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カテゴリ:苦し紛れに書いてみる
第一章 2
魔法使いなど、存在の否定をしていたのに、まさか、自分が魔法使いみたいな感じのジャンルに分類されるとは思ってもみなかった。 とはいえ、物を浮かすとか、増やすとか、千円を一万円に換えるみたいな、魔法じゃぁない。 雷を自在に操れるのだ。 練習もしてないのに、俺の操作力はもうプロ級だぜ、多分な。 世の中、不思議がいっぱいだ。 まぁ、無事退院してから三日がたったある日のことだ。 俺は人の愛について書かれているハードカバーの分厚い本を読んでいる・・・・のではなくそれを枕代わりにして飼っている猫のジョンと一緒に窓から入るさわやかな夕日の光が心地よくてうとうとしていたところを母親に叩き起こされた。 電話、だそうだ。誰から?いや聞かなくてもわかる。 中野のヤローが無駄な内容で電話してきているに違いない。 電話に出ると同時に彼は 「おー、和田ちゃん、きいてくれよー。」とテンションの高い声でいってくる。 『すまないが俺は今、人の愛についての本を読んでいたところなのだ。 そして、俺は人の愛について豊富な知識をたくさん頭に詰め込んで、彼女との愛への成功率を高めようとしているところだ。 というわけで電話は切らせてもらう。じゃあな。』 「待て待て待て、お前に彼女はいないし、本は読まんだろうが。嘘をつくのは良くないことだ。嘘は泥棒の始まりとも言うぞ。ところでだ、明日―――。」 『じゃぁな。』 俺は電話を切った。罪悪感など微塵もない。 むしろ自分にお小遣いをあげたい気分だね。俺は部屋に戻ろうとした。 でも、しつこいやつはしつこいよなぁ。電話のベルがなる。仕方がないので出てみる。 「俺だ、俺。」 『誰だ?』 「俺だって。」 『すいませんがどちらでしょうか?現在、母は外出中(嘘)なのでまた、おかけ直しくださればうれしいのですが。』 「もう、俺だよ、女子のアイドル、中野翔くんだよ。」 『あー、生きていたのか。てっきり俺は三年前に死んだかとおもっていたよ。いやー、奇跡的復活でもとげたのかい?』 「もう、ふざけるなよ。」 『どっちがだよ。何だよ、お前が女子のアイドルなら、俺は女子の神様になれるね。その自信はあるよ。』 「どうでもいいから。」 お前がふったんじゃないか。 「いや、要件をいわんとな、また切られたら―――。」 『じゃあな。』 俺は電話を切った。しつこいとは思うが、俺に罪悪感などない。 切った瞬間から、ベルがなる。さてはリダイヤルという技を身につけよったな。 あなどれん。 仕方がない、今度はちゃんと聞いてやるか。 「おいー、三回目だぜ、ひどいよー。」 『わかったから要件を言え。』 「明日のよ、昼によ、駅前のよ、喫茶店によ、来いとよ。」 『よ、を取ってしゃべれ。』 「ま、そういうことだ。」 どういうことだよ? 「だーかーらー、明日の昼に駅前の喫茶店にくるの。森下からの伝言だ。」 『なんのために?』 「フッ、そうだなぁ、僕の推測によると彼女は僕に惚れて、デートしたいけど、二人だと初めてだからちょっと照れくさくて仕方がないから俺の最も信頼が置けるお前をおまけとして連れてくんだろうよ。」 『ほー、では俺はお前ら二人の邪魔はできないなぁ。じゃ、明日、頑張ってこい。』 「すまん、冗談だ。」 『で、ほんとのところはどうなんだ?』 「知らん!」 『じゃ、昼って何時だ?』 「知らん!」 『おいおい、無責任すぎないかね?』 「知らないものをどう伝えろと?」 はぁ、また面倒なことになりそうだぜ。 ま、この俺はもう非科学的な現実を目の当たりにしているのだから、一々、ツッコミをしないのさ。 もう、何でもこいだぜ。寛大な心を持っているなぁ俺は。 (続) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.09.17 17:23:28
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