|
テーマ:「婚姻」について(20)
カテゴリ:婚姻
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q15.二人でこっそり取り交わした約束に婚約の効果は発生するのでしょうか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ A15. 一.婚約の成立 1.婚約とは、将来結婚するという約束ですから、合意だけで成立します。 2.財産法的にいうと、婚姻契約の予約ということになります。 3.ただ、婚約を破棄すると損害賠償責任が生じうるので、若い男女が親にも知らせず当人同士で約束しているだけという時に、はたして法的効果の伴う婚約の成立を認めていいかどうかが問題となります。 二.〈事例〉 幼馴染のA女とB男は、21歳になった時に結婚を誓い合い、3年余りにわたって情交関係を続け、その間Aは2度にわたって妊娠中絶を行なった。 しかし、両名の約束は親兄弟に知られず、また結納を交わしたり同棲したりすることもなかった。 その後、BはAを疎んじるようになり、C女と結婚することになったため、Aは婚約の破棄を理由に慰謝料を請求した。 認められるだろうか。 三.〈判例〉最判昭和38年9月5日民集17-8-942〔百選18〕 1.Bの主張 ・若い男女の間の約束に基づく情交関係など、単なる「野合」ないし「私通」に過ぎない。 2.最高裁 ・「たとえ、当事者がその関係を両親兄弟に打ち明けず、世上の習慣に従って結納を取り交わしあるいは同棲しなかったとしても、婚姻予約の成立を認めた原判決は首肯しうる」として、Bに慰謝料の支払義務があるとしました。 〔判旨〕 「論旨は判例違反をいうけれども、原判決は、原審竝びにその引用する第一審判決挙示の各証拠を綜合考かくして、被上告人が上告人の求婚に対し、真実夫婦として共同生活を営む意思でこれに応じて婚姻を約した上、長期間にわたり肉体関係を継続したものであり、当事者双方の婚姻の意思は明確であつて、単なる野合私通の関係でないことを認定しているのであつて、その認定は首肯し得ないことはない。右認定のもとにおいては、たとえ、その間、当事者がその関係を両親兄弟に打ち明けず、世上の習慣に従つて結納を取かわし或は同棲しなかつたとしても、婚姻予約の成立を認めた原判決の判断は肯認しうるところであり、所論引用の判例に牴触することはなく、所論は結局、原審の専権に属する事実認定を非難するに帰するから採用し難い。」 四。婚約の効果 1.婚約も一種の契約ですので、有効に成立すると、一定の債務を発生させます。 2.すなわち、当事者は互いに誠意を持って交際し、やがて夫婦共同体を成立させようと努める義務を負います。 五.不当破棄の扱い 1.婚約が契約である以上不当破棄に関しては債務不履行として損害賠償の請求ができます。 2.ただ、単に結婚しなかったというだけでは責任は生じません。 3.あくまでも、正当な理由のない破棄でなければなりません。 4.その事を法律的に表現すると、債務不履行が違法性のあるものでなければならない、という言い方をします。 六.損害賠償の範囲 1.損害賠償の範囲は、婚約披露の費用、仲人への礼金、結婚準備のために有利な勤めをやめた事による損害などのほか、慰謝料の請求もできます。 2.慰謝料の額は、違法性の度合いによって異なり、婚前の性的交渉のあった当事者間で、不当に破棄した場合は相対的に大きくなりますが、通常は内縁の破棄に比べて少額のようです。 次回は結納について ・・・つづく ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 人気ブログランキングに参加しています。応援宜しくお願いします。 ポチッ! 人気blogランキングへ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 離婚・相続等の法律問題でお困りの方は↓ 櫻井法務行政書士オフィス ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.11.01 09:41:38
[婚姻] カテゴリの最新記事
|