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真夜中のお茶会

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2008.04.01
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実は長らく積読だった本。

セカンド・セレナーデ full complete version
                    木原音瀬/北畠あけ乃

…………………………………………………………………………
水のナイフ/ONE NIGHT/セカンド・セレナーデ/その後のセカンド・セレナーデ/わがまま/いじわる

「初めてだと言うわりには、まあまあよかったよ。相性も悪くなかったしね」
一途に好きだった高校時代の先生に大失恋してしまった大学生の掛川。
しかも先生の秘密の恋人は、自分の友人だった。
なかばやけっぱちに誘った年上の男・橋本は、顔は極上だが性格は最悪。
大失恋したばかりの掛川にとっては、罪悪感も感じずカラダで失恋の痛みを慰めてもらうには、うってつけの相手だったが…。

木原音瀬のデビューノベルズ、幻の商業誌未発表作から書き下ろし作品まで含めた完全収録版で登場。

お薦め度的には★4.5(★1~満点★5)好き度的には★4.2

……………………………………………………………………………………………………

2005年08月ビブロス発行のB-boy novels。当然廃刊本。アフィリはございません。
木原さんは人気者だから、在庫も無いんだろうな。
まぁ、木原ファンなら読んでいるだろうな……とは思いますが。

元は1996/07発売のB-boy novelsを加筆?改定して再販したもの。
最初の本に掲載された「水のナイフ/セカンド・セレナーデ/その後のセカンド・セレナーデ」に
同人誌掲載の「ONE NIGHT/わがまま/いじわる 」の3編を銜えての改訂版です。

それがね~、面白いの。
流石に2段組ではないものの、一般の新書よりも文字が細かくなっているのね。
それが如実に解るのが、最初の新書は311頁だったのが、
改訂版は短編が3作も加わったのにも拘らず、317頁で済んでいるというところ!

これって物凄いファンサービスって事よね!
確かに、新書にしては高い値段・・・1,100円と言うものだけど、
買わせる手段と言うよりは読者・ファンを楽しませる喜ばせる為の気持ちがギューっと詰まっている感じがして、お得と言うよりは嬉しくなる仕様の改訂版だと思った。

この頃BL界では改訂版・リニュ本流行だけど、
殆どが石を投げたくなるような売らんかな主義前面押し出しばかりで、
ファンを思う誠意が感じられない悲しい状況だからね~。
そのままでは売れないだろうから2・3頁も書き下ろしを加えれば・・・
って、読者を馬鹿にしているんじゃないだろうかって毎度思う。
ムカつきながらも、それでもその2・3ページの為だけに買ってしまう、
踊らされている自分にも腹が立つ。

……中身が変わらないなら普通に再販にしてくれれば良いのに……。

と言う訳で、凄く嬉しい気持ちで読み薦めた本でした。

だから、昨今のリニュ本流行で、木原さんの本もご多分に漏れずなので、
リブレからの改訂版になるのか、他からになるのか、多分これも出るんじゃないかなぁ。
なんて読みながら思ってしまいました。

今すぐ読みたいと思われても入手は至極困難だと思います。
古本屋さん巡り、オークション巡り……頑張って下さい。
……なんちゃって実は読んだ本を今ヤフオクに出している・・・のでした(爆)
……………………………………………………………………………………………………

話は二組のカップルが出て来るのだけど、並列ではなく時間を追ってカップルが変わるというもの。
主人公達の高2の夏前から話は始まる。

『水のナイフ』
明智は自分が思いを寄せる大友美奈子が大嫌いな担任の砂原を好きなことを知り、
砂原が大友に靡かないように自分自身が砂原を好きだからと告白してしつこく付き纏う。
慣れない酒の弾みや、その場の衝動でつい暴力的に砂原に手を出してしまう明智。
抵抗しながらも明智に付き合っていく砂原。
学際の為に撮っていた映画の撮影も終わり、
――密かな明智の策略が実り大友と付き合うことが叶った時、当然の如く明知は砂原を捨てる。
砂原が、実は全て明智の策略だった事を知り、
逆に明知に引導を渡した時に明智は逆切れをして砂原をご うかんする。
明智は思いが叶って大友と付き合って入るものの、気になるのは砂原の事ばかりで――。
結局は侘びを入れ、砂原を縋り倒してしまう。

