今まで履いていた靴が、底も減って、くたびれてきたので、新しい靴を求めて、たまたま出くわした靴メーカーとしては大手のA店に入りました。

今までは紐無しの靴を愛用していたのですが、ちょっとイメージチェンジしてみようと思って、紐付きのウォーキング・シューズで、みかけはウオーキングシューズには見えない、立派に見える靴を、試し履きしてみました。

その靴は今までに出会ったことが無いくらい、ピッタリフィットして、とてもよい履き心地です。歩いてみたら、とても軽快で、いくらでも歩きたくなってくるのです！

靴底から足の裏に帰って来る反動も、とても心地よく感じられるのです。

「このシリーズの靴は、底に特殊加工が施されていて、足が疲れないように工夫されているのですよ。岡梨奈さんには、この靴がピッタリのようですね。ところで、もしよろしければ、岡梨奈さんの足を、計測させていただけませんか？」

「えっ？足を計測するのですか？」

というわけで、素足になって、うら若き女性に、両足をさらすハメになりました。

私は常日頃から、万が一の時でも、あわてないように、身体と肌着を常に清潔に保つようにしていますので、こんな時、靴下を脱いで、醜態を見せることはなく、きれいな素足を並べることが出来ました。

その女性、足の数か所に、ペタペタと脳波検査の時の電極のようなものを貼り付けて、計測を始められました。

「岡梨奈さんの足、とてもまっすぐで、左右差がほとんどありませんね。土踏まずもきれいで、こんな足は、珍しいんですよ。」

お世辞でもうれしいよ！という言葉は、こんな状況の時に使うのかな、と心の中で思いながら、聞いていたのですが、実際その結果を書面で示されると、まんざらお世辞でもないことが、分りました。

均整のとれた健康的な足であることが分って、嬉しかったのですが、それ以上に、その新しい靴の履き心地が良く、いくらでも歩きたくなってくるのが、もっと嬉しいことでした。

「下敷きもお願いします。」 

「いえ、岡梨奈さんの足は、この靴にピッタリなので、下敷きは、要りませんよ。下敷きを敷くと、帰って足によくありません。」

いやはや何もかも新しい経験をさせていただきました。