりしていた。そんな時にカフェのマスターが私に彼女も日本人なんだよと言ってくれたので、じゃぁ、話しかけてみるかぁ、なんて思っていた矢先である。彼女はポリスメ～ンに連れていかれてしまった。次の日、カフェのマスターに聞いたら、いつものように立っている彼女の所にちゃりんこ・ポリスメ～ンが来て、その後ポリスメ～ンの車が来て連れていかれたと彼もよくわからないらしい。こんな所でちゃりんこ・ポリスメ～ンなんて見た事がないので、誰かが通報したと思われる。あー、知りたい。なんでか、知りたい。何故、毎日1時間以上、ココで立っていたのー？と聞きたい。ラパンはきっと何かの思い込みをしているんだよと、言っていた。確かに知られているか知られていないか知らないが、パリに来た日本人で頭がおかしくなっちゃう人は実は多いのである。パリに限った事ではないだろうが、やはり異国の地で一人でいるのは精神的に大変らしい。“どぶの水を飲んでいるアジア人を発見し、病院に保護したところ、後にパリに来た日本人留学生だった”という話も聞いた。たまに、”私は大丈夫だよねぇ…なんか勘違いしている人じゃないよねぇ…”などど、想像力豊かゆえ、変な事を思ってしまう。そして、彼女は大使館に引き取られちゃったのかなぁなどとも…。＊1：leopard〔レオパー〕；一般的に言う点々のついた豹　　　→その他ネコ科のpanthere（黒豹）jaguar（ジャガー）　　　　guepard（チータ）など　　　→leopard君はフランスに帰化naturaliseしたトーゴ人。　　　　トーゴ、ドイツ、オランダを経て、16歳でフランスに来たけど、　　　　やっと最近になって帰化できた。時間がかかったのは　　　　noir（黒人）だからでしょうね。　　　　ちなみに私は日本国籍所有、10年カード所有の外国人です。＊2：picard〔ピカー〕；フランス全土にチェーン店がある冷凍食品のみのお店。　　　かなり種類も豊富で、お買い得。野菜も固ゆでだし、　　　お魚も新鮮なままなので、共働きの多いフランスでは人気あり。＊3：squatter〔スクアテ〕；取り壊し予定なので人のすんでいない所に　　　不法で住む事。不法侵入者が多いが、ごく普通な人も家族で　　　暮らしていたりする。フランスの法律上、冬に戸外撤去する事が　　　禁止されているので、なかなか絶えない。　　　→squatterする人；squat〔スクアット〕

  2005.07.29

• 日常、八日目。

  日記を毎日書くのは難しいねぇ。パチパチするのがとろいし、文章がきちんと書けないし、漢字を選ぶにも迷ってしまうからだろうか。でも、頑張ろう。夜、寝る前に今日した事と、満足して眠りにつきたいものね。今日は、ちょっと悪いニュースが舞い込んできた。ラパンのねーちゃんからで、ラパン・ママンが陰でこっそりタバコを吸っていると言ってきたからだ。前の日記にも書いたが、ラパン・ママンは肺の70％が機能しない重病をかかえている。長年、タバコを吸っていた事と、色々なアレルギーの持ち主で、肺がカスカスのスポンジ状態になってしまっていたのである。なので、今では近場に散歩に行く事すら無理に近い。だから、gros fumeur（＊1：ヘビースモーカー）だったけど、タバコは止めた。と、みんな家族は思っていた。ある日突然に今まで30年以上も吸っていたタバコを止めるのは、大変だと思う。（私は吸ったためしがないので分からないが）でも、下手するとあと数年ですよって、言われたら頑張るしかないよねぇ。だから、家族みんなで支えようとした。辛くてできないと泣くラパン・ママンに”ムートンが成長する姿を見ていこうよ”って、ラパンも懇願した。ちょっと裏切られた気分は隠せない。誰にでも、弱い部分があるのは知っている。出来ると思って出来ない事もあるさ。でも、”je jure sur la tete de Mouton de ne pas fumer une cigarette."（＊2：ムートンに誓ってもうタバコは吸わない）って、言ったじゃん。いろんな家庭にいろんな事情があるけど、結婚して巻き込まれるってこういうことなんだろうか。こんな事は大した事ではなくもっと面倒な事があると思うけど、それに自分が巻き込まれることでなく、ラパンが悲しんでいる姿を見るのが辛いのである。あーあ、この先どうなるんじゃ、って思う。明日、会いに行く予定だ。人に懐かないがムートンもラパン・ママンにはとても懐いている。無邪気に喜ぶムートンの姿をタバコを吸う時に思い出してくれないのだろうか。この子が悲しまないようにって、思ってくれないのだろうか。3人の子供の中で一番大切なラパンの子供だよ。それより、辛いのかな、今が。今日はちょっと朝から、沈んじゃった。＊1：gros fumeur〔グロ・ヒュムー〕；またはfumer comme un pompier　　（消防士のように煙を出す）＊2：jurer sur ～；～にかけて誓う　　　↑キリスト教者にとっては軽く口にはできない（と思うんだけどなぁ）

