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カテゴリ:苦し紛れに書いてみる
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ありがとうございます!!! ================================= 「ようやくお目覚めた?いい加減、見てるこっちが疲れてきたわよ。」 絶望という感傷に浸りながらベッドに座り込んでいた俺の前に現れたのは変態だった。 森下ゆかり。その名の通り、変態である。初対面の時に決定された。 森下は俺と中野の間に重い空気がのしかかっていることなどお構いなしに俺の病室でサンドウィッチをむさぼている。 「森下、てめぇ!」 渾身の力をふるって叫んだつもりだったが、人間というのは不思議なもので、声は急には大きく出ない。 したがって、三平方の定理の証明のごとく思いっきり低く唸るような声が出てしまうのだ。 「落ち着け、和田ちゃん。」 「落ち着いてられねぇ。そこまで俺の感情は万能じゃないからな。」 「お前は〈雷の王〉に選ばれたのよ。そして、こいつは〈水の王〉に。」 俺の話などお構いなしに勝手にしゃべり始める森下。 「おう!だからどうした。俺は人間だ。凡人のままでいいぜ。」 「これは運命。宿命を背負っていかなければならないのよ。私のようにね。」 興奮驀進中の俺と違って、森下は冷静沈着にとんとん拍子で話す。 中野も隣で大げさにうなずいたりしている。 分かっているのか、中野? いいか? こんな身も蓋もない変な能力を与えられたんだぜ? よくそんな冷静でいられる。 「お前は、今、雷を自由に操るものとなったわ。」 長々と森下は話した末、最後にこんな言葉を発した。 「なに?」 「右手を出して、念じろ。」 一応、いわれたとおりにやってみる。 もう、怒りなど通り越して、絶望に変わっているのだ。 疲れた。もう、吹っ切れたようだ。 フッ、哀れだな。 俺は右手を出した。そして念じた。 こういうのはとりあえず、何かを考えず、無になるのが一番。 すると、右手に雷の玉のような黄色いものがバチバチ音をたてて現れた。 なんだこれは? これが雷だと、いうのか? いや、もう何でもいい。受け入れてやるさ。 この身が持つかはしらんがな。俺は容量がいいほうだ。もういいんだ。 「森下、そうだ、結局お前は何者なんだ?」 「私は小さいときから火を操れるわ。子供の時から、ね。」 「あーそうかい。もういいよ。最後までつきあうよ、お前のその宿命とやらに。」 溜息がでるよ。もう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.08.27 21:03:06
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