カテゴリ:社会の一こま
今日の新聞で、下記のような胸が痛む記事が載っていた。
『母子家庭 悲しき就職希望』 親を亡くした遺児を支援する「あしなが育英会」が母子家庭で育つ高校3年生の進路希望調査をしたところ、就職希望者の約4割が生活苦を理由に進学断念していることが分った。 私も今から50年前にこの記事と同じような経験をしており、ついその頃を思い出してしまった。 我が家は母子家庭ではないが、中学2年生の時、父が仕事中に病気で倒れ長期療養の身となった。 その日を境に父の収入が激減し、家計は苦しくなったのは言うまでもない。 母は内職をして苦しい家計をやり繰りしたが、所詮限度があった。 そこで親に言われたことは「悪いけど高校進学はあきらめ、仕事をして家計を助けてほしい」と。 結局私が働き、弟2人は進学の道へ送り出せた。 私は自慢する訳ではないが、学力の方はまあまあで、「どこの高校進学でも不大丈夫」と先生のお墨付きをいただいていた。 それだけに、進学断念の言葉に担任教師は残念がった。 級友の多くが昼間の高校へ行くのが恨めしかった。 誰もいない所で思わず悔し泣きしたこともあった。 でもどうしようもなく親の希望通り、中学卒業の15歳で就職し社会人となった。 それ以来66歳の今まで50年以上、一度も仕事から離れることなく連続サラリーマンを続けている。 中学卒業後も勉強したいという意欲は残っていたので、夜間の定時制高校、夜間短期大学と合計7年間、昼は働きながら夜は学校という二重生活をやり抜いた。 この経験は自分に忍耐力と自信を植えつけたと思っている。 今の妻と知り合ったのも、もちろん苦しい夜学時代だ。 こういう苦し時代だからこそ、そういうところに希望の光を求めたのかもしれない これまで貧困の中で育ち、贅沢などまったく縁がなかった幼少から青年時代。 また、会社でも一流学校卒業の人と自分のような夜学生では学歴認定に大きな差別があり、昇進昇格などでは悔しさが込み上げて来る経験をいやというほど味わった。 でも、自分らしさを失わず、自暴自棄にも走らないで我慢してきた今の自分がある。 それだけに人の痛みは誰にも負けないほど敏感に分る。 同じような痛みは他人に味わせたくないという気持ちも大きい。 おかげさまで会社生活最後の方で、私もようやく周りから認められ、いまこうして幸せな環境にいられることがとても有り難い。 そして冒頭に書いた母子家庭で家計が苦しく就職せざるを得ない境遇の人でも、決して希望を失わず頑張って幸せな境涯を切り拓いてほしいと願わざるを得ない。 人間、一生不幸のまま終わるはずがないと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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