  2005.07.29

• 日常、七日目。ー操作ミスで書くのは3回目ー

  昨夜、かなりムートンにむかついたので、気晴らしにムートンについて書こう。ムートンは現在2歳5ヶ月の色白幼児である。フランス人もビックリする程長い(16mm)くるりとカールしたまつげが特徴である。まだ喋れないが、いくつか言葉を吐く。”ぶー”（ブーブー）、”カ”（カセットの”カ”）、”と”（ありがとうの”と）、”ワンワン”、”アンコー”（＊1：encore)、それにパパ、ママンといったところだ。最近はもうちょっと増えたかな？でも、日本にいる従兄なんて2ヶ月の差なのに、もうベラベラ喋っているのにね。私は出来る限りムートンに日本語で話している。ラパンは日本語が話せないので家庭内でも仏語が多い。三人でいる時は、ムートンに日本語で話すと、同じ事を仏語で繰り返し言う、同時通訳の毎日である。別にバイリンガルにしたいわけではないが、折角metisse（＊2：ハーフ）に生まれたんだし、読み書きは後に自分ですればいいけど、聞く事ができるのは価値があると思うからだ。だから、少々遅れても、”バイリンガルは喋りだすのが遅い”説を信じて、話し続けている。でも、一つの事に二つの言葉があるから、頭こんがらがっちゃうよねぇ。そのムートン、性格もかなりおかしい。子供らしくない。全てがパパ・ママンのように大人同様でないと気が済まないのだ。プラスティックのお皿もコップも嫌い。食べ物も同じものを好む。（先日の日記に書いた”日本食材店で買う冷凍ゆず風味もずく”は彼の好物である）お子さんがいる家庭ならわかると思うが、普通子供が食べやすいように、肉などは小さく切ってだすが、ムートンにはしていけない。ムートンは”傷”がついた物は食べないのだ。肉などはそのまま大人と同じようにだし、”切るよ”といって目の前で切らないと駄目なのだ。”もう、そんな事しているから、capricieux（＊3：わがまま）になるのよぉ～”と思う人もいるだろうが、そうしないと食べないのだ。”でも、子供だから、お腹が空くと食べるでしょうぉ～”と思う人もいるだろうが、本当に本当にtetu（＊4：頑固）なので、平然と断食をするのだ。先日、ラパンのパパ・ママン家に行った時のことである。デザートにラパン・パパが棒アイスをだしてくれた。私がいっただきま～すと食べ始めると、いらないと言ったムートンが欲しいと言ってきたので、あげると、”ノォ～ン”（眉間に凄い皺を寄せて）←こういうと分かっていたが。仕方なく冷凍庫に新しいのを貰いにいくと、ラパン・パパが自分のは出したばかりだと言って差し出してくれのに、”ノォ～ン”（眉間に凄い皺を寄せて）←こういうと分かっていたが。ラパン・パパが困惑して、“何故だい？ピッカピカの新品だよ”（ラパン・パパも彼の性格を多少知っているので）と、言った。答えは簡単。ムートンはそのアイスがそこの冷凍庫から出てきたのを目にしていないからだ。ムートンが欲しいのは”その冷凍庫から出てきた、まだ包装された誰も手をつけていない新品のアイス”なのだ。