『羊と鋼の森』で、どうして調律師にとって大切なはずのハンマーを、後輩のひとつの門出の記念と称して、先輩がいとも簡単にプレゼントとして差し出せるのか、理解出来ないでいました(6月12日のブログ)。
映画化された『羊と鋼の森』を今日観て、その疑問が簡単に解けました。ひょっとして、と想像はしていましたが、調律師は複数のハンマーを持っていて、その先輩の調律師は、自分の使っているハンマーを、後輩にプレゼントしてから、別のハンマーを取り出して、何でもなかったように、調律を続けていました。
医者は駆け出しの頃は、聴診器は通常、1本しか持っていませんが、ベテランになると、聴診器を2本持っていても不思議ではありません。たとえ1本しか持っていなくても、自分の聴診器よりも優れた聴診器が、無造作に診察室にぶらさがっていたりすることもありました。
そんな中で、先輩医師が自分の現在愛用している(はずの)聴診器を、後輩にプレゼントしても、そんなに不自然さは感じられません。
これが、ヴァイオリンやオカリナとなると、話は違ってきます。簡単には先輩が後輩に譲れる性質のものではありません。
先輩調律師が後輩にプレゼントしたハンマーは、演奏家にとっての楽器ではなく、医師にとっての聴診器のような感覚だったのかもしれませんね。
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最終更新日
2018年06月29日 08時53分51秒
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