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2006.10.28
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……『彩雲国』見ていないから、感想書けない(T_T)
後半に入ったところで電話が掛かってきて……。

こやっさんが迫力で迫ってきて、朔洵本領発揮!ってところで――。
後半部分、DVD録画は何時見られるんだろう。。。(-_-;)
今日の夜中、見られると……良いなぁ。


そんな訳で、昨日読み終えた本の感想なぞ……。

[文庫]シンデレラを嗤え/剛しいら/石田育絵/クリスタル文庫

冒頭部分を読み始め、モチーフはシンデレラなんだなぁと思いつつ、
カフカの虫からはじまって、ガラスの靴に拘って――。
人生をただ漫然と生きてきた男の物語。

その男、灰原が気まぐれで見てもらった占いを転機に、
自分を見つめなおし、自分を考え、生き方を変えていく話――なのかなぁ。

感想を書くのにあらすじを読んで、へぇ~、こんなことが書いて有るの?と改めて思う。
そうなの……。
正直途中で投げ出したくなった。
剛さんの小説では珍しい。

私にとって、剛さんの話は大きくハズレは無いけれど、「あらら~」となっちゃうのは時々有る。
この本は、「あらら~」とハズレの中間かな。

シンデレラをタイトルに持ってくるからに、拘ってモチーフにしているのがガラスの靴。
見れくれはよくとも壊れやすくて脆い。

シンデレラの靴ってガラスよね。
子どもの頃、ガラスの靴ってどんなのだろうと思っていた。
ディズニー映画のシンデレラの靴はシンプルだった。
あんな感じ?――かなり長くそのイメージは在ったけれど。

30年位前かな、『サンドリヨン』と言うタイトルだったと思うのだけれど、
実写版『シンデレラ』のミュージカル映画を見たのよ。
その中のガラスの靴は、それはキラキラとした、所謂ミュールだった。
それはそれは華奢で、でも豪華で、あんな靴、怖くて履けないとも思った。

シンデレラの靴は魔法使いがポケットだったから出した、
唯一魔法で出したものじゃないリアル品だったから、12時で解ける魔法とは関係無い物だった。
それは当たり前のことで知っていた。

この映画が凄いなぁ、と思ったのは、その後のシンデレラが描いてあったこと。
王子がシンデレラを妃として迎えても、政略結婚で王子の婚約者は既に決まっていて、
シンデレラは邪魔者でしかなかった。
城から追い出されるように出て行くシンデレラ。
ところがその婚約者のお姫様は王子の従兄弟だったか伯父さんだったかと恋仲になって、
そんな後日談が入っていた。
御伽噺の、「めでたしめでたし」のその向こうを描いてくれた、
世の中斜めに見始めた思春期の娘にはとっても興味深いものでした。
うん。シンデレラが嫁イビリされたって後日談も何かで読んでいた。
そうそう、残酷な義姉の足の指を切ったというのもね。

でもね、その時にはとっくに知っていたのよ、私。
シンデレラが魔法使いから送られたのはガラスの靴ではなくて、革の靴だって事を。
ペローが転記する時か、聞き書きした時に間違えたんだろうって話も。

だからこそ、ガラスの靴は御伽噺で、それこそ夢物語の象徴みたいなものになっていた。
だって、あんな硬そうなガラスの靴では歩けない。

『シンデレラを嗤え』。
最初の部分を読み始め、そんな事まで考えてしまったら、どうしても斜めに考えてしまって、
いちいち突っ込みを入れたくなってしまったのよ。
シンデレラの履いていたのは魔法の靴ではないから消えないし、
ガラスの靴でもないから壊れないし足も痛くならない。って。

だけど、剛さんは、それをちゃんと落ちに持ってきていた。


10月発売文庫シンデレラを嗤え

・・・・・・・・・・・・・・・
お薦め度的には★4
(★1~満点★5)
好き度的には★3.8


[文庫]シンデレラを嗤え/剛しいら/石田育絵/クリスタル文庫

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あらすじ

愛という魔法がすべてを変えた!?
いつか幸せはかならずやって来る。

むなしく卑屈な日常を壊す勇気もなかった男灰原が、道端の占い師の言葉を契機に家庭も仕事も放り出して自分探しを始めた。
運命が逆転する世界で自由を手に入れ、自分の力で現状を変え始めた男はどんどん魅力的に成長していく。
それはもはや魔法の力などではなく…。
大人の男のサクセスラブストーリー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


何故そんなに辛い★になっちゃうのか。
それはやっぱり主人公の家庭を捨てる中年男・灰原と、
灰原を口説きまくってモノにする夏神の我儘さに他ならないから。

家庭で疎外される夫、職場でも仕事の成果を目で見て確かめる事も出来ない。
結局は全てを投げ出し自分探しを始める。自分に投資をして。

確かにこの妻はいただけないと思う。
でも、話をしようとも、聴こうとも思わない灰原自信も問題は有ると思う。
自分が悪いとは言いつつ、それで彼は自分の思っている事を話したのだろうか?
妻の話をちゃんと聴いたのだろうか?
妻の繰言にまた始まったと耳を塞ぎ、相手を納得させるまで話そうとも思わず、
結局は格好良くなった自分を好きな夏神のことしか考えていない。

自分が勝手に出てきて、別居だ別れるんだと正当化し、結局は不倫じゃん。
自分に言い訳して屁理屈で正当化して――。

灰原の思いも解るんだけれどね、でも、我儘男にしか思えない。
夏神の前で努力できるなら、夏神のことを思いやる事が出来るなら、
何でその前に家族の事を思いやり、妻の前で自分を磨く努力をしなかったのか。
妻がそうだったから、と言うのは言い訳にもならない。
要は自分が如何だったかと言う事で。
だから自分が悪いと言うのは簡単に言えても、結局は回りを排除している。

夏神にしても。やっていることは不倫だし、略奪愛でしかない。
そうして奪ったものは、同じ事をして奪われても文句は言えない。
例え恋人である灰原が浮気をしても、責める事は出来ない。

夏神が灰原がちゃんと妻との間にケリを付けてから占有権を主張するならまだ解る。
妻と夏神とでは立場も場合も違うのよ。
初めから夏神が有利なのに、灰原にしても夏神にしても妻を蔑ろにするし。

妻も我儘だし努力が無かったと思う。でも、それはどっちもどっちだと思う。
だって、灰原だって自分から自分の場所を作ろうと働きかけていないもん。
それなのに自分の居る場所が無いなんて、子どもの我儘じゃない。

なんてね、そんな事ばかり思って読んでしまったのでした。
他のBL作品ならこれほど扱き下ろさないと言うか、言わないけれど、
剛さんの書いた物だから、期待度高すぎたのかも知れない。
私の考えが凝り固まっているのだとも思う。

BLだからね、話のメインは男×男の話なのは解る。
それが正当化されるように持って行かなければと言うのもわかる。
でも、だからと言って女性を悪者にするのは違うと思う。
格好良い女性を振り切ってまで可愛い男に靡くから、そんな恋愛良いなぁと思うのよ。



だから。シンデレラを嗤うのは、女の方。

















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Last updated  2006.10.28 18:35:39
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