袋から神々しく出されるアイスをきっちり確認し、一人で手に取って（手助けは受け付けない）ペロリと平らげた。もちろんムートンは着る物履く物も必ず横目でチェックしている。最近はマシになってきたが、相変わらず40ユーロもはたいて買った、ベージュに赤ラインのアシックスは履いてもらえない。私はこんなムートンを心から愛するのに2年かかった。出産が思わぬ展開になったショックから抜け出すのに時間がかかった。3週間早く生まれたムートンは小さく、頑張って母乳で大きくしようという思いに反して出ない母乳。普通だったら幸せいっぱいの産後数日間は泣き通しだった。異国での出産、育児でどうしてようかわからなかった。今思えば、日本式であろうと仏式であろうと問題ないと思えるが、初めての子供ゆえ最善を尽くしたいと強く願い過ぎたのかも知れない。産後4か月で仕事に復帰する自分は母親失格ではないのか？でも、そんな母親はゴロゴロいると自分に言い聞かせて仕事に行った。そんな不安だらけでイライラしていたのを感じたのだろうか、面倒見の良いラパンに当然懐いていった。せめて頑張れるものと離乳食だけは夜中に作り続けた。もっとリラックスして子育てできたと思う。でも、あの頃の私は何故かculpabilite（＊5：罪悪感）の塊で、”ごめんね”ばかりを言っているだけで満足に可愛がってあげれなかった。お腹から出て来る自分の子供を自分の腕で迎えてあげたかった。初めてムートンを手に触ったのは保育器に入ったムートンの手であった。あの時の悲しさと”本当に私の子？”という疑念は長く私に取り付いていたと思う。時間と共に、ムートンも猿から人間へと化し、コミュニケーションができるようになって、こんなアホな私を”ママン”と言ってくれる。”ママン”という言葉は威力があるね。きっとずっと前から”ママン”というテレパシーを送っていてくれたんだろうけど、アホだったから気づかなかった。勿体なかったと思う。今は今までの穴を埋めるように、ムートンを愛しく思う気持ちが絶えなく湧いてくる。ただ、ムートンはかなりの知能犯なので、私を操る。おちょくられているとわかっているのにムカつくので、我が家には怒鳴り声（ムートンが目的とするもの）が絶えない。私の”ママン”修行はまだまだ続くようだ。＊1：encore；もっと（別の意味で；再び/まだなお/〔否定で〕いまだにない）　　　→コンサートなのでの”アンコール”はこれである。＊2：metisse〔メティス〕；人種関係なく”ハーフ”　　　→白人+黒人=mulatre〔ミュラートル〕　　　→白人+アジア人=eurasien〔ユラジアン〕＊3：capricieux〔カプリシュウ〕＊4：tetu〔テチュ〕；なぜがこのタイトルのホモ雑誌がある。　　　→べつの言い方：tete（頭） de mule（ラバ）〔テットゥ・ドゥ・ミュル〕＊5：culpabilite〔キュルパビリテ〕；　　　正確にはsentiment（気持ち）de culpabilite

