近年の医学の進歩はすさまじく、眼を見張るばかりです。最近の大きな進歩は、脊髄性筋委縮症という遺伝による病気の遺伝子の発見と、治療法の解明です。
この病気は、最も重いタイプは、産まれてきて首も座らず、呼吸不全で不幸の転帰をとる、とてもかわいそうな病気です。生まれつき、運動神経の維持に必要なSMNタンパクを十分産生できないのが、原因、ということが分ってきました。
そこで、開発された『スピンラザ』を背中から髄腔内に注射すると、SMN蛋白産生遺伝子SMN2に作用して、SMN蛋白産生を増加させる、という画期的な治療法が開発され、日本でも実用化されたのです!
ここで注目したいのは、脊髄神経を浸している髄腔内に投与した物質が、運動神経維持に必要な蛋白を産生する遺伝子に作用して、欠けていた、もしくは量が不足していた運動神経維持に必要な蛋白質を増加させる、という点です。
今まで岡梨奈孝至は、多くの脊髄性筋委縮症のお子さんを診てきました。
遺伝病の治療も、ここまで進歩したのか、という思いです。