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仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

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2024.04.26
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カテゴリ:国政・経済・法律


■今回のシリーズ(予定含む。4月26日時点)
自治体持続可能性分析レポート(人口戦略会議)を考える(その1)全体(2024年04月26日)
・今回 自治体持続可能性分析レポート(人口戦略会議)を考える(その2)自治体ごとの結果(2024年04月26日)
自治体持続可能性レポートと少子化対策・地域づくりを考える(2024年04月27日)

前回は分析の考え方と全体の結果を記した。今回は東北を中心に個別の結果を記したい。

1 結果の概要
 移動仮定推計と封鎖仮定推計の比較をした今回分析では、両者をクロスさせて新たに9つの分類を設定した。


自立持続可能性自治体(A) 65
 =移動仮定、封鎖人口ともに若年女性人口の減が小さい。減少率20%未満であれば、100年後も若年女性が5割近く残存する。
ブラックホール型自治体(B) 25
 =移動仮定の減少率は小さい(50%未満)が封鎖人口の減少率が大きい(50%以上)。人口増を他地域からの流入に依存し、自らの出生率が小さい。
消滅可能性自治体(C) 744
 =移動仮定の減少率が50%以上の自治体。前回と同様。
その他の自治体(D) 895
 =A,B,C以外のもの。ほとんどで若年女性人口は減る。

このうち東北の自治体を見ると、(D)消滅可能性自治体の割合が他ブロックに比べて最も高い。
・(A)自立持続可能性 全国 65 → 東北 1
・(B)ブラックホール 全国 25 → 東北 ゼロ
・(C)消滅可能性 全国 744 → 東北 165(その割合4分の3は突出)
・(D)その他 全国895 → 東北49
他ブロックでは、北海道を除き(D)が半数以上だが、東北は4分の1しかない。


(A)自立持続可能性は、東北は大衡村のみ(移動仮定の若年女性人口減少率15.2%である)。関東8、中部12,近畿7,中四国3,九州が34と多い(沖縄が顕著)。具体的には、関東だとつくばみらい市(+4.1%)、流山市(+2.4%)、八丈町(-19.5%)など。東京特別区の大半は、移動仮定の減少率はさほど大きくない(新宿区で-6.6%)が、封鎖人口での減少率が大きく(新宿区で-68.2%)、(B)ブラックホールに分類される。

2 東北の自治体について
(1)宮城県内(35自治体)
・概要 (A)自立持続可能性が大衡村。(C)消滅可能性19、(D)その他15である。
・自然減対策と社会減対策の視点を得るための「9分類」に当てはめると、下の表となる。
封鎖人口
減少率
20未満

20-50未満

50以上
移動仮定
減少率
20未満
(A)自立
持続
可能性
大衡村
(D)-1
名取市
(B)-1

20-50
未満
(D)-2
富谷市
(D)-3
仙台市、塩竈市、多賀城市、
岩沼市、東松島市、大崎市、
大河原町、柴田町、亘理町、
山元町、利府町、大和町、
美里町
(B)-2

50以上
=消滅
可能性
(C)-1(C)-2
石巻市、気仙沼市、白石市、
角田市、登米市、栗原市、
蔵王町、七ケ宿町、村田町、
丸森町、松島町、七ヶ浜町、
大郷町、色麻町、加美町、
涌谷町、女川町、南三陸町
(C)-3

川崎町

 川崎町が(C)消滅可能性自治体の中でも、最も厳しい評価の区分となった。(C)は全国で744だが、そのうち(C)-3は全国で23しかない。東北でも、外ヶ浜町と川崎町だけ(他では、南牧村、銚子市、都留市など)。
 また、(D)その他の中では、名取市と富谷市が分かれた。移動仮定の若年女性人口減が少ないが、封鎖人口でみると減少が大きい(→自然減対策が必要)区分(D)-1に名取市が該当し、移動仮定で減少は比較的多いが封鎖人口では実はあまり減らない(→社会減対策が必要)区分(D)-2に富谷市。他の13は、自然減も社会減も対策すべき区分(D)-3だ。
 なお、(D)-1は全国で176あるが、東北では名取市のみである。(D)-2は全国に260あり、東北では12ある。

消滅可能性に該当する自治体の前回からの動きは下記の通り。
・前回消滅可能性から今回脱却 4 →大衡、塩竈、山元、美里
・今回新たに該当 ナシ
・前回も今回も該当で、若年女性人口減少率が改善 5 →気仙沼、角田、栗原、村田、松島
・同上で、若年女性人口減少率が悪化 14 →石巻、白石、登米、蔵王、七ケ宿、川崎、丸森、七ヶ浜、大郷、色麻、加美、涌谷、女川、南三陸

(2)青森県(40)
・(C)消滅可能性が35、(D)その他5である。
・(C)のうちでも厳しい(C)-3は、外ヶ浜町のみ。封鎖人口での減が比較的小さい(C)-1には、東北町、東通村、三戸町、田子町。他の30が(C)-2だ。
 なお、(C)-1は全国で176あり、東北ではほかに、平泉町、岩泉町、田野畑村、野田村、最上町、真室川町、大蔵村、鮭川村、小国町、遊佐町、只見町、西会津町、矢祭町。秋田県と宮城県にない。
・(D)のうち、(D)-1はなく、(D)-2に4町村、(D)-3は1のみ。

(3)秋田県(25)
・(C)消滅可能性が14、(D)その他は秋田市のみである。
・(C)の14はすべて、(C)-2に区分される。

(4)山形県(35)
・(C)消滅可能性が28、(D)その他が7である。
・(C)の28のうち、(C)-1区分が6あり、他は(C)-2だ。

■関連する過去の記事(令和5年人口推計(全国、地域別)についてのシリーズ)
地域別人口推計を考える(その1)(2024年01月31日)=地域別推計結果の概要
地域別人口推計を考える(その2)東北の市区町村(2024年02月14日)=個別の市区町村の結果
地域別人口推計を考える(その3)(2024年02月15日)=将来推計人口について
地域別人口推計を考える(その4)移動仮定と封鎖人口(2024年04月25日)
(上記その4は、人口戦略会議が4月24日に公表した自治体持続可能性分析レポートが封鎖人口推計と移動仮定推計を比較する手法を用いているため、その説明のために、地域別推計のしくみを整理したものです。)





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最終更新日  2024.04.27 22:13:53
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