  2005.07.27

• 日常、六日目。

  足が麻痺して動かないので、ラパンがおんぶして連れて行ってくれた。お人好しな医者は通常予約制なのに誰にでも”来なさい、診てあげるから”と言ってしまうため、いつもsalle d'attente（＊1：待合室）は満員である。この日もいつものように1時間位待ったと思う。不安というよりびっくりな気持ちが強かった為か、ラパンも私も平然と順番を待っていた。やっと人も減ってきて、医者が我々を奥に通してくれた。うんぬんかんぬん今までの経緯を説明したのち、診察台で触診した。触っている感覚ははっきりあるのに動かない…。医者はとりあえず筋肉がこのまま萎えていくのを防ぐ薬を処方してくれ、数日様子を見ようと言った。帰りに薬を買って、その夜から飲み始めた。が、きっとその薬、筋肉を活発化させるというんだからドーピング作用が入っていたんだと思う。その夜から寝れないのだ。目がギンギンで、足は動かないけど元気はつらつ、一日5,6食は食べるものの、一日1キロ減っていった。ドーピングしている運動選手がぽっくり死んでしまうのがよくわかるよ。で、数日後、医者に会いに行った。医者曰く、私は菌を捕まえたんじゃないかということであった。名前はstreptocoque（＊2：連鎖球菌）、この一種ではないかと言われた。いわゆる風邪をひくと、喉が痛くなったり鼻水がでるが、それは菌を体内にいれないようとして喉や鼻でストップするからその部分で病状が発生するのだが、今回の私の場合はスルリと喉を通過して体内を回った後、膝でストップした可能性があると言われた。“心臓でとまったら大変だぞぅ、しんじゃうんだから！あっはっは”と医者は笑っていたが、私にゃ笑えん話だったよ。心臓という言葉がでてきたが、触診した時に気になったと言って、大した事ではないが今回の菌もあるから、cardiologue（＊3：心臓病専門医）にちょっと診てもらいなさいとも言われた。鼓動が少々不規則らしい。おいおい、20年以上生きているが、今の今までそんな事一度も言われてないじょ。家系でいくと、母方はくも膜下出血か子宮外妊娠で、父方は戦死（爆弾おとされちゃったね）か不整脈…あっ…いた。あいつのせいか…。とにかく、また処方された薬を買って帰路についた。ラパンは根っからのポジティブなので、今夜何作ろうかぁ～なんて、料理ができるかどうかに悩んでいた。その日から毎晩パスタであったことは想像しやすいだろう。それよりも何よりも、足が使えない私は家の中ですら自由に動けない。ラパンがいる時はおんぶしてトイレなどに連れて行ってくれたが、一人の時は家の中をホフク前進していた。それからまるまる2週間籠りっきりの生活だった。五体満足とは本当にありがたい事だと、バカ者な私は初めてこういう状況になってわかった。とにかく、体内から菌が出て行くしか治療法がないので待ったが、その間にkine（＊4：kinesitherapie)を始めた。これがまた辛いのなんのって。無理に無理を言って動かすので、ただ寝て足首を上下させるだけなのに、もう汗だく。あっふーん！と叫んで、足を1センチあげていた。しかし、効くものだ。みるみるうちによくなる。1週間経った頃には立てて、少し歩けるようになっていた。先生には毎回、日本という国を説明してあげていたので、彼女もかなり日本通になっていたと思う。私がした話を違う患者に話しているんでしょうね。当然、この間、学校は行けなかった。この期間は各自の受験準備に追われているので、授業も殆どなかったので幸い大きな痛手にはならなかったものの、あの“スケッチブック一冊分のデッサン”が進まない。パリの町並みや、セーヌ川の畔などが描かれたスケッチブックの最後の数ページに描かれたデッサンは、きっと審判員も笑った事えあろう、近所のコインランドリーやら、冷蔵庫の中、“今日のお昼”、洗剤の静物画などで幕を閉じた。（でも、これで第一次は通過したぞ！）＊1：salle d'attente〔サル・ダタント〕；待合室に置いてある雑誌がそこの医者の趣味　　（車だったり、料理だったり）である。か、奥さんの愛読雑誌（ゴシップ系）。　　　全て数ヶ月のズレがあり、片さないので数年分のストックがある。　　　たまに患者は気に入った記事を切り取っていく。＊2：streptocoque〔ストレプトコック〕：調べたら恐ろしものだった。　　　この時以来、セーヌの川川沿いを歩かない私。＊3：cardiologue〔キャルディオロッグ〕；フランスには恐ろしい程の専門家の数があり、　　　至る所で開業しているが、今年からは専門家医に行く場合、　　　まず自分のgeneraliste（一般医）を通さないと国民保険から100％戻ってこないという　　　ヘンテコな仕組みができた。＊4：kinesitherapie〔キネジテラピー〕；マッサージ・運動療法　　　→骨をポキポキするのはosteoplastie（骨形成術）

