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早いもので6月も中旬。あんなに楽しみにしていた今期のABTのシーズンも半分が終わって残り4週間。演目にもよりますが、夜の公演は8時から始まり、10時半~11時頃に終わります。コロンバスサークルまで地下鉄で1駅、その日のバレエ公演の余韻に浸りながら歩きます。リンカンセンターを出ると生ぬるい風が吹いて、ちょっと感傷感を煽るんですよねぇ。良い舞台だったなぁ、もうあの舞台は観ることはできないんだなぁ、そして形に残らないから記憶に残すんだなぁ・・と。だから少しでも忘れる前に、こうしてブログに残そうと書いているのかもしれません。バレエに限らず、全てが2度と同じことが起きない1度きりのことですもんね。
コロンバスサークルから乗る地下鉄の中では、当日配布されたパンフレット(PLAYBILL)のページを開いて余韻にまた浸ります。あぁ、あの役はあのダンサーだったんだ・・と確認しながら。 今、配布されるこのPLAYBILLのトップ記事が"Partners"。舞台上では惚れあったり、裏切ったりする恋人役のダンサーたちの"Partnering"についてです。観ている私などは「実生活でも恋人(夫婦)だから相性パッチリよね」とか「やっぱり○○と組んで欲しいなぁ」とか「・・・リフトしていたとき△△が潰れそうだったよ」とか勝手に思うわけです。本当に勝手に物申しております(笑)。 この記事によると(*以下、言い換えや要約、意訳をしていますが、全て"Partners"by David Lymanより引用)中南米のバレエスクールでは10歳前からこの"Partnering"のレッスンがあるそうです。バレエスクールでは男性より女性の数が圧倒的に多いので、小さいときからありとあらゆる女性たちとパートナーを組んで、体つきや重心の位置の違い、どこを持つと踊りやすいか・・などを学び、やがて舞台上でどんな相手とも組めるそうになるそうです。 実際、客席で隣に座った方と話しをしても、女性ダンサーを美しく見せるダンサーとしてホセ・カレーニョ(キューバ)やマルセロ・ゴメス(ブラジル)の名前をよく耳にします。彼らの技や表現力ももちろん素晴らしいのですが、相手の女性に合わせて踊り、そして女性を大きく美しく見せることができます。見ている方も彼らと組む女性ダンサーは安心して体をあずけている気がします。それが安定感なのかもしれません。 現ABTのArtistic Directorを務めるマッケンジーも現役時によくペアを組んだ3人のダンサー(1人はガラで"Judgement of Paris"で踊ったMartine Van Hamel)を挙げ、「1人は空気、1人は水、そしてもう1人は風のような存在で、それぞれが違う(個性/持ち味を発揮する)。だから相手によって良い相性を築く方法を見つけなくてはならない・・」というようなことをコメントしています。 素晴らしい舞台を観たあとに眺めるコロンブス像。 NYの夜に真っ白に聳えていてきれいです。 さて、女性ダンサーとの相性も抜群・・と人気のあるゴメスもステージに立ったらバレリーナを魅せることに徹するそうです。彼にとって「バレリーナは観客にとって1番大切だから」と。そういう思いがあって女性を魅せるためには、パートナー同士の"Mind set"(肉体的でなく精神的な柔軟性)が必要だとマッケンジーは言います。 そして、きっと彼にとって1番新しいパートナーがディヴィッド・ホールバーグとミシェル・ワイルズ。彼らはパートナーを組んで今年で3年目。私が始めてABTを観た演目がその頃の"Sylvia"でした。アメリカのバレエスクールではこの"Partnering"のレッスンが主流でないため、ミシェルも最初は戸惑ったことが書かれています。最初組んだ「スワンレイク」ではお互いが固く、戸惑いがあったそうです。その後、ゴメスと組んだときにとても自然に流れるように踊れ(踊らされ)、楽しかったそうです。踊る前にゴメスが「恋に落ちているふりをするんだ」と言われ、ノリノリになったそうな。 それをきっかけにミシェルはディヴィッドとの関係も彼を知るようになり、少しずつ築きあげていったそうです。さて、先週観た"Don Quixote"で、まだ書いていない公演が2回あります。来期でABTを退団すると発表したニーナとアンヘル、そしてこのディヴィッドとミシェルのペア。今週、ゆっくり書こうと思っていますので、お付き合いお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.06.18 01:10:58
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