ア​​​​​​​​​ヴェ・マリアにはシューベルトをはじめ、カッチーニ、アルカデルト、バッハ＝グノーなど、本当に心打たれる旋律で、胸にひしひしと迫りくるものばかりです。

コンサートでは、クリスマス・シーズンによく歌われ、演奏されますが、クリスマス以外に歌ったり、演奏したりするのは、おかしいのでしょうか？そもそもそのような疑問を持つこと自体、クリスチャンでないために、アヴェ・マリアの本当の意義を知らないことを、告白しているようなものなのかもしれません。​

アヴェ・マリアはラテン語で、直訳すると、「こんにちわ！マリア」、または「おめでとう、マリア」を意味する言葉で、キリスト教の聖母マリアへの祈祷を指す言葉です。この祈りは教会の典礼行為ではなく、私的な信心業として個人と神を結びつける媒体としての聖母マリア、という位置付けとされています。このことは、その歌詞を見ると、よく理解出来ます。


　　　　　　　　アヴェ・マリア、恵みに満ちた方、
　　　　　　　　主はあなたとともにおられます。
　　　　　　　　あなたは女のうちで祝福され、
　　　　　　　　ご胎内の御子イエスも祝福されています。
　　　　　　　　神の母聖マリア、
　　　　　　　　わたしたち罪びとのために、
　　　　　　　　今も、死を迎える時も、お祈りください。　

​​日常的にはカトリック教会の土曜日の晩課の最後に、生神女讃詞として、頻繁に歌われます。 ​​​​​​​​従って、コンサートでも、年間を通じて演奏して不自然さは、まったくありません。

問題は、このような宗教と深く関わる楽曲を、信者でない者が演奏したり、謳ったりすることが、どこまで許されるのか、というところに、あるようですね。そこのところは、キリストを全人類の神ととらえて、人類の文化、芸術をより高めるための行為として、許してくださるものと、強く信じています。