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カテゴリ:感銘を受けたこと
お正月に小説を読んでいたら、13歳の中学生が戦争中に軍需工場で働かされて、休み時間にショパンの幻想即興曲を引いて、仲間のすさんだ気持ちを和らげ癒す、というくだりに出くわせました。 幻想即興曲といえば、私の高校時代に、音楽部の部長をしていた頃、高校1年生のAさんが、泣きそうになって、幻想即興曲が弾けない、と訴えてきたエピソードを、ついこのあいだの出来事のように、思い出されるのです。 その時に習っていたヴァイオリンの先生の奥様が、ピアノの先生だったので、お話したら、「高校1年生で、ショパンの幻想即興曲が弾ける子は、そういないですよ。」とおっしゃって、そのAさんは相当なピアノの腕前なのだなと、先生と二人で思ったものです。 今回読んでいる小説の中では、13歳の中学生がショパンの幻想即興曲を気分転換、仲間の癒しに弾くのですから、非常に上手な子なのでしょう。 小説に登場する子はさておき、私が高校で音楽クラブの部長をしていた頃、春の文化祭で、クラス対抗の体育競技や、音楽クラブをはじめ、文科系クラブの発表が、約1週間にわたって、開催されていました。 Aさんはバレーボールのクラス対抗の選手としても、2日前に活躍して、好成績を収めておられました。そして2日後には、Aさんはピアノソロで、幻想即興曲を弾くことになっていたのです。 「どうしよう。バレーボールで頑張ったので、指が全然動かなくなってしまいました。幻想即興曲はとても弾けそうにありません。」 今にも泣き出しそうになって、私のところに訴えてくるのです。 「そうだね。2日前にあんなにバレーボールで頑張ったんだからね。よく頑張ったよね。」 Aさんはちょっと、引きつった顔を、和らげたように思われました。 私はヴァイオリンを弾いていたので、運動したり、力仕事をすると、指が動かなくなって、ヴァイオリンが弾けなくなることは、経験していましたので、Aさんの気持ちは、とてもよく分かるのです。 「僕はそんなに上手くはないけれど、ヴァイオリンをやっているので、指に力のかかる作業やスポーツをすると、指が動かなくなって、上手くヴァイオリンが弾けなくなるよね。そんな時、指をよく揉みほぐして、温めてあげると、また動くようになってきて、元どおり弾けるようになったりすることが、時々あるよ。Aさんは、いつも練習の時、一生懸命弾いている幻想即興曲、素晴らしいと思って、聴かせてもらっていたよ。Aさんなら、今からよく指をほぐして温めれば、きっと上手く弾けると思うよ!大丈夫。応援するから頑張ってごらん。」 今にも泣き出しそうになっていたAさん、少しずつ覚悟を決めたようです。舞台出演まであと10分足らずしかありません。「分かりました。やってみます。」とは言わなかったですが、涙ぐんでいた顔に少し笑みを浮かべて、じっと私の目を見て、いったん舞台裏に引っ込みました。そして数分後、私に目で合図してから、覚悟を決めた、という顔付で、舞台に出て行きました。
「ボーン」
という最初の音に引き続いて、細やかな前奏があり、あとはむせび泣くようなメロデイが、繰り返し、繰り返し、これでもか、これでもかと言わんばかりに昇り詰めてゆき、ひしひしと聴く者の心に染み渡ってきます。やがてしゃくりあげるような旋律が続き、今まで何事もなかったように、静かに終わります。 そのときのAさんの幻想即興曲は、いつものAさんではなく、まるで何かの大きな力が、Aさんに乗り移って、演奏しているかのように聞こえ、本当に素晴らしい演奏だったのです!
あ〜良かったあ〜。
「ありがとうございました。」 やがて弾きおえたAさんが、私のところにやってきてお辞儀をした時は、もういつものそのへんの高校1年生の女の子に戻っていました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年01月02日 11時20分04秒
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