  2005.07.26

• 日常、五日目。

  フランスは敬虔なカトリック国なので、土日とちゃんとお休みをもらいした。（といっても単にムートンの世話をしていただけだが）私の病歴について話したっけ。ざっとまとめると、足（膝下）が麻痺したのが重軽症含めて4回、左手3本麻痺1回、crise de tetanie（＊1：日本名だとパニック障害？）数回、帝王切開(cesarienne)、胆のう摘出(vesicule biliaire)ってなところでしょうか。これらは大きな病気の部類に入るけど、その他日常においては、不眠(insomnie)や不整脈(arythmie cardiaque)、偏頭痛(migraine)、腰痛(lumbago)など医者に行く程ではないけど、面倒なものがある。経歴からおってみよう。1995年3月に渡仏した。パリ16区にある、中村江里子も通ったフランス・ラング（当時は全然有名じゃなかったけど）に数ヶ月行ったものの、フランス語をフランス人と生で会話したのでやめる。そこで、数年来の夢であった”絵を習う”に挑戦。”外国人受付”と”アトリエ”という文字をたよりルシアンルーレット式に選んだ学校は、数ヶ月後’受験”という言葉を聞いた時にようやく知ったグラフィック・アート高等教育機関のatelier preparatoire（＊2：予備校）であった。しかたなく、私もdossier（＊3：申込書)を作る事にし、規定である”スクッチブック一冊分のデッサン”を開始した。書き始めて間もない、パリの3月にしては汗ばむくらいのある春日和の日、セーヌ川のほとりにてスクッチしていた。が、その日の夜いきなり熱が出た。風邪を引いてもちょっとやそっとじゃ熱がでないくせに、その時は寝間着がぐっしょりするほどの高い熱がでた。そういっている間に、今度は全身が寒くもないのにブルブルと震えた。それが酷くなり、ガクガクと痙攣を起こしているように酷く震え始めた。その数分後いきなりすーっと震えが消え体が軽くなったと思った矢先、なんと腿から下が、感覚はあるのに全く動かない。ブラ～ンとしたままなのだ。“えっ？冗談でしょ？”脳から”動け”と発信を送っても反応しないのだ。これはとても困った。受験もあるし、当然学校もある。それ以前に普通の生活すらできない…。とにかく、医者に診てもらおうと、ラパンのmedecin de famille（＊4：家族みんなでかかりつけの医者）にRDV（＊5：予約)を取った。＊1：crise de tetanie〔クリーズ・ドゥ・テタニー〕；　　　特に手や顔の筋肉が硬直してしまう症状だが、私の場合これに呼吸障害がついた。＊2：atelier preparatoire〔アトリエ・プレパラトワー〕；　　　アトリエという文字のみに引っかかったアホな私。　　　→preparer〔プレパレ〕；準備する＊3：dossier〔ドシエ〕；ここの場合、受験の申し込みになるが、　　　このドシエという言葉は関係書類、関連ファイルという意味だが、　　　ありとあらゆる場に～書類として使われる。＊4：medecin de famille〔メドゥサン・ドゥ・ファミーユ〕＊5：RDV=rendez-vous；予約→フランス語に多い簡略系で書くとRDVとなる。