『ONE NIGHT』
砂原視点で描かれた6年後の二人の、砂原の誕生日前夜・日付の変わる直前のひとコマ。

『セカンド・セレナーデ』
タイトルになった話。あらすじはこの話のものです。

密に砂原に思いを寄せていた掛川は告白をするものの、あっけなく振られてしまう。
しかし、その1年後、砂原の相手が友達の明智だった事を知り、愕然とし荒れてしまう。
そんな時出逢ったのが人非人の橋本だった。
身体を慰める為だけなら、罪悪を感じないで済む相手として丁度言い――。
しかし付き合ううちに次第に引かれている自分に気が付、真剣に向かい合おうとした矢先に、
橋本の結婚の話を知り、結婚後も付き合えば良いと言う橋本に対し、
本来真面目は掛川はそれを拒否し自分から別れを決心する。
しかしなかなか思いは吹っ切れず――。
数ヵ月後そんな掛川の前に橋本が打ち萎れて現われる。
詐欺まがいの相手と破談になったものの、仕事がらみの為責任をすべて押し付けられ、
縋るように自分の前に現れた橋本に、未だ好きな掛川は嬉しく思う微妙な心はあるものの、
橋本の相変わらずな傲慢な態度に以前は言えなかった非難の言葉を滔々と述べる。
橋本は一旦は掛川の元を去るが、追い詰められた状況にカミングアウトをし、
再び掛川の元に転がり込む。そんな橋本を掛川は受け入れ――。

『その後のセカンド・セレナーデ』
文字通り、その直後からの橋本視点の話。
高飛車で倣岸不遜な橋本が少しずつ掛川に懐柔されていく……操縦されていく、はなしかな。

『わがまま』

大学の時に付き合いで出た自主制作の映画が縁で俳優になった掛川に付いた
マネージャー・割石視点の……真面目な掛川のわがままと、
相変わらず倣岸不遜な橋本を描いた短編。

『いじわる』

大学時代の明智視点のヤキモチの焼きっこ……。

……………………………………………………………………………………………………

二組のカップル。ともかく片割れが非常に性格が悪い。
傍若無人と言うか、傲岸不遜でお子さま指向な明智と、高飛車で倣岸不遜な橋本。
そんな二人に振り回される砂原と掛川のそれぞれの恋物語。

……っとに嫌なヤツなんだ。当に木原さんが得意とするような嫌なヤツ(苦笑)
読んでいて、気分が悪くなってしまうほどの……って、私にとってはちっとも大げさではない表現。
その嫌なヤツに振り回されながらも決して自分を見失わない砂原と掛川は
方向は違うものの本当に好青年で。オトナなんだよね。人間が出来ているのか。
自分をシッカリ持っているからこそ傍若無人なアンタ何様な男をコントロールして行けるのかなと、
展開を見て思っていた。

最後までこの嫌なヤツに言いようにされて――だと救い様が無いなと思っていたから、
改心するのではないけれど、嫌な奴らは自分の心の移り変わりに翻弄されてうろたえる。
しかしその心の変化をもたらしたのは、それぞれの相手となる砂原と掛川の存在で。
まさか自分がと内心歯牙にも引っ掛けていなかった相手に気が付けば嵌っている。
その思ってもいなかった心の変化がね、話のトーンを柔らかくしているのかな。

木原さんのこの嫌なヤツタイプの話って、結構もっと辛辣な状況で……と言うか、
変わらない状態で終わるパターンが多いように思っていたから、この展開には正直ちょっと驚いた。
初期作品だから、甘めになっているのかな……と思いつつ、私はこの展開の方が好きだな。
最後まで嫌なヤツ全開だったら如何しようと思って読んでいたから。

もっと早く読んでいれば良かったなぁ……とちょっぴり悔しくも在りました(笑)











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Last updated  2008.04.01 10:51:05
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