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やさしい法律・行政手続入門

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2005.11.05
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カテゴリ:離婚
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Q3.有責配偶者からの離婚請求でも認められる事がありますか?

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A3.

一.有責配偶者からの離婚請求

たしかに、有責配偶者(離婚の原因を自ら作った者)からの離婚請求は、昨日の判例のように理不尽な理由に基づくものも多いとは言えます。

 しかしながら、夫婦関係が完全に破綻しているにも拘らず、相手方が、意地で、あるいは復讐のために、絶対に離婚に応じない場合に、最早、有責配偶者には離婚への道は残されていないのでしょうか。

形式的な婚姻関係の維持よりも、新たなる実質的な社会生活への第一歩を踏み出すべき道筋をつけるのも1つの考え方であるといえます。

二.〈事例〉

結婚後12年たって、夫Aの女性関係で夫婦が不仲となり、Aと妻Bは別居した。

まもなく、AはBに離婚を請求する訴訟を起こしたが、有責配偶者からの請求ということで敗訴した。

その後30年たって、Aは再び離婚の調停を申し立てた。

これが不調となり離婚訴訟を提起した。

本訴提起までの別居期間は35年間にも及ぶ。

その間、別居の当初に、生活費を保証する趣旨でAからBに建物の処分権を与えていた。

その建物を処分して、生活費に充てた以外には、Aから生活費の交付を受けるなどの交渉は一切なかった。

離婚請求は、認められるだろうか?

三.〈判例〉昭和62年9月2日民集41-6-1423〔百選13〕

1.原審

それまでの判例に従って、有責配偶者からの離婚請求であることを理由に請求を棄却。

2.最高裁大法廷判決

これまでの判例を変更し、有責者からの離婚請求も認められる場合があることを肯定しました。

その要件として

「夫婦の別居が両当事者の年齢、および同居期間との対比において相当の機関に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り」

有責配偶者からの請求であるとの一事をもって、離婚請求が許されないとする事はできない、と判断しました。


四.学説

1.積極的破綻主義反対説

(理由)

(ア)破綻に責任のない妻が離婚によって経済的に不利な立場におかれるのは不当。

(イ)勝手に浮気をした夫が身勝手に妻を追い出す「追い出し離婚」を認める事になる。

(ウ)有責者からの離婚請求を認める事は離婚秩序の破壊・婚姻倫理の無視に連なる。

2.積極的破綻主義からの反論

(反論)

(ア)離婚後の妻の経済的地位に十分な配慮をして離婚を認めるようにすれば問題とならない。
それに、完全に破綻して経済的にも関係が切れてしまっている夫婦の場合、離婚したほうが妻の経済的地位が悪くなるとは限らない。

(イ)積極的破綻主義をとっても、夫が愛人を作って妻を追い出し、直ちに離婚の請求をしても認められるわけではないから、「追い出し離婚」だとの批判はあたらない。

責任は、夫にあるにせよ、長期間にわたって夫婦の実質が全くなく、完全に破綻して修復不可能になっている婚姻において、なお法律上の夫婦であり続けることが妻にとっても幸福かどうかは疑問。

(ウ)消極的破綻主義のもとでは、公開法定で、有責かどうかを争う事になるが、結婚以来の様々な事実を暴露し泥仕合を演じる事はお互いを傷つけあうだけでプラスにならない。

五。その後の判例

その後、最高裁判決が相次いで現れて、離婚請求が認められる場合の別居期間が徐々に短縮されています。

今までのところ、別居期間は10年前後が目安と見られています。

結局、別居期間が長期間であるかいなかの判断も、単なる時間の長さの問題ではなく、諸般の事情との相関関係で判断されます。

次回は離婚の方法について

・・・つづく

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最終更新日  2005.11.05 12:16:50
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