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やさしい法律・行政手続入門

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2005.11.07
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カテゴリ:離婚
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Q5.離婚意思がないのに出された離婚届も有効ですか?

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一.離婚意思

1.協議で離婚する場合、離婚の意思が必要であることは、婚姻の場合と同様ですが、本当に意思が存在するかどうかを確認する要請は婚姻の場合より大きいといえます。

2.その理由は、第1に、知らない間に、あるいは意思に反して離婚届が出されてしまうケースが少なくないからです。

3.たとえば、夫婦仲が悪くなってしまって妻と別居している夫が、別の女性と結婚したいのに、妻が離婚に応じないので、既成事実を作るために勝手に離婚届を出す事があります。

4.また、一時的に頭に血がのぼった妻が署名押印した離婚届を、その後妻の意向に反して夫が無断で出してしまう事もあります。

5.戸籍吏には、実質的審査権がないので、形式的な要件の整った離婚届であれば受理されてしまいます。

6.以前、述べた不受理申出制度は、もともと協議離婚届をめぐるトラブルを契機に導入された経緯があり、実際にも9割以上が離婚の際使われています。(近年の年間総件数は3万件余)

7.このことからも、この種の届出が少なくない事が窺われます。

8.ちなみに、不受理申出制度とは、婚姻や、離婚等の意思がないのに届出が作成された場合や、届出書に署名した後に翻意した場合などに、届出書が出されても受理しないで欲しいと本籍地の市町村長に対して申し出る事を許したものです。

9.受付時から、半年以内の一定期間、届出がなされても不受理の扱いがなされます。

10.勿論、離婚意思のない離婚届は無効なのですが、いったん受理されてしまうと、それを裁判で争うとなると、時間もお金もかかりますので、便利な制度といえます。

11.離婚意思を確認する要請の大きい第2の理由は、離婚は、特に専業主婦の女性の場合は、経済的な影響が重大ですので、本当に冷静に判断して離婚に同意しているかどうかを確認する必要があるからです。

二.立法論

1.立法論としては、離婚意思の確認に裁判所が関与すべきだという主張が有力です。

2.ただ、制度化すると、当事者にとっての手続きの煩雑さや裁判所の負担など、事実上の困難が多く、まだ、実現していません。

3.そのため、追い出し離婚が協議離婚の形をとって行なわれることを避け得ないという現実があります。

三.仮装離婚

1.離婚意思は、離婚の法的効果を全面的に享受するという意思でなければなりません。

2.既になされてしまった、離婚届は、離婚の法的効果を全面的に生ぜしめても問題がない場合は、方便としての離婚届も有効と扱ってもよい、と解釈されています。

四.判例

1.最判昭和38年11月28日(民集17-11-1469)

〈事案〉

妻を戸主とする婚姻関係にある夫婦が、夫に戸主の地位を与えるための方便として、事実上の婚姻関係を維持しつつ、協議離婚の届出を行い、その後夫を戸主とする婚姻届を改めて出した。(旧法下の事件)

要旨:

妻を戸主とする入夫婚姻をした夫婦が、事実上の婚姻関係は維持しつつ、単に、夫に戸主の地位を与えるための方便として、協議離婚の届出をした場合でも、両名が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてこれをしたものであるときは、右協議離婚は無効とはいえない。

次回は離婚の意思の存在時期について

・・・つづく

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最終更新日  2005.11.07 10:06:25
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