  2005.07.25

• 日常、四日目。

  今朝、ラパンはムートンを連れてラパンのママンに会いに行った。暇な我々はよくこうして勝手にcreche（＊1：クレッシュ)をお休みさせて、ムートンを連れ回している。よくバスティーユに住む友人の訪ねた後、朝の4時に酔っぱらいの間を歩いていたりする。先日は、”海を見に行こう”と車に乗って、4時間かけてブルターニュに海を見にいったら気持ちよいので、一泊してノルマンディーまで足をのばしたりもした。フラフラ病の母親譲りらしい。その母親はその病気ゆえ、こんな地の果てまできてしまったよ。さて、ラパンのママンだが、彼女は肺の70％が機能しなくなってしまったので、どこに行くにも大変である。疲れた時や遠出をする時には小型の携帯酸素補充機が必要である。ただ、彼女はこれを人前でするのが大嫌いなのである。自宅に遊びに行っている時も、一人部屋に隠れて、日課である15分間の酸素補給をしている。まるで、鶴の恩返し状態である。肺が悪いとすぐに病気にかかる。そこらに蔓延する菌という菌を頂いちゃうのだ。それゆえ、彼女は年がら年中bronchite（＊2：気管支炎）だの、肺炎だのにかかっているのだ。でも、それには肺が弱いという訳だけではなく、彼女の悪い癖もあってのこと。寒いのに暖かい洋服を着ないのだ。スマートに着こなす事が大事な彼女。胸のデコルテがみえないタートルネックなんてもってもほか。このフェミニンなスカートには冬であってもサンダルなのである。最近は子供達も飽きれて何も言えない。これがフランス女なんでしょうか。粋といったら聞こえがいいが、命を短くしているようにしかみえないよ。病気になったら水分をいっぱいとって、栄養のある消化の良い物を食べましょう、と育った私。彼女の場合、飲むのはコーヒーで水は喉が渇いた時にだけ飲む、食べるものは料理はほとんどしないのでパンとチーズを少々かじる程度である。それじゃ病気も直らんぞ。なのでかどうか分からないが、ラパンは私が病気で料理が作れない時、冷凍のグラタンを買ってきたりした。でも、10年も私に仕込まれてきたので最近はご飯を炊いてくれるようになった。ただ、ラパン自身が病気で、“何食べたい？”と聞くと、”saucisson…”（＊3：ソシソン）などとほざくが、殆ど病気にならない不思議な体の持ち主である。そのかわり、私はこの10年間、病気になっていない時の方がないくらいである。これって異国に住むからなのかなぁと、以前話に聞いた長年外国暮らしをしていた人が帰国して原因不明で死亡した事を考える。知らない間に体内で変化しているんだろうか。確かに、髪の毛は薄くなったし、目も悪くなったし、脂肪の質が悪くなった（ブヨンブヨンした感じ）気がするが、まぁ、これは歳ってやつなんでしょうね、ほほ。しかし、私の不気味な病気歴は歳というだけでは済まされないような気がする。この話は、つづけることとしよう（なにせ数年にわたるからね）。＊1：creche；保育園（パリも同様、入るのはかなり厳しく4人に1人の割合だが、　　　なぜかウチらはラッキーにもムートンを入れられた）＊2：bronchite〔ブロンシット〕；赤ちゃん達がかかるのはbronchiolite　　（フランスでは冬になるとこのキャンペーンが盛んになるくらい危険とされている。）＊3：saucisson〔ソシソン〕；ドライソーセージ　　　→ラパンの好物はこれよい細く締まっているsaucisson sec〔ソシソン・セック〕　　　（いわゆるサラミ）

  2005.07.22

• 日常、三日目。

  今、私が住んでいるところは花の都、パリである。日本人が一度は来たいと、大金をはたいて来る所である。よく、日本食の調達（特に冷凍のゆずもずく）や漫画を買いにパリの中心に出向くと、春夏秋冬かま わず日本人を見かける。カフェを飲んだり（パリ中心部のカフェは使い回した豆の味がするが）、セーヌ川のほとりを散歩したり（春先は菌の宝庫であるが） して満喫している。ただ、私はココからちょっと離れたい希望が最近ある。理由は1つに、パリジャンは意地悪。というかいつもイライラしていて不満事を吐いているので、こち らの気分も悪くなる。2つ目に、公害が酷い。ゴミと吸い殻とcrotte de chien（＊1：犬の糞)だらけで、かなり汚い町である。3つ目に（どこの大都市でもそうであろうが）子供の安全な遊び場がない。それゆえ、まだgarnement（＊2：キカン坊）のムートンはフラフラしないようにpoussette（＊3：ベビーカー）にはいっている事が多い。4つ目に、パリで快く満喫する には金持ちで（ブルジョワなら完璧）白人のカトリックであった方が良い。階級社会、人種はやはり大きな影響をもたらす。アジアな私はこの平べったい顔ゆ え、乗り越えられない壁は多い。最近のラパンとの会話は、”フランスの何処かに家を買おうか”という話題ばかりだ。我々のような貧乏人でも手が届くのは田舎しかないのだが、働く事より 趣味第一な我々には、この混沌といした都市にいるよりか、ゆっくり海でも眺めて気楽に生きる方が合っているようだ。大西洋に面したブルターニュの方なん てどうかな。ムートンの好物はmoule frites（＊4：ムール・フリット）だしね。＊1：crotte de chien〔クロット・ドゥ・シヤン〕；犬(chien) の糞(crotte)　　→（話）つまらないもの、くず；crotte de bique(ヤギ）＊2：garnement〔ギャルヌモン〕；わんぱく坊主、悪童＊3：poussette〔プセット〕　　→折りたたみ式ベビーカー：poussette a canne〔プセット・ア・カンヌ〕　　→乳母車（赤ちゃんが寝るタイプ）：landau〔ランドー〕＊4：moule frites；ムール貝のワイン蒸しにフライドポテトの組み合わせ　　　有名なのはベルギーの方だが、フランスのどこにでもある定番食）

