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カテゴリ:苦し紛れに書いてみる
とりあえず、続けます=
============================== 日は傾いている。もう、夕方か。 夕陽の橙の光は病室の窓から差し込み、部屋を奇麗な色で染めていく。 もうすぐ、日が落ちるのか、そう考えてみる。 病室のベッドでは落ち着かない。 何があったか、わからない上に、気がつけば病院送りの自分がいる。 確かに、おれは、中野と一緒に体育館裏で絶対不思議ちゃん系統を狙っている森下とやらに、やっぱり意味不明な言葉の羅列を聞いていた。 あほらしくなって、帰ろうとしたら、急に目の前が暗くなって・・・・ 気がつけば、病院だ。 体に痛いところはないし、傷だってない。 「どこまで覚えている?」 中野が真剣な顔で訊いてくる。 「俺の周りに火がでてきたところまで・・・・か。まぁ、現実かどうかはあやふやだが」 「あのあと、お前は倒れた。そして俺も奴に、森下にやられそうになった。ったく、顔はいいのに性格とか最低だな。」 やはり、あれは現実だ。森下、何をしでかした? 俺の疑問袋はどんどん膨れていく。 突然、炎があたりに燃え上がった。 視界が赤くなり、最初の瞬間、俺には驚愕の声しか上げることしかできなかった。 しかし、声が出ず、絶叫することすら、許されなかった。 驚き、戸惑い、視界のなかでただ、もがいた。 これだけ、非日常なことなど、今までなかった。 必死に中野の姿を探した記憶もある。 見ているうちに、意識が消えていった。 赤い視界はだんだん、黒くなり、そして、白くなった。 「なぁ、あれって、現実なのか、夢じゃ、ないのか?」 「俺だって夢だと思いたいさ、でもよ、見ちまったんだ、俺と、お前は。」 急に胸が苦しくなる。 体が、熱い。 その時、感じた。 ・・・・俺の中に、何か、ある。 確信できる。 「俺さ、魔法、使えるようになったからさ、あのこと、真実だって認めざる負えなくなったんだよ」 中野?お前まで何を言っている? 大丈夫か? 「な、何を、言っているんだ?」 「俺は、水、を自由に操れるような体になっちまった」 もう、戸惑うしかない。中野までおかしくなった。 だめだ、このままでは、このままではいけないんだ。 しかし、そう思いながらも、それを冷静に受け止めている自分がいる。 それは、俺の中に何かがあるときの確信と同じ。 「魔法使い?お前はそんなものを信じているのか?ヘボイな。 ま、だからこの俺に数学の点数では勝てないのさ。」 「ちゃんと聞いてくれ。お前にもあるんだ、この不思議な力が。」 「すまんな、体調良好すこぶる元気だが、何の変化もないのも、事実だぜ。お前、俺をナメテいるのか?」 軽く流そう、そう決めた。 でも、それを拒んでいるもう一人の自分がいる。 魔法を肯定する自分 魔法を否定する自分 それが、俺の中で渦巻き、これは混乱する。 「論より証拠、百文は一見にしかず・・・だな。」 そういうと、中野は右手を差し出した。 そして、信じられない光景が広がったんだぜ、腰をぬかしたよ。 奴の右手から球の形の水の塊がそこにあるんだ。 目をこすったけど、やっぱりあるんだ。もう重力無視だぜ。 こいつは魔法使いだったのかって。 そうか、中野は実は地球の侵略を企てている悪い地球外生命物体なんだ。そうに違いない。 「見ての通り、俺は〈水〉の力を得ちまった。ま、不便じゃねぜ。水道代が浮く。その分お金が節約できるってもんだ。」 「お前、よく笑ってられるな。あいつは、森下のヤローはお前に変な力与えちまったんだろ。恨めよ。そんな簡単に受け入れていいのかよ。」 「仕方ねぇよ。俺だけじゃねぇ。お前も同類なんだから。二人で宿命背負っていこうぜ。」 「何をいっているんだ、こいつは。俺には理解できねぇ。まったくだ。いや、理解などしたくもない。それにどういうことだよ。俺も同類だって?笑わせてくれる。宿命ってなんだよ。」 心拍数が上がっていくのを感じる。 さっきの中野の≪水≫は、おれに対して恐怖を与えた。 なんだよ、いったい、何なんだ。 その真実を否定したい、俺は凡人でいい。 感情が高ぶっていく。 首を回して周りをゆっくり見渡し、感情を落ちつけようとする。 「・・・・・・・」 あたりはすっかり暗くなっている。 「・・・・・・・」 途方もなく力が抜け、肩を落とす。 中野が、魔法使い。 「・・・・・俺も、同類?」 俺のかすれた、しかし、重い声で尋ねる。 「あぁ・・・・・」 中野は、肯定した。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.08.26 10:38:49
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