カテゴリ:国政・経済・法律
人口戦略会議が4月24日に、令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポートを公表。2014年の増田レポート(消滅可能性都市)から10年が経ち、今回は昨年12月の地域別将来推計人口(令和5年推計)に基づいた分析である。以下にその概要とポイントを記す。 ■今回のシリーズ ・今回 自治体持続可能性分析レポート(人口戦略会議)を考える(その1)全体(2024年04月26日) ・自治体持続可能性分析レポート(人口戦略会議)を考える(その2)自治体ごとの結果(2024年04月26日) ・自治体持続可能性レポートと少子化対策・地域づくりを考える(2024年04月27日) ■北海道総合調査研究会サイトに、令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート資料が収めされている。 1 分析の考え方 (1)基本的考え方 2014年分析を基本的に踏襲。すなわち、若年(20-39歳)女性人口が減少→出生数低下→総人口減少で地域消滅、と推測。2020年から2050年までの30年間で若年女性人口が50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」とする。 (2)封鎖人口仮定推計の活用 今回はこれに加えて、(社会減対策に重点が置かれすぎたきらいがあるがゼロサムゲームに過ぎず、)各自治体が(出生増で)人口減少を回避するための対策の視点も検討した。 このため、昨年12月公表の日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)" >地域別将来推計人口における封鎖人口を仮定した推計を活用する。(封鎖人口仮定については、下記過去記事(その4)を参照ください。) すなわち、移動仮定の推計(推計結果の本論)と封鎖人口仮定(出生と死亡だけが人口変動要因)の推計とを比較して、封鎖人口の若年女性人口が急減する地域は、自然減対策(出生率向上)が重要な課題になる。逆に、移動仮定推計で(封鎖人口仮定での減少に比較して更に)急減する地域では社会減対策が重要となる。 2 分析の結果 ・消滅可能性自治体 =移動仮定の若年女性人口の減少率が(2020→2050年)50%以上の自治体 ・今回の結果は、744自治体(※711)。 ・前回896であり、今回脱却したのが239自治体、新たに該当が99自治体(※67)。 ・前回も今回も消滅可能性該当は(おだずま注;896-239=657と思われる)のうち、若年女性人口減少率が改善したのが362で、悪化が283自治体(おだずま注;同数値が12か)。 (※は前回対象としない福島県下自治体を除いた数値。なお、今回は浜通り13市町は一個として推計。) 3 新たな分類の設定 移動仮定推計と封鎖仮定推計の比較をした今回分析では、両者をクロスさせて新たに9つの分類を設定した。 ・自立持続可能性自治体(A)65 =移動仮定、封鎖人口ともに若年女性人口の減が小さい。減少率20%未満であれば、100年後も若年女性が5割近く残存する。 ・ブラックホール型自治体(B)25 =移動仮定の減少率は小さい(50%未満)が封鎖人口の減少率が大きい(50%以上)。人口増を他地域からの流入に依存し、自らの出生率が小さい。 ・消滅可能性自治体(C)744 =移動仮定の減少率が50%以上の自治体。前回と同様。 ・その他の自治体(D)895 =A,B,C以外のもの。ほとんどで若年女性人口は減る。 ■関連する過去の記事(令和5年人口推計(全国、地域別)についてのシリーズ) ・地域別人口推計を考える(その1)(2024年01月31日)=地域別推計結果の概要 ・地域別人口推計を考える(その2)東北の市区町村(2024年02月14日)=個別の市区町村の結果 ・地域別人口推計を考える(その3)(2024年02月15日)=将来推計人口について ・地域別人口推計を考える(その4)移動仮定と封鎖人口(2024年04月25日) (上記その4は、人口戦略会議が4月24日に公表した自治体持続可能性分析レポートが封鎖人口推計と移動仮定推計を比較する手法を用いているため、その説明のために、地域別推計のしくみを整理したものです。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.07 22:28:51
コメント(0) | コメントを書く
[国政・経済・法律] カテゴリの最新記事
|
|