  2005.07.21

• 日常、二日目。

  昨晩、ラパンのねーちゃんがご飯を食べにきた。ねーちゃんはフランスに多いmere celibataire（＊1：シングルマーザー)である。現在、娘は父親の両親のもと、異父兄弟と窮屈なバカンスを過ごしている。ねーちゃんは18歳で娘の父親と出会い、両親 の反対を押し切って家出。24歳で出産、26歳で別離。その後、一人で娘を育てている強い人である。娘が18ヶ月の時にex（＊2：前カレ)と別れた が、そいつが家の中の物を全部持っていっちゃったので、それまでの思い出が、残されたビデオテープ以外全くない。（そのビデオテープも娘のいたずらで 所々CMが録画されてしまっている代物だが）そのテープがたまたまウチにあったので、見ようとなった。勿論、鑑賞中は前カレのビデオ撮影の下手くそさを終始けなしていたねーちゃんとラパンであった。私は姪の猿顔を見ながら、我が子、mouton foudroye（＊3：ムートン・フードロワイエ)の赤ちゃん時代を思い返した。ラパンはかなりのpapa poule（＊4：パパ・プール)なので、育児に追われたわけでもないのに、誕生の時以外ブツ切れ状態の記憶に驚いた。そして、やっとサクランボの種がだせるように成長した ムートンを見ながら、”これも忘れちゃうのかなぁ”とちょっと悲しくなった。＊1：mere celibataire〔めーる・せりばてーる〕＊2：mon ex-copain〔もん・えっくすーこぱん〕；前のカレが…　　→（お友達に話す時には）”mon ex～ "〔もん・えっくす〕；”前カレがさぁ～…”＊3：mouton foudroye；雷に打たれた羊　　→ foudroyer；…を雷で打つ、感電死させる、…を驚愕させる＊4：papa poule；子煩悩なパパ

  2005.07.20

• 日常、初日。

  前から気になっていた。密かに”やってみたいなぁ～”なんて。だが、心臓がノミ程度の規模ゆえ、なかなか手が出せなかったのだが、勇気を出してチャレンジ。私がパチパチと叩いているココは、かの有名なパリである。あー、なんて聞こえがいいのだろう…。しかし、ココに住むのと遊びに来るのとでは、天と地の差があるのだ。何故ならば、あのチーズを愛する人達と戦わなければいけないからだ。なかなか手強く、溺れて(＊1：noye)しまう時もあるが、そんな事でくたばっていては生きてゆけない。幸い、”あんた、ほんまに仏蘭西人？”とよく聞かれるダーリンが、”さばぁ～さばぁ～とぅばびや～ん(＊2：ca va, ca va, tout va bien.) ”と言ってくれるので、まだ手を下した事はない。そんなダーリンことラパン・エクラゼは、こてこてフレンチなくせに性格がおっとりのゆえ、よく同士から踏みつぶされて(＊3：ecrase)いるが、どうにか生きている。そんな我々の日常を書いてみようかなと思う。んでもって、フランス語に興味のある人はお勉強してみて下さい。＊1：noye(e)〔ノワイエ〕；溺死した、途方にくれた、涙などに浸った＊2：ca va, ca va, tout va bien；あー、あー、ぜんっぜん大丈夫だってぇ＊3：ecrase〔エクラゼ〕；押しつぶされた、車にひかれた

  2005